幸せの後先~ハズされ者の幸せ3~   作:鶉野千歳

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検査から帰ってきた鳳翔の一日の後編です。



鳳翔の一日(2)

帰り着いて、あの人がお義母さんに連絡します。

携帯電話で連絡します。

暫くして、

 

「あぁ、お袋? 俺、秦。」

 

『どうしたんや』

 

「お袋にちょっとした報告やねんけどな。」

 

『ん?』

 

「実は、な。 また養子をとったんや。」

 

『またかい。 お前も好きやなぁ。 で、また女の子か?』

 

「ああ。 四人。」

 

『は? ・・なんて言うた、今?』

 

「だから、四人、養女にしたからな。」

 

『四人も? それも女の子ばっかりかい?』

 

「まぁ、な。」

 

『あんた、大丈夫なんか? 鳳翔も居るやろ?』

 

「ああ。 ま、鳳翔も了解済みやし。」

 

『まぁ、あんたらが良かったら、ええねんけどな。』

 

「うん。 それと、もう一つなんやけど。」

 

『なんや、まだあるんかい?』

 

「ああ。 まだや。 ・・実は、鳳翔に子ができた。」

 

『ん? 身籠ったんか?』

 

「ああ。 今日、病院に行ってきた。 6か月を過ぎてるくらいだと。」

 

『そうか。 そりゃ、良かったやないか。』

 

「産まれたら、二人とも、お袋にも抱いてもらうし。」

 

『ああ、楽しみにって、・・・今、二人って言うたか?』

 

「ああ。 言うた。 双子らしいで。」

 

『あんた、家族を何人増やす気や?』

 

「まぁまぁ、そう言わんと。 ほな、鳳翔と替わるわ。」

 

そう言って、電話を替わりました。

 

「お義母さん? 鳳翔です。」

 

『おお。 おめでとう。 双子か?』

 

「はい。 そのようで、病院でそう言われました。」

 

『そうか。 まぁ、元気にしときよ? 無理せんとな?』

 

「はい。 ありがとうございます。」

 

『ほな、赤ん坊を抱くことを楽しみに待ってるわ。』

 

「はい。 元気な赤ちゃんをお見せできるよう、頑張ります。」

 

『ああ、期待してるわ。 鳳翔や。 良かったな。 それじゃあ、またな。』

 

「はい、お義母さん。 また。」

 

そう言って電話を終わります。

続けて、私の母にも連絡します。

 

「お母さん、私。 鳳翔。」

 

『鳳翔かい。 どしたの?』

 

「お母さんに報告があるの。 実は・・・・」

 

皐月ちゃん達四人の養女の事を話します。

 

『おやまぁ。 大変やねぇ・・。 秦さんは、それでいいの?』

 

「うん。 私と同じよ。」

 

『まあ、それならいいけど・・。』

 

「ごめんね、お母さん。 それと、もう一つあるの。」

 

『もう一つ?』

 

「うん。 あの・・ 赤ちゃんが・・できたの。」

 

『あら! 赤ちゃんが? おめでとう! ふふふ。 ホントのママになるのね。』

 

「二人が産まれるのは、まだまだ先よ?」

 

『そうなの? じゃぁ、妊娠6ヶ月くらい?』

 

「ええ。」

 

『あれ? 今、二人っていった?』

 

「ええ。 言ったわよ。 赤ちゃん、双子なの。」

 

『まぁ! ふふふ。 私も二人のおばあちゃんになるのね。 お父さんもじぃじね。』

 

「まぁ、そうなるわね。」

 

『あ、お父さんと尚子には、私から言っておくわ。』

 

「うん、よろしくね。」

 

『それじゃぁね。 秦さんにもよろしくって言っておいて。』

 

「うん。 じゃ。」

 

と電話を終わります。

母もお義母さんも喜んでくれたみたいで良かったですね。

ただ、四人も養女にしたのには、呆れられていましたね。

私もあの人も、そのことで、苦笑いです。

 

 

