「禁忌目録違反だけど愛さえあれば関係ないよねっ!」「えっ」   作:練れば練るほど色の変わるお菓子

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三件の感想と9の評価に煽てられた作者は三時間かけて3話目を完成させたのだったまる

てな訳で更新。原作主人公からみたヒロイ…主人公の話。時系列は戻るもの。

合言葉は
システム権限<愛の力


黒の剣士の憂鬱 上

 

 

  俺にとって、ルクス・ブラッディは、ユージオに次ぐ二人目の親友と呼んでも過言ではない。

 

 最初に出会ったのは、そう。偶々安息日にウォロ・リーバンテイン主席修剣士の制服へ泥を飛ばしてしまい、剣での立会いを挑まれた時だった。

 

「何をやってるんですか!?田舎上がりの平民と剣での立会いを…それもリーバンテイン先輩が挑むだなんて!相手の天命を減らしちゃったらどうするんです!?」

 

「む…すまない。だが、あのキリトという少年はなかなか見所がだな…」

 

「言い訳しないで下さい!泥を飛ばした彼も悪かったと考えますが、それに対しての罰が重すぎます!殺す気ですか!」

 

「むぅ…すまない…」

 

 怒鳴りつけていた。あの迫力溢れる鬼のようなウォロ・リーバンテインを、鬼気迫ると言って過言ではない程に。しかも意外だったのは、気迫のきの字すら見えない相手にウォロ先輩が困ったような顔を作って反論しないことだった。

 

 田舎上がり、と言われるとカチンとくるが、叱りつけている人物に馬鹿にした様子はなく、寧ろこちらを心配している様子だ。

 

「リーナ先輩、あれって…」

 

「あぁ、あれか。彼はルクス・ブラッディ。ウォロの傍付きなのだが…。ウォロが剣一筋過ぎて家事やら何やらを溜め込むから、ああいった光景も珍しくはない。どうもウォロも彼には頭が上がらないらしくてね。」

 

「…それって、こう。帝国基本法とか、学院則に違反してたりしないんですか?態度が上級生に対するものだとは思えないですけど…」

 

「ないない。寧ろ、則っているとすら言えるよ。傍付きが上級修剣士から教わることは多いが、逆に上級修剣士も傍付きから学ぶべし、と学院則にも書いてある。あれは正しい姿だ。お前も一度、私を元気づけるためとはいえ、怒鳴ったりしただろう?」

 

「そ、それは…アハハ…」

 

 …なんとも締まらない話になってしまったが、正直俺はルクスの事を疑っていた。何と言うのだろうか、こう。普段の立ち振る舞い方と言うか、そういったものがこの世界の人達とは別の様に感じたのだ。言ってしまえば、世界そのものから浮いているというような…。

 

(もしかすると、あいつも俺と同じ…)

 

「あ、あの!」

 

「ん?あ、ああ。どうした?」

 

 突然、声をかけられたと思えば、噂をしていた人物の顔が目の前に広がっていた。観察する。白い。目も、髪も、少なくとも日本人としては有り得ないぐらい白い。

 

「僕はルクス・ブラッディ。リーバンテイン先輩の傍付きなんですが、今回の立会い、望まないものでしたら辞退していただいても構わない、と許可をいただいたので、そのお知らせに…」

 

  …初めて会って感じたのは、綺麗だな。と言うことだった。物珍しいものを見るでもなく、値踏みするように見るでもなく、ただただ真っ直ぐにこちらの目を見つめて来る。簡単そうで、そうできることではない、誠実で綺麗な目だった。貴族らしからず腰は低いが、神聖語(和製英語)が口にされる気配もない。これは俺の勘違いという線が濃厚になってきた。

 

「いや、これだけ人が集まってるんだ。今から中止ってのは出来ないだろ。それに、俺もウォロ先輩の服に泥を飛ばしたことは申し訳ないと思ってるからな。」

 

 とりあえず気持ちを口にすると、ルクスは困った様な、複雑な表情を浮かべると、一つ大きなため息をついて忠告を始めた。

 

「…そうですか。ではくれぐれもお気をつけて。傍で見てきたからわかりますが、首席修剣士の座は伊達じゃありませんよ。」

 

「ありがとう。優しいんだな。」

 

