インフィニット・ストラトス -光の約束-   作:メビネク

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あの人、先行登場!

そして、お気に入りが10件突破。
これくらいで喜んでいるなと思われるかもですが、やっている側としては1件だけでもうれしいものなのです。


5話

コンコンと職員室の扉を叩き、中に入る。

教室内も当然のことながら女性教員だらけだ。一般教養の授業ももちろんあるがこの学園のメインはIS。女性教員だらけなのも当然と言えば当然だった。

 

「失礼します、織斑先生はいらっしゃいますか?」

 

そう声をかけると職員室の一角に千冬が座っていた。

どうやら先客がいるようで誰かと話していたようだが、翔介に気付いたようで手を上げる。

先客と二言三言話すと先客が離れる。

 

千冬の下へと歩を進める途中で、先客とすれ違う。

空色の髪に赤い瞳を持った美しい女性。制服がベスト状に改造されている。

なんとも不思議な印象を受ける。それと同時に何故だか最近どこかで会ったようなに感じる。

 

すれ違いざまに赤い瞳と目が合う。そして微かだが笑みを浮かべたように見えた。

 

「道野か、どうした?」

 

気付けば千冬の下へ来ていた。

 

「お話中のところすみません」

 

「気にするな、丁度終わったところだったからな」

 

気を使わせてしまったかとも思ったが、それほど気にしてはいないようだ。

 

「それで私に何か用か?」

 

「少しご相談したことが…」

 

「試合についてか?」

 

どうやらお見通しのようだ。

 

「はい、試合をすることについてはもう文句はないんですけど…僕、検査の時以来全然動かしたことなくて」

 

もっと言ってしまうと検査の時も動かしたというよりは起動させただけとも言える。

 

「なるほど、事前に訓練をしておきたいということか」

 

翔介は千冬の言葉に頷く。

勿論五日後なんて短い期間で出来ることなど多くはないだろうが、やらない後悔だけはできなかった。

 

「ふむ…そういうことなら私が指導してもいいのだが、生憎と仕事が詰まっていてな」

 

「そうですか…」

 

千冬に相談すれば何とかなるかと考えたがなかなか難しいようだ。

 

「そんな顔をするな、私は難しいが他の者が指導する」

 

強引ならところはあるが、やはり生徒想いな先生のようだ。

 

「じゃあ、他の先生が?」

 

「他の先生方も仕事があるからな、もっと適任がいる。差し当たり明日の始業前からとなるが大丈夫か?」

 

「は、はい。大丈夫です」

 

「いい返事だ。では話は通しておく」

 

「ありがとうございます」

 

これで何もできずに試合日を迎えることにはならなそうだ。

内心ほっとしているところを見抜かれたのか、千冬がふっと笑う。

 

「道野、手を出せ」

 

言う通りに手を出すと、その上にポンと飴を渡される。

 

「他の生徒には黙っていろ」

 

「あ、ありがとうございます」

 

学園に来た時のコーヒーといい、色々ともらっている気がする。

 

「お前は織斑以上にISとは無縁の世界から来た。わからないことも慣れないことも多いだろ。そんな時は山田先生たちに相談するといい。勿論、私にもな」

 

始めこそ怖い印象だったが、やはり頼れる教員のようだ。

 

「それなら試合も何とかしてほしかったですけど…」

 

文句はないが、不満はある。

 

「慣れないからこそ早いうちに経験するに越したことないだろ?」

 

そう言って少々意地の悪そうな笑みに変えるのだった。

 

 

------------------------------------------------------------------

 

職員室を後にし、寮に戻る。

時間も夕食時を少し超えたためか食堂には空きが目立っていた。

翔介は軽く夕食を済ませ自室に戻る。

 

「ただいま」

 

「………おかえり」

 

部屋には既にルームメイトが帰ってきていた。

既に毛布をかぶっているがどうやら寝てるわけではないらしい。毛布に包まりながらデバイスとずっと睨めっこしている。

始めこそ怒ってるのかと思っていたがそうでもなく、声をかければしっかり答えてくれる。

 

翔介はシャワーの準備をする。

寮には大浴場があるが、現段階では女生徒しか入れないためシャワーで済ませていた。

本当は湯船に入りたいが都合がある以上仕方ない。

ルームメイトは大浴場で入ってくるようでシャワーは現在翔介専用で使用している。

 

着替えの準備をしてシャワー室へ入ろうとすると部屋の扉を激しくたたく音が。

 

「翔介! いるか!? 頼む、入れてくれ!」

 

「織斑君?」

 

何やら切羽詰まったような一夏の声。

何事かと扉を開ける。すると、一夏がそのまま転がり込んできた。

 

「ふう、助かった…」

 

「ど、どうしたの?」

 

ただならぬ様子の一夏。

翔介はキッチンの水道から水を汲み手渡す。

一夏はそれを一息で飲み干す。

 

「何があったの?」

 

「そ、それが……」

 

 

 

「それは織斑君も悪いよ」

 

「うっ、やっぱりそうか…」

 

一夏の話によれば。

彼のルームメイトは箒であった。しかし、タイミング悪くシャワー後の彼女と遭遇してしまう。

そこまでなら一夏が謝ることで事無きを得るのだが、その後が悪かった。ひょんなことで彼女の下着を目撃、その上失言の上乗せ。

木刀の猛攻からなんとか逃げ出し、ここに来たという。

 

「まあ、木刀で殴りかかる篠ノ之さんも悪いところはあるけど」

 

「思わず口を突いて出ちまったんだよ…」

 

「それでも言っていいことと悪いことってあるでしょ?」

 

