「禁忌目録違反だけど愛さえあれば関係ないよねっ!」「えっ」 作:練れば練るほど色の変わるお菓子
合言葉は
システム権限<愛の力
前回のあらすじ
・ルクス君、
・ルクス君ヒロイン
あ、ノーレン・チェルシィちゃんはオリキャラです!虐められるためだけの!
「ほう。つまりユージオ上級修剣士殿はこう言いたいわけですな?ウンベールは傍付きを理不尽に虐げ、私はそれを見逃している、と。」
ぎりり、と奥歯を噛みしめる。大切な二人からの願いすら叶えられない、断罪することができないことへの悔しさが胸中を支配していた。
昼食の後、ルクス君抜きでティーゼとフレニーカから話された事件は、到底許され難いものだった。二人と同室のノーレン・チェルシィという女子生徒が、規則外でこそないものの酷い辱めを受けている、という話だ。
初めこそ半信半疑だったものの、話を聞いていくにつれ彼女がウンベール・ジーゼックの傍付きであると判明し、彼ならやりかねないと確信した。
そして今、僕とキリトは『同じ上級修剣士の尊厳を守るための注意喚起』という名目でウンベールとライオスの部屋を訪ねているのだが。
「おやおや、どうされたのかな。ユージオ上級修剣士殿?貴君らが言いたいのはそういうことだろう?」
「ぐっ…!」
(こいつら…!)
奴らは謝るそぶりどころか、自分達に非など一切ないように振る舞っている。目的は単純。僕たちへの嫌がらせだろう。どうにも僕やキリトのような平民上がりを、ライオスのような純貴族は気に入らないらしい。
まず間違いなく、こいつらが狙っているのは僕らの逸礼行為。そして学院則違反による僕らの降格だろう。
「で、では!お二方は否定されるのですね?ウンベール殿が、ノーレン・チェルシィさんに、初等錬士として逸脱した命令を行われた事を!」
「…ふぅむ。逸脱した行いとは何なのかね、ユージオ上級修剣士殿?そのあたりは、はっきりさせておくべきだと思うのだが。」
「…ッ!それは…!」
まただ。話題を逸らすまではいかないものの、自分の不利な話題を持ち出されて、礼儀を盾に縛られる。これでは、まるで。
(あの時と一緒じゃないか…!)
アリスが連れていかれてしまった日、禁忌目録という法を盾に動けなかった、弱いあの頃の自分と。
…ズキリ、と右目が痛んだ。
「どれ、ウンベール。貴様には心当たりがあるのか?」
ライオスが話題を投げる。すると、まるでそれを待ちわびていたように、ウンベールからの演技くさい話が始まった。
「…とぉんでもなぁい!私には何を言われているのかさっぱりですぞ!逸脱した行いなど、心外の極みというものですなぁ!先日ユージオ殿に引き分けてから、私も心を入れ替えまして!毎日筋肉が痛むものですからチェルシィには体を揉みほぐしてもらっているのですよ!先日も風呂場で服が濡れないよう、下着姿になるのを許可したほどの寛容さ!これだけの慈悲を持って当たっているというのに、逸脱した行いなど!これ以上ない侮辱ではございませんか!」
あぁ…何故、何故。公理協会はこんな奴を放っているのだろうか。こんな悪の塊のような存在を、
鈍かった痛みが、まるで針を刺されたかのように痛んだ。あまりの痛みに、思考を保っていられなくなる…!
「…ジオ!ユージオ!ユージオ!」
「キリ…ト…」
「…もういい。帰ろう。」
突然、優しく肩に手を置かれた。いつの間にか刺されるような痛みは、嫌な汗だけを残して消えている。
「おやおや、そちらから訪ねておきながら、突然帰るとは。やはり平民上がりとなると礼儀には疎いようだぞウンベール。」
「全くですなぁ。こちらは根も葉もない侮辱で傷ついたといいますのに!」
こちらに聞こえるように嫌味を口にする二人は、欠片も懲りたとは思えない。このままでは、ここまで来た意味が…
「ライオス次席修剣士殿、ウンベール上級修剣士殿。」
「……何かねキリト殿、土産が必要か?生憎貴君らに縁のない高級品ばかりでね。早急にお帰り願いたいのだが。」
まるで話すことも嫌だ、と言うようにキリトを嫌悪するライオス。確か、ウォロ先輩と立ち会った日にルクス君も含めて何かあったらしい。なんでもないの一点張りで教えてもらってはないが。
「その態度、
「……!」
皮肉げにキリトが吐いた言葉で、ライオスは明らかな反応を見せた。いや、ライオスだけではない。余裕たっぷりに構えていたウンベールまでもが頭を抑え、冷や汗を垂らしているではないか。
「…貴様…!」
まるで、思い出せないものを必死に思い出そうとするように頭を掻き毟る二人を最後に、開いた扉は閉じられたのだった。
(…うわぁぁぁぁ!!?!?)