 思わぬ方向からの心配に頬を綻ばせると、正面から褒められ慣れてないのか、ワタワタとあわて始めた。

 

「そ、そ、そんなことは…。えへへ。」

 

(チョッッッロ…)

 

 褒められると照れ臭そうにポリポリと頬を書く彼の姿が、ほんの少しだけ(直葉)と重なる。

 

 が、その考えは謎の悪寒に塗りつぶされた。

 

 べっとりと、睨みつける様な嫌な感じ。背筋に寒気が走り、鳥肌が立つ。SAO時代に向けられた殺気と良く似たソレが、俺の体を蝕んだ。

 

「…ぁ」

 

 声にならない悲鳴が漏れる。体の自由が効かない。体が意思に反して震える。冷たい。冷たい。まるで指先から凍ってしまったかの様だ。

 

「あわわ…しまった!システム・コール。ジェネレート・ルミナス・エレメント!」

 

 …ルクスが近くで何かを言っている。が、それもどこか遠い。このまま、意識を…手放して…。

 

解放(バースト・エレメント)!」

 

 ハッ、と意識が覚醒する。何をしていたのか、否、何をされていたのか(・・・・・・・・・)。たらりと嫌な汗が流れる。こんな現象はここ一年間体感したことがない。

 

「な、何だったんだ、今の…。なぁ、お前は何か知ってるのか?」

 

「えっと、ウォロ先輩の覇気…じゃないですかね。偶に萎縮して身動き取れない人って居て…。光素とかで気を逸らせば、元に戻るので。」

 

 …覇気?そんなものだったろうか。俺の勘が違うと警鐘を鳴らす。あれはそんな生易しいものじゃない。もっと危険な…

 

「そ、そろそろ始まるみたいですね!頑張って下さい!影から応援しておきます!」

 

「え?あ、ちょっと!」

 

 早口でそれだけ捲し立てたルクスは、そのまま会場の外へと走り去ってしまった。脱兎のような速い逃げ足に、止めるのが遅れてしまう。

 

「ちょっとキリト!何やってるの!?立会い始まっちゃうよ!」

 

「あぁ、悪い。…なぁ、ユージオ。突然で悪いんだが、さっき話してたあいつって、養子だったりするのかな?」

 

「…ヨウシ?キリト。ヨウシって、何かの神聖語かい?」

 

「…そうか。いや、なんでもないんだ。行ってくる。」

 

「そう?頑張ってね。」

 

 大体わかった。恐らくあいつは白だ。何故なら、この世界には「養子」という概念が存在していない。

 

 考えてみれば当たり前の話だ。公理協会によって飢えることもないし、この世界の人々はまず禁忌目録を破ろうとはしない。つまり、禁忌目録に「己が子を愛せ」なんて一文があれば養子なんて概念は発生しないのだろう。

 

 つまりあいつは生まれながらにして貴族ということで、確実にこの世界の住人だ。

 

(杞憂だったか。にしても、さっきのは何だったんだ?)

 

 先ほどの寒気について考えながら、俺はウォロ・リーバンテインに向き合うのだった。

 

 

━━━━━━━━━━

 

「ごめんなさい!ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!」

 

 場所は移り変わって、修練場裏。中の立会いが盛り上がっている分、人気の無い場所で、一人の少女がきれいに土下座をかましていた。されている側は僕である。悲しい。

 

「ロニエ…言ったよね?他人に神聖術使っちゃだめだって。何でこんなことしたの。…キリト君めちゃくちゃ訝しがってたよ……あれ龍とかの大型生物用の恐喝神聖術じゃん…後で絶対怪しまれる…」

 

 先ほど、観客席でロニエが使った神聖術は、所謂生物的本能に訴えかけて動きを麻痺させる神聖術だ。当然禁呪である。あんな危険な術が禁呪じゃなくてたまるか。

 

「だって…ルクス先輩の可愛い顔を独り占めしてたのに…キリト先輩(あいつ)が先輩にちょっかいかけるから…」

 

「男相手でも嫉妬に容赦がない!?」

 

 見境が無さすぎる。…嘘を言わなそうな彼に褒められて、あれほど照れてしまったのは失敗だったのは確かだけれど。というか、いつからこんなに口が悪くなったんだろうか。神聖術と共に余計な知識を教えすぎたのか…?

