幸せの後先~ハズされ者の幸せ3~   作:鶉野千歳

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寝室での二人の時間。
そのうちに急報が来る。
しかも想定される目的地は・・

これが最後か。
呉は・・



急報、来る!

寝室にて、赤ん坊を寝かしつけ、ベッドサイドで秦と鳳翔が寄り添って話をしていた。

 

「どうしたんですか?」

 

「ん? うん・・ この子たちが・・ この小ささで艦娘だったなんて、思わなかったなって・・」

 

「そうですね・・ やはり・・ 艦娘の子は艦娘、なんでしょうか・・」

 

「それは解らない・・ 実際、艦娘の子供なんていたこと無いからな。」

 

それはそうだ、と思う鳳翔だった。

 

「さぁ、もう寝よう。 明日も早いぞ。」

 

「はい。」

 

そう言ってベッドに二人、潜り込んで寝るのであった。

 

 

秦たちが寝入って暫く経った頃・・

時刻は2300・・

不意に館内に緊急警報が鳴り響いた。

 

”急報、急報! グアム島米軍より中継電! 内容は”グアム島北方200KM付近のイ号潜水艦が本土方向へ向かう正体不明の艦隊を探知!”とのこと!”

 

ベッドから飛び起きる秦たち。

各位が寝間着のまま執務室兼作戦室にやってきていた。

 

「状況報告!」

 

「はい、グアム島北方で哨戒任務にあたっていたイ号潜水艦からの中継電です。 グアム島北方海域にて本土方向へと向かう、深海棲艦の艦隊を探知したようです。」

 

「なにぃ? まだ生き残っていたか。 艦隊の詳細は分かる?」

 

「いえ。 まだ詳細は入っていません。」

 

「そうか・・ ただ、本土方向ってのが気になるなぁ。」

 

”ほわぁあああ”と大欠伸をする朝霜、皐月たち。

秦は続報が来るまで待つつもりだったが、

 

「朝霜に皐月たち。 今は寝ててもいいから、部屋に戻っていなさい。」

 

と言って部屋に帰らせたのだった。

 

「ふわあああ・・ うん、そうする・・ 何かあったら起こしてね・・・」

 

と言って戻っていったのだった。

部屋には、鳳翔、榛名、睦が残った。

暫くして鳳翔は赤ん坊の面倒を見に部屋へと戻った。

 

「榛名、悪いな。 残ってもらって。 睦も。」

 

「はい。 榛名は大丈夫です!」

 

「私も大丈夫!」

 

と二人は言うが、明らかに目がトロンとしていた。

30分が経過したころ、続報が来た。

 

”敵艦隊の進路、依然変わらず、北北西方向。 速度14ノット。 大型艦4、小型艦6から8。”

 

それを聞いた秦は、

 

「呉所属の潜水艦隊各艦に下令。 敵艦隊の進路上にて待ち伏せを行う。 24時間以内に所定の海域に到達可能な艦は、哨戒任務を解き、敵艦隊索敵行動に移れ。」

 

と指示した。

呉所属の潜水艦は全部でおよそ20隻あった。

現時点でほとんどが太平洋上にあったが、高知沖500kmに到達できそうな潜水艦が8隻あったので、その潜水艦たちに指示をしたのだった。

この時点で時間は2400。

暫くは報告も来なかったため、執務室で仮眠を摂ることにした。

その間は何事もなく、ただ時間だけが過ぎていった。

ソファーで横になって、うつらうつらしていた時だった。

時刻は0300過ぎ。

 

”追跡中のイ号潜水艦より暗号通信を受信中!”

 

との報告が来た。

ガバッと起きだす秦。

その知らせと同時に、頬を叩いて目を覚ます榛名と睦。

 

”暗号解読しました。”

 

と榛名が取り次ぐ。

 

”敵艦隊、大型空母4、巡洋艦1、駆逐艦7の構成。 ただし、空母の艦載機は通常にあらず。”

 

とのことだった。

 

「ん? 艦載機は通常にあらずって、どういう事だ? 榛名、続きは?」

 

「はい。 なおも受信中です・・・ え?」

 

「どうした?」

 

「はい。 続報が来ていますが・・ これは・・」

 

「構わん。 読んでくれ。」

 

「はい。 では・・ ”艦載機は大型機。 確認だけで一隻に10から12機を搭載の模様。 これが3隻。 残り一隻には、更なる大型機。 数は4機を確認。”とのことです!」

 

ん?

