【管理官】も異世界から来るそうですよ?   作:ネェリ

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第3話 ガルド=ガスパー 

「僕らのコミュニティはノーネームです。ガルド=ガスパー」

 

「黙れ、この名無しめ。聞けば新しい人材を呼び寄せたみたいじゃないか。コミュニティの名と旗印を奪われてよくも未練がましくコミュニティを存続で来たな。そうは思わないかい、お嬢様方」

 

「失礼ですけど、同席を求めるなら氏名を名乗ったうえで一言添えるのが礼儀ではなくて?」

 

「おっと失礼。私は箱庭上層に陣取るコミュニティ ”六百六十六の獣”の傘下である…」

 

「烏合の衆の」

 

「コミュニティリーダーをしている、ってマテやゴラァ!! 誰が烏合の衆だ小僧ォ!」

 

(煩い動物ですね…。それに、この臭い……)

 

「口を慎めや小僧ォ!」

 

「ちょっとストップ。事情はよくわからないけど、あなたたち二人の仲が良くないことは分かったわ。それを踏まえたうえで質問したいのだけど…」

 

「ねぇジン君。ガルドさんが指摘している、コミュニティの状況というものを説明していただけるかしら?」

 

「それは……」

 

「…どうやら答えられないみたいね。そちらの方、代わりに説明していただけますか?」

 

「承りました。まず、コミュニティとは……」

 

ガルド=ガスパーは箱庭においてのコミュニティという概念と、ジン=ラッセルの所属しているコミュニティの現状を説明し始めた。

 

 

 

●○●○●

 

 

 

「どうでしょう。よろしければお嬢様方、私たちフォレス・ガロのコミュニティに…」

 

「結構よ。だってジン君のコミュニティで私は間に合っているもの」

 

「は?」

 

「春日部さんと管理官さんは今の話をどう思う?」

 

「別に、どっちでも。私はこの世界に友達を作りに来ただけだから」

 

「あら意外。じゃあ私が友達一号に立候補してもいいかしら?」

 

「……うん。飛鳥は私の知る女の子とちょっと違う感じだから。管理官さんも、…良かったらお友達になりませんか?」

 

「友達…?」

 

(…人間の友人ができるのは何年ぶりでしょうか)

 

「…はい、春日部さんさえよろしければ、これからもよろしくお願いします」

 

「うん。よろしく」

 

「それで管理官さんは、どうするの?」

 

「…私もジンさんのコミュニティに加入します。ガルドさん、……あなたからは嗅ぎなれた”血の臭い”が漂うのでお断りさせていただきます」

 

「血の臭い?」

 

「…!?お、お言葉ですがレディ」

 

「”黙りなさい”」

 

「今の管理官さんの言葉で私の予想が確信に近づいたわ。あなたは”そこに座って、私の質問に答え続けなさい”」

 

飛鳥の言葉に力が宿り、椅子に非々が入るほどの勢いで座りつける。

 

「ねぇジン君。私の聞いたギフトゲームの説明は、主催者と挑戦者が互いにチップを賭けて行うものなのだけれど。コミュニティそのものをチップにすることなんてよくあることなのかしら?」

 

「や、やむを得ない状況なら稀に。しかし、それはコミュニティの存続をかけたゲームですので、余程のことがない限りは…」

 

「そうよね。訪れたばかりの私たちでさえそれぐらい分かるもの。だからこそ、魔王の持つ主催者権限がどれほど強力なのかも予想できるわ。…魔王でもない貴方がどうしてコミュニティを賭けるゲームを行えたのか、”教えてくださる”?」

 

またしても、飛鳥の言葉に力が宿る。まるで久遠飛鳥の命令には逆らえないのだというかのように…。

 

「…相手コミュニティの女子供を攫って脅迫する。それに動じない相手は後回しにして、ほかのコミュニティを取り込んだ後ゲームに乗らざる状況を作り出して圧迫していった」

 

「まぁ、大方予想通りね。けど、そんな方法で従えた組織があなたに従うかしら?」

 

「各コミュニティから数人ずつ人質を取ってある」

 

「…その人質の方々は何処に幽閉されているのかしら」

 

「もう殺した」

 

その場の空気が凍り付く。誰一人として耳を疑って思考を停止させた。

 

「鳴き声がうるさくて思わず殺した。それ以降、つれてきた人質はその日のうちに始末することに…」

 

「”黙れ”」

 

ガルドの口が”閉ざされる”。

 

「ここまで絵にかいたような外道とは早々出会えなくてよ。さすがは人外魔境の箱庭といったところかしら」

 

「箱庭でも彼のような悪党はそうそういません」

 

「そう?…ところで、彼の証言で箱庭の法がこの外道を裁くことはできるかしら?」

 

「難しいです。…裁かれるまでに外に逃げ出してしまえばそれまでですから」

 

「そう。なら仕方がないわ」

 

苛立ちながらも指を鳴らす飛鳥。その音が合図だったのだろう。ガルドを縛り付けていた力が霧散し体に自由が戻った。

 

「こ……この小娘がァァァ!!」

 

雄たけびとともにその体を激変させ、ワータイガーへと変身したガルドが飛鳥に襲い掛かるが、

 

「…≪天国≫」

 

それよりも速く、管理官がガルドへと槍の矛先を向けていた。

 

「…さっきから煩いですよ。…あと、動いたら殺します」

 

誰一人として反応することができなかった。ガルドの変身までは認識できたかもしれないが、管理官の行動は一般人よりも優れた五感を持っている耀ですら、認識できなかった。

 

「く……クソが…ァ」

 

「…さて、と。ありがとう管理官さん。私ね、思うのよ。あなたのような外道は己の罪を後悔しながら罰せられるべきだと。……そこでみんなに提案なのだけれど」

 

一拍おいて、飛鳥は告げた。

 

 

 

「私たちとギフトゲームをしましょう。貴方のフォレス・ガロ存続と、私たちノーネームの誇りと魂を賭けて、ね」

 

 

 

 




≪天国≫

地中の天国のエンケファリンボックス(抽出されたエネルギー)から作れる装備



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