サンタクロースパイ    作:COLK

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13.夢のような体験

「ところで君、マフラーが欲しいんじゃなかったっけ?」

 

「え!?何で知ってるの!?」

 

「あ~、ごめん!!言い忘れたけど、俺、たくさんの子に

 

プレゼントを渡すために、どこのどの子が何を欲しがってるのか、

 

盗み聞きしてるんだよ。ごめんな」

 

「そうなんだ~!!」

 

 

 

 

 

霧河は、

 

(この子、怒らないんだな)と思った。

 

 

 

 

 

「君は、マフラーを持ってないんだね」

 

「前まで使ってたのは、もうボロボロになっちゃったの」

 

「そっか。じゃあ、もう、捨てちゃったんだね」

 

「いや。まだあるよ」

 

「え?何で?もう使えないのに」

 

「だって可愛いし、おばあちゃんがくれた大切なモノだから」

 

「なるほどな・・・」

 

「いつまでだって手離さないよ」

 

そこに、そのボロボロのマフラーはないが、女の子の話から、

 

どれだけ大切なモノかが良く伝わってきた。

 

(良い話じゃないか)と霧河は思った。

 

(く~っ!泣けるぜ~!!良い話だな~!!)と。

 

 

 

 

 

「ところでお兄ちゃん、カギはどうやって開けたの?」

 

霧河は、持っていた金属の棒を取り出し、

 

「コイツを使って開けたんだよ」と言った。

 

「そうなんだ~」

 

「うん。でも、絶対真似しちゃいけないよ。俺の事も、お父さん

 

お母さん含めて、他の人達には一切秘密だからね!!」

 

「分かった!!」

 

「ありがとう!!じゃあ、また君の家に来るから、楽しみに

 

しててね!!!」

 

「うん!!!」

 

 

「君の名前は何?」

 

「私は、〝河合愛かわいあい〟」

 

 

 

 

 

(まるで可愛いモノを愛しているかのような名前だな)

 

 

 

 

 

「良い名前だね!!」

 

「ありがとう!!お兄ちゃんの名前は?」

 

「俺は〝網田謎留あみだなぞる〟」

 

「へ~!カッコ良い名前!!ミステリアス!!!」

 

「え?君は〝ミステリアス〟の言葉の意味を知ってるの?」

 

「うん!私が読んだ小説に書いてあったよ!!

 

私、小説、大好きなんだ!!」

 

「へ~!その年で小説をいっぱい読むなんて偉いね!!

 

俺、小説なんて、昔から全然読まったから」

 

「そうなんだ!でも、お兄ちゃん、私が一番好きな小説の主人公に良く似てる!!」

 

「そうなの?」

 

「うん!!ファンタジーが大好き!!!でも、その小説は、

 

今言ったのじゃないんだけどね」

 

「そうなのか」

 

 

 

 

 

「今言った〝ミステリアス〟って言葉が書いてたのは、タイトル忘れちゃったんだけど、

 

お兄ちゃんに似てる人が出てくるのは、

 

〝私の幻想はホントにあった〟だよ!!どう、

 

お兄ちゃん、普段小説を読まないみたいだけど、読んでみる?

 

私はもう、何回も読んじゃったし!!」

 

 

 

 

 

愛は、その小説を本棚から取り出し、霧河に渡そうとする。

 

 

 

 

 

だが、霧河は・・・

 

 

 

 

 

「良いよ。君の大切な本なんだろ?それに、

 

俺はサンタクロースだから、他人からモノをもらわない事にしてるんだ。そうじゃないと、サンタクロースって言えないだろ?」

 

「そっか~・・・うん・・・」

 

「でも、気持ちはありがとうね!!だから、

 

その小説は、今度、本屋で探して、自分で買うよ!!」

 

「うん!!ぜひ、読んでみてね!!」

 

「読むよ絶対!!じゃあ、愛ちゃん、これからも頑張ってね!!!」

 

「うん!!謎留お兄ちゃんも頑張って!!!」

 

「おう!!!」

 

 

 

 

 

そう言って、霧河は去っていった。

 

 

愛は、再び寝て、朝起きて、ラッピングされた箱を覗いてみた。

 

 

 

 

 

その中には、ちゃんとマフラーが入っていた。そのマフラーには、

 

黒い服を着たサンタクロースとトナカイが一緒に印刷されていた。そう、コレはオーダーメイド。

 

 

 

 

 

愛はとても喜んだ。

 

 

 

 

 

「わ~!!とっても可愛いし、とってもカッコ良い!!!」

 

 

 

 

 

もちろん、その後、それを見た愛の母もまた、

 

「なんて事なの!?」と、とても驚いていた。

 

そう、愛の母はいつも、愛に「サンタさんなんているワケないでしょ」と言っていて、愛にも冷たく、クリスマスプレゼントを愛に

 

あげた事も一度もなく、それでも、「サンタさんはいて、いつか

 

ウチにやって来る」と信じ続けていたのだ。だから、

 

サンタクロースとして霧河が家にやって来た時も、他の子供達

 

よりも何十倍も喜んでいたし、ましてやその上、その

 

サンタクロースに会ったり話したり出来るなんて、まさか、夢にも

 

思っていなかったのだ。

 

 

 

 

 

愛の母は、

 

「不思議な事があるもんだね~」と言った。

 

 

 

 

 

それから、少しだけ、〝サンタクロース〟や

 

〝サンタクロース〟を信じている娘を馬鹿にしなくなり、少しだけ、

 

(考えを改めた方が良いかな?)と思ったのである。

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