身にかかる罪悪感や後悔やら恥ずかしさやら。いつもの事とはいえ慣れそうもない複雑な心境を胸に抱いて、心中で悶えながら廊下を歩く。
大丈夫、今回の負けもしっかり教訓になる、ただ弄ばれただけじゃないんだぞ、と自分に言い聞かせる。恐らくきっと多分パーハップス。
「あれ、ルクス?飯か?こっちは食堂じゃないぞ?」
突然声をかけられて顔を起こすと、目の前には黒髪と亜麻髪の友人達が写った。どうやら気がつかないぐらい物思いに耽りすぎたらしい。よくよく周りを見渡すと、食堂への道ではなく行き止まりへと向かっている。にしても…
「そうだよ。…で、どうしたの?
「相変わらず酷い言い様だな…」
「その、実は、さ。」
噛み締めた奥歯が鈍い音を立てた。意地の悪い奴らだとは知っていたが、年下の女性徒を嫌がらせの道具に使うまでとは。
…そんなことだから上級貴族の印象が悪くなって、僕とロニエは……
「……ねぇ、ちょっとあの二人、調子乗り過ぎじゃない?処す?処す?」
「処すって…具体的には。」
「北の未開拓地で農家になったら良心のなんたるかがわかるんじゃないかな?」
「
キリトが戯けたように言うが、意外と本気でやればできない事もない。一等爵士の権限をフルで使えば、彼ら二人を降格させるなんて朝飯前なのだ。
「ま、冗談はともかくとして。ユージオ君はまだしもキリトが爆発しないって、ちょっと意外かも。」
「あ、それなんだが。ルクス、ちょっと耳貸してくれ。」
「?わかった!」
要望通り耳をキリトに近づける。もしロニエが見ていたら怒りそうな光景だなぁ、なんてぼんやり考えた。
「ライオスとウンベールへの処罰は良いって言ったのは俺なんだが、あいつら、あの日のこと覚えてないんじゃないか?」
「……」
ダラダラ、と冷や汗が流れる。勘が良いのは普段のことけどなんでそんなに察しがいいんだ、と毒ついた。が、言い訳を用意していないわけでもない。
「あー…恐怖で記憶が飛んじゃってるのかも。あんなことしちゃった後だからなぁ…」
あんなこと。あんなこと。自分が発した言葉がぐるぐると脳内をループする。キリトと出会った事もそうだが、主にその後。
『私はずうっっと、先輩と一緒にいますからね…』『わざわざ気にしてるんですね。…可愛い。』
『先輩。大好きです。先輩。可愛いです。
先輩、先輩!先輩。先輩。先輩。先輩!』
『先輩♡』
脳内に浮かんできたロニエを、ぶんぶんと頭を振って振り払う。ダメダメダメ。こんな事を思い出している時じゃない。
「ど、どうしたんだ?急に頭振ったりして…」
キリトが心配してくれるが、今のは自爆だからちょっと罪悪感が湧いてくる。話題を変えなければ。
「う、ううん!何でもない!なんにしても!だ!キリト達への嫌がらせが目的な以上、奴らもこれ以上はしてこないよね。彼ら自身の名誉にも関わるわけだし!」
「そう考えるのが妥当なのかな。僕は、そういうのよくわかんないんだけど。」
「人には得意不得意があるからな。俺のわからない神聖術とか、お前はわかるだろ?そういうもんだよ。」
「そんなもんかなぁ?」
首をかしげるユージオ君は、未だスッキリしていなさそうだった。まぁ、
「じゃ、僕は食堂行くけど…二人も来る?」
「お、このところ持ち帰りばっかだったし、偶にはいいな!行こうぜ、ユージオ!」
「…うん。行こうか、二人共。」
そして。
この日呑気に夕食をとった僕は数日後、無理矢理にでもライオスとウンベールを左遷させておくべきだったと、後悔することになる。
個人的にウンベールの台詞書いてる時が一番生き生きしました。
さて、と。ここまで更新が遅れた理由を述べさせていただくとですね…。ここから右目の封印編終わって、セントラル・カセドラル編行って、人界戦争編まで入っていくわけなんですけど…。
《失敗》
特に何もわからなかったよ。ルクス君マジヒロイン(脳死)
《成功》
貴方は気がつく。そう、塔登ったり戦争したりの生々しい描写。そのせいで…
ルクス君とロニエちゃんのイチャイチャが少ない事に!