鍛冶兄弟のダンジョン賛歌   作:ケツアゴ

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第一話

 春姫にとってヴァルツは正しく英雄であった。客人の大切な神への供物を寝ぼけて食べたとして勘当され、モンスターに襲われた挙げ句に盗賊に捕まって商品として売られる……その前に助けられた。

 

「流石に檻から出したから、はい、さよなら、とはいかんな」

 

 他にも商品は大勢居り、帰る場所の有る者はギルドに任せ、問題の帰る場所が無い者は伝手を頼って世話をした。春姫もその中の一人。珍しい種族との事で変な相手に目を付けられても大丈夫なようにとロキ・ファミリアに紹介されたのだ。

 

『うーん、別にええけど……魔具欲しいなー』

 

 魔具、それがヴァルツの作り出す特殊な力を持つ装備の呼び名だ。後から知ったがロキは美形好きなので春姫を眷属にするのは割と乗り気だったが、言うだけならタダとばかりに強請ってきた。

 

『別に構わんが、計算力を高めるインテルヘッドと敏捷が30上昇するとんずらブーツと口笛が上手になる盾ピューピュー君、好きなのを選べ。……むっ、不服か? ならば全部渡そう』

 

『あー、うん。普通に装備として優秀なのは知っとるさかい一個で良かったんやけど、全部くれるちゅうなら貰っとくわ。良し、契約成立や!』

 

 この時、微妙な顔をロキ達がしてたのは名前のせいだと気付かなかった春姫。変な名前だと思ったがオラリオでは普通だと思っており、暫く後に口にしたら全力で否定された。

 

『……良かった。虎の子として成長速度上昇の腕輪を用意してたんだが渡さずに済んだか。……一度決めた契約を反故にはすまい?』

 

 この後、最初の請求がなければ渡す予定だったなど言われたロキが歯噛みしたり、春姫に発現した魔法が規格外で幹部内で今後の扱いに困ったりと色々有ったが、お礼の気持ちから何かと差し入れをしたり、その度に気を使って貰ったりと徐々に女として惹かれて行くのを自覚するのに時間は掛からなかった。

 

 ロキには通い妻などとからかわれ、ある時、勇気を出して仕事後の彼の汗を拭くのを手伝うと言ったのが引き金となり、想いを伝えたことで二人は結ばれた。だが、その後も態度が変わらず、色恋に疎い春姫が頼れる幹部で恋する乙女として先輩であるティオネに相談した結果、もう一度迫ってみたら? と言われて行ってみたのだが

 

『あ、あの、背中をお拭きした時の続きを……』

 

『殿方の鎖骨ー! と叫んで拭く前に気絶した時の事か?』

 

 ヴァルツが嘘で逃げる不義理な相手だとは思えず、勇気を出した結果が赤っ恥。何の話だと訊ねられて逃げ帰り、話を耳にしたロキに純情むっつりスケベとからかわれたのは言うまでもない

 

 

 まあ、そんなこんなで今の関係は続いている。もう今のままでも良いんじゃないかな、偶にそう思いながらサポーターとして一歩一歩精進を続ける春姫であった。

 

 

 

 

 

 

「……アンタねぇ。恩恵が消えたら分かるから生きてるのは知ってるけど、こうやって滅多に顔を出さないのは止めなさいよね」

 

「悪いとは思っているが、毎日のように新たな武具防具の案が浮かび、ダンジョンと工房と家を往復する日々だ。今日も手持ちの金が残り少なくなったから売れた商品の取り分を貰いに来たついでに主神殿に顔を見せねばと思い立ったという訳でな」

 

「……あと、魔具の名前は相変わらずね。性能は普通に第二級や第一級クラスで更に能力が付与されてるってのに」

 

 お洒落過ぎて装備するのが恥ずかしいと、そういう訳か。どうも弟以外は俺の作品の名を手放しで誉めん。やれやれ、素直になれば良い物を。俺はステイタスを更新されながら少しは反省する。もう少し忙しくない時間帯に訪ねるべきであったと、机の上の書類で悟った。

 

