三ノ輪銀は勇者である オラトリアの緋跡   作:大腿筋膜張筋

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今日も今日とて木こり少女は斧を振り回す。

「いい?絶対に無理しちゃダメだからね!」

 

「は、はい」

 

エイナさんに昨日のことで軽い説教を受けて、今から行くダンジョンの階数を告げると鬼の形相で私に注意する。

 

「装備は大丈夫?ポーションは?敵の特徴を押さえてる?体に異変とかない?」

 

これでもかと言うくらい確認すると、エイナさんは私が渡したステイタスの羊皮紙見ながら首を傾げる。

やはり気になるところはスキルのところなのだろうか。正直あまり記憶力のない私は原作のベル君がどうやってスキルを発現したのか覚えていない。確かに経験値の獲得上昇はいいスキルであまり聞いたことはないとヘスティア様が言っていたが、初心者のうちはそんなに変わらないと思っていた。

 

「だ、大丈夫です。」

 

「4層なのにフロッグ・シューターと出会ったって聞いた時はびっくりしたけど…何かあった時はすぐに撤退するように!分かった?」

 

「はい!」

 

私はエイナさんに一礼するとダンジョンへ向かうために走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

長い腕を使って私の頭を狙って、爪で攻撃してくるウォー・シャドーに対して右腕と右脚の間をくぐり抜け、通り過ぎに横っ腹に斧を斬り込む。そして厄介な腕に斧を振り下ろして腕を切断する。

不快な感触とモンスターの呻き声を感じながら、トドメとばかりに頭から股にかけて兜割りで斧を振り下ろす。

すると魔石に変わり私はそれを回収する。

 

「ふぅ…」

 

額に汗が滲み、それを手の甲で拭い斧を担ぐ。少しづつだがモンスター強さが変わってきている気がする。ゴブリンやコボルトと比べ攻撃のスピードが上がってることに警戒心を強める。

今のところは集団で来ても2、3匹だがこれからより奥へ進んでいくと集団での数が増え、攻撃方法や耐久力が厄介になってくるので周囲を警戒しながら奥へと進む。

 

 

 

 

7層を歩いていると視線の先に灰色の形をした何かがいた。視線を凝らすと1匹1匹のアリの群れであった。

あれが『初心者殺し』と呼ばれるキラーアントであると確信する。外殻は硬いが1匹1匹の強さはそこまではないが危険になるとフェロモンを発し、仲間を呼び出すという習性があるモンスターだ。

今は5匹だが更に仲間を呼ばれたら面倒だと思い、集団に向かって走り出す。

 

「はぁ!」

 

まずは先頭の1匹に横殴りに斧を振り抜く。すると矮小な体はダンジョンの壁に叩きつけられる。間隔をつけないで他のキラーアントも私に対して飛びかかってきて、私はバックステップをとり、下から掬い上げるように振り抜く。また上に上がった斧を軌道を変え横一直に振り抜くと再びバックステップをとる。

すると追うように2匹のキラーアントは上下から迫り来る。飛びかかった1匹と下から節足を動かして迫ってくるキラーアントに対してのまとめて始末するため2匹を直線で結んで、それをなぞるように斧を上から下へ振り下ろす。

 

「ラストぉ!」

 

最後1匹になっても果敢に迫ってくるキラーアントに対して真正面に来たと同時に兜割りで斧を振り下ろして最後の1匹を始末する。

 

「はぁ…」

 

地面に斧を突き刺しもたれ掛かる。キラーアントは1発ずつで倒せたが、やはり斧は剣と比べると自分にとっては扱いやすいが、近づかれた時の対処法を考えなければいけないと思った。

斧は扱えれば切断力もあり破壊力もあるが近づかれすぎると対処が難しくなってくるという代物だ。

自分の戦いやすい距離感でなければ破壊力もグッと下がり、戦いずらくなるというものである。

また降り抜いた時の隙の大きさもあり、そこを同じ斧使いである桜花さんに斧のイロハを教えて貰った。

なぜか昨日の帰り道にたまたまあったタケミカヅチファミリアのみんなに会い、その後に桜花さんに斧の使い方を押してもらったという訳だ。

 

「よし、次に行こうか。」

 

地面に突き刺していた斧を引っこ抜き、担ぎ直して奥へと駆け出していく。

 

 

 

 

 

 

7層で現れたキラーアントに加えて、ニードルラビット、パープルモスなどを斬り倒して、現在は9層の途中であった。

9層では以前の階層と比べ天井が高く、部屋の数も多くて迷ってしまった。またモンスターとしてはゴブリンやコボルトなどのダンジョンの最初で現れたモンスターが出現し、難易度が下がるかと思われたが攻撃のスピードや耐久性が上がっていたので、苦戦している途中である。

 

腹に目がけて横に薙ぎ払うと今まではほぼ一撃で魔石へと変わっていたゴブリンが呻き声を上げながらも私の頭頂部目掛けて拳を振り下ろす。

迫り来る拳を間一髪で前回りをしながら回避し、片膝をつけた状態で両下腿に横一直に斬りつける。すぐに私は立ち上がると無防備な背中へ十字をつけるように斬りつけ、最後に胸部目がけて突き刺す。

 

一息ついていると後頭部の髪の毛が何本か切れる。振り向くといたのは4匹のコボルトの群れだった。気がつくと周りを囲まれており、これは油断した結果だと自分にイラついてしまう。

すると私に目掛けて4匹同時に飛びかかり接近してきた。それに対して私は片足を軸にして円を描くように斧を使って振り回すと同時に斬れたので回転が止まった真正面の位置にいた1匹のコボルトに対して兜割りで斬り込む。その後は縦、斜め、横一直に斬りこむと魔石に変わり、後ろから追撃するようにもう1匹が襲いかかってきたので振り向きざまに横方向に斬りつける。

何度か斬り込むと魔石に変わり、また1匹と接近してくるのに対して対応するということが続き最後の1匹になると一息つく。

 

「油断してたね…」

 

独り言を呟くと自分の迂闊さにため息をついてしまう。

そして9層の最後まで行くとそこから下るか帰るか迷ってしまう。今の状態では厳しいのだろうと思う。

原作のベル君のようにサポーターでも雇ったほうが良いのかと考える。

しかしどっちにしろ今日は遅いし、ヘスティア様も待っているはずだ。あまり迷惑はかけられないと思い帰路へ就くのであった。

 

 

 

 

 

鼻歌を今日の夕飯の食材を担ぎながら歩いて廃教会の前までたどり着くと中からヘスティア様以外の声が聞こえてくる。

泥棒かと思い警戒するが中からはどちらかと言うと男性の声の叫び声が聞こえてくる。そのことからヘスティア様の友達がいるのかなとドアを開け、中に入ると…。

 

 

 

「ま、待ってください!自分で脱ぎますから!」

 

「いいじゃないか〜ベル君。僕が直々に脱がせてあげ……る…?」

 

そこに居たのはベットの上で寝転がっている白髪の男性と服を無理やりひっぺがそうと迫っている人がいた。というよりヘスティア様であった。

これは所謂男女の営みというものだろうか。ヘスティア様は処女神であるが日頃の鬱憤を晴らすために男性に襲いかかっているのだろうか。

そこで考えが巡りに巡って頭がフラフラし始め、買い物袋を落としそうになるがぐっと堪えて、ヘスティア様達に言わなければ!

 

「ご、ごゆっくり…!」

 

「「ちょ、ちょっと待ってください!」」

 

 

 

 

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