 

「…反省はしてます。後悔はしてません。」

 

「そう。…じゃあ一週間ぐらい距離を置いてみよ「許してくださいお願いします」…全くもう。次はないからね?」

 

 あまりにも必死な態度に少しだけ安堵を覚えながら、どうしてこうなってしまったのかを考える。出逢った頃はここまで酷くなかった気がする。精々が頬を膨らまして抱きつくぐらいで、嫉妬した瞬間、子供ぐらいなら容易に廃人にする神聖術を放つほど野蛮ではなかった。…多分。

 

「ところで先輩」

 

「ん?なぁに?」

 

 いつのまにか土下座をやめていたロニエが眼前に迫っていた。なんだか近すぎる気もする。

 

「どうしてさっき、安心したんですか(・・・・・・・・)?」

 

「なっ!?」

 

 この顔は知っている。いつものからかいモードだ。そして、いつも通りに何故か心情が読まれている。図星な僕としては、とぼける以外に選択肢は無い。

 

「な、なんのことかなぁ?」

 

「先輩は、距離を置くって言う時にちょっと躊躇って、私が距離を置くのに反対した途端に胸を撫で下ろしてました。態度でわかりますよ。先輩が私のことをわかってるのと一緒で、私も先輩のことは一番よく知ってるんですから。」

 

 …バレてる。一寸の狂いもなく、僕の心情を完全に言い当てていた。惚れた相手には絶対に勝てない。そんな考えが頭をよぎる。

 

「ふ、ふぅん?それが?」

 

「先輩って、墓穴掘るの好きですね。つまり、先輩は私と一週間離れることが辛いのに一週間離れるなんて言っちゃったことを後悔、しちゃったんですよね?でも、私を窘めるには言うしかなくて、私が反省した途端に安心「わかった!わかったからぁ!」…先輩、私のこと好きすぎですよ。」

 

 恥ずかしい。恥ずかしい。先ほどまで説教をしていたはずの相手にうまく踊らされているのが、そしてそれが全て事実であることが恥ずかしい。あまりの恥ずかしさに、彼女の方を向いていられなくなる。

 

「どうしたんです?先輩いつも言ってますよね?相手の目を見て話すのは誠実さを表す大切なことだって。ほら、話してくださいよ。その夕日(ソルス)みたいな真っ赤な顔をこっちに向けて、しっかり話してもらわないと…ね?」

 

「やめてぇ!降参!降参だから!これ以上こっちを見ないで…!」

 

 何もできずにその場へうずくまる。恐らく真っ赤であろう熱のこもった顔を手で覆い隠す。日なたのナメクジ(ナメクリ虫)が如く縮こまる様はさぞ彼女の嗜虐心を満たすことだろう。…悔しい。また勝てなかった。しかし、完全敗北を認めた僕を更なる追撃が襲う。

 

「えへへ。先輩、また負けちゃいましたね。可愛すぎですよ…。ここで大騒ぎして、人を呼んだら、もっと赤くなるかなぁ?」

 

「えっ!?そ、それは困っ……」

 

 流石に大勢にこの顔を見られるのはシャレにならない、と顔を上げた先にあったのは…悪戯が成功したかのように微笑む彼女の顔で…。

 

「!?!?!?」

 

 そのまま勢いでロニエと唇が重なる。柔らかい感触と、熱くて甘い何かが触れ合う。それが舌だと理解した時にはもう遅い。僕はそのままの体制で彼女に貪られ、啜られ、飲まれて、飲まされて、苦しくなった酸素まで、彼女の口から摂取させられて…

 

「…禁忌目録違反、しちゃいましたね?悪い先輩…フフッ」

 

 ペロリ、と唇を舐めた彼女を視界の最後に見て、ただ羞恥でへたり込むことしかできなかった。

 




てな訳で主人公が攻略される話。ルクス君マジヒロイン。

主人公のレーダーに反応するもロニエちゃんが妨害するファインプレー。なお今後気づく機会は訪れない…と思う。因みにロニエちゃんが使ったのはアニメ21話かそこらで、アドミニストレータちゃんがユージオ君を動けなくした術と同じです。

続きはまた感想次第。私にやる気を出させ給へ(傲慢)
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