慌てふためくスロウ・ダウン   作:兵庫人

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#009

 怒声を聞いた僕はとっさにその怒声が聞こえてきた方へと駆け出した。

 

「っ! 待て!」

 

 後ろからコナン君が僕を呼ぶ声が聞こえてくるが、それに構うことなく走ると、そこには二十代くらい三人組の男達と、白いコートやら改造制服やらが目立つ四人組の男達が睨みあっていた。

 

 これってケンカ? 四人組の男達のうちの髪型がリーゼントで改造制服を着ている人が怒っているように見えるけど、さっきの怒声ってあのリーゼントの人なのかな?

 

「オメーらよぉ……! 俺の髪型が何だってぇ……!?」

 

 リーゼントの人の言葉に三人組の男達が人を馬鹿にした笑みを浮かべながら答える。

 

「古臭くてダッセェ髪形だって言ったんだよ」

 

「そうそう。リーゼントなんてお前、一体いつの時代の人間だよ?」

 

「ここはお前みたいな髪形の奴がいていい所じゃないんだよ。分かったらさっさと田舎に帰りな」

 

『『………!』』

 

 三人組の男達がリーゼントの人の髪型を馬鹿にすると、リーゼントの人の知り合いだと思われる三人のうち、学生服を着た二人が顔を青くして、白いコートを着た人がため息を吐く。そしてリーゼントの人は顔から一切の表情を消してゆっくりと三人組の男達へと歩み寄っていく。

 

 不味いな。あのリーゼントの人、完全に怒っているって。何とかケンカを止めないと……って、アレ?

 

 このままだとリーゼントの人があの三人組の男達に殴りかかるのは確定で、ケンカを止めるためにスロウ・ダウンを出動させることも考えた僕はその時、信じられないものを目の当たりにした。

 

「……」

 

 三人組の男達に向かって歩くリーゼントの人。その隣に突然、奇妙な人影が現れたのだ。その人影はまるでロボットのようにも、人間の拳闘士のようにも見える逞しい姿をしており、まるで……。

 

「…………スロウ・ダウンと同じ?」

 

 気がつけば僕はリーゼントの人の隣に立つ奇妙な人影を見ながら呟いていた。

 

 リーゼントの人の隣に現れた奇妙な人影と僕のスロウ・ダウン。外見こそを全く違うが、それでもこの二つは「同じ存在」であると直感で理解できた。

 

 そして僕が奇妙な人影に目を奪われている間にも、リーゼントの人は奇妙な人影を連れて三人組の男達の元へ歩いていき……。

 

「あぁん? お前、何か俺達に文句でも「ドラァ!」アブァッ!?」

 

 三人組の男達の中の一人がリーゼントの人に向かって何かを言おうとした瞬間、リーゼントの人の声を合図に奇妙な人影が目にも止まらぬスピードで何かを言おうとしていた男の顔を殴り飛ばした。その拳の威力は凄まじく、奇妙な人影に殴れた男は鼻の骨と数本の歯が折れて口と鼻から大量の血を流しながら吹き飛ばされた。

 

「な、何だ? 今、人が勝手に吹き飛んだように……!?」

 

 声がした方を見ると、いつの間にか僕の側に来ていたコナン君が奇妙な人影に殴られた男を見て、驚きで目を見開いていた。どうやらコナン君にはあの奇妙な人影が見えていないようで、それによって僕のスロウ・ダウンとあの奇妙な人影が「同じ存在」であるという確信が強まった。

 

「ひ、ひいぃっ!?」

 

「た、助けてくれぇ!」

 

「ま、待って! 置いていかないで!」

 

 やはりと言うかあの奇妙な人影はコナン君だけでなく三人組の男達にも見えていなかったようで、突然人が吹き飛ぶと言う異常事態に、三人組のうちの二人は奇妙な人影に殴り飛ばされた男を見捨てて逃げ出していった。

 

「ず、ずびばぜん! ごめんなさい! ゆ、許してください!」

 

 殴り飛ばされた男は自分の身に何が起こったか理解できていないが、それでもリーゼントの人が何か関係しているのは分かったようで、顔を涙と鼻血でぐちゃぐちゃにしながらリーゼントの人に謝罪……というか命乞いをする。だけどリーゼントの人は全く怒りが治まっていないようであった。

 

「許すわけねぇだろうが……! この髪型を馬鹿にする奴は誰だろうと絶対に許さねぇ……!」

 

「あ、あああ……!」

 

 リーゼントの人はその目に怒りを宿しながら自分が殴り飛ばした男に再び近づこうとして、それを見た僕はとっさにスロウ・ダウンを出動させてリーゼントの人の前に移動させた。

 

「っ!? こいつは……!」

 

 どうやら僕がリーゼントの人が呼び出した奇妙な人影が見れるように、リーゼントの人にも僕のスロウ・ダウンが見れるようだ。そして僕はスロウ・ダウンに意識をとられて動きを止めたリーゼントの人に声をかけることにした。

 

「そこまで。何があったのかは知らないけど、それ以上は明らかにやり過ぎだ」

 

「ああっ!? あいつは写真の!」

 

「確か……古城、静志郎……! それにあの『スタンド』は……!」

 

「やれやれ……。さっそく見つかったのはいいが、やはり『スタンド能力』に目覚めていたか……」

 

 僕がリーゼントの人に話しかけると、リーゼントの人と一緒にいた学生服を着た二人と白いコートを着た男が驚いたように言う。

 

 何だ? 僕の事を知っているのか?

 

 それに「スタンド能力」って、何の事だ?

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