インフィニット・ストラトス -光の約束-   作:メビネク

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42話

学年別トーナメント二日目。

前日に引き続き一試合目の出番である翔介とラウラは控室で待機している。

控室内は異様な緊張に包まれていた。

 

その理由は試合の組み合わせ。

『織斑一夏&シャルル・デュノア』

昨日の今日であるがまさかこんなに早くぶつかるとは思っていなかった。

この組み合わせにどこか意図的なものを感じてしまう。

 

パートナーであるラウラもじっと組み合わせを睨みつけている。

彼女にしてみれば一夏は因縁の相手とも言える。以前ほど嫌悪の対象ではないようだがそれでも思うところはあるようだ。

 

「ボーデヴィッヒさん、その…」

 

「道野、連携を忘れるな。昨日のようにやれば十分対抗できる」

 

「う、うん」

 

ラウラはそう言うと携帯を取り出し、操作する。

携帯を差し出すとそこには一夏とシャルロットの二人の戦闘シーンが映し出されていた。これは昨日の試合の様子のようで、試合後に別れた後に撮影したのだろう。

ムービー内では一夏が雪片で相手に斬りかかり、シャルロットが素早い機動で相手を翻弄しながら銃撃していく。

 

「よく見ておくといい、。織斑一夏の零落白夜も勿論脅威だが、デュノアもなかなか厄介だぞ」

 

シャルロットに注目してみると彼女は射撃を行うと寸分の隙なく次の武器へと切り替えを行っていく。

 

「これって…」

 

「ああ、この装備の切り替えの早さは油断ならない」

 

本来ISの装備はデータとなり機体の中に収められている。それを呼び出すことで装備することができる。この呼び出し速度は個人差があり、上手なものであれば一秒とかからず

装備を呼び出すことができる。

ちなみに翔介は現在最速で五秒ほどだ。それでも時間はかかり過ぎとのこと。

 

「とにかくこの二人はどちらも注意した方が良いだろう」

 

「うん、わかってるよ」

 

翔介は携帯を返しながら頷く。

言われずとも油断していい相手ではない。

 

「ISの準備は良いか?」

 

「うん、布仏先輩にしっかり調整してもらったよ」

 

「なら行くぞ」

 

「うん!」

 

ラウラは待機状態のISを呼び出し、その身に纏う。

翔介は控室に鎮座する打鉄に乗り込むのだが待機状態から呼び出す行為が少し羨ましくも感じた。これは少年の心をくすぐられる。

 

二人はまた拳を軽くぶつけ合い、アリーナへと飛び出していった。

 

「ところで昨日言っていた私が織斑一夏に惚れるという話だが、やはりそれはあり得んと思うのだが」

 

「まだ考えてたんだ…」

 

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アリーナに飛び出し、一夏たちに対峙する。

教室では毎日顔を合わせていたが、パートナー決めを行ってからちゃんと話すことはなかった。お互いトーナメントに向けての訓練が忙しかったのもあるのだが。

 

「よお、翔介。もう戦うことになるなんてな」

 

「僕もそう思うよ。本気で来るんだよね?」

 

「当たり前だろ? それに…」

 

一夏の視線がラウラへと向けられる。

苦々しい表情はセシリアや鈴たちを圧倒し、傷つけたことを思い返しているのだろう。

ラウラもそれに関しては一切弁解はしなかった。

 

「まあ、なんか随分と変わったっていうのは聞いてたけどお前が一緒にいるってことはそうなんだろうな」

 

「あはは…僕がしたことは少しだけなんだけどね…」

 

「さあ、準備はもういいだろう」

 

「うん…」

 

 

試合開始のブザーが鳴る。

 

「うおおおおっ!」

 

まず飛び出してきた一夏。

雪片を展開している。一夏の白式は第一形態から単一仕様が使えるという強みを持つ代わりに雪片以外の武装を持つことができないという欠点がある。

その為、彼は近接攻撃以外の手段はないのだが。

 

「援護するよ、一夏!」

 

今回はシャルロットと組むことによりその欠点はカバーされている。

一夏の後方から正確な射撃が放たれる。

翔介は重ね畳を展開して、銃撃と斬撃の両方を受け止める。

二人の攻撃を受けとめた翔介の後ろからラウラがワイヤーブレードを射出する。

 

