インフィニット・ストラトス -光の約束-   作:メビネク

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篠ノ之箒、登場!

純和風なキャラクターが好きな作者としては結構ツボに入るヒロインだったりします。


3話

二時限目。

科目はISだが、正直翔介には付いていくことで精いっぱいだった。

 

「えっと、織斑君」

 

「は、はい」

 

「今のところまでわからないところありませんでしたか?」

 

教壇で授業をする真耶が目の前の席に座る一夏に声をかける。

一夏はしばらく手元の教科書を眺めると。

 

 

「全部わかりません」

 

 

ズデデッ!

本日三回目のクラスメイトのズッコケシーン。

 

「ぜ、全部ですか? えっと、他に分からない人いますか?」

 

困り顔でクラス中に問いかける真耶。

しかし、誰も手を上げない。

理解度で言えば翔介も一夏とどっこいどっこいなのだが、あえて手を挙げなかった。

というのも…。

 

 

スパァン!

こちらは本日四回目の快音が響く。

 

 

「この馬鹿者が。事前に教本に目を通しておかなったのか」

 

千冬が出席簿を持って鬼の形相をしていた。

 

教本とは事前学習のために新入生に送られる分厚い教科書の事だ。入学式数日前に送られてきた翔介にとっては地獄そのものであった。

 

「電話帳と間違えて捨てました」

 

これは来ると確信した。

 

 

スパァン!

 

 

「再発行してやるから一週間で覚えろ」

 

「一週間!? それはいくら何でも無茶だぜ、千冬姉!」

 

「織斑先生だ! いい加減に覚えろ!」

 

額に青筋を浮かべる千冬。その形相はまさしく修羅。

すると、その視線は翔介へと向けられる。

 

「道野、お前はどうだ?」

 

ここで言葉を間違えると一夏の二の舞になるのは目に見えていた。

 

「捨ててはいません…ただ、全部はまだ覚えてません…」

 

ならば正直に答えるしかないと本能が叫んでいた。

どうやら選択は間違っていなかったようで千冬は出席簿をしまう。

 

「ならお前もすぐに覚えろ。あれに書かれているのはISの基本だ。基本を覚えない者にISは触れさせん。自分にも周囲に対しても危険だからな」

 

「なんか翔介には甘くねぇか…」

 

「何か言ったか、織斑」

 

「い、いえ!」

 

その後の授業はなんとかつつがなく進んでいった。

 

 

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「まったく、ひでぇよな」

 

「ごめんね、ああ言わないと僕も叩かれてたかもしれないし」

 

四時限目も終わり、今は昼休み。

翔介の席に一夏が突っ伏してぼやく。

 

「まあ、捨てた俺が悪いんだけどさ」

 

「ははは…あ、でもね」

 

「ん?」

 

「僕じゃないけど、婆様…祖母も間違えて捨てそうになったんだよ」

 

気落ちする一夏にそう告げる翔介。

ポカンと翔介を見る一夏。

 

「…プッ、ハハハハハハハッ! お前もかよ!」

 

「うん、危うく回収車に持ってかれるところだったよ」

 

同じような失敗談に笑い合う二人。

どうやら一夏も元気が戻ったようだ。

ひとしきり笑うと一夏は立ち上がる。

 

「よし、飯行こうぜ! 食堂でよかったか?」

 

「あ、うん。行こうか」

 

二人で食堂へ向かおうと教室を出ようとすると。

 

「い、一夏」

 

一夏を呼び止める。

 

「ん、なんだ、箒か、どうしたんだ?」

 

箒と呼ばれた女生徒。

先程のセシリアと打って変わり、日本人特有の黒髪。腰ほどまでに伸びた髪を頭の後ろで結わえてある。セシリアとはまた違った部類の美人と言えよう。

 

「あ、翔介は初めて話すか? こいつは篠ノ之箒。俺の幼馴染だ。といってもこの学校で久しぶりに会ったんだけどな」

 

「よ、よろしく」

 

「あ、よろしくね」

 

