サンタクロースパイ    作:COLK

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16.高校の頃に作った曲

仕事を終えた後は帰って、昔の、

 

自分の写真や両親の写真や

 

自分と両親が一緒に撮った写真がたくさん

 

入っている家族アルバムを見た。

 

 

 

 

 

(懐かしいな~)

 

 

 

 

 

そこには、

 

霧河が生まれたばかりの頃の写真から両親と過ごした最後の

 

クリスマスの時の写真まで飾ってある。

 

 

 

 

 

そこで、写真越しに、

 

運動会の頃に履いていたシューズやクリスマスの時に両親と

 

被ったサンタ帽やケーキを見て思った。

 

 

 

 

 

「そうだ。コレらは、

 

ほとんどが安物だった。でも、俺にとっては、どれもこれも、

 

父さんと母さんが俺のために買ってくれた、凄く大切なモノだったんだ」

 

 

 

 

 

そう、霧河の家庭はとても貧しく、

 

あまり高いモノは買ってもらえた事が少ない。

 

クリスマスケーキや誕生日ケーキだって安物で、しかも、

 

いつも、ロウソクがなかった。

 

 

 

 

 

そこで、霧河は以前、

 

「窓際族」の店長が言っていた言葉を思い出した。

 

 

 

 

 

「酒に比べて値段が圧倒的に安いコーンスープを酒と同じ感覚で飲めるという事はそれが酒と同じくらいの値打ちがあるっていうのはこういう事なのか!」と言った。

 

 

 

 

 

そして、

 

昨日、マフラーを渡した女の子の事も思い出し・・・

 

 

 

 

 

(そうだ。そういえば、愛ちゃんも同じように、ボロボロのマフラーを〝おばあちゃんからもらった大切なモノだから手離さない〟

 

って言って、凄く大切にしてたな。そうだ。品物の本当の意味での価値っていうのは、値段で決まるモンじゃないんだ。

 

どれくらいそのモノに強い思いが込められているか。そして、

 

それがどれくらい、使う人にとって手離したくないほど

 

何度でも使いたいモノかどうかで決まるんだ。だからあの言葉は、本当に、とても深い言葉だったんだ・・・

 

簡単な事だけど、なかなか気がつかないんだ)

 

 

 

 

 

だが、だからこそ、小学6年生の頃、

 

アコースティックギターを買ってもらえた時、いつもの何倍も

 

嬉しかったのだ。アレは、

 

父と母が霧河のためにとても頑張って

 

無理をして買ってくれたモノだ。だからこそ、

 

霧河は、

 

「一生コレを手離さない」と決めたのだ。

 

 

久しぶりに、ギターで何か一曲弾いてみる事にした。

 

 

 

 

 

「もう遅いから、アコースティックギターは音が大き過ぎるから

 

ダメだけど、お隣さん家とは意外とちょっと距離あるし、

 

今ぐらいの時間、エレキギターをアンプに繋げずに

 

生音で弾くなら良いか」

 

 

 

 

 

そう、時間は22時。ここは田舎で人が少なく、

 

一番近くのお隣さんとは10メートルほどの

 

距離がある。ちなみに、昔、霧河と霧河の両親が

 

一緒に住んでいて、両親が死んで、長らく経ってから戻ってきて、現在は一人で暮らしている家である。

 

 

 

 

 

エレキギターは、就職してから自分のお金で買ったモノだ。

 

 

 

 

 

「あ~!よし、あの曲を歌おう」

 

 

 

 

 

それは、

 

霧河が映画などから言葉の美学を追求して、

 

作曲の勉強をして、高校生になった頃のある日、

 

両親に今までの感謝の気持ちを込めて作った哀悼の曲だった。

 

 

 

 

 

「ごめんな、父さん母さん。せっかくくれた

 

あのギターを使えなくて。でも俺、一生懸命心を込めて歌うよ。

 

聴いててくれよ」

 

霧河は、エレキギターを弾きながら歌う。

 

 

 

 

 

曲名は、「いつか僕の心は…」

 

 

 

 

 

「あの日からずっと絶望していた 心に穴が開いてしまった 

 

大きな大きな穴 考えれば苦しい 忘れようとすれば寂しい 

 

どうすれば良いの?でも思った ねぇ いつかきっと変わって

 

みせるよ 強くなってみせるよ

 

あなたは大切な僕の一部だから♪?」

 

コレがその曲だ。本当は2番や3番もあるが、

 

あんまり長くなるのも良くないので、とりあえず、

 

ここまでにしておく。

 

「フ~ッ。この曲、久しぶりに歌ったな~。てか、長くギター

 

弾いてなかったせいで、かなり下手になってるよ。

 

父さん、母さん、こんな演奏で申し訳ない。頑張ったけど」

 

 

 

 

 

そうやって一人で思いにふけった。

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