【管理官】も異世界から来るそうですよ?   作:ネェリ

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第4話 千の瞳

「なんであの短時間にフォレス・ガロと接触して、しかも喧嘩を売るような状況になったのですか!」

 

「「「ムシャクシャしてやった。今は反省しています」」」

 

「…私は反省するようなことなどした覚えがないのですが」

 

「反省してください!」

 

「別にいいじゃねえか。見境なく選んで喧嘩売ったわけじゃないんだから許してやれよ」

 

「十六夜さんは面白ければいいかもしれませんがこの契約書類を見てください。今回のゲームで得られるものは自己満足。たったのそれだけなんですよ!?」

 

「ごめん黒ウサギ。僕もガルドを許せない。彼のような悪人は野放しにしちゃいけない」

 

「はぁ……。仕方がない人たちです。まぁフォレス・ガロ程度なら十六夜さん一人いれば楽勝でしょう」

 

「何言ってんだよ。俺は参加しねえよ?」

 

「当たり前よ。貴方なんて参加させないわ」

 

「…私はどっちでもいいのですが」

 

「駄目ですよ!仲間同士なんだから協力しないと」

 

「そういうことじゃねえよ。これはこいつらが売った喧嘩だ。俺が手を出すのは無粋だろうが」

 

「あら、分かっているじゃない」

 

「もう、好きにしてください…」

 

一日中振り回され続けて疲弊した黒ウサギには、言い返す気力が残っていなかった。

 

 

 

●○●○●

 

 

 

「そろそろ行きましょうか。皆さんの歓迎会はまた後日、きちんと」

 

「いいわよ、無理しなくて。私たちのコミュニティって崖っぷちなんでしょう?」

 

「…も、申し訳ございません。皆さんを騙すのは気が引けたのですが」

 

「…それだけ必死だったのでしょう。構いませんよ、私は気にしていませんから」

 

「ありがとうございます」

 

「…春日部さんはどうですか?飛鳥さんは先ほどの会話からして納得しているようですが」

 

「あら、良く分かったわね」

 

「私も怒ってないよ。……あ、でも」

 

「どうぞ気兼ねなく聞いてください。僕らにできることなら最低限の用意はさせてもらいます」

 

「そ、そんな大それた物じゃないよ。ただ私は…毎日三食お風呂付の寝床があればいいなっと思っただけだから」

 

(…その条件、かなり難しいのでは?)

 

ジンの表情が固まった。この箱庭で水を得るには買うか、もしくは数kmも離れた大河から汲んでくるしかないのだ。そのような土地でお風呂といいうのは、一種の贅沢品であった。

 

「それなら大丈夫です!十六夜さんが大きな水樹の苗を手に入れてくれましたから!これで水を買う必要もないですし、水路も復活できます♪」

 

一転して明るい表情に変わった。これには飛鳥も安心したような顔を浮かべた。

 

 

 

●○●○●

 

 

 

「それで、今はどこに向かっているのかしら?」

 

「皆さんのギフト鑑定をお願いするために、サウザンド合図に向かってます」

 

「ギフト鑑定?」

 

「YES ご自身の秘めた力や起源を知ることはかなり重要なことなのです!」

 

(…私の力は、大体想像できますね)

 

「桜の木…ではないわよね?真夏になっても咲き続けているはずがないもの」

 

「いや、まだ初夏になったばかりだぞ。桜が少し残っていてもおかしくないだろ」

 

「……?今は秋だったと思ったけど」

 

「…真冬だったはずですが」

 

「皆さんはそれぞれ違う世界から召喚されているのデス。元居た時間軸以外にも歴史や文化、生態系など所々違う箇所があるはずですよ」

 

「へぇ? パラレルワールドってやつか?」

 

「正しくは立体交差並行世界論ですね。今から説明し始めますと一日二日では説明しきれないので、またの機会に」

 

曖昧に濁して黒ウサギは振り返る。どうやら店に着いたらしい。商店の旗には、青い生地に互いが向かい合う二人の女神像が記されている。

日が暮れて看板を下げる割烹着の情勢店員に、黒ウサギは滑り込みでストップを

 

「まっ」

 

「待ったなしですお客様。うちは時間外営業はやっていません」

 

「なんて商売っ気のない店なのかしら」

 

「文句があるなら他所へどうぞ。うちはノーネームお断り」

 

「いぃぃぃやほおぉぉぉぉぉ!久しぶりだ黒ウサギィィィ!」

 

黒ウサギは店内から爆走してくる着物風の服を着た真っ白い髪の少女に抱き着かれ、浅い水路まで吹き飛ばされた。

 

「……おい店員。この店にはドッキリサービスがあるのか?なら俺も別バージョンで頼む」

 

「ありません」

 

「何なら有料でも」

 

「やりません」

 

「し、白夜叉様!?ちょ、ちょっと離れてください!」

 

黒ウサギは白夜叉と呼ばれた少女を引き剥がし、頭を掴んで投げつけた。

 

「管理人、パス」

 

十六夜は飛んできた白夜叉を管理人へ蹴り飛ばした。

 

「…要りません。あと私のことは管理官とお呼びください」

 

管理官は飛んできた白夜叉を躱した。

 

「ゴバァ! お、おんし、飛んできた初対面の美少女を蹴り飛ばすとは何様だ!それに、そこのおんしも、受け止めずに躱すとは何事だ!」

 

「十六夜様だぜ和装ロリ。以後よろしくな」

 

「…私が悪いのでしょうか?」

 

一連の流れで呆気にとられていた飛鳥は、思い出したように白夜叉に話しかける。

 

「あなたはこの店の人?」

 

「おぉ、そうだとも。このサウザンドアイズの幹部様で白夜叉様だよご令嬢。仕事の依頼なら、おんしのその年齢の割に発育がいい胸をワンタッチ生揉みで引き受けるぞ」

 

「オーナー。それでは売上が伸びません」

 

「うぅ……。まさか私まで濡れることになるなんて」

 

「まぁ、私たちは管理官さんのおかげで濡れていないけどね」

 

「…春日部さんに言われて思い出したわ。遅れてだけれど助けてくれてありがとう、管理官さん」

 

「…お気になさらず。助けたのは私ではなく【FairyFestival】ですので」

 

「ふふん。お前たちが黒ウサギの新しい同士か。異世界の人間が私のもとに来たという事は………ついに黒ウサギが私のペットに」

 

「なりません!」

 

「まあいい。話があるなら店内で聞こう」

 

「……」

 

全員白夜叉に続き、店内へと入っていった。

 

 

 

(…白夜叉さん。……なぜでしょう。彼女からは【WhiteNight】と同じ気配を感じるのですが…)

 

 

 

 

 

 

 







「返せぇ!返してくれよぉぉ!!俺のエージェント!!!」
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