三ノ輪銀は勇者である オラトリアの緋跡   作:大腿筋膜張筋

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恩返し

「なるほど、ベルさんは冒険者になりたくて村からこっちに来たんですね。」

 

「うん、取り敢えず誤解が解けて良かったよ…」

 

私はベルさんと一緒に皿を洗いながら雑談をしていた。

初めに会った時はヘスティア様の恋人かと思ったけど、実際はファミリアの加入としてを神の恩恵(ファルナ)受けるために必要なことだったらしい。

ベル君が神の恩恵を受けた後、私もステイタスを更新してもらった時はまたヘスティア様が怪訝そうな顔をしながら、首をかしげていた。

 

「それじゃあ、ベルさんはギルドの講習会を受けてダンジョンに参加という感じでいいんですかね?」

 

「そうですね。今まではファミリアに入ってなかったんで、門前払いだったんですけど、ようやく冒険者になれます…」

 

洗い終わった食器の水を拭いて 一先ずは夕飯から片付けまでの流れは終わった。

ヘスティア様はお腹がいっぱいになって動けないと言って、ソファーに寝転がっている。

私はタケミカヅチ様との稽古から続いている素振りをしてくると言って外へ出ていく。その時にベルさんが見学をしたいとの事だったので一緒に廃教会の外へ行くのであった。

 

 

 

 

 

大切なのはイメージ。

私が自己鍛錬する時にイメージしているのは2パターンある。1つ目が仮想の敵がモンスターである場合と対人での場合だ。モンスターの場合、今日戦ったモンスターや、過去に戦ったモンスターで苦戦した時のことをイメージしながら斧を振っている。

特に今日のモンスターでゴブリンを倒した時に油断してしまい、攻撃が当たりそうになった時だ。

あれは完全に自分のミスであり、慢心していた。ダンジョンの中では簡単に人が死んでしまうこともあり、どんな時であろうとも油断せず、集中しなければならない。

私は生前でも現在でも多くの人に支えられて生きている。自分が負けて殺されてしまうことよりも、関わってきた人に失望され、悲しませてしまうことが何よりも怖い。

 

「ふっ!」

 

負けてしまってはならない。殺されてしまってはならない。失ってしまってはならない。生前の家族に、ヘスティア様やヘファイストス様、エイナさん、タケミカヅチファミリアのみんなを悲しませてはならない。

イメージ、イメージだ!自分が想定する限りの事態に備えろ。相手がどんなパターンで攻撃してきて、自分が攻撃したあと相手がどんな攻撃をしてくるか考えて、考えて、考えろ!

 

 

 

 

 

「凄い…」

 

ベルは銀の事自己鍛錬を眺めていた。

動きとしては疾く、斧を振るう姿はとてもではないが信じられなかった。自分の身長よりも大きな斧を自由自在に操り、多彩に動き、自分が受けたら上半身と下半身が確実に切断されると思うほど重く、鋭かった。

初めて銀と出会った時は変な誤解をされてしまったが、誤解を訂正すると自分に優しく接してくれた。料理や掃除などを自分でしており、ベルの想像ではヘスティア様が拾ってきた孤児など思っていた。よもや銀の背丈よりも大きい斧を振るい、ダンジョンへ潜っているなど考えもしなかったが、この姿を見て彼女は冒険者であると確信した。

その光景を1時間ほど眺めているとどうやら休憩らしく、地面へ斧を突き刺し、地面へ座って水筒で水を飲んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

「凄いですね!銀さん!」

 

「う、うぇ!?。あ、ありがとう…」

 

一先ずは休憩と水の入った水筒に口をつけながら、考え事をしていたらいつの間にか近くに寄っていたベルさんに大声で話しかけられた。

 

「銀さんよりも大きい斧を操って、こうブンブン!って!凄いですよ!」

 

「んー?自分じゃ無我夢中にやってたからあんまり分かりませんけど…って、なんで敬語なんですか!?」

 

そもそも自分より年上のはずのベルさんが私に敬語を使っているのが疑問だったが、ベルさん曰く、自分より先に入っていたから先輩と思って敬語を使ってたらしい。

それを聞いて私は先輩という魅力的な単語に憧れたが、家族だから畏まらなくてもいいということになり、お互いにタメ口で話すことにした。

その後は自己鍛錬を続けていると眠くなってきたので終わることにした。以前、フラフラになって自己鍛錬から帰ってきたらヘスティア様に軽く説教され、子供は早く寝なさいと言われ、眠くなったら早く帰るように言われたので鍛錬を終了するようにしていた。

 

帰宅するとヘスティア様はベル君の名前を寝言で言いながら爆睡していて、それを眺めていた私とベル君は苦笑しながらヘスティア様に布団をかけ直していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