「うぐっ…」

 

翔介に説教される一夏。

いつの間にやらお互い正座の体制になっている。

 

「幼馴染でも一定の礼儀は必要でしょ? それに随分会ってなかったなら尚更言葉を選ばなきゃいけないところもあるよね? 相手は女の子なんだから」

 

「は、はい…」

 

すっかり意気消沈している。

一夏は言ってしまえば歯に衣着せぬ性格。しかし、言い方を変えれば彼は自分に正直な性格なのだろう。そして、どれだけ時間が経とうが変わらず接することができるのは翔介からすればそれは彼の長所なのだと思う。

やや直情的で、そのせいでいらぬトラブルを巻き起こしているような気もしないでもないが。

 

「でも、どれだけ時間が経っても友達と変わらず接することができるのはいいことだと思うよ」

 

「そ、そうか?」

 

「でもちゃんと礼儀も守らないとダメだよ」

 

「お、おう…よし、俺謝ってくる」

 

そう言って立ち上がる一夏。だが、扉に手をかけるも出て行こうとはしない。

どうやら謝るとは決めたものの箒の剣幕を思い出し躊躇しているようだ。

変に時間を置くと尚更謝りづらくなると思うのだが。

だが、一度喧嘩してすぐに謝りづらいというのも分かる。

 

「なら篠ノ之さんと僕話してこようか?」

 

「マ、マジか?」

 

「間に誰か入ったほうがお互い話しやすくなるかもしれないしね」

 

「頼めるか…?」

 

こうして翔介は一夏たちの部屋へと向かうことになった。

一夏はその間翔介の部屋で待機することに。

 

 

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翔介は一夏たちの部屋の前へと来ていた。

穴だらけのドアをノックする。

すると、その穴から瞳が覗く。

 

「道野か…何か用か?」

 

「ちょっと入っていいかな?」

 

「………入れ」

 

どうやらお許しが出たようだ。

穴だらけのドアを開けて中に入る。ドアが倒れそうになるが慌てて直し元に戻す。

入学早々設備を破壊して大丈夫なのだろうか。

 

「一夏に言われてきたのか…?」

 

部屋に入ると箒が尋ねてくる。

 

「うぅん、これは僕の提案」

 

「そういうタイプには見えなかったがな……」

 

そう言って箒はベッドに座る。

翔介は椅子を借りて座る。箒自身も少し時間が経ったため少しは頭が冷えたのだろうか。何とか話を聞いてくれそうだ。

内心自分も木刀で追いかけられるのではと思いビクビクしていたがその心配はなさそうだ。

 

「えっと、簡単に言っちゃうけど今回は織斑君も悪いと思うよ」

 

でも、と続ける。

 

「篠ノ之さんも木刀で殴りかかるのは良くないよね? それじゃ怪我じゃすまないかもしれないよ?」

 

「わかってはいる、いるが…ブ、下着を着けるようになったんだななどと言われては」

 

そこばかりは何も言い返しようがない。

 

「流石にデリカシーというものがなさすぎではないか!」

 

「うん、それは織斑君が悪い」

 

「もっと他に言うことがあるだろ…まったく…」

 

そう言ってブツブツと文句を漏らす。

その様子を見てふと翔介は思い至る。

 

「篠ノ之さん、もしかして織斑君のこと好きなの?」

 

「ななななななななっ!? き、貴様! 何を突然!?」

 

「あ、あれ!? 違った!?」

 

「な、なぜそう思った…」

 

「えっと…なんとなく…?」

 

「な、なんとなくだと?」

 

翔介は人の機微に敏感な方ではない。

しかし、そんな翔介でもなんとなくで察しが付くほどの態度だったらしい。

 

「わ、私は……別にあいつのことなど……」

 

「そうなの?」

 

「いや、その……」

 

口ごもる箒。

どうにもこの男子生徒に問い掛けられると隠し事ができなさそうな気がする。意図的にやってるわけではないだろうがどうにもそんな雰囲気がある。

 

「……………好きだ、昔から」

 

「やっぱりそうなんだ」

 

「似合わないだろ…」

 

なんだか勝手にテンションが下がっていっている。

 

「そんなことないよ。凄くいいことじゃない!」

 

そう言って目を輝かせる翔介。

 

「な、なに?」

 

「だって人を好きになること自体素敵なことなのに、昔からずっと好きだっただなんてもっと素敵じゃない!」

 

道野翔介という少年にとって恋愛とは物語そのものである。娯楽の少ない田舎に住んでいた彼は古い恋愛小説や漫画を愛好してきた。

一昔前の恋愛物と言えばベタなものが多かった。それを愛好していた彼にとって幼馴染への恋心とはまさに恋愛物の王道であった。

 

そんな翔介に手放しで褒められ、逆に困惑してしまう箒。

 

「僕、篠ノ之さんの事応援するよ!」

 

「あ、ああ…ふっ」

 

吹き出す箒。

 

「お前は変なやつだな」

 

始めはどうなるかと思ったが、結果的に無事に話し合いは終結した。

それを伝えると一夏は翔介に礼を言って戻っていった。

その時、なぜか翔介のルームメイトに睨まれていたと告げていたが理由は定かではなかった。

 

ただその後もう一度逃げ込んでこなかったところをみると無事に仲直りできたようだ。

その様子を想像するだけで少しほっこりする翔介だった。

 

 

 




本日はここまで。

翔介のおせっかい属性発動。

そしてわかる人はすぐわかるあのキャラ登場。そして、さらっとあのキャラも。

次回は翔介、初めてのIS搭乗。

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