迫り来る腕を掻い潜り、そのまま1歩踏み切って横っ腹に斧を切り込む。そして振り向き無防備な背中へもう一度袈裟斬りの要領で切り掛かる。すると先程のゴブリン同様に魔石へと変わり地面へ転がる。
「これで3体目か」
1匹目のゴブリンを倒すと、その勢いで2匹目へ斬り掛かり魔石を回収すると3匹目も同様に魔石へと変えていた。
現在は2層目であり、周囲にモンスターが居ないことを確認するとひと休憩とばかりに地面へ座り込んだ。
その後ろには岩陰で保護者かとばかりハラハラとした気持ちで見守るタケミカヅチファミリアがいるとも知らずに。
「一先ずは順調そうですね…」
命がそう呟くとその横でうんうんと頷いている桜花と千草であった。
今日が筆記試験だと銀はヘスティアに伝えておくと、その流れでダンジョンに向かうと思ったヘスティアはタケミカヅチに様子を見てきてくれないかとお願いしていた。するとタケミカヅチファミリアもどうやら心配だったらしく快く承諾してくれた。
「この先は複数のモンスターが出てくるのでいざとなったら、飛び出すか」
タケミカヅチファミリアは銀が休憩は終わったのか更にダンジョンの奥へと駆け出していくのを遠くながらも見守っていた。
現在3層、その途中でダンジョン・リザードやコボルトといったゴブリンと違う種類のモンスターも出会ったが斧を振りかぶって、木こりの如くバッサバッサと薙ぎ倒していた。
すると行く先ではゴブリン群れが現れていた。
その種類は3体、ゴブリン達は私を見つけるとドタドタとその巨体を
揺らしながら近づいてきた。
私は斧を持ち直し、襲撃に備える。
まずは1番先に私に襲いかかってきた左側のゴブリンに対しては、右腕をゴブリンが振りかぶり、私を狙ってくる。
その拳を掻い潜り、通り過ぎた時に同時に脇腹に切り込みをいれる。そのままゴブリンの背後へ周り、しゃがみ込んでふくらはぎに目掛けて横一直線に斬る。
しゃがみ込んだ私に目掛けてその隣のゴブリンは拳を振り下ろして来るのに対して、バックステップをとり振り下ろした腕に斜めに斬りこんでそのまま片足を軸にして一回転しながら1歩踏み切り、アッパースイングで胸部目がけて降り抜くとゴブリンは巨体を地面へ押し付け、魔石に変わらず倒れる。
倒れた2体目のゴブリンの巨体を踏み台にして飛び上がり、目一杯に背中まで持っていき、兜割りの要領で縦一直に振り下ろす。
すると3体目はそのまま魔石へと変わり、残りの動けないゴブリン2体を処理して魔石へと変える。
「このまま4層まで行ってみよう!」
地面へ落ちていた魔石を回収しながら、体に異変がないか確認する。攻撃らしい攻撃も受けてないとチェックすると自分の力を試したいということで更に奥へと足を進めるのであった。
「銀くん、大丈夫かなぁ…?」
廃教会で銀の帰りを待ち続けるヘスティアはタケミカヅチファミリアに銀の様子を見てくれとお願いしたものの、心配なのは心配であるとばかりにハラハラとした気持ちでソファーで銀の帰りを待っていた。
「ただいまです!」
「銀君!おかえり!」
扉を開けて中に入ると同時にヘスティア様が私に飛び込んで来て体を弄りまくった。その時に匂いまで確認するのはどういう事なのかと問い詰めたかったが表情が表情だったので引いた。具体的に言うと蕩けている顔が。
取り敢えずへばりついているヘスティア様を引き剥がすしソファーに座らせる。
「大丈夫だったかい?変な冒険者に体を弄られたりしなかったかい?」
「大丈夫でした!」
後ろから変な視線を感じたりしたが、実際になにかされたということは無かった。
