エピソードオブヒット 伝説の殺し屋   作:サラザール

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遅くなって申し訳ありません。今回は本当に文章が下手です。ご指摘があれば遠慮なくお願いします。


一人目の仲間

 クロードは近くの造船所に来ていた。

 

 バッドバンの手下たちから逃げるため、クロードは両親の知り合いが働いている造船所へと向かい、一人暮らしができる船を買おうとしていた。

 

 クロードは先ほど仕留めた海賊の首を海軍に売り、受け取った金を持ってこの島を出ようとしていた。

 

 この島を拠点にして5年間、仕留めた賞金首は約100人。これまで稼いだ金は4億ベリーを超え、その全てをホテルや宿の宿泊費、食事、武器の調達に費やしていた。貯金はすれどこのまま使えば一年も持たない。

 

 しかし彼はどうしてもこの島を出なければならない理由があった。

 

 それは海賊を目指している殺し屋(・・・)から逃げるため。

 

 その殺し屋は時間を止める能力を持ち、億越えの賞金首でさえも一撃(・・)で仕留めるほどの男。

 

 彼は"悪魔の実"の能力者ではないと口にするが、一切信用できないとクロードは思っている。

 

 なにより彼は自分から海賊であると名乗っているため、海賊嫌いなクロードにとっては信用しないのは当然である。

 

 ならば彼を殺そうと考えはするが、時間を止める能力を持っているため、それはできない。

 

 たとえ策を練って戦いを挑んでも返り討ちに遭うだけだろう。そう思ったクロードは彼から逃げるため、造船所に来ていた。

 

 彼やバッドバンの手下たちに見つからないように行動し、なんとか知り合いを見つけることができた。

 

「ジェラードさん、お久しぶりです」

 

 クロードはあるガレオン船の近くで作業している中年の男に話かける。

 

 中年の男の名はジェラード。造船所で働くベテランの船大工であり、この島では顔が広く知れ渡っている腕利きの職人。

 

「クロードか……久しぶりだな」

 

 ジェラートは作業を止め、クロードの方を見る。

 

「ええ、2年振りですね。ちっとも変わってないな」

 

「はははは、お前の親父にそっくりになったな」

 

「そうかもしれませんね」

 

 他愛もない話で盛り上がる二人。ジェラートはクロードの両親、特に父親とは子供の頃からの付き合いである。

 

 ジェラートは結構歳をとっているが、老けていると言われればそうかもしれないと納得するほど見た目と年齢は一致していない。

 

「それで、今回はどうしたんだ?」

 

「実は船を買いたくて来たんだ。一人暮らしができるくらいの船をね」

 

 ジェラートの問いにクロードは答える。元よりクロードの目的はこの島を出るため、船を買いに来たのだ。

 

 ジェラートは作業をしながらクロードに向かって再び質問する。

 

「船だと? この島を出るつもりなのか?」

 

「ああ、さっき億越えの海賊の手下たちに追われてな。すぐにこの島から出ようと思っている」

 

 クロードは本当の目的を明かさずに嘘を吐いた。

 

 本当は億越えの賞金首、バッドバンを一撃で仕留めた殺し屋から逃げるためである。

 

 しかしクロードは嘘を吐いた。もしジェラートに本当のことを話せば、あの殺し屋に命を狙われるだろうと思ってのこと。

 

 億越えの賞金首を一撃で暗殺する得体の知れない殺し屋。クロードが賞金稼ぎを始めてから最も避けたいと思う相手だ。

 

「億越え……まさかバッドバンか? アイツはついさっき死んだぞ?」

 

「えっ!?」

 

 ジェラートの言葉に驚くクロード。

 

「な、なんでジェラートさんがそのことを……」

 

 クロードは慌てながらジェラートに質問する。

 

「なんで、か……そうだな。実はある少年に頼んだのだ」

 

「ある男?」

 

「ああ、その少年は変わっておってな。自分は海賊であって殺し屋でもあると言っていた」

 

「っ!?」

 

 ジェラートの言葉にクロードは再び驚いた。ジェラートは近くのガレオン船を見ながら言葉を続ける。

 

「報酬を払ってくれるのなら誰でも殺してくれると言っておったんだ。だから(わし)はその少年にバッドバンを倒してくれと頼んだんだ」

 