「……所で愚弟は相も変わらずか?」

 

「ええ、何を言われても魔剣を打とうとしないし、欲しがる相手には攻撃的よ」

 

「……より良い道具を求め文明は発展してきた。使い捨てだから、それに頼ってしまうのは駄目だから、その様な理由で存在を否定するのならば一切の文明を捨てて野山で暮らせばいい。中途半端なのだよ、彼奴は。哀れだから後で金でも恵んでやろう」

 

「はいはい、ツンデレツンデレ。終わったわよ」

 

 

ヴァルツ・クロッゾ

 

Lv.3

 

力   i:0→B:755

 

耐久  i:0→C:629

 

器用  i:0→S:911

 

敏捷  i:0→C:602

 

魔力  i:0→E:491

 

鍛冶  H

 

神秘  i

 

 

《魔法》

 

【アナライズ】

 

・解析魔法

 

・詠唱式【我が見抜くは森羅万象 この世全てを解析し、全ての神秘を暴き立てる 我に見抜けぬ秘密無し】

 

《スキル》

 

祝福付与(アビリティエンチャント)

 

・制作物に能力付与

 

・内容は素材及び制作物によって変化

 

創造支配(クリエイトマスタリー)

 

・制作物を使いこなせる

 

 

 

 

 

「……半年でこれってそれの影響よね」

 

 主神殿の視線が向けられているのは俺の腕に填められた腕輪。バロールの魔石とオリハルコンヴィーヴルの涙その他諸々、素材の末端価格だけで数億ヴァリス、これを市場に出せば十倍でも確実に売れる、そういった物だ。

 

「そう言えばアンタ、この前ロキに聞いたんだけど盗賊から助けた春姫って子に世話焼かれてんだって? 正直、どう思ってるの?」

 

「……美人で心優しい女性だ。心惹かれていないと言えば嘘になるな。今の関係が心地良いから当分想いを伝える気は無いが」

 

 本来、別のファミリアの団員同士の結婚は面倒事の元だ。それらをどうにかする方法を考えなければ安易に伝えるべきではない。幾らファミリア間の繋がりが強いと言ってもな。

 

(ロキも言ってたけど面倒臭い恋愛してるわね、この子達)

 

 

 

 

 

「いらっしゃい! じゃが丸君揚げたてだよ!」

 

「むっ。自堕落を司る神かと思っていたがちゃんと働いているな、神ヘスティア」

 

「僕は竈の女神だよっ!」

 

 懐も温かくなったので次は腹を満たそうと屋台に立ち寄れば、其処には最近までヘファイストス・ファミリアのホームに居候して自堕落な生活をしていた女神が屋台の店員をやっていた。働けたのだな、此奴。……なお、俺は椿から話を聞いた時、強制的に送還して本来の仕事に戻すべきだと進言した。

 

「君、何か失礼なことを考えていないかいっ!? もう少し神への敬意を持ちなよ!」

 

「今更だな。前の主神を魔剣で脅して改宗可能にさせたからな。取りあえずチーズと明太子を一個ずつ貰おう」

 

「……じゃあ、私は小豆クリーム味を一個」

 

 背後から声が聞こえたので振り返ればロキ・ファミリアの剣姫(けんき)アイズ・ヴァレンシュタインが居た。

 

 

 

「……お久しぶりです。突然ですけど遠征中だけそれを貸して下さい」

 

 剣姫が言うそれとは主神殿が先程言った腕輪、神ロキに伝えた時に偶々聞いてから何度もこうやって貸して欲しいと言ってくる成長加速効果が付与された腕輪だ。

 

 

 

 

 

「何度も言うがエクセリアギガマックスターボΩは貸さん」

 

(……効果は凄いのに相変わらず凄く変な名前)




次は30分後

お気に入りが千 感想が百を越えたら番外編書きます

  • 春姫との結婚生活
  • 別ヒロインルート アスフィ
  • 別ヒロインルート フィルヴィス^^
  • 別ヒロインルート 誰か募集
  • 一定以上経過する度に一個ずつ書けや、オラ!
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