一夏は空へと飛びあがり、シャルロットはシールドと近接ブレードを駆使しながらワイヤーブレードを弾いていく。

回避しながらも高速切替でアサルトカノン『ガルム』に交換、すぐさま反撃に転じる。

 

翔介はラウラの前に立ち、ひたすら重ね畳で防ぎ続ける。

一夏たちに翔介から攻撃する隙は見当たらない。ならば防御に専念する。

重ね畳の防御の厚さに近接ブレード『ブラッド・スライサー』を呼び出し斬りかかる。

近接ブレードは盾にぶつかるが、やはり堅牢な盾を突破することはできない。

流石は科特研が誇る盾だ。

 

「もらったぞ!」

 

翔介の影からラウラが飛び出し、プラズマ手刀でシャルロットに斬りかかる。

だがその判断は誤りだった。

 

「それはこっちの台詞だ!」

 

「なにっ!?」

 

シャルロットに集中しすぎたのが仇になってしまった。

ノーマークであった一夏が翔介とラウラの間に雪片で割り込んでくる。

ラウラは飛び退り躱すが、そのせいで翔介とラウラの間に距離ができてしまった。

 

一夏はそのまま翔介へと刀を振りかざす。

シャルロットの攻撃を防いでいた翔介はこれ以上は防ぎきれないと感じたのか、真横へと転がりながらなんとか躱す。

だがそのせいでさらにラウラとの距離が開いてしまった。

恐らくは一夏たちは元より二人を切り離すことを目的としていたのだろう。

 

果たして彼らの目論見通り、翔介とラウラは分断されてしまった。

一夏は翔介へ、シャルロットはラウラへと向かっていく。

翔介は振りかざされた刀を同じく刀で受け止める。

 

「翔介、お前と戦うのは初めてだな」

 

「そ、そういえばそうだね…!」

 

一夏の言う通り、二人がこのようにぶつかり合うのは初めてであった。

以前もクラス代表決めでその機会があったのだが、結局その時はセシリア戦の後で翔介が目を回してしまいそれは叶わなかった。

 

「実は一度ちゃんと戦ってみたかった」

 

「僕は強くないよ?」

 

「強い弱いじゃないって。お前っていつも訓練頑張ってるじゃねえか。俺もお前に負けられないって思ったんだよ」

 

一夏は刀を下ろす。

翔介からしてみればまさかそんな風に思われているとは考えもしなかった。

 

「だから今日ここで今までの成果っていうのを見せようぜ!」

 

「……うん!」

 

二人は視線をぶつけ合い、二人は刀をぶつけ合う。

 

「うおおおおおっ!」

 

激しい金属音が何度もぶつかり合う。

始めは互角に切り結び合うも、次第に翔介が押され始める。

やはり基礎の違いは大きい。

 

翔介が力任せに刀を横に薙ぐ。

一夏はそれを上昇して身を避ける。だが、翔介もやられてばかりではない。

上昇したところに絡み蔦を射出する。

絡み蔦は上昇する一夏の足に巻き付く。

 

「うおっ!?」

 

「てやああ‼」

 

絡み蔦をグイッと引っ張ると一夏が地面へと墜落する。

翔介は再び刀を握り締め倒れる一夏へと向かう。

しかし、一夏もタダではやられない。足元に巻き付くワイヤーを引き剥がし雪片を構える。

 

「一夏!」

 

そこへシャルロットがラウラを振り切り、アサルトカノンで妨害してくる。

アサルトカノンの銃弾は翔介の肩や足を掠めていく。勢いを削がれた隙をついて一夏が体制を立て直してくる。

 

「一夏、しっかりして」

 

「助かったぜ、シャル」

 

シャルロットと一夏が肩を並べて翔介の前に対峙する。

この二人の連携はかなり厚い。

チャンスと思い攻めてもすぐに立て直される。片方が危機となればすぐにもう片方が反応してくる。

 

「一夏、ここは一気に決めよう!」

 

「おう!」

 

それを合図に二人が飛び出す。

シャルロットが連装ショットガンで銃撃しながら向かってくる。翔介の退路を阻むかのように放たれる銃弾に足がすくむ。

そこへすかさず一夏が懐へ潜り込んでくる。

翔介は刀で応戦しようとするが一手遅かった。

 

ガギィン!

