あの時の日々が再び……という感じですかね。
家に帰り、早々に遠坂と私で士郎への説教が始まる。
「士郎!何をやってるのよ!無防備にも程があるわ!」
「全くだ!戦闘中に前に出るなんて、子供でもしないぞ!」
士郎は不満そうに言う。
「だって、あのままだったらセイバーが危なかっただろ!」
私達は声を揃えて言う。
「「だってじゃない!!」」
しかし、とにかくこれといった損害がないのが奇跡に思える。
昔から、運がいいのやら悪いのやら分からないものだ。
「とにかく、士郎。お前は危なっかしい。寝室も同じにするか。」
そう提案する。
「は!?セイバー女の子……ん?男の子…?どっちだ?」
本当は女の子なんかと一緒に!と言いたかったんだろうが、性別がハッキリしないせいで、1人で勝手に困惑してしまったようだ。
「男か女かはお前の思いたいようにすればいいけどな…。とにかく、そうする。異論は認めん。」
すると遠坂は思い立ったように言う。
「提案があるの。私たちと手を組まない?」
聖杯戦争でそれはアリなのかは分からないが、マスターとして、そこそこ優秀な遠坂がいるのは心強い。
「え?遠坂とか?俺は構わないけどセイバーはどうだ?」
「私としては、2人の関係は分からんが、そこそこ信頼出来る相手なんだろう?
私としても向こう側もメリットはある。私は構わん。」
「なら、決まりね。さて、そうなったら用意しないと…」
用意とはなんだろうか。
遠坂が家を出てしばらく経つと、たくさんの荷物を持ってきた。恐らく、アーチャーにやらせたんだろう。
「私もここにしばらく住むわ。」
なるほど、いい発想だ。
「は!?遠坂まで何を言うんだ!」
「人手が増えるのはいいことだろう。何も言うな。」
士郎が呻いている。
そういう年頃なのだろう。
「まぁ、しょうがないか………そういえば、晩御飯がまだだったよな。藤ねぇも帰ってくるだろう。」
ここは集会所か何かか。
普段から人はよく来るみたいだ。
士郎がご飯の支度をする。
手慣れている感じだった。私も負けてないと思うが。
「ほら、出来たぞ。」
「ほう、上出来だな!私には劣るがな!」
「なんか負けた気分……」
ガッカリしてる遠坂。
「遠坂だよな、たしか。練習すればなんとかなるぞ!」
「凛でいいわよ……。」
「分かった凛。」
こうした会話をすると1人が勢いよく部屋の扉を開ける。
「たっだいまー!士郎ー!ってえぇ!?」
そりゃ、その反応をするだろう。
「士郎………遂に誘拐を……!」
「違うって藤ねぇ!えっと……」
「私は…」
セイバーなんて変だ。だが、これが一番かもしれん。
「セイバーだ。海外からやってきて、ここに下宿という感じか?うん、そんな感じだ。」
「海外の人…で、なんで遠坂さんまで…」
「私も事情があって住まわせて頂くことにしました。別に構わないですよね?藤村先生?」
なんとか誤魔化せた。
私も住むんだと叫ぶ藤ねぇという人。
平然とご飯を食べ続ける私と凛。
騒がしいが、この賑やかさはどこか懐かしい。
そして、夜も更けて皆は眠りにつく。
もしかしたら……
いや、辞めておこう。
私は全てを殺した悪人なのだから。
その幸せを自らで手放したのだから。
ここまで書いといて、チョコレートの存在を忘れてましたね。
まぁ、ナイフあるし良いのかな??
セリフがだいぶ多めの回でした。