睦も秦も、頭の上にクエスチョンマークが浮かぶ。

 

「空母に大型機? なんだろう・・」

 

榛名も、さぁ・・という顔をしていた。

 

 

その後も続報が続く。

 

”敵艦隊が増速。 敵艦載機、発艦せり。 大型機は双発機。 機種は・・ B-25タイプの様です。”

 

「なに! 発艦した? B-25だと?」

 

”更なる大型機も発艦。 発艦に際し機体後方からロケットらしき噴射あり。 機種は・・ B-17タイプ。”

 

”敵機発艦地点は-----。 編隊は北北西に向かう。”

 

その地点は、足摺岬からおよそ1000kmだった。

 

「い、いかん! 榛名、呉鎮守府に警戒警報発令だ! 総員起こし! 呉鎮守府全域に対空警戒を指示。 全国の電探基地に連絡、敵機襲来の可能性あり、警戒されたし、と。」

 

「どういう事、父さん??」

 

睦が慌てて秦に聞いてきた。

 

「奴らの目的は・・ここだ!」

 

「ここって・・ え? ここぉ??」

 

「ああ。 間違いない。 急げ! 敵機来襲まであと3時間と無いぞ!!」

 

!!

 

「あ、あなた。 どういう事ですか!」

 

飛び起きてきたのは鳳翔だった。

続いて、朝霜たちも起きてきた。

 

「なになに??」

 

「ここが空襲される! 朝霜たちは各艦に戻って対空戦闘の準備だ! 榛名も艦に戻って! 睦は空母・鳳翔を緊急出港だ! 港内の全艦に対空戦闘の準備をさせろ!!」

 

「は? どういう事??」

 

戸惑う皐月たちだが、とにかく各自の艦に向かっていった。

鳳翔に通信を担当してもらい、秦は次の指示を出していた。

 

「ドック内の各艦は、陸電を引いて各銃座、各砲を動かせ!」

 

”そんな無茶な!”

 

という声が聞こえた気もするが、そんなことは言ってられない。

 

「鳳翔、各鎮守府へ連絡。 ”呉に敵編隊襲来の可能性大”とな。」

 

「はい! 直ちに!」

 

鳳翔が横須賀、佐世保など各地の鎮守府へと連絡する。

 

「神風以下各艦も緊急出港! 呉沖合で対空戦闘用意! 急げ!!」

 

粗方の指示を出し終えた秦だったが、

 

「鳳翔、呉鎮守府全域に対空戦闘用意と、戦闘要員以外は退避するよう指示を。」

 

「はい。 分かりました。」

 

鳳翔の連絡がつくと、夜も明けきらない呉鎮守府に空襲警報が鳴り響いた。

慌ただしく、対空戦闘準備が行われると同時に、鎮守府内の灯火管制が行われた。

対空砲廻り以外の灯火は全て消された。

空襲予想時刻まで残り2時間あまり。

秦は、太平洋側の航空基地へ、迎撃のための戦闘機の緊急発進を依頼した。

出来れば上空1万メートルまで上昇可能な機体を選びたかったが、そんな余裕は無かった。

飛び立てる機体全機の発進を依頼したのだった。

 

 

そのうちに、宿毛の対空電探基地から報告が来た。

 

”南方500キロに敵編隊と思しき未確認編隊を確認。 高度8000、機数は30~40。”

 

呉まであと1時間半、といったところか。

続いて、

 

”味方迎撃機離陸。 敵編隊に向かう。”

 

と言う報告が高知、佐伯、鹿屋の基地からやってきた。

 

「迎撃機は・・ 間に合いますか?」

 

そう聞くのは鳳翔だった。

 

「分からん。 高度8000まで数分で到達できる機体は少ないからな・・ ただ、無意味ではないだろう・・」

 

”迎撃機は、零戦、烈風、紫電改、その他の混合”

 

との追加報告が来ていた。

迎撃機としては充分とは言えなかったものの、そう答えるしかない秦だった。

 

「こちら榛名。 陸電の接続完了。 主砲、対空砲の稼動は問題なし。 砲弾の用意も問題なし。」

 

