「やっぱりか。俺には、友達なんて、いつも無縁だ・・・何でこうも、どこ行っても誰とも仲良くなれねぇんだよ・・・今日はせっかく晴れて、桜もこんなに綺麗に咲いてるってぇのによ・・・」
窓河は、とても個性的で、かつ、とても頑固なため、小学校でも
中学校でも、いつも、周囲からは、「変なヤツ」、「絡みづらい」、
「仲良くなりたくない」などと言われ、
あまり良い印象を持たれていなかった。
そして、苗字が「窓河まどかわ」であり、
席替えの時でも、たまたま窓際のところに
座る事になる事が多かったため、
「窓際族の窓河」などという蔑称をつけられて呼ばれていた・・・
「チェッ、全然爽やかじゃねぇし、クソつまんねぇ入学式だぜ」
それから月日は経ち・・・
1979年3月1日(木)。
高校も、
全く友達が出来ないまま卒業式を迎え・・・
その卒業式も、全く楽しくなかった。
「結局、なんもねぇまま終わっちまったな~。ホント、
クソつまんねぇ青春時代だったぜ。
いや、全く青春なんてなかったよ・・・
こんな面白くも何ともなかった高校は、
卒業して寂しくも何ともねぇ。むしろ、
せいせいしてざまぁって感じだ」
そう言って、そのまま、窓河は、運送会社
「Wind’s Delivery」に就職した。
コンセプトは、その名の通り、
「風のように速く」である。
しかし、窓河は、
その会社で働いても、
学生時代と同様、なかなか他の人達と上手く打ち解けられず、
手際が悪いため、商品を上手く様々な家に届ける事が出来ず、
同じ職場の人達だけでなく、
お客さんにまでしょっちゅう迷惑をかけて、とにかく、
何かとただただ誰かに謝って、頭を下げるばかりの日々だった。
「すみませんでした!!!」と言い、
自分の机の前のイスに、大きなため息をつきながら座る。
「はぁ。もう、これで、この会社で頭を下げるの何回目だろ?」
窓河は要領が悪く、事務作業も遅いため、しょっちゅうの事だが、
その日も、遅くまで働いていた。
仕事を終えた後、帰ろうとすると、窓河の同期の女性社員が
「お疲れ様!!!」と言って、コップに入った水をくれた。
「あ、ありがとう」
〝ぐぐぐぐぐ〟
「プハ~ッ!!」
窓河は、そのコップの中の水を見つめた。
「アレ?コレ、いつも俺達が飲んでる水道水と変わんねぇよな?」
「そうだけど」
「今、飲むと、何でこんなに美味いんだろ?」
「頑張って働いて疲れた後だからじゃない?」
「そうなのかな~?」
そこで、その同期の女性社員が
「窓河君、今日は良かったら、私ン家に寄ってかない?
自分で言うのも何だけど、ウチは結構良い家だし、
家族も皆、良い人達だから!!!」と言った。
「じゃあ、お言葉に甘えて・・・」と窓河が答える。
彼女に案内してもらい、彼女の家へ向かった。