仕事が始まってしまって全然時間が取れませんでした。
投稿に時間がかかってしまうかも知れませんが、週一を目指して書き上げたいと思います。
頭にお酒を注ぐ。周囲の雑踏は消え、シーンとなり、辺りの空気が冷える。
酒をかけられたベートは状況が理解できないのか固まっていたが、数秒の時が経つと雄叫びを上げながら立ち上がり、脚に力を込めて目の前の少女を消し飛ばそうと振り抜く。
「何してんだテメェェェエエッッ!!」
「がっ!」
私は目の前に迫った蹴りを間一髪で受け止めるが、衝撃をまともに受けてしまい、バキッと腕が悲鳴をあげて確実に折れた感触を味わうまもなく地面に膝をつき、衝撃が地面まで行って足と膝が地面にめり込む。
あまりの痛みに気絶しそうになるが、自分の家族を馬鹿にされたことを思い出して、折れた右腕を庇いながら目の前の男性を睨めつける。
「なっ!?……調子こいてんじゃねぇぞォ!!」
銀髪の男性が少女に追い打ちをかけるように近づき脚を振り上げるが、カウンターの方から轟音が鳴り響く。
その音の正体は豊饒の女主人であるミーアが拳をカウンターに叩きつけたものだった。
「…これ以上騒ぐんなら出てってもらうよ!」
その剣幕に押されたベートは脚を止め、固まってしまい、その隙にフィンやリヴェリア、ティオネなどがベートを捕え、どこから取り出したのかロープを使い、グルグルと縛って天井に吊るした。
「
私はレベルアップで得た魔法をこんな所で使うとはと思いながら詠唱する。徐々に痛みは引いていくが、折れてしまった部位は修復されず右腕を庇いながらカウンターへと行き、持っていた金額を全て置く。
「食事代とお店の修理代です。足りなかったら後からお金を持ってくるので…。すみませんでした。」
ガヤガヤとロキファミリアが騒いでいる内にお店からこっそり抜け出そうと出口へ歩みを進めていくと背後から声をかけられる。
「ごめん、ベートが…」
声をかけてきたのはベル君が惚れているであろうアイズ・バレンシュタインだった。
私はかけられたことに対して、下手くそな笑みを浮かべながら後ろを振り向いて話しかける。
「いや、元々は私が吹っかけた喧嘩なんで大丈夫ですよ。」
そしてもう話すことは無いとばかりに出口へと振り返ってお店から出ていった。
「クソっ!クソっ!クソっ!!」
「(何が大丈夫ですよだ!)」
帰路へ歩みを進めながら己がした事を振り返って自己嫌悪していた。
明らかに格上であろうロキファミリアの一員に喧嘩をふっかけたことも、そして家族を馬鹿にされて何も反撃できなかった自分に憤りを感じていた。
「結局、何も変わってない!!」
歩みを止め、左拳を思いっきり握り込む。
やろうと思えば相手は豊饒の女主人の杜絶を振り切って相手の頬に殴り込むことも出来たかもしれない。
しかし結局は格上であるロキファミリアの一員にビビってしまったのだ。
自分が殴り込めばお店やヘスティアファミリアのみんなに迷惑がかかってしまうかもしれない。
だが自分の家族を馬鹿にされ、罵られて怒らない者がいるのだろうか。
相手の面に一発でも食らわせれたら自分の気は晴れるかもしれない。そんなことをしてもなんの問題も解決しないが、結局は相手にビビって何も出来なかったのだ。
「ああァァァァッッ!!」
まだまだ心も力も弱い自分に対して嘆いて嘆いて嘆いて、どうしようもない感情をぶつけるかのように星が照らす夜に声を上げていた。
「(あの少女…)」
豊穣の女主人でベートが起こした後始末をしながらリヴェリアは先程までいた少女を思い出しながら作業を続けていた。
ベートはあんな痴態をさらけ出してもロキファミリアの一員であり、レベル5である。
いくら酒に酔っていても実力でいえばトップクラスの力を持つベートの攻撃に対して腕を折りながらも受け止めていた少女に驚愕していた。
「リヴェリアー?こっちはもう終わりそうだけど、何してんのー?」
話しかけてきたのは同じ団員であるティオネだった。あらかた作業は終わったのか肩を回しながらこちらに近づいてくる。
「先の少女の事を思い出してな」
「あー、ベートにお酒ぶっかけた娘?中々面白かったねー。ベートなんか濡れ鼠みたいに頭びしょびしょにしてさ!」
ティオネは話しながら倒れた机を元の位置に戻す。私リヴェリアもティオネと話しながら先の少女の事を思い出しながら作業を続けていた。
名も知らぬ少年と少女には申し訳ないことをしてしまったと心の中で反省し作業を続けるのであった。
私はホームにたどり着くとソファーに倒れるようにうつ伏せになる。帰ってくる途中で詠唱を続けていたらいつの間にか治っていた腕の状態を確認すると、そのまま瞳を閉じる。
まだホームに帰ってきていないヘスティア様とベル君を追いかけるべきなのだろうが、頭が重く、思うように体が動かない。
「はぁ…」
これが
限界まで精神力を消費してしまうと体力にも限界があるように精神力にも限界はあり、底を尽きてしまうと気絶までしてしまうものだと講習会の内容を思い出しながら今日の事を考える。
今では大分頭も冷えて、今日の行動を思い出してもう少し自重すべきだったのではないかと反省していた。
格上のファミリアに喧嘩を売ってしまったこと。ベル君へのフォローをしっかりしておけば良かったなど。そして何よりも自分の弱さに嘆いていた。
あの銀髪の男性の事を考えると腸が煮えくり返ってどうしょうもないほどイラつくが、もっと何か方法があったのではないかと思考していると段々と瞼が重くなり、視界が狭くなる。
もっと強くならなければと今日の悔しさを胸に秘めて瞳を閉じるのであった。