 普通ならそんなこと赤の他人に頼むのはおかしいと思うクロード。しかしジェラートはこの島を愛しているため、数年前からこの島を荒らしているバッドバン一味をなんとかしたかったのだろう。

 

 軽い気持ちで依頼したに違いない。しかしバッドバンが死んだことを知っているということは、既にあの殺し屋は造船所に来ていたと考える。

 

「ジェ、ジェラートさん、頼む! 早く船を売ってくれ! 俺はすぐにこの島を出なきゃいけないんだ!」

 

「ど、どうしたんだ……バッドバンはもう死んだんだぞ? 何故島を出なきゃいけないんだ?」

 

 クロードは急いでこの島を出ようとジェラートを()かそうとする。

 

 すると後ろから声が聞こえた。

 

「おっさん、船の調子はどうだ?」

 

 クロードは振り返り、声の主を見て焦る。そう、声を発した人物こそ、時間を止める能力を操り、バッドバンを一撃で仕留めた危険人物、ヒットであった。

 

 ヒットは右手はポケットに突っ込み、左手には大きな袋を持って猫背で歩いてきた。

 

 彼の周りには異様なオーラのようなものが見える。

 

「ああ、整備もしっかりしておいた。いつでも出航できるぞ」

 

「すまないな、……ん? さっきの賞金稼ぎか?」

 

 ヒットはクロードがいることに気付く。

 

「なんだ? クロードとは知り合いだったのか?」

 

「ターゲットを仕留める時に一緒だっただけだ」

 

 ジェラートの問いに答えるヒット。クロードは急に現れたヒットに向けて睨む。

 

「なんでお前がここにいるんだ?」

 

「ん? この島に着いた時に、おっさんに船の整備を頼んだだけだ。あと、このおっさんの依頼でさっきの賞金首を仕留めたあと、一度ここに寄ったんだ。まだその時には作業の途中だったから、少し時間を潰しに食料を集めていた」

 

 ヒットはそう言って左手に持った袋を持ち上げる。

 

 クロードはジェラートが作業していた船の持ち主がヒットであることを同時に知る。

 

「いや〜、君には感謝しても仕切れないよ。バッドバンを倒してくれたんだから、これでしばらくは平和に暮らせるよ」

 

 ジェラートは作業を終わらせたようで、片付けをしながらお礼を言う。

 

「依頼すればどんな奴でも殺す。それだけだ」

 

 ヒットは当然のことをしたかのように肩を竦める。

 

「でもいいのか? 君がくれたネックレスや宝石を(わし)なんかに……」

 

「仕事をする上で、依頼料以上に価値があるものは依頼人に渡す……これが俺のポリシーだ」

 

「はははは、変わっておるな」

 

 他愛も無い会話のように話す二人にあっけらかんとなるクロード。

 

 ジェラートも島では変わり者だが、それ以上に変わっているのはヒットである。

 

「で? どうするか決めたか?」

 

「あ? 何がだ?」

 

 するとヒットはクロードの方へ向く。

 

「俺の仲間になる気になったのか? 二人で自由を求めて旅をしようではないか」

 

「その話か…………言った筈だ! 俺は海賊なんかの仲間になるつもりはない!」

 

 ヒットは再びクロードを仲間に誘うが、クロードは声を荒げながら断る。

 

「お前もこの島を出るのだろう。仲間になるなら船に乗せても構わんぞ?」

 

「誰がお前なんかの船に乗るか」

 

 クロードにとって海賊は目障りな存在であり、5年前に両親の命を奪った憎むべき相手である。

 

 ヒットは命の恩人ではあるものの、それでも海賊の仲間になるのは死んだほうがマシ。

 

 極度の海賊嫌いであるクロードは、賞金稼ぎの中でも徹底的に叩き潰すほど毛嫌いしている。

 

「こんなに頼んでも自分の意思を曲げないか……変わった奴だな」

 

「お前にだけは言われたくない、さっさと失せろ」

 

「ふ、俺も嫌われたものだな……会って間もない奴にここまで邪険にされたのは生まれて初めてだ。まあ、海賊嫌いならしょうがないか」

 

 ヒットは鼻で笑いながら足を動かしてガレオン船へと向かう。

 

「いつでも歓迎してやるからな」

 

 そう言ってヒットはガレオン船に乗り、クロード達の視界から消えていった。

 