ダンジョンでのモンスターも傷らしい傷は受けてはおらず5そう直前まで行ったが5層からは長い舌を使って中距離から攻撃してくるフロッグ・シューターや危険を察知すると仲間を呼び出すキラーアントなども出てくるため4層で引き返してきた。
「やっぱり明日も行くのかい?」
ヘスティアが心配そうな顔で私の顔を覗き込んでくる。
確かに5層からはまた難易度が違ってくるので今日4層までにしておいたのだ。
「はい!明日は5層から7層までいけたらいいなぁって思ってます!」
「そっか…。でも出来ることがなんでも言ってくれ!僕ができる範囲なら何でもするから!」
ヘスティア様はふんすっ!と顔を近づけて力こぶを作るように私に見せてきた。
とはいえなるべくなら自分の力で行けるところまで行ってみたい私はホントにダメな時にヘスティア様やタケミカヅチファミリアのみんなに頼もうと思う。
ヘスティア様は私を神様であり、ダンジョンには連れて行けない。それに加えてタケミカヅチファミリアのみんなには稽古を付けてもらった恩があるので、これ以上迷惑をかけれないと思い、頼みにくかった。
「じゃあ、取り敢えず…僕のバイト先で貰ったじゃが丸くんを食べようじゃないか!」
流石にじゃが丸くんだけでは夜中にお腹がすき、目が覚めてしまいそうで、バイトを頑張ってくれたヘスティア様にお礼がしたいと思い、少し待ってて下さいと、ヘスティア様に言うと私は帰りに買った食材で夕飯を作るためにキッチンへ向かったのであった。
「良し!銀君。寝る前にステイタスを更新しておこうか!」
ヘスティア様はベッドの前に座っており、自分もその場所へ行き、服を脱いでうつ伏せで寝る。
するとヘスティア様は私の背中でステイタスを確認する。
「ひょ、ひょわぁぁぁ!!??」
「ど、どうしましたヘスティア様!?」
「い、いやなんでもないよ。うん、なんでもない!」
私のステイタスに変なものでもついていたのだろうか。自分にバフを掛けるようなスキルでも発現したのだろうかとワクワクしたが、すぐにそれならばあのような悲鳴は挙げないだろうと落ち込んだ。
以前やった時も時間がかかっていることからこれは相当厄介なものでも発見したのだろうか。もしくはステイタスが0を振り切ってマイナスまでなっているのだろうかと内心ビクビクしながらステイタス更新が終わるのを待っていた。
私はその紙を受け取ると少し驚いてしまった。
三ノ輪 銀
Lv.1
力: I 99
耐久: I 86
器用: I 96
敏捷: I 89
魔力: I 10
《スキル 》
【
恐れを抱かず挑み続けることで
思いがある限り効果持続。
【⠀???? 】
解析不能
「なんなんでしょうね。このスキル」
「んー、僕にも分かんないや。悪くは無いんじゃない?」
私はある程度確認すると眠くなってしまい、服を着るとそのままベッドで寝てしまった。
その様子を確認したヘスティアは溜息をつく。初めてのダンジョンでスキルがつくことはそうそうない。しかもかたや見たことの無いスキルで、もう片方はそもそも解析不能であった。
経験値の上がり幅については初めのうちはいくら上がりやすくなるとはいえ、この数値は少し異常であった。
明日は5層に行くらしい銀に対して、ヘスティアはただ帰ってくるのを待つことしか出来ない自分に悔しさを感じた。ホントならばパーティを組んで行った方がスムーズに進むことが出来るはずがヘスティアのファミリアは一人しかいない。
タケミカヅチファミリアに頼むということも出来るが、稽古から初めてのダンジョンでの付き添いをしてくれたことからこれ以上迷惑をかけれないと思い頼みにくかった。
「早く団員を見つけなきゃだね…」
ベッドで寝る銀に対して微笑みながら頭を撫でるヘスティアであった。