【管理官】も異世界から来るそうですよ?   作:ネェリ

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アブノーマリティの名前は”日本語”か”何でもいい”が多かったので、英語はやめようと思います!



第11話 ペルセウス2

~数日後 サウザンドアイズ支店~

 

あの会談から数日後、管理官とレティシアは白夜叉に呼ばれ、サウザンドアイズの支店を訪れていた。

 

「どういうことだ!やっぱり吸血鬼はお前たちが盗んでいたじゃないか!」

 

……ルイオスにバレました。

 

「…どうしてわかったんですか?」

 

「どうもこうも部下に聞いたわ!それにお前!何でそっち側にいるんだ。僕の所有物だろ!」

 

「……それは」

 

「…それで?要件は?」

 

「要件は?だと…!?ソレを返せ。ソレの所有権は僕にある」

 

「…今の所有権は私にありますよ?盗まれる方が悪いんですから。……そうですね、ゲームをしませんか?勝ったら返してあげますよ?」

 

「はァ?お前何言ってんの?僕は今ここでお前から奪い返してもいいんだぞ?」

 

「…私よりも反応速度の遅い貴方が?……【ラエティティア】」

 

管理官が呟くと、手元にピンク色のマスケット銃が具現化した。具現化された【ラエティティア】の銃口はレティシアに向けられる。

 

「…ゲームを開かないなら、今ここでレティシアさんを殺します。別に私からしたら、生きていようが死んでいようがどうでもいいですし」

 

「……はっ、そんな脅しが通じるとで」

 

「…脅しじゃないですよ?」

 

 

ルイオスの言葉が終わる前に管理官が引き金を引いた。銃口から撃ちだされた弾丸は、レティシアの肩を撃ち抜く。

 

 

「ッ……!?」

 

「おんし、何をしている!」

 

「お前……」

 

これには白夜叉も黙っていることができなかった。

 

「…さて、どうします?ゲームを受けないなら今ここで”貴方の商品”を殺しますが」

 

「……クソッ」

 

「…返答は?10秒以内に答えてください」

 

「…あぁ、分かったよ!ギフトゲームを開いてやる!」

 

「…そうですか。それは良かった」

 

「…ノーネーム風情が、僕に歯向かったことを後悔させてやる!!」

 

キレたルイオスは襖を開けるとコミュニティへと帰って行った。

 

 

 

 

 

 

ルイオスが帰った後、管理官はすぐにレティシアに緑色の弾丸を撃ち込んだ。

 

「…脅すためとはいえ、すみませんでした」

 

「……気にしないでくれ。事前に攻撃するかもしれないと聞いていたからな。…まぁ、本当に攻撃されるとは思っていなかったが」

 

「全くだ。コミュニティの同志を攻撃するとは、さすがの私でも驚いたぞ…」

 

「それよりも、良かったのか?黒ウサギたちに何も言わずゲームを挑んで」

 

「…いいんじゃないですか?他の方々もゲームができるなら満足でしょう」

 

「…そうだろうか」

 

「…それよりも痛みは大丈夫ですか?傷はさっきの弾丸で塞げたと思いますが」

 

「大丈夫だ。もう痛みは残っていない」

 

「…それは良かった。さて、そろそろ帰りますか」

 

 

 

 

 

●〇●〇●

 

 

 

「ペルセウスとのゲームを取り付けた!?」

 

「ど、どうやったんですか!?」

 

「…脅したら喜んで受けてくれましたよ」

 

「いや、喜んではないと思うぞ」

 

「私たちに相談もなく、勝手にそんなことしてたなんて」

 

「ずるい。私なんて前の会談の時も行けなかったのに」

 

「…いいじゃないですか。それよりも、皆さんゲームの準備をしておいてください。私も準備しておきますので」

 

話を切り上げると、管理官は宿舎へと帰って行った。

 

 

 

≪ギフトゲーム名 FAIRYTALE in PERSEUS≫

 

・プレイヤー一覧 逆廻十六夜 久遠飛鳥 春日部耀 管理官

・”ノーネーム”ゲームマスター 管理官

・”ペルセウス”ゲームマスター ルイオス=ペルセウス

 

・クリア条件 ホスト側のゲームマスターを打倒

 

・敗北条件 プレイヤー側のゲームマスターによる降伏。

      プレイヤー側のゲームマスターの失格。

      プレイヤー側が上記の勝利条件を満たせなくなった場合。

 

・部隊詳細・ルール 

*ホスト側のゲームマスターは本拠・白亜の宮殿の最奥から出てはならない。

*ホスト側の参加者は最奥に入ってはいけない。

*プレイヤー達はホスト側の(ゲームマスターを除く)人間に姿を見られてはいけない。

*姿を見られたプレイヤー達は失格となり、ゲームマスターへの挑戦資格を失う。

*失格となったプレイヤーは挑戦資格を失うだけでゲームを続行することはできる。

 

宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗の下、”ノーネーム”はギフトゲームに参加します。

 

”ペルセウス”印 

 

 

「…なるほど、そう来ましたか」

 

「姿を見られれば失格、か。つまりペルセウスを暗殺しろってことか?」

 

「それならルイオスも伝説に倣って睡眠中だという事になりますよ。さすがにそこまで甘くはないと思いますが」

 

「YES。そのルイオスは最奥で待ち構えているはずデス。それにまずは宮殿の攻略が先でございます。伝説のペルセウスと違い、黒ウサギたちはハデスのギフトを」

 

「…持ってますよ?」

 

管理官はギフトカードから、ハデスの兜を10個取り出した。

 

「な、何で持ってるんですか!?」

 

「…何でと言われても、私が撃ち落とした彼らから奪い取りました。……ヘルメスの靴もありますが要りますか?」

 

「なんか管理官のせいでヌルゲーになったな」

 

「ルイオスも、まさか私たちが不可視のギフトを持ってるとは思ってないでしょうね」

 

「ガルドのより簡単かも…」

 

「はぁ…。不可視のギフトを持っているとは思ってませんでした…。ですが、必ず勝てるとは限りません。黒ウサギ的には非常に厳しい戦いになると思います」

 

「……あの外道、それほどまでに強いの?」

 

「いえ、ルイオスさんご自身の力はさほど。問題は彼が所持しているギフトなので。もし黒ウサギの推測が外れていなければ、彼のギフトは―――――」

 

「「隷属させた元・魔王様」」

 

「そう、元・魔王の……え?」

 

十六夜と管理官の捕捉に黒ウサギは一瞬、言葉を失った。

 

「お二人とも……まさか、箱庭の星々の秘密に」

 

「…私は違いますよ?彼らからギフトを奪い取った時に、もしかしたら神話や童話が関係あるのではと思っただけです。もし関係あるならメドゥーサの話で隷属させているのではないかと…」

 

討伐した魔王を隷属させることの出来る箱庭の法則。ギフトゲーム名の【ペルセウスの御伽噺】。ヘルメスの靴、ハデスの兜、そして、管理官が粉々にした鎌、あれがハルペーだとするならば、管理官の予想が成立するのだ。

 

「俺は星を見上げた時に推測して、ルイオスを見た時にほぼ確信したな」

 

「お二人とも、黒ウサギの想像以上に賢くて驚きなのです!」

 

「…とりあえず、皆さんハデスの兜を持っておいてください」

 

十六夜たちは管理官からハデスの兜を受け取ると、白亜の宮殿の門を蹴り破った。

 

 

 

 

●〇●〇●

 

 

白亜の宮殿は五階建ての作りとなっている。最奥が宮殿の最上階に当たり、進には絶対に階段を通らねばならない。”主催者”側の人間がどれだけ配置されているか分からないが、最低でも一つの階段を確保せねば先に進めない……はずだった。

 

「…ハデスの兜、予想以上に有能ですね」

 

「相手側が可哀そう。透明化してても私なら気配を探れるし」

 

「私も水樹の操り方を練習してきたのに、意味がなかったわ」

 

「無駄に疲れないだけマシじゃないか?」

 

「それもそうね」

 

「っと、着いたぜ最上階。案外狭かったな」

 

「…もう少し距離があると思ってました」

 

「そうね。それにしても……これは闘技場かしら?」

 

「見て、あそこ。黒ウサギが待ってる」

 

耀の指差すを方を見ると、黒ウサギが心配そうに最上階の入口を見ていた。

 

「…すみません、少しルイオスの相手をしておいて貰えませんか?メドゥーサが居るかもしれないので少し戦力を増強しようと思います」

 

「あら、また新しい方を呼ぶのかしら?」

 

「前は小鳥だったけど、今度は何を呼ぶの?」

 

「…へぇ、管理官のギフトは召喚系ってことか」

 

「…そんな感じです。今回呼ぼうと思ってる方は、少々時間がかかるので時間稼ぎをお願いします」

 

「分かった」

 

「あら、倒してしまってもいいのでしょう?」

 

「お嬢様の言う通り、別に倒しても問題ないよな?」

 

「…どうぞご自由に。倒して頂いた方が私も助かります」

 

管理官の言葉を聞くと、3人はハデスの兜を外し、黒ウサギの待つ最上階へと走っていった。

 

 

 

 

……さて、【悪魔】にでもお願いしますか

 

 

 

 

 

 


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