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「あちゃー、完全に降ってきたね~」
空を見上げながら9が戻ってくる。
「45君はなんて言ってたんだい?」
「どうやらこの先に、気象センターっていう建物があるらしいの。そこで情報収集をしたいから、雨宿りはそれまで我慢してだってさ」
「わかった。それじゃあもう少しの辛抱かい」
男は雨合羽を身にまとう。
「似合ってないね~」
「さすがにこの格好は奇抜だね。自分でもわかっているよ」
そういう男は、雨合羽の下に白衣と白いシルクハットを身に着けている。道化師にしてもひどすぎる格好だった。
「っとあれかな?」
9が指をさしたのはレーダーのようなものだ。
「あれは……何のレーダーだい?」
「気象を……なんだろう?」
「9君もわからないか。まあ専門外だから仕方ないね」
「そうだね~。私は知識としてインプットされたこと以外は無知に等しいし」
「人形の便利な点だね」
「便利?どういうこと?」
「そうだね。人間が知識を得るためにどうしてるかわかるかい?」
「ううん、わからないよ」
「人間は、何かインプットされた情報を理解し、分類し、頭の引き出しにしまいこんで知識を得るんだ」
「人形は……そっか、理解も分類も必要ないからね」
「そのとおりだ。まったく羨ましくて仕方がないよ」
「そう?あまりおすすめはしないよ」
「どうしてだい?」
「だって、考えてみてよ。さっきまで知らなかったことが、突然完全に理解できたこととして頭の中にあるんだよ?いい気分とは言えないんだよね~あの感覚」
9はそう言いながらヘラヘラと笑う。
「9君……」
「ほらっ着いたよ」
建物の自動扉に力をいれると、ゆっくりとスライドしていく。鍵は先に来た45が破壊しているようだった。
「これまた……随分と散らかっているね」
「ここらへんの地域は退避時に混雑したみたいだからね~」
9と話しながら奥へと進んでいくと、45が小さく手招きしているのが目に入る。
「どうしたの45姉?」
「この施設の設備をつかいたいのだけど、流石に電気が切れているの」
「なるほど~」
9は辺りを見回し、おもむろに近くの机に置いてあるパンフレットを手にとった。
「見てみて45姉!電源室ならなんとかなりそうじゃない?非常用電源とか」
「よし、それじゃあ確かめに行きましょうか」
「ちょっとまってくれ45君、416君とG11君はどうしたんだい?」
「ああ、2人なら仲良く……お昼寝よ」
「G11君だけじゃなく416君もかい?」
「珍しいね~」
9も男のように驚いてみせる。
「夜の見張りをしてくれるって言っていたわ」
「えっ?でも今日は416の当番じゃないよね?」
「だからよ。私が徹夜で作業することを見抜いていたんでしょうね」
「さすがは416君といったところだね。45君の習性を随分と理解してるみたいだ」
「そんなことないわ。私の習性なら9のほうがよっぽど知っているし……。少しの期間一緒に過ごしていればわかることよ」
「そうだね!45姉は行動がわかりやすいから!」
「ちょっと9?その言い方は無いんじゃないかしら」
「あはは~ごめんごめん。でも、実際45姉はわかりやすいよ」
「当たり前でしょう?だって無駄に隠す必要もないもの」
「でも肝心な秘密は隠し通すんだろう?」
「あら、あなたも随分と私のことがわかってきたみたいね」
45はクスリと笑った。男には、それが45が心から笑っているときの癖だとわかっていた。
=*=*=*=*=
「9君、どうだい?やはり僕が見てみようか?」
「ううん、大丈夫!それより45姉と一緒にシステムのハッキングの準備をしてて~」
「了解したよ。45君、そういうわけだから」
「ええ、ここは9にまかせて私たちは端末ルームに戻りましょう」
2人は9をおいて電源室をあとにする。
「しっかし、まさか9君が機械修理の心得もあるなんてね」
「当たり前でしょう、私の自慢の妹よ」
「ははは、確かに9君は機械に強そうだね」
男はすこし目をそらした。きっとこの会話も9に聞こえているだろうと、確信はなくともそう思っていた。
「そういえば、ハッキングするアテはあるのかい?」
「ええ、こういう古いシステムならお手の物よ」
