まさかこんな短い間にここまで行くなんて思いもしませんでした。
これからも更新していきますので、どうかよろしくお願いします。
さて本編も原作1巻クライマックスのオリジナル展開となります。
分かる人にはわかる、はず。
「翔、介…?」
目の前に立ちはだかる後ろ姿を見て一夏が声をかける。
翔介はゆっくりと振り向く。
一夏たちはぎょっとする。普段彼の瞳は日本人特有の黒い瞳だ。
しかし今の彼の瞳は赤く染まっている。
さらに彼が纏うISが変わっている。
姿形は打鉄に似ているがカラーリングが大きく変わっている。
本来の打鉄のカラーは灰銀色となっているが今の打鉄は銀色のボディに赤いラインが描かれている。
そして極め付きはその胸に光る青い宝玉。
明らかに打鉄には付いていなかった装飾だ。
「あんた、本当に翔介…?」
明らかに様子のおかしい翔介。
それに先ほどまで気を失っていたはず。ISを乗り換えている暇などなかった。
カッと黒いISからビームが放たれる。
「翔介!」
一夏が声を張り上げる。
それに触発されたように翔介は素早く振り向き、腕で長方形を描く。すると光の壁が発生しビームを防ぐ。
さらに防がれたビームが反射し黒いISへと向かっていく。
黒いISは横にステップして回避する。
反射されたビームはアリーナの地面をえぐる。
明らかに再起動する前より威力が上がっている。
翔介は大地を蹴り跳ねる。
黒いISはなおもビームで迎撃してくるも、一飛びで一気に間合いを詰める。
懐に飛び込むと手刀を連続で三発。そのボディに叩きこむ。
黒いISの身体がぐらりと傾く。
しかしすぐさま大きな腕で薙ぎ払う。翔介は薙ぎ払う腕を両手で受け止めると流れるように背負い投げ。
黒いISは受け身を取る間もなく地面に叩きつけられる。
翔介の攻勢は止まらない。
受け止めた腕をジャイアントスイングの要領で振り回し、今度は壁へと投げつける。
だが黒いISもやられてばかりではない。
投げつけられた黒いISはまるで蜘蛛のように壁に張り付く。
するとバリッとその背中が破け、そこから砲身がいくつも生えてくる。
砲身は翔介に狙いをつけビームを放つ。
翔介は空へと飛びあがる。腕を伸ばしまるで水泳選手のような態勢で空を上る。
襲い来るビームの嵐を空中で躱していく。
「どうなってるんですの…?」
「あれ、本当に翔介…?」
三人の知る翔介はようやく空中を飛ぶことができるようになったばかりだ。
それが今目の前で襲撃者と戦っている翔介はまるで別人だ。
実力を隠していたのか。
いや、あの少年がそんな器用な真似ができるわけがない。
翔介は空中でビームを躱し、壁を蹴る。
そして黒いISへと接近。
二つの影が交差する。
バキンっ!
激しい金属音を鳴らしISの背中から生えた砲身が両断される。
一体何が起きたのか。
よく見れば打鉄の手にはエネルギーが貯められている。そのエネルギーを刃状にし、手刀で砲身を断ち切ったのだ。
そして今度はそのエネルギーをリング状に形成する。
リングは高速回転する。それは丸鋸のように見える。
翔介は光のリングを投げつける。
高速回転するリングは黒いISの片腕を両断する。さらに翔介は続けざまにもう一つ光のリングを投げつける。
今度はもう片方の腕を断ち切る。
迷いのない攻撃。
それはやはり一夏たちの知る翔介からは想像できないものだ。
両腕を断ち切られ、成す術をなくした襲撃者。
翔介はそんな襲撃者を見据えている。
すると胸に輝いていた青い宝玉が赤に変わり、点滅を始める。
黒いISがビームを収束し始める。
苦し紛れの一撃なのか。しかし、その狙いは一夏たち。
「くそっ…させるかよ…!」
一夏はふらつきながらも鈴とセシリアの前に立ちはだかる。
だがそれを遮るように翔介がさらに一夏の前へと立つ。
前に出るなと言っているようだ。
胸の点滅が早くなる。
翔介は足を踏ん張り、腰を落とす。
胸の宝玉からバチバチと両手にエネルギーが伝わっていく。
黒いISがビームを放つ。
翔介が腕を十字に組む。
その瞬間集められたエネルギーがスパーク。
青白い光波熱線がその腕から放たれる。
光と光がぶつかり合う。
しかし拮抗したのは一瞬。翔介から放たれた光波熱線が黒いISのビームをかき消していく。
そして光波熱線は黒いISを飲み込んだ。
『キケンド……ニン…スぺ…ム…』
光が収まる。
アリーナの地面には砕けたIS。
そして翔介。胸の宝玉の点滅が早鐘のように鳴り響いている。
戦いが終わったことを感じ取ったのか赤と銀の打鉄が元の灰銀色に戻る。
「ふぅ……」
翔介はそのまま倒れこむ。
しかもISを装備したままだ。
「しょ、翔介!」
「翔介さん!」
三人は慌てて駆け寄り、打鉄から翔介を引っ張り出す。
「すー…すー…」
引っ張り出された翔介は安らかな寝息を立てていた。
「…寝てる?」
「寝てますわね」
「こいつ、神経図太すぎでしょ」
寝てるだけとわかり、すっかり脱力する。
「にしても何だよ、アレ」
「アレってどれよ。もう色々ありすぎてこっちは頭ゴッチャゴチャよ」
「何はともあれ、後は教官に頼みましょう」
「「賛成ー…」」
セシリアの言葉に一夏と鈴も地面に大の字で倒れこむのだった。
「道野…」
観客席では箒がアリーナの地面に寝ている翔介を見て呟いた。
本日は短いけどここまで。
襲撃者を謎の力で撃破した翔介。
これで事件も一件落着…のはずだけど少しばかりひと悶着ありそうです。
翔介の力は一体何なのか。