「全く……しつこい奴だ」

 

「ははは、お前の海賊嫌いは重症だな。誘ってくれたんだから船に乗ればいいじゃないか。船を買う金を払わずに済むんだし」

 

「それでも嫌だね。海賊なんかの船に乗りたくもない」

 

 クロードはそう言うと、後ろから数人の足音が聞こえてきた。

 

「よう、貴様が俺たちのお頭を殺した賞金稼ぎだな……」

 

 背後から声が聞こえ、クロードが振り向くと先ほど絡んできた海賊の一味が武器を持っていた。

 

「お前らか……何のようだ」

 

「何のようだ、じゃねえよ! よくもうちの船長と副船長を殺しやがったな! 覚悟は出来てるよな」

 

 海賊の一人が銃を構えながら怒りを露わにする。さらに船長のバッドバンをクロードが倒したと勘違いしている。

 

「お前らの副船長を倒したのは俺だが、バッドバンは違う奴だぞ」

 

「嘘を吐くな! あの場には俺たちしかいなかったんだ。他に誰がやったんだよ!」

 

 クロードは一部誤解を解こうとするが信用してもらえなかった。仕方なく刀に手をかけようとするが、後ろから人の気配に気付く。

 

「っ!? ジェラートさん! 危ない!」

 

「……!?」

 

 クロードは振り向き、ジェラートを守ろうとする。

 

 ジェラートの後ろからバンと銃声がなり、弾丸の軌道はジェラートの左胸に直撃するその時———。

 

「っ!?」

 

 弾丸(・・)()空中(・・)()そのまま(・・・・)止まった(・・・・)

 

「こ、これは……」

 

 クロードは突然の事態に戸惑っていた。

 

「ど、どうなってるだ……一体何が……」

 

 バッドバンの一味たちもこの状況に困惑しており、周りは時が止まったような感覚になっていた。

 

 ジェラート本人はこうなることが分かっていたのか、余裕の表情を浮かべていた。

 

「……やれやれだ」

 

 突如としてジェラートの背後から声が聞こえると、そこには先程ガレオン船に向かったヒットがジェラートを狙って銃を放った海賊をボコボコにしていた。

 

「お、お前……」

 

 クロードは戸惑いながらヒットを見る。ヒットの右手にはジェラートの左胸に直撃するはずだった弾丸を手にしていた。

 

「き、貴様、何者だ」

 

「……俺の名はヒット、お前らの船長を倒した殺し屋だ」

 

「な、なんだと……」

 

 ヒットはそう言ってクロードの方に視線を向けた。

 

「良かったな、俺がいなかったらこのおっさんは死んでたぞ?」

 

「あ、ああ、また助けてもらったな……」

 

 クロードは歯切れが悪そうに言うと、ヒットはニヤリと不敵な笑みを浮かべる。

 

「さっきは依頼の途中だったからついでに助けたが、今回の依頼料は高く付くぞ? 覚悟は出来てるな?」

 

「ああ、男のプライドは守るつもりだ」

 

「なら、俺の仲間にならないか?」

 

「っ!?」

 

 クロードは再度驚いた。

 

「どうする、借りはデカイぞ? 断るなら弾丸を元の場所に戻すことができるが……」

 

「なっ!? 脅してるのか、卑怯だぞ!」

 

「殺し屋とはいえ、海賊だからな。早く決めろ」

 

「くっ……」

 

 ヒットの脅しに従いたくないクロード。しかし彼のおかげでジェラートは無事に済んだのは事実。

 

 海賊は毛嫌いしているクロードにとってはどうしても受け入れられない条件。するとヒットは呆れた表情で口を開く。

 

「ではこうしよう……五年間俺の船に働け。五年経てばお前を自由にしてやる。それでいいか?」

 

 ヒットは条件を譲歩して提示してきた。

 

「……いいだろう。五年だからな! 一日でも過ぎたら船を降りるからな! 分かったな」

 

「交渉成立だ」

 

 こうしてクロードはヒットの勧誘(脅し)により仲間となった。

 

「では、仕事を始めよう」

 

「……ふん」

 

 ヒットとクロードはバッドバンの一味を薙ぎ倒し、"ドラゴン・アッシュ・ポルンガ号"と共に水平線の先へと進みだした。




ドラマ見ながら作業してますが、なかなか集中できませんね。
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