「こちら皐月。 艦内発電機の稼動問題なし、全火器使用可能!」

 

「こちら朝霜、同じく!」「弥生、同じく。」「こちら卯月、問題ないぴょん!」

 

「こちら空母・鳳翔、緊急出港完了。 対空準備よし!」

 

「あなた、第一対潜駆逐艦隊、全艦対空戦闘準備よろし。 神風以下港内の残存駆逐艦も対空戦闘準備よろし、です。」

 

「了解した。 ありがとう、鳳翔。」

 

そう言って秦は次の命令を出した。

 

「呉鎮守府全域及び所属全艦に達する。 これより敵編隊に対する対空迎撃は、戦艦・榛名からの榛名の指示に従え。 また、防空指示については、空母・鳳翔からの睦の指示に従え。 各電探基地、見張り所の報告は戦艦・榛名、空母・鳳翔にすること。 以上だ。 みんな、頼むぞ!!」

 

【り、了解!】

 

「あなた、いいんですか?」

 

「ああ。 みんな出来る子たちだからな。 それに、各所の報告をいちいちここに伝えないといけないようでは、指示にワンテンポ遅れるからね。 この方が早いだろ。」

 

それを聞いた鳳翔は、呆れたように微笑んで、

 

「確かに。」

 

と。 そして、

 

「あなた、避難は?」

 

鳳翔の問いに、首を振る秦だった。

 

「いや、ここに居るよ。」

 

と。

 

「それでは、爆撃の被害を受け・・」

 

そこまで言う鳳翔を秦は止めた。

 

「何処へ行くって言うんだい? ここ鎮守府は爆撃されることを想定している設備じゃないんだ・・」

 

「それでも・・」

 

「いや、いい。 覚悟は・・ 出来ている。」

 

「あなた・・」

 

泣きそうな顔になる鳳翔に秦は、

 

「すまない、鳳翔。 こればかりは俺の思うようにさせてもらうよ。 榛名や睦たちが自分の艦で戦っているのに、俺だけ避難できない。」

 

秦は・・ 既に覚悟を決めていた。

 

「鳳翔、君こそ子供を連れて避難してくれ。」

 

そう言うと・・

 

「嫌です。」

 

え?

 

「あなたが残る覚悟を決めているなら、私も残ります。」

 

そう言ってキッと秦を見つめる鳳翔。

 

「しかし・・」

 

「以前、約束しましたよね? 何があっても一緒に居るって。 ですから、私もここに残ります。 この子達と一緒に。」

 

そう言って二人の赤ん坊を抱き上げていた。

 

「その時は・・ この子達も分かってくれますよ。 きっと。」

 

そう言ってソファーに座って、秦にもここへ、と誘った。

秦も座って、鳳翔から赤ん坊を渡された。

千翔だ。

翔子は鳳翔が抱いていた。

二人はまだ眠っていた。

頬を撫でながら、

 

「ここがやられても、横須賀や佐世保が残っている。 それに、敵の数は少ない。 みんながやってくれる、と信じても居るんだよ。」

 

と言う秦だった。

 

「ふふふ。 そう言うと思いましたよ。 まったくの自信が無いわけではない、と思っていましたよ。」

 

と言い、微笑んでいる鳳翔だった。

隣に座る秦にもたれて身体を預ける鳳翔。

 

「私はココがいいんですよ・・ あなたの胸が・・」

 

秦の胸に顔を埋める鳳翔。

 

「あの、雨の日にあなたに出合って居なければ、こんな幸せに思う事なんて無かったと・・ 今でも思うんですよ・・」

 

「鳳翔・・ 俺もだよ。 あの日、君に声を掛けていなければ、ここに居ることも無いんだ、とね・・」

 

警報が鳴り、外は慌ただしいのに、この二人だけは・・ 心は満ちていた・・

その間にも各電探基地からの報告は続いていた。

 

 

「こちら戦艦・榛名、対空砲、対空銃座、方位は南。 各所、用意急げ!」

 

「こちら空母・鳳翔、防空戦闘用意! 在空の各飛行隊は、敵発見次第、迎撃に移れ!」

 

と榛名と睦からの指示が飛ぶ。

そして・・

 

”敵編隊、高知上空に到達! 高度は変わらず8000以上。”

 

”四式戦他、迎撃戦闘開始しました!”

