世界を終わらせるもの【完結】   作:畑渚

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なんで投稿ペースを守らない投稿をしたかって?評価バーに色が付いたからだよ!
本当にありがとうございます!お気に入りやしおり登録してくれた方にも感謝です!

___注意喚起___
・DEEPDIVEネタバレ
・独自設定、キャラの独自解釈
以上が大丈夫な方のみ、先にお進みください
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9's_battle

「そういえば勝負の話、私の勝ちってことでいいのよね」

 

「うん、僕が先にギブアップしたみたいだからね」

 

 45はしばらく考え込み、それからポツリと言葉を漏らした。

 

「じゃあ私の質問に答えて。あなたは昔は何をしていたの?」

 

「……随分と抽象的だね、それを語るには一回の勝ちくらいじゃ到底無理だよ」

 

「そうね、じゃあこれだけは答えて」

 

「なんだい?」

 

「あなた、鉄血工造の関係者?」

 

「……そうだね、その質問に答えるなら、イエスだね」

 

「鉄血の……ね」

 

「まあ待ってくれよ45君。おそらく君が考えているような人間じゃないよ」

 

「……何を言っているの?」

 

「言葉の通りさ。だから……銃はやめてくれないかい?」

 

 45は銃に手をもっていっていた。セーフティまで解除している。もし彼女が撃とうと思えば、男は何の抵抗する間すらないだろう。蜂の巣よりも多くの穴ができることは明らかだった。

 

「無理かい?」

 

「ええ、あなたがあの鉄血の関係者っていうだけで殺すに値するわ」

 

「君がどうしてグリフィンの側にいるのかは聞かないさ……」

 

 男は両手を上げて降参のポーズをとる。45は銃を構えてこそいないものの、既に撃つ用意は済んでいる。

 

「45君がいろいろと抱え込んでいるように僕もいろいろと事情があるのさ」

 

「私?私が何?」

 

「君、鉄血製だろう?随分と特殊な構築をしてるみたいだったけど」

 

「っ!あなたいったいどこまで!」

 

 45は銃を構え男の眉間に照準をあわせる。

 

「君らしくないじゃないか。まあ落ち着いてなにか飲まないか」

 

「そんなことどうだって良いわ。いったい何者なの?」

 

「それは……明かせないかな。僕の口からはね」

 

「いいから言いなさいよ。死にたいの?」

 

 男は何も言わない。答える気はないみたいだった。

 

「言う気はないってこと?そうやって人間はいつもいつも……」

 

 45は男をにらみつける。

 

「これだから人間って嫌いなのよ!」

 

「ダメだよ45姉!」

 

 45が引き金に指をかける直前、部屋に飛び込んできた9が45の銃を取り上げる。

 

「返しなさい、9」

 

「どうしたの45姉!?護衛対象に銃を向けるなんてらしくないよ!」

 

「あなたは知らなくていいことよ。はやく銃を返しなさい」

 

「ダメだよ!ほら、ぼーっと突っ立ってないで離れて!」

 

 45と男との間に9は割り込む。背中で男をかばっているようだった。

 

「……9、あなたまでそっち側につくのね……忌々しい」

 

「45姉、目を覚ましてよ!」

 

 パシンと軽い音が部屋に響く。それは9が45の頬を叩いた音だった。

 

 信じられないものを見たかのような表情を浮かべた後、45は扉の方へと歩いていく。

 

「どこに行くの、45姉?」

 

「……少し頭を冷やしてくるわ。冷静じゃなかったみたい」

 

 パタンと扉を閉じて、45はどこかへと行ってしまった。

 

「びっくりした……まさか45姉があんなになるなんて」

 

「大丈夫かい9君」

 

「それはこっちのセリフだよ?まだ無傷みたいで良かった」

 

「おかげさまでね」

 

 男は端末の前へと座る。45との通信をしたケーブルがまだ刺さったままだった。

 

「ねえ、45姉に何をしたの?あんなことになるなんて」

 

「ただ話をしていただけさ」

 

「話だけでああなるとは思えないんだけど……いったい何を話したの?」

 

「9君、とぼけるのはよくないよ。君も聞いていたんだろう?」

 

「なんでそう思うの……?」

 

 9は男に笑顔を向ける。その笑顔は無邪気な少女のようであった。しかし、彼女の右手にはサブアームの拳銃が握られている。

 

「簡単な推理さ。45君が何も用意せずに僕に銃を向けるほど馬鹿じゃないことはわかっているんだ」

 

「……そう」

 

「だから銃はそろそろやめてくれないかい?」

 

「うん、わかった。G11、もういいよ」

 

 男の後ろのほうへ向けて9がそう言葉をかける。男が振り返ると、そこにはソファに寝転がったG11がいた。あいかわらず寝息を立てている。

 

 しかし、男は気がついた。先程まで机の上に置かれていた銃が、今はG11に抱きまくらにされている。

 

「まったく、おっかないね君たちは」

 

「それで、45姉ほどじゃなくても私だって鉄血に恨みはあるんだけど」

 

「ああ、まずはそこから説明しようか」

 