ベル君がギルドへ講習会に言っている間、私はダンジョンの10階層に来ていた。

3匹のコボルトの群れに対し、この間の二の舞にならないように気をつけながら斧を振るっていた。

同時に2匹襲いかかってくるのに対してバックステップ後ろに下がりつつ踏ん張って斜め下から振り斬り、上に掲げた斧をコボルトの頭へ叩き斬って逆V字を描くように捌く。

そのまま負傷中のもう1匹に対して斧を突き刺し、コボルトを突き刺したまま振りかぶって地面へ叩きつける。1匹のコボルトが魔石へと変わると同時に飛びかかってきた無傷のコボルトが飛びかかってきたので腹の下を滑り込みながら腹に目がけて縦に斬りつけ、私は起き上がって腹を傷つけたコボルトに追い打ちをかけて、魔石へと変える。

そして最後に残った1匹を始末すると斧を担ぎ直す。

 

「ふぃー…」

 

口から変なため息が出た。今日はやたらとモンスターに絡まれる気がする。ここまでに遭遇したモンスター数は2倍近くにもなり少々疲れていた。

しかし今回の目標は12階層まで行くことだったのでこれくらいなんてことないとばかりにひと休憩入れるとさらに奥へと進んだ。

 

 

 

 

 

 

 

11階層に着くとそこは10階層よりも視界が悪く濃霧が辺りを覆っていた。キョロキョロしながら周囲を警戒しながら歩いていると前から人の集団と思われるものがこちらへ向かっていた。

ほかの冒険者と鉢合わせることは私は意外となかったりするので気軽に挨拶をしようと声をかけようとするとうっすらと顔が見えてきた。

 

「こんにちはー?って桜花さん?」

 

「ぎ、銀!?」

 

走ってくる正体はタケミカヅチファミリアの皆さんだった。私の前までくると止まり息を整えている。

よく見れば桜花さん達は負傷しており、千草さんはぐったりしていて桜花さんに背負われていた。命さんも額から血を流し、右手で左腕を押さえていた。

私は血相を変えて、アイテムポーチからポーションなどを取り出し桜花さん達に渡そうとすると前方からモンスターの足音が聞こえてくる。

 

「銀!早く逃げろ!ここにいちゃ不味い。もう少しで追いつかれる!」

 

「何が来ているんですか?」

 

前方へ向けていた視線の先には恐らく自分の背丈よりも大きい小竜が現れた。そのモンスターは11.12階層で稀に現れるというインファント・ドラゴンであった。上層では迷宮の孤王(モンスターレックス)が存在しないため事実上の階層主だ。

状況は最悪であると確信する。レベル1の私と負傷中のタケミカヅチファミリア。そこへ現れたのはインファント・ドラゴンであり、()()()3()()

レアモンスターにカテゴライズされる小竜がなぜ3匹も同時に現れるのかと自分の運のなさに嘆いてしまいそうになる。

しかしこのままでは全滅だ。この前冒険者になったばかりの自分では足止めくらいにしかならないだろう。

 

「…ってください!」

 

「は?」

 

「行ってください!桜花さん!」

 

「な、何いってんだ!銀、死ぬつもりか!!」

 

「私が足止めしておきます!だからギルドに戻ったら他の冒険者を呼んできてください!早く!」

 

私は桜花さんに持っているポーションを授けるとインファント・ドラゴンへ視線を向ける。桜花さんは私の顔を見て顔を歪ませるが、すまんと言って上の階へ走り出した。

 

「この状況、三ノ輪銀と同じか…」

 

結城友奈は勇者であるの鷲尾須美の章で三ノ輪銀が最後にバーデックスと呼ばれる敵と遭遇した時と状況と非常に似ている。

後ろには負傷中のタケミカヅチファミリアがいる。ここで逃げ出す訳にはいかない。せめて桜花さん達が逃げ切れる範囲までの時間さえ稼ぐことが出来れば…!

私はいつも使っているの斧ともう1つ予備の斧を取り出し、地面へ横にラインを引く。

 

「こっから先は通さない!!」

 

私は今までお世話になってきたタケミカヅチファミリアに恩返しとして3匹の小竜の元へと駆け出した。

 

 




三ノ輪・銀
Lv1
力: I 99 →F392
耐久: I 86 →H189
器用: I 96 →G256
敏捷: I 89 →F367
魔力: I 10 →H102

《スキル 》
 
勇者不懼(カーレッジ フィアリィス)
恐れを抱かず挑み続けることで経験値エクセリア上昇。
思いがある限り効果持続。
 
【⠀満開 】
解析不能
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