三ノ輪銀は勇者である オラトリアの緋跡   作:大腿筋膜張筋

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遅くなって申し訳ありません。
最近国家試験の勉強がキツくなって…
それでもなるべく早く載せて行きたいと思います。


とある少女との邂逅

「銀くん、僕に隠し事をしているね?」

 

「……それは。」

 

夜、恒例の寝る前にステイタス更新をヘスティアと行っていたところ真剣な顔をして私に問いかけてきた。

恐らく、満開のスキル詳細が分かったのかなと考える。

あのスキルはメリットもあるがデメリットが大きすぎる。あの爆弾がいつ爆発するかもわかったものでは無い。

そして神様たちには嘘が通じない。ステイタスを見せた時点でその事は分かっていたはずなのに言いづらかった。

 

この間の戦闘では死を覚悟したくらいの激しいもので、その影響で片目の視界が失われているのだと思ったが、やはりこうなってしまったと心の中で溜息を吐く。

 

ヘスティア様にステイタスの詳細を教えて欲しいとお願いし、確認するとレベルが上がっていたことは少なからず驚いたけど、それを凌駕するくらいのものがスキル欄に載っていた。

 

 

三ノ輪・銀

Lv2

力: I 25

耐久: I 12

器用: I 19

敏捷: I 21

魔力: I 0

 

《魔法》

【ヒューズ⠀】

【付与魔法⠀】

・火属性

・超短文詠唱

・回復魔法

・詠唱式

炎よ纏え。我が力となりて。我が禊となりて(プロミネンス)

《スキル》

 

勇者不懼(カーレッジ フィアリィス)

恐れを抱かず挑み続けることで経験値エクセリア上昇。

思いがある限り効果持続。

 

【満開 】

生命の危機時にステイタスを急上昇させる。

 

【散花】

満開使用時に発動。

満開終了時に身体の一部がランダムで欠損

 

 

「銀くん、正直に言ってごらん?」

 

ヘスティア様は心配そうな表情で私を見つめてくる。

この短期間でレベルが上がったことよりもデメリットが大きすぎる散花の影響を心配してくれるのは本当に家族思いの神様だと思う。

 

「…実は右目が見えてません。」

 

事実を告げるとヘスティア様は悲痛な顔で顰める。そしてベル君も同様の表情を浮かべ、申し訳ない気持ちになってしまう。

 

「…銀くん、やっぱりダンジョンに行くのは…」

 

「大丈夫ですよ!ヘスティア様!片目が見えなくたって戦えますし、隻眼だってカッコイイじゃないですか!だから……あれ?」

 

涙がポロポロと流れ落ちてくる。拭っても拭っても涙が止まることはなかった。

私は怖がってなんかないし、まだまだ戦える。だから、だから…!

 

「大丈夫だよ銀くん。怖がらなくたっていいさ。怖がらなくたっていい。僕達は君を捨てたりしないさ。」

 

ヘスティア様は私を抱擁し優しく頭を撫でる。壊れるものを触れるようにではなく、力強く抱きしめてくれた。

 

私が怖かったのは体が崩壊してしまうことでない。誰かに使えないと見捨てられるのが怖かったのだ。

生前は家族以外、腫れ物を触れるように医者や親戚は私のことを扱ってきた。

満開を使い続ければいずれ、私の体は動かなくなってしまうだろう。しかしそれでも誰かの役に立てるならば良かった。

それよりも自分がこの世界から要らないものと判断され、見放されてしまうことが何よりも怖かったのだ。

 

「銀。神様や僕、銀と関わってきた人達は見捨てたりしない。だから安心して欲しいな」

 

ベル君は私の頭を撫でながらそう語ってくれた。そして私の存在を否定することなく、捨てることも無いと言ってくれた。

私は更に今まで溜まっていた涙を全て流すようにヘスティア様の腕の中で泣き続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヘスティア様と話し合った結果、しばらくはダンジョンへ行くことを禁じられた。自分としても満開のスキルの詳細をよく調べる必要があったし、武器の新調も行いたかったので好都合ではあった。

しかし稼ぎがヘスティア様のバイトとベル君がダンジョンへ潜り、生計を立てているとなると申し訳ない気持ちになってしまう。

 

2人のことを信頼してないという訳では無いが、自分だけ何もしていないという状況にあったので、取り敢えず武器の新調をしにオラリアを探索することにした。

 

今まではオラリアの中をじっくり歩くことは無く、食料の調達のために少しは周囲を回ったが、結局はダンジョンの探索の帰り道にあったお店に固定されてからは食料を買った後は真っ直ぐに帰るようになっていた。

 

「ヘファイストス様いるのかな?」

 

そして現在、北東のメインストリートにあったのヘファイストスファミリアの辺りををウロウロしていた。

しかし色々な武器屋を巡ったがピン来るものはなく、とにかく周囲を探索していた。

 

メインストリートを歩いて数十分。

正直迷いました。

ダンジョン内でも迷うことはあったが、街中で迷うほどとは思っていなかった。歩けば歩くほど人気は無くなり、気づくと周囲に人は誰もいなかった。

 

確かに散歩感覚で地面に棒を指して方角を決めていたのは、自分でもダメだとは途中から気づいていたが、だんだん楽しくなってきたのが原因だろう。

 

メインストリートに出る道は何処だろうとキョロキョロと周囲を見渡してみると、視線の先にこじんまりとした一軒家が見つかる。

自分で適当に道を選んで進むよりも、ここに詳しい人に聞く方が良いだろうと、一軒家に近づき、戸を叩く。

 

「すみませーん?」

 

戸を叩きながら声をかけるが、返答は帰ってこなかった。留守なのだろうかと戸に手をかけ引いてみると開いてしまった。

無断で入るのはご法度だと思うが、流石に鍵も閉めないまま外出はしないだろうと奥へ進んでいくと視線が止まる。

 

「ここ、武器屋だったのか…」

 

視線の先には小綺麗に飾られた様々な武器があった。種類として剣や槍、斧などのメジャーなものからモーニングスター、手裏剣、青龍刀、ハンマー、棍棒などあまりメインストリート付近では見られない武器もあった。

また武器だけでなく防具も売ってあり、軽く手に取ってみると素材も軽いが、安っぽい感じはなく、質のいい素材を使っているのだろうと思っていた。

 

「ご、5000ヴァリス!?」

 

だがしかしそこに表示されていた値段は想像以上に安く、思わず驚愕してしまう。

そして、目線を少し下に向けると防具の名前が書かれているであろう場所を見ると。

 

「長門?」

 

この製作者はタケミカヅチファミリアと同じ出身なのだろうかとほかの防具や武器をみてみると、瑞鶴、比叡、加賀、愛宕、鈴谷などがあった。

 

「軍艦?」

 

武器の方も見てみると、流星、彩雲、天山、彗星など今度は戦闘機の名前が書かれてあった武器がずらりと並んでいた。

よほど海軍が好きだったのか、愛国心が強いのかと、思わず()()()()()()思い出してしまうが、こんな所にいるわけがないと手に持っていた防具を直そうとすると奥の扉が開き、声が聞こえてきた。

 

「ふぅ、軍艦は最高ね。書物を漁っていたら、朝にって…ってお客さん?」

 

そこに居たのは自分と同じくらいの身長で歳もそう変わらないはずなのに妙にスタイルが良く、端麗な顔立ちをした少女が不思議そうな顔を浮かべ、目が合う。

 

「えっ?」

 

忘れるはずもない、生前で画面越しに何度も聞いた声が自分以外お客さんがいない部屋で響き渡った。

 

……鷲尾須美じゃね?

 

 

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