戦闘描写が上手く書けるかとても心配。
楯無の師事を受け、遂にやってきた試合当日。
会場となるアリーナにはクラスメイト達だけではなく噂を聞き付けた他のクラスの生徒も集まってきている。
他のクラスの生徒が集まっているのを黙認しているのは早い段階でIS同士の戦闘を見せたいという教師陣の思惑もあるのだろう。
ISを動かせる男とイギリスの代表候補生の試合は話題性という意味でも持って来いである。
「ふぅ……」
これで何度目のため息だろう。
控室で自分の出番を待つ翔介は落ち着きなくウロウロしていた。
ちなみにだが、結局試合日までISスーツは間に合わず体操服での試合となった。
試合の順番はまず一夏とセシリアが戦い、少しの休憩を置いて翔介とセシリアとなる。
今は一夏とセシリアの試合が終わり休憩時間となっている。
あと数分で翔介の出番だった。
「落ち着かなさそうね」
「お師匠さま」
控室の扉を開き、楯無が入ってくる。
「落ち着けないですよ。だって…」
「翔介君は短い期間で出来るだけのことをやったわ。だから出来るだけのことをしてきなさい」
「は、はい…」
それでも不安げな表情は変わらない。
「ならこうしましょう、勝ち負けに関わらず翔介君のお願いを一つお姉さんが叶えてあげるわ」
「お願いですか?」
「ええ、頑張ったご褒美よ。お姉さんに出来ることならあーんなことでもこーんなことでも、なんでも叶えてあげるわよ~」
「あーんなことって何ですか、あーんなことって」
「さあ、何かしら? 翔介君は何を想像したのかしら?」
意地悪そうに笑う楯無。
千冬といい、楯無といい自分の周りにいる年上はなぜこんなに意地悪なのだろうかと頭を抱えたくなる。
「ふふふ、どうかしら? 少しは緊張が解れたかしら?」
「今度は不安になってきました」
別な意味でだが。
『道野。時間だ。ISに搭乗してアリーナに出ろ』
千冬の放送が部屋に響く。
「行ってきなさい。道野翔介君」
翔介は打鉄を撫でながら大きく深呼吸をする。
「よろしくね、打鉄」
もう始まる、結果は見えている。
だけど。
「……じーっととしてても、どうにもならない…」
覚悟を決めた翔介の顔は先程までの緊張は消えていた。
打鉄に乗り込む。
そして足を一歩前に踏み出す。
この四日間ずっと訓練してきた歩行は楯無の尽力のお陰でまだ不格好ながらも転ぶことなくできるようになった。
「行ってきます、お師匠さま」
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アリーナに出ると既にセシリアが待っていた。
セシリアの乗るISは青い機体。
彼女の金髪とのコントラストが美しい。
「来ましたわね、道野さん」
「待たせてごめんね」
翔介とセシリアが向かい合う。
しかし、セシリアの顔はどこか毒気が抜かれたような表情をしていた。
『それでは二試合目、道野翔介とセシリア・オルコットの試合を始める』
千冬のアナウンスが響く。
「お待ちください。少しお時間を」
セシリアはそう言うと翔介に向き直る。
「道野翔介さん、先日の非礼をまずはお詫びさせてください」
「へ?」
今度は何を言われるのかと身構えたが、セシリアから出た台詞は予想外のものだった。
「ど、どうしたの?」
「突拍子もないことは理解しております。ですが、あなたの故郷を侮辱したこと。感情に任せた言葉、どうか謝らせてください」
「え、あ、いや。そんなに気にしてないから」
どうやらセシリアは本心から謝罪をしているようだ。昨日までは目が合ってもプイッとそっぽを向かれたのだが。
今日のうちに一体何があったのだろうか。
しかし、彼女がもう怒っていないとなるとこの試合自体意味がなくなる。
だが……。
『話しはもういいか? では試合を始めるぞ』
千冬がそれを許す訳もなく。
「道野さん、気が進まないのであればわたくしから試合を辞退してもよろしいのですが…」
「……うぅん、やるよ。ここで辞めるなんて言ったら…織斑先生が怖いよ?」
「うっ…それは…」
セシリアも千冬の恐怖を実感しているようだ。
ビーッと試合開始のブザーが鳴る。
「行きますわよ! 道野さん!」
試合が始まるや否やセシリアが長い砲身の銃を呼び出す。
その武器からして彼女は銃撃を主とした戦いをするのだろう。
銃口はすぐさま翔介を狙う。
翔介は銃口から逃れるように走り出す。
この四日間の訓練でなんとか走るまでできるようになった。
「セシリア・オルコットとブルーティアーズが奏でる輪舞、走って逃れられはしませんわ!」
砲身からカッとレーザーが放たれる。
「うわっ!」
レーザーの直撃は避けたが、右腕に命中する。
痛みはないがシールドエネルギーを示す数値が減少する。
立て続けに銃撃が襲い掛かる。辛うじて直撃はしないが所々に掠めエネルギーがどんどん減っていく。
やられてばかりはいられない。
翔介は武器スロットから同じく銃火器を選ぶ。
アサルトライフル『焔備』。打鉄に常備された銃器だ。
展開するのに五秒。最初の頃よりは少しは早くなった。
焔備を構えて放つ。
セシリアはそれを飛んで躱していく。そもそも銃弾はあらぬ方向に飛んでいったりと牽制にすらなっていない。
もう一度撃つも自在に空を飛ぶセシリアに掠りもしない。
そうこうしているうちにもレーザーが矢のように飛んでくる。
それを走り回りながら避けるがシールドエネルギーはどんどん減っていく。
一方的な展開。
セシリアは試合が始まってから何か違和感を感じていた。
だが、今それがわかった。
「道野さん、あなたどうして飛ばないんですの?」
バレた。
そう、道野翔介は飛べなかった。
本日はここまで。
中途半端だけど一旦ここで区切ります。
楯無による四日間の訓練をこなした翔介。
しかし、飛ぶまでには至らず大ピンチ。
次回はセシリア戦の後半となります。
どうぞよろしくお願いします。
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