この世界の時間のループに気づいてから三ヶ月が経ち七月となった。その日の僕はいつもの様に商店街で夕飯の材料を買って家に帰ろうとしたのだが……。
「きゃああっ! 誰か捕まえて! ひったくりよ!」
女性の悲鳴が聞こえてそちらを見てみると、そこには女性のバッグを持って逃げてくる人相の悪い男の姿が。しかもご丁寧にバッグを持っていない方の手には大きめのナイフを持っていた。
……はぁ、またか。
今週で三回目だぞ、ひったくりの現場を見るの。二日で一回の割合でひったくりが起こるってどういう事なんだ?
それに考えてみれば今まで何回もひったくどころか銀行強盗の現場をみたような気もするし……。というか二日か三日前にも銀行強盗があったはずだし。
僕がこの米花町の危険度とそれをあまり気にしていなかった異常さに改めて考えていると、ひったくり犯はこちらに向かって走って来ていた。
「どけぇ! 殺す……ぞ……!?」
僕はスロウ・ダウンでひったくり犯の動きをスローモーションにしてから、相手の足を払って倒した。ひったくり犯にしてみれば急に周囲の動きが速くなった上、高速で地面に叩きつけられたので何が起こったのか分からず混乱していることだろう。
その後、ひったくり犯は後から来た警察官に取り押さえられたのを確認してから僕はその場を後にした。
まったく。お金が欲しくてひったくりをするくらいならアルバイトでもしとけよ。
商店街でひったくりの現場に遭遇した次の日。僕はいつもどうり叔父さんの着替えと差し入れのピッツァマルガリータを持って警視庁へと行くと、警視庁の前に一人の太った老人と五人の小学生の姿があった。
あまり見ない組み合わせだなと思いながら挨拶をすると、その五人の小学生の一人は去年からクラスメイトの毛利さんの家に居候している江戸川コナン君だった。……ん? 去年から居候?
僕はそこまで考えたところで一つの違和感を感じた。去年から居候っておかしくないか? コナン君が毛利さんの家にいつから居候したのかは分からないが、それでも七月より後のはずだ。この時間がループしている世界だったらコナン君はまだこの米花町には来ていないんじゃないのか?
「ね、ねぇ? どうしたの古城……お兄ちゃん? ボクの顔をジッと見て?」
思わずコナン君の顔を見ながら考え込んでいると、変だと思ったコナン君に声をかけられて僕は我に返った。
「ああ、ゴメンね。ちょっと考えごとを……ちょっと待って」
コナン君に謝ろうとしたその時、僕は彼の言葉に一つの疑問を感じた。
「君、どうして僕の名前を知っているの? 僕、まだ名乗っていなかったよね?」
「……!? そ、それはホラ、蘭お姉ちゃんからお兄ちゃんの事を聞いたことがあったから……」
『『………』』
僕が聞くとコナン君は明らかに動揺した顔になってから慌てて理由を説明して、その横では太った老人と茶髪の女の子がこちらを心配するような目で見ていた。……一体どうしたんだ?
これが僕と江戸川コナン君の最初の出会いであり、これをきっかけに僕は様々な事件に巻き込まれていくのであった。