「へえ、随分と自信があるんだね」
「当たり前でしょう?私は電子戦特化型のモデルよ?」
「それじゃあ勝負するかい?」
「ぜ、前回の勝敗を忘れたようね」
「なに、今回ばかりは負けないさ」
「ええ、わかったわ。それじゃあ電源が復旧したら同時にスタートよ?」
「任せてくれ」
腕まくりをする男を見て45は不審がる。しかし45自身のスペックを考えてみれば、人間に負けるはずがない。
「大丈夫、私が負けるわけがない」
前回の敗北に近い勝利を頭から振り払い、45は準備を始めた。
=*=*=*=*=
突然、室内の照明が淡く光る。非常時用の照明だけが光っているようだ。
点灯とほぼ同時に2人は端末にアクセスをはじめる。
「セキュリティ突破、パスワード解析終了、アカウント作成失敗、管理者接続……成功、該当アカウント情報を変更、ログイン成功、システム掌握……成功!どう!?」
45が男の方を見ると、男はキーボードから手を離していた。45の方を見ており、拍手をしている。
「さすが45君だね、すばらしいよ」
「あら、そうそうに諦めたみたいね」
「いや、まあそうかな。勝負は君の勝ちでいいよ」
「どういうこと?勝負する気がなかったってことかしら?」
「まあ見ていてくれたまえ」
男はいくつかのキーを同時押しする。
すると、画面が一度真っ暗になり、いくつか文字列が流れたあとに元の画面に戻った。
「あなたまさか……」
「そのとおりだよ45君」
男は慣れた手付きでパスワードを入力する。
すると、全権限をもった状態でホーム画面に移行した。さっき45が一生懸命にたどり着いた画面である。男はその画面に、いとも簡単にたどり着いてみせた。
「わたしを怒らせたいの?」
「気を悪くしたかい?」
「そんなに気は短くないわよ」
そういう45の顔は明らかに怒りの笑みを浮かべている。
「でも、どういうことかは説明してくれるんでしょうね?」
「なに、簡単なことだよ。ここのシステムに侵入したことがあって、そのときのバックドアを再利用しただけさ」
「そんなことだろうとは思ってたけど……」
「なに、誇ると良いよ。45君のハッキング速度は人間だけじゃなく人形の中でもトップレベルだろう?」
「そうとは言えないわよ」
「そんなことはないさ。現に君の指揮モジュールは他の人形よりも効率が良いんだろう?」
「なんでそれを?」
「見ていればわかるさ。個性の強い404をここまでまとめ上げるのは個人の能力だと不可能に近いからね」
「でも指揮モジュールとハッキングに関係性はないわよ?」
「気づいているんだろう?」
「なにのこと?」
45は首をかしげてわからないとジェスチャーをする。それはあまりに大げさでわざとらしかった。
「45君、指揮下の人形の演算能力を使わないように制限をかけているだろう?」
「よく知ってるわね」
「言っただろう?僕は元人形のシステムエンジニアだよ」
「そうね……ならこの機能は知ってるかしら?」
突如、男の触っていた端末の電源が落ちる。
「ああ、もちろんだよ」
男は奥の方にある端末を指差す。それは、さきほどまで男の目の前の端末に表示されていた画面がある。
「僕は実質この施設の大半を掌握している。さっきのコマンド一つでね」
「くっどうやら私の負けのようね」
「……45君、もう少し注意を向けるべきだよ」
「えっ?なにが――」
45の目の前をフラッシュバックかのように記憶が流れていく。
「な、なんなのいったい」
「簡単なことさ。システムに侵入してるときはすごく無防備なんだと本当にわかっているかい?」
「……自覚が無かったのは否定しないけど、だからと言って人のトラウマをポンポンとえぐり出さないで」
「ははっ、すまない。だからそんなに怒らないでくれよ」
「じゃあこれだけはさせて」
45は笑顔を浮かべながら男へと近づいていく。
「いったい何をする気だい?」
「ん~私の思う、一番あなたが傷つくことかな」
45は顔を男へと近づけていく。
「45君!?」
「黙って」
45は手で男の口を塞いだ。そして顔へとだんだん近づき……
そこから少し下にずれ、男の首筋に口をつける。そして……
それからしばらく、45の噛み跡が男の首に残ることになった。
そういえば小戦でるハーメルン作家とかいるんですかね?自分は一般参加してきます。