霧河は、家を出て、まず最初に、「犬の人形が欲しい」と
言っていた女の子の家へ向かった。
そして、金属の棒を使ってカギを回し、ドアを開けた。
〝ガチャ〟
念のため、霧河が他人の家に入っているその間にも、泥棒などが
入ってこないようにするため、いつも、入ったらすぐ、内側から
手袋をつけた手でドアのカギをかけている。
〝ガチャ〟
「なるほど。こういう家か~」と思いながら霧河は、出来るだけ
足音を立てないように気をつけながら、
ペンライトを使って歩きながら、女の子の部屋を探し、
その部屋に入った。
〝キー〟
そこには女の子が寝ていた。女の子らしく、
可愛いモノやオシャレなモノでいっぱいだった。
「へ~。女の子らしい部屋だな~!」と霧河は思った。そして、
枕元に犬の人形をそっと置く。
そうすると次の瞬間、女の子はたまたま目を覚ました。
目をこすり、
「トイレ~・・・」と言った。
霧河は慌て、
「あっ!マズい!!」と壁に頭をぶつけた。
女の子が
「え?誰かいるの!?」と言って、電気を点けた。すると、霧河の姿が見えた。
女の子は「キャ~!!!」と叫んだ。
霧河は慌ててその娘の口を自分の手で抑える。
「シ~ッ!!」と言って、その娘を静かにさせた。
「は~。危なかった。もうちょっとで君のお父さんやお母さんまで起きてしまうところだった」
女の子は一旦トイレに行って、戻ってきてから2人で話をした。
「さっきはごめんなさい・・・」
「ごめんなさい・・・か。変な感じだな。
本来なら、それはこっちが言うべき事なのに」
「お兄さんは、一体誰?」
「う~ん・・・そうだな~」
霧河はスパイのように、子供達にクリスマスプレゼントを配っている事から、
とっさの思いつきで、
「俺は〝サンタクロースパイ〟だ」と言った。
女の子はポカンとして、
「ロース・・・?パイ・・・?ロースパイ・・・?何それ?
美味しいの?」と言って、
霧河はズッコケた。
「あのね~!俺は食べ物じゃないよ!!」と言った。
今の女の子の一言で、今度は霧河が思わず大声を出してしまった。
今度は女の子が「シ~ッ!!」と言う。それに対し、
霧河は、小声で「すっ、すみませんっ!!」と言った。
女の子は、霧河に、
「お兄さんは、サンタさんなの?」と聞いた。
そう聞かれ、霧河は、
「まぁ、サンタさんといえばサンタさんかな?」と答えた。
「ふ~ん」
「まぁ、皆が思ってるほど、夢のあるモンじゃないし、
そんな良いモンじゃないけどね(笑)。空飛ぶソリも持ってないし、そもそもトナカイ飼ってないし、家に入るのだって、
この金属の棒を使ってカギを開けてるし」