 

翔介の手から刀が弾かれる。

 

「零落白夜発動‼」

 

一夏の雪片の刃が実体からエネルギーの刃へと変わる。

彼の駆る白式の必殺武器。シールドバリアーを切り裂き、直接シールドエネルギーにダメージを与える武器。

そのまま斬り上げるように刀を振るう。

 

「うわああっ!?」

 

翔介の身体が宙を舞い、地面に激突する。

シールドエネルギーが凄い勢いで減少する。

 

「これが零落白夜…!」

 

戦慄する翔介にシャルロットが追撃してくる。

刀を失った彼は重ね畳を展開して衝撃に備える。

 

しかし、シャルロットの身体がガクッと停止する。

 

「ボーデヴィッヒさん!」

 

気付けばラウラが翔介を庇うように立ちはだかり左腕をかざしている。

どうやら停止結界でシャルロットの動きを止めたようだ。

 

「ごめん、やっぱり二人とも強い…!」

 

「大丈夫だ、まだここか…!」

 

ラウラが言い切る前に彼女の背中で爆炎が起こる。

振り向けば二人の背後には一夏がアサルトライフル『ヴェント』を構えていた。

 

「どうして織斑君が銃を!?」

 

「武器の使用許諾か…!」

 

ISの装備は所有者以外使用することができないようにロックが掛けられる。ただし、所有者が許可を出せば登録した他の装備者もその装備を使用することができるのだ。

既に単一仕様を使用できる代わりに雪片以外を装備できない一夏でもこれなら銃火器を使用することできる。射撃攻撃ができないと思い込んでいた翔介たちの思惑の裏をかいた作戦だった。

 

そして、ラウラの停止結界も一対一であれば無類の強さを誇る装備だがそれを持続するには多量の集中力を要する。

その弱点はトーナメント前から聞いていたためそれをカバーするためにも翔介がサポートをすることになっていたのだが一夏たちの作戦によって見事に崩されてしまった。

 

「君の相手は僕だよ!」

 

「くっ…!」

 

シャルロットがラウラに接敵する。

 

「ボーデヴィッヒさん!」

 

翔介が援護に入ろうとするが今度は一夏が妨害してくる。

刀を手放している今では反撃する術がない。

重ね畳でひたすら耐えるしかなかった。

 

 

 

ラウラは焦っていた。

盾を構えて至近距離に接敵しているシャルロット。

振り払おうにもラウラのISであるシュヴァルツェア・レーゲンはワイヤーブレード、肩部大型レールガンなど中遠距離武器が主である。近距離武器といえばプラズマ手刀だがここまで接近されると繰り出す暇がない。

 

「もらったよ!」

 

まごついているとシャルロットの楯がバガンとパージされる。

そこから姿を見せたのは通称盾殺しと呼ばれるシャルロットの切り札だ。

 

「パイルバンカー!?」

 

回避しようにも既に間合いはシャルロットにあった。

パイルバンカーはラウラの身体に突き立てる。

 

バガンっ!

 

炸薬が破裂しバンカーが飛び出す。

さらに一発だけでなく、炸薬を交換しながら連続でバンカーがラウラを貫いていく。

見る見るうちにシールドエネルギーが減っていく。

 

 

負ける。

本能で感じる敗北。

視線の先には一夏の攻撃を盾で必死に防いでいる翔介。

 

負ける。

初めてできた友達と挑んだトーナメント。

ここで終わってしまう。

 

 

嫌だ、ここで終わりたくない。

 

 

終われない。

 

 

 

『願うか…? 汝、自らの変革を望むか…? より強い力を望むか…?』

 

 

 

頭の中、いや心の中に声が響いてくる。

声と一緒に心の中にどす黒いものが流れ込んでくる。

 

「その力なら勝てるのか…?」

 

『汝の望むもの全てを…』

 

 

「ならば…よこせ!」

 

 

 

 

一夏に盾で対峙する翔介。

しかし、次の瞬間。

 

「うわっ!?」

 

シャルロットが二人の間に吹き飛んでくる。

どうやらラウラが巻き返してきたようだ。

 

「ボーデヴィッヒ…さ…ん……?」

 

視線を向けたその先には…。

 

 

 

黒い何かに飲み込まれていくラウラがいた。

 

 

 

 

 




本日はここまで。

ウルトラマンタイガ始まりましたね。
1話からニュージェネレーション勢ぞろいな上に怪獣三体、宇宙人四人とかなり気合入っていましたね。
今後がとても楽しみですね。


黒い何かに取り込まれたラウラ。

一体何が起こったのか、そしてその時翔介は…!
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