三ノ輪銀は勇者である オラトリアの緋跡   作:大腿筋膜張筋

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VSインファント・ドラゴン後編

私は迫り来る尻尾を上にジャンプして避ける。そしてジャンプしたまま左に持った斧を尻尾の付け根を狙って切り込む。

しかし硬い鱗に覆われている部分を攻撃したため斧は跳ね返される。

 

そして着地すると同時にインファント・ドラゴンは前足を使って踏み潰そうとするのを斧で受け止めるが、不十分な体勢であったため、片膝をついてなんとか踏み出されないように体を守る。

しかし右腕がろくに使えない今、無防備な腹へと再び尻尾を振るわれ勢いよく吹き飛ばされて壁に衝突する。

 

「がっ!」

 

そこで斧を支えにしてなんとか立ち上がるも膝がガクガクと震え、まともに体を支えることが出来ない。

インファント・ドラゴンへ視線を向けると口を大きく開けて、溜め込むのが見えると全力で右へ横っ飛びをする。

 

「くそ!炎が邪魔過ぎる!」

 

インファント・ドラゴンと距離をとれば炎で追撃され、近づくと前足と尾を使った攻撃が待ち構えている。

ここでサラマンダーマントがあれば、状況も少しは好転したがないものねだりをしてもしょうがないと思考を巡らせるとふと、頭に考えがよぎる。

 

自分が知っている知識が正しければ、竜の弱点となる場所があるはずだか、そのためには前足と尾の攻めを回くぐらなければならない。

そのためにはまず、相手の近くまで駆け出す。

 

「ふっ!はぁ!」

 

前足と尾を使った攻撃をバックステップやサイドステップ、ジャンプで躱しながらインファント・ドラゴンを観察する。

更に近くへ行き、見上げて目を凝らすと首の下にある部分を見つけた。

 

すると後ろへ逆走し、ある場所の元へ行くと手に持っていた斧を大きく振りかぶってインファント・ドラゴンの瞳を目掛けて投げ飛ばす。

インファント・ドラゴンは思いがけない一撃に対応出来ず、右目に斧が突き刺さる。

そして呻き声を上げながら体を揺らし、斧を取り除こうとするが、深くまで突き刺さったため取ることができない。

 

そして地面に転がっていた予備の斧を再び持つとインファント・ドラゴンの元へ走り出す。

インファント・ドラゴンは目に突き刺した私を見るやいなや、前足や尻尾を振るって攻撃するが半分視界が塞がれているため、うまく私に当てることが出来ない。

私は足と腰に力を入れ、思いっきり上へと飛び上がり目指す場所は首の下にある逆鱗と呼ばれる場所だ。

 

「行っけぇぇええっっ!!」

 

竜種の弱点である逆鱗に私は左に持った斧を力の限り突き刺す。するとズブリと奥深くへ斧が突き刺さるとインファント・ドラゴンは鼓膜を震わす呻き声を上げ、首を振り回して私を落とそうとする。

私は左手だけで持っていた斧を更に動かせない右を無理やり動かし、突き刺さった斧に力を入れ捻じる。

すると右腕から全身にかけて激痛が走るが、ここを逃すと勝機はないと思い更に力を入れる。

 

「これこそが!人間様の!」

 

インファント・ドラゴンが首をしならせて上へ上げる瞬間に手を離し、私の体が勢いよく上へ投げ出されるのを利用して、目に突き刺さった斧の柄を握る。

そのまま目に突き刺さった斧を捻りながら強引に引っこ抜く。

 

「気合いだ!」

 

引き抜いた勢いとインファント・ドラゴンの首振りによって上空へ高く舞い上がる。

 

「根性と!」

 

舞い上げられた私は斧の柄を両手で握り締めて、縦に回転しながら小竜の首を目がけて渾身の斬撃を叩きつける。

 

「魂ってやつよォォォ!!!」

 

その斬撃はインファント・ドラゴンの硬い鱗さえも断ち切って長い首を切断した。

 

そして私はインファント・ドラゴンが魔石に変わることも確かめることが出来ないまま、その場に立ち尽くし意識を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ここは…?」

 

私はうっすら目を開けると見覚えがある風景が目に入ってきた。そして辺りをぐるりと見渡してみるとヘスティアファミリアのホームに帰ってきたとひと安心する。

そしてベッドにうつ伏せて寝ている2人の影が視界に入る。

 

「ヘスティア様とベル君…」

 

良かった…!

私は帰ってこれたんだと思わず泣いてしまいそうになる。

恐らく2人は私が桜花さん達かほかの冒険者が連れて帰ってきてくれたのだろうと思う。私は良い家族に恵まれたなと安心していると眠気が襲いかかってきて抗うことなく、そのまま目を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

隣から温かな温度とマシュマロのような触感が私の右隣にある。その感触を確かめるために布団の中をまさぐって行くと2つの大きな山が見つかり、それを揉みしだく。

なんだこの確かな弾力と甘い香りが臭う不思議なものは。もっと探求しなければと全力で揉みしだく。

 

「ダメだよベルくん!私達はまだそんな関係じゃあ…でもベル君がどうしてもというなら…って何をしているんだよー!銀くん!」

 

「いや、そこに山があったら揉むしかないでしょ?、」

 

そうそこに山があったら揉むしかないのだ。決して女性としての劣等感があるとかそんなことはない。ないったらないのだ。

 

「ヘスティア様ーどうしたんですかって、銀!?起きたんだ!」

 

ベル君は台所からひょこっと顔を出すと私の顔を見る間にすぐに駆け寄ってくる。

 

「良かったよ、3日も眠ってたからもう目覚めないんじゃないかと思って…」

 

3日…あの戦闘ならそれだけ眠っていたのも頷ける。正直、意識も朦朧としていたし、生きていること自体が奇跡みたいなものだったんだろう。

その後の経緯はヘスティア様から聞くと、私があのインファント・ドラゴンを倒すと同時にタケミカヅチファミリアのみんなが駆け寄ってきて私をここまで連れてきたそうだ。

怪我の方はハイポーションを使ったらしく体の痛みはほとんど無くなっていた。

しかし予想をしたもののやはり右目の視界が何も見えなくなっていた。

 

「やっぱりか…」

 

「どうしたんだい?」

 

「い、いや、なんでもないですよ!」

 

原因は恐らく、スキル欄にあった満開なのだろうと思う。

結城友奈は勇者であるの作中では三ノ輪銀は満開は使えてはいなかったが、鷲尾須美や乃木園子が使えていたのだ、使えない訳が無い。

満開は大きく身体機能を向上させ、普段発揮できない力まで呼び起こすことが出来るが、大いなる力には代償が付き物である。

その代償は身体機能の一部を失うというものだ。

どこの身体機能が失うのはランダムだが、ある意味今回はまだマシな方だったかもしれない。

 

だが不安要素はまだある。

いつ満開が発動して、どんな状況で発動するのか全くわからないのだ。

いえばいつ爆発するか分からない爆弾を抱えているようなものだ。取り敢えずは自己鍛錬を続けて、ダンジョンの探索は控えてスキルの詳細を調べる必要があると思った。

 

「ヘスティア様!?それは銀のお昼ご飯ですよ!食べちゃダメです!」

 

「だって、銀くんに寄り添って寝てたらお腹が空いてきたんだよ!?」

 

私はヘスティア様に空腹を持たせる能力でも発言したのだろうかと思わず苦笑する。

こんな日常が欲しかった。

ホントにここに帰れてよかったと安堵するのであった

 

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