 

迎撃戦闘開始の連絡が来たかと思うと、

 

”敵編隊高度に到達できない機体が帰投します!  鹿屋隊、フュエルビンゴ、帰投します!”

 

と言う報告も来ていた。

特に旧式機は速度も遅く、また到達高度までの時間が掛かるし、敵編隊の高度には届かない。

離陸したものの、敵編隊に追いつけず、やむを得ず帰投する編隊も少なからず出ていた。

 

”敵編隊、四国山地を超えます!”

 

”敵機1機撃墜!”

 

翼を撃ち抜かれた1機が錐もみ状態で落ちていく。

 

”敵編隊、高度を下げます! 爆撃高度に侵入します! 高度6000・・5000! 更に降下の模様!”

 

”岩国隊、迎撃開始します!”

 

中には岩国から飛び上がった鳳翔航空隊もいた。

 

「こちら鳳翔航空隊、これより戦闘に入る! 全機続け! 突入!!!」

 

敵編隊は防御円陣を組んで飛んでいた。

その砲火に被弾する機体も多数出ていた。

 

”敵編隊、瀬戸内海上空に侵入!”

 

ここからは迎撃戦闘機の攻撃が激しくなった。

 

”これ以上、侵入させるな!”

 

”こちら---隊、これより迎撃! 突入!”

 

”敵先導機を迎撃する! 続けぇ!!”

 

次々と敵機を被弾させていく。

1機、また1機と撃ち落としていく。

が・・

 

”敵大型四発機、高度8000から降りてきていません! そのまま本土上空に到達します!!”

 

という報告が混じっていた。

また味方機の被弾報告も。

 

”---隊三番機、被弾した! 離脱する!”

 

”我、被弾! 帰投する!”

 

 

四国上空での迎撃戦闘が行われているころ、爆撃機を発艦させた敵艦隊に悲劇が待っていた。

 

「前方16000に音源を探知! 報告のあった敵艦隊と思われる!」

 

「よし、潜望鏡深度へ浮上。 浮上と同時に周囲探索。」

 

敵艦隊を見つけたのは、南西へと向かっていた横須賀所属の潜水艦隊だった。

 

「前方11時方向だな・・ 居た! 距離16500だ。 敵艦隊は・・ 大型空母2、駆逐艦6か・・他は・・」

 

「艦長、報告では空母4杯、駆逐艦8とのことですが・・」

 

「ちょっと待て。 居たぞ。 敵は複縦陣だな。 うん、大型空母4、駆逐艦8、だ。 間違いない。」

 

「では?」

 

「ああ。 攻撃する。 僚艦に暗号通信。 ”我、敵艦隊に対し攻撃開始す”とな。」

 

「了解。 暗号通信、発信します。」

 

潜水艦隊は6隻からなる襲撃艦隊だった。

潜望鏡深度で無音航行して、敵の横っ腹、はるか先に位置していた。

 

「魚雷戦を行う。 全魚雷発射管、61サンチ酸素魚雷装填。」

 

”了解、全管酸素魚雷装填。”

 

「目標、前方の敵艦隊大型空母。 距離16500、敵進路北北西、敵速18ノット・・ 調整深度8・・ 雷速45、雷数6・・」

 

”魚雷設定、調整深度8、雷速45、雷数6、一斉発射、点火無制限。”

 

”魚雷設定おわり。 いつでもどうぞ!”

 

潜望鏡を覗きながら指示を出す。

 

「よし。 全発射管閉鎖! 発射管扉開口!」

 

”発射管扉、開口・・ 開口よし!”

 

「いくぞー・・ 全魚雷・・ 発射!」

 

”全魚雷、発射!”

 

圧搾空気の排出で魚雷が射出されていく。

 

”全魚雷・・ 航走!”