 9が警戒を緩めた様子を見て、男は椅子へと座った。9も男の対面に座る。

 

「僕は確かに鉄血の関係者だ……ただし元という文字が頭につくがね」

 

「うん、それは今の鉄血を見ればわかるよ」

 

「ついでに言うならば鉄血工造の人間でもない」

 

「……どういうこと?」

 

「僕はある研究所に所属していたんだ。そこが鉄血とも取引がある場所でね」

 

「なるほど、だから”関係者”なんだね」

 

「人形の開発にも関わったことがあるよ。45君のような構築のされ方もいくつかみたことがあった。だから45君のメンテナンスもできたんだ」

 

「なるほど。それで、その研究所があそこなの?」

 

「そうだね、僕の居たあそここそ、僕がいた研究所の施設だよ」

 

 9は男のいた施設を思い浮かべる。確かに研究所らしい箇所はあった。

 

 しかし、施設の大半がホコリで覆われた廃虚でもあった。

 

「なんであなたはあそこにいたの?」

 

 男は無言だった。話に飽きた様子だった。

 

「他のメンバーは?まさか死んだの?」

 

 男は無言で立ち上がり、台所へと向かう。どうやらコーヒーを淹れるようだ。

 

「ねえ、答える気はないってこと?」

 

「ヒントくらいはあげてもいい。でもタダというのも考えものだと思っているところさ」

 

「……そうだ!勝負はどう?私が勝ったら教えてよ!」

 

「いいよ。ただし僕が勝ったら……二度とこの話はしないでくれ」

 

 男は初めて、9の前でその顔を見せた。それは苦しそうで、悔しそうで、何より悲しそうだった。

 

 

=*=*=*=*=

 

 

「9君、これは何だい?」

 

「知らない?ババ抜きって言うんだけど」

 

「……僕の記憶だとこれは二人でやるゲームじゃなかった気がするんだけど」

 

「いいから!」

 

 9はもうトランプを配り始めている。男は渋々と付き合うことにした。

 

 

 

 

 そして少し立つと……男の手に二枚、9の手に一枚だけが残った。

 

「どっちを引いてほしい?」

 

「僕から見て右側のほうかな」

 

 男も9も笑顔を顔に貼り付けている。本心を隠すための偽りの表情だ。

 

「……それじゃあそうするね!」

 

「な、何ぃ!?」

 

 9が手にとったのは……絵柄が書かれたカードだった。それはハートのQだった。

 

「やった!私の勝ちだね!」

 

「やれやれ、随分と白熱してしまったよ……」

 

「楽しかったね!それじゃあさっきの答えを聞いてもいいかな?」

 

「ああ、ヒントだね。ヒントは……蝶事件だよ」

 

「っ!……ご、ごめん」

 

「いや、いいんだ。いつまでもくよくよしてるほど僕は弱くはないさ」

 

 そういう男の顔には、やはり悔いのようなものが隠しきれていない。

 

「ごめんなさい、私軽い気持ちで……」

 

「気にしないでくれと言ってるだろう?」

 

「うん、そう言うなら……」

 

 男は冷めきったコーヒーを一気に流し込んだ。砂糖もミルクも無い今、とても酸っぱく苦かった。

 

「……その話は45姉とか他の人に言ってもいいの?」

 

「好きにしてくれて構わないよ」

 

「わかった」

 

 9が部屋から出ていく。彼女のことだ、45の元へと向かっているのはすぐにわかった。

 

「蝶事件……ずいぶんと懐かしいことを思い出してしまったな……」

 

 男は椅子から立ち上がり、窓の外を見る。雨雲が刻々と近づいてきていた。

 

 

=*=*=*=*=

 

 

 45が部屋を出てベランダにいると、後ろから気配がした。

 

「なにかしら416」

 

「それはこっちのセリフなんだけど?飲み物を取って見張り場所に戻ったらあんたがいたんでしょう?」

 

「……そうね、おかしいのは私の方みたいね」

 

「9から聞いたわ。護衛対象に銃を向けたってね」

 

 416は2つある缶の片方を45に渡す。45は驚いた様子で416を見る。

 

 45の視線を気にも留めず、416はプルタブを引っ張った。プシュッと軽い音がし、炭酸の弾ける音が聞こえる。

 

「何も言わないの?」

 

「なにか言われたいの?あいにく罵倒しかでないけど」

 

「それじゃあ止めておくわ」

 

 45も缶を開けて中の清涼飲料水を一気に飲み込む。口内と喉を炭酸が刺激し、目が冴える。

 

「ありがとう」

 

 立ち上がった45は顔も合わせずにそれだけ呟いた。そして、室内へと戻っていった。

 

「……誰かあいつに、礼は顔見てしろって教えてくれないかしら」

 

 そう愚痴をこぼしながら、416は見張りへと戻る。雨雲が近づいていた。今日の夜は湿気で寝づらそうだと、顔をしかめた。

 




おそらく、45姉の頬をはたく9という構図で解釈違いが起きやすい……
でも、これが私の推してる9の像です
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