挨拶を交わす翔介と箒。

しかし、箒の視線はチラチラと一夏に向いている。

 

「それで何か用か?」

 

「う、うむ。一夏、少し時間いいか?」

 

「時間? 俺たちこれから昼飯に行くところだったんだけど」

 

「二人だけで話したいんだが…」

 

そういうとチラリと翔介を見る。

一夏の話からすれば二人は幼馴染。久しぶりに会ったのだから、積もる話もあるのだろう。食堂に一人で行くのはなかなか勇気がいるが二人の邪魔をするのも申し訳ない。

 

「織斑君、僕のことは良いから篠ノ之さんと行ってきなよ」

 

「え、でもいいのか?」

 

翔介は頷く。

 

「そっか、ならまた明日一緒に飯に行こうぜ。じゃあ、箒行こうぜ」

 

そう言って教室を出ていく一夏と箒。

すれ違いざまに箒は翔介に向き直り。

 

「割り込むようなことをして済まない」

 

「気にしないで、二人で話したいこともあるんでしょ?」

 

「う、うむ。感謝する」

 

箒も一夏を追って教室を出る。

 

「……さて、僕も行こうかな」

 

残った翔介も教室を出て、食堂へと向かうのだった。

 

 

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「あ~……」

食堂に赴いたはいいが、困ったことに座れる席がなかった。

少し出遅れてしまったようだ。

仕方がないので、総菜パンを買ってどこか適当なところで食べようかと考えていると。

 

「あっ、ミッチーだ。お~い、ミッチー」

 

どこかで誰かを呼ぶ声がする。

 

「あれ? ミッチー?」

 

「道野君?」

 

自分の名前を呼ばれて初めて振り返る翔介。

そこにはテーブルに座る三人の女子生徒たちがいた。

ヘアピンを付けた真面目そうな少女と、打って変わって活発そうな少女。そして何故だかダボッと長い袖ののほほんとした少女だ。

 

「ミッチー、座るところないならここに座りなよ~」

 

「ミ、ミッチー?」

 

どうやらミッチーとは翔介の事らしい。

 

「道野君だからミッチーなんだってさ」

 

「それでどうですか? 良ければですけど」

 

そう言って空いた席を勧められる。どうしようかと考えるものの、折角の厚意を無下にするのも申し訳ない。

 

「ありがとう」

 

厚意に甘えて、勧められた席に座る。

改めて三人を見て、自己紹介の時を思い出す。

それぞれ鷹月静寐、相川清香、布仏本音という名前だった。

 

「それにしてもてっきり道野君は織斑君と一緒かと思ってましたけど」

 

「織斑君は篠ノ之さんが話がしたいからって一緒に行ったよ」

 

「へ~、篠ノ之さん大胆~」

 

「二人とも幼馴染なんだって。久しぶりに会ったらしいし、積もる話でもあるんじゃないかな?」

 

食事をしながら三人と会話をする。

同年代と一緒に食事するというのも初めての経験だ。

 

「オリムーとシノッチは仲良しさんなんだね~」

 

そう言ってモグモグと食べる本音。

手が袖で隠れているのに随分と器用に食べる。

 

「そういえば篠ノ之さんの噂って本当かな?」

 

「噂?」

 

「そっ、篠ノ之さんのお姉さんがあの篠ノ之束博士だって」

 

「篠ノ之束博士…」

 

その名前だけは知っている。

ISを発明した稀代の天才。送られてきた教本にも最初に書かれていた名前だった。

 

「確かに篠ノ之なんて珍しい苗字そうそうあるものじゃないですよね」

 

「じゃあやっぱり本当なのかな?」

 

そんな会話を交わしつつ昼休みは流れていった。

 

 

 




本日はここまで。

予告通りファースト幼馴染・篠ノ之箒登場。

次回はついに最初の関門、セシリア戦へと突入。
戦闘シーンとかいろいろ頭捻っていかないとですね。



始めたばかりですが、お気に入りしてくれた方ありがとうございます。

ゆっくりではありますが、これからもよろしくお願いします。
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