 

「次、次弾装填する! 発射管扉閉鎖、排水、急げ!」

 

魚雷室では次の魚雷を装填するために作業が進められた。

 

”僚艦の魚雷発射音、確認。 全魚雷、敵艦隊に向かう。”

 

 

「主砲全門、対空弾装填、急げ! 1番2番主砲、装填次第砲身上げ! 3番主砲も急げ!」

 

「神風より榛名へ。 神風型全四艦、敵進路に対し90度変針終わり。 これより右舷注水し、主砲の角度を上げます!!」

 

その報告は、榛名にとって驚きだった。

神風型の四艦が、主砲の砲身角度が足りないから、艦の片舷を注水して角度を得ると。

 

「神風ちゃん、いいの? いざという時、動けないわよ?」

 

「構いません! 呉の対空陣地は少ないですし、呉が全滅するよりはマシです!」

 

「わ、分かったわ。 頼むわね!」

 

「了解です!」

 

「右舷注水! 主砲、左舷へ。 仰角最大! 左舷錨を降ろして角度調整!」

 

”船体傾斜! 5・・ 8・・ 10度・・ 15度、停止! これ以上は危険です!”

 

「主砲仰角最大! 平射砲でもやれるんだから! 速射いい?」

 

”速射、了解です! いつでもどうぞ!”

 

その間にも榛名から次々と指示が飛ぶ。

 

「対空砲、高射各砲、上空3000で侵入する敵編隊を狙え!」

 

南方向から侵入する敵機へと向けられていく。

 

「榛名の主砲は8000の四発機を狙え!」

 

”敵編隊、本土上空に達します!”

 

「睦ちゃん、飛行隊を下げて! 対空砲発射するわ! 飛行隊を下げて!」

 

「り、了解! 全迎撃隊、対空砲を発射する! 呉上空より退避せよ! 繰り返す、呉上空より退避せよ!」

 

”監視所より艦橋へ。 迎撃機が退避します。 双発の爆撃機、高度2500!”

 

「全対空砲、各個に射撃開始! 撃ち落としてえええ!!」

 

射撃開始合図を受けた各対空砲、高射砲が火を噴きだした。

各艦搭載の機銃も上空の敵編隊に向けて火を噴いた。

 

「神風型全艦、射撃開始! みんな、射撃開始よ!!」

 

”監視所より報告! 敵爆弾倉開いている! あと20機!”

 

”四発機、依然高度8000! あ! 爆弾倉開く!”

 

「1番、2番主砲、対空砲弾、斉射はじめぇええええ!」

 

ドック内にいるにもかかわらず、主砲を放つ榛名。

衝撃で柵や置いてあった荷物などは吹っ飛んでいた。

対空砲が光の筋を引いて敵機に向かっていく。

その光が到達するよりも早く、爆弾が投下されていた。

 

”敵編隊、爆弾投下、投下!”

 

到達した光が敵機の翼、胴体を貫いていくのがいくつもあった。

貫かれた機体が煙を吐き、中には爆炎を出して落ちていくものもあった。

 

「落ちる機体は見捨てて! 残りを!」

 

榛名の悲鳴に近い叫びが無線で飛ぶ。

 

”主砲弾、弾着・・ 今!”

 

四発機の目の前で破裂して子爆弾が散らばって機体を襲う。

1機が態勢を崩してそれていく。

しかし、のこりの機は機体に被害を受けながらも爆弾を落としたのだった。

双発機の爆弾が呉に、鎮守府エリアに落ちた。

激しい爆発音!

地響き!

吹き飛ぶ瓦礫!

呉鎮守府本館建物は見事に命中し、粉々に吹き飛んでしまっていた。

目標だったのは本館建物以外に、ドックを含む工廠の主要建物だった。

ドックに居た朝霜たち駆逐艦は除けることも出来ずに爆弾の直撃を受けていた。

 

「ぎゃーーーーーー! どこ? どこにあたった???」

 

「イタタタ・・ 艦首付近に被弾・・ イタたたた・・」

 

直撃した船体に破孔が開き、船台からずり落ちてしまった。

その次に響いたのは、四発機が投下した爆弾だった。

数は少なかったが、威力は遥かに大きかった。

1発は本館建物付近、次の1発は、大型船ドックに、もう1発は工廠建物のど真ん中に、と見事に命中した。

巨大な爆炎と土煙を発生させ、地震と思うような激しい地響きをさせて。

 

「迎撃機全機へ! 敵機を無事に帰すな! 必ず仕留めよ!!」

 

空母・鳳翔の睦から皆の意識を引き戻す指示が飛んだ。

 

「--航空隊、再度突入する! 全機続けぇ!」

 

・・・

 

・・

 

 

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