今日は食材の買い出しです。

”買い出し”と言っても、普段は商店さんからの宅配にして貰っています。

ネットや電話で注文して、夕方少し前に持ってきてもらいます。

便利ですね。

最初は、宅配なんて、と思っていましたが、聞くところによると、鎮守府の食堂の食材も、纏めて商店さんからの宅配なんだそうです。 それに便乗させてもらいました。

でも、時々、いいモノが入荷した時は、ウチ用に特別に取り置いてくれてたりします。

「今日は、昼網のいいアジが入ったよ!」とか。

漁港に近い呉では、昼網で摂れた魚が並ぶことがあります。

近海物は昼網の魚が良いですね。 脂が載っていて。

今日は、昼網のアジです。

最初の予定を変更して、今晩のメインはアジにしましょうか。

暑い夏ですから、南蛮漬けもいいですが、ちょっと趣を変えて、カレー味のフライにでもしましょうかね。

今日のアジは、大きめです。

頭を落として、内臓を取っても、私の手のサイズよりも大きいですね。

こうなっては、3枚におろしておきましょうか。

その方が食べやすいでしょう。

衣を纏わせる準備までして、揚げるのは直前でいいでしょう。 その方がアツアツですから。

ただ・・ ただ・・ 人数が多いのです。

楠木家で七人ですから。

それも、食べ盛りの中学生が五人も。

商店さんからの宅配にした理由の一つが、食材の量です。

結構な量になりますので、私一人で持てる量ではありません。

買い出しに行くときは、誰か二人のお手伝いをお願いしています。

皆いい子達です。

ふふふ。 出かけた時は、こっそり、甘味を頂いています。

これは、あの人には内緒です。

だから、こども達は、率先して買い出しに行きたがります。

最近は宅配ですから、残念がります。 ふふふ。 仕方がないですね。

たまには、散歩がてらにお買い物もいいかもしれません。 私の運動も兼ねて、です。

さて、もう日暮れです。

そろそろ、あの人も帰ってきますね。

さ、ご飯にしましょうか。

 

 

食事を終えて、居間でまったりとします。

後片付けもこども達が手伝ってくれます。

なので、あっという間に終わっちゃいます。

あ、明日の朝ご飯用に、炊飯器をセットしないと。

終わると、ホントに、まったりの時間です。

居間は、当初はフローリングでしたげど、上げ床にして、畳を敷いてもらいました。

なんだかんだ言っても、日本人ですね。

畳の、井草の匂いは、いいですね。

畳の上に、皆寝っ転がります。

 

「さあ、お前たち、お風呂に入っておいで。」

 

とあの人が言います。

はあーい、と返事をして、二つに別れて入ります。

今日は、睦ちゃんと皐月ちゃんがペアですね。

朝霜ちゃん、弥生ちゃんと卯月ちゃんが後ですか。

私はあの人にもたれています。

寄り添う、なんて軽すぎますね。

もう、ゴロニャーン状態ですね。 ふふふ。

 

「あ な た 。」

 

と言って、身も心も預けます。

あ、こんな態度でいいのでしょうか、と思います。 胎教って言うんですか、赤ちゃんまでゴロニャーンとなるのでしょうか。 ちょっと気になります。

ま、でも、今は、私の旦那様です。

こども達の視線が、ちょっと痛いですけど、もう、慣れましたね。

私たちの愛に、遮るものは、何もありませんから。 へへへ。 恥ずかしいですね。

こども達は、お風呂から上がると、あの人とと私の前に座ってきます。 ブラシを持って。

そうなんです。 湯上りのブラッシングをあの人と私の二人がしています。

何でも、私たちのブラッシングが気持ちいいんだとか。

そこまで気にしたことは無いんですがねぇ。

あの人は、コミュニケーションにはちょうどいい、なんて言っています。

終わると寝室に向かいます。

その後は部屋で何をしてるんでしょうか。

年頃の女の子ですから、おしゃれ話かな。 

ま、まさか、グルメ話、とか。

そして、私たち二人もお風呂に入ります。

あの人と一緒に。

いつもあの人は、お腹を擦ります。

その顔は・・ 優しい顔、目をしています。

私も心穏やかになっちゃいます。

擦りながら声を掛けます。

「今日も元気だね。」とか「早く大きくなあれ。」とか。

まだお腹の中で動いている感じはしませんが、雰囲気は分かるみたいです。 親バカでしょうか。

洗い場で、お互いの身体を洗いっこします。

あの人が私の背中を、私があの人の背中を洗います。

ああ・・ 恥ずかしいです。

でも、背中から抱きしめられると、愛されてるんだ、って思います。

私も、抱きしめます。 お互い様です。

そして・・ 口づけは忘れません。

何度だっていいです。 何回でもしちゃいます。

ふふ。 惚れたものの弱み?強み?でしょうか。

こども達の視線もあまり気にならなくなりました。

お風呂では充分に温まります。

身体から湯気が昇るくらい、温まっています。

二人で脱衣所まで戻って、身体を拭きます。

まだまだ、ほかほかしています。

この時期は、湯上りに頂くフルーツ牛乳が美味しいです。

あの人は一気に飲んでしまいますが、私は少しずつです。

ちゃんと味わってますか?って聞きたいくらいです。

お風呂場を出て、居間で涼み、寝室へと入ります。

そこで髪を鋤いてもらいます。

私、結構長い髪ですから、大変だと思います。

三面鏡の前に座ると、あの人が後ろに立って、ゆっくりと髪を鋤いてくれます。

いつの間にか、日課になりました。

髪を鋤きながら「綺麗な髪だ」って言ってくれます。

ふふふ。 嬉しいですね。

髪は女の命、とも言いますから。

鏡を通して目が合います。

分かります。 お互いの顔が赤い事が。

そして・・ 明日の為に、今日の疲れを取る為に、二人してベッドに入ります。

いえ、お腹の子も入れて四人ですか。

あの人の胸に顔を埋めて眠るのが、私のポジションです。

目を閉じる前に、おやすみの口づけをします。

しっかりと、強く、深く口づけます。

充分に堪能した後、目を閉じます。

おやすみなさい、あなた。

 

 

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