ApexとドルフロとMGSがごちゃまぜになった感じの
「……あら?私寝てたの?」
「45君、おはよう。コーヒーを淹れているけど飲むかい?」
「ええ、ありがとう」
しばらくキョロキョロと辺りを見回したあと、コーヒーを受け取った。
「他のメンバーは?」
「9君とアーキテクトは話があるって言ってどこかへ行ったよ。416君は食料の調達、G11君は寝てるよ」
「9がアーキテクトと?」
「さあ、なんの用だろうね。9君のことだからアーキテクトを殺すなんてことはしないと思うけれど」
45の困惑を男が解消できるはずもなかった。9とアーキテクトが仲良くしていたことはよく見る光景だったが、だからといって離れて2人きりで話すほどのことがあるようにも思えない。
「でも9君のことだ、悪いようにはしないさ」
「そうね」
45は息をふーふーと吹きかけてから、コーヒーをすする。
「アチッ」
「淹れたてだからね。美味しいだろう?」
「そうね」
今度は念入りに息を吹きかけて、45はコーヒーをすすった。
「45姉!」
45が振り返ると、9が笑顔で手を振りながら戻ってきた。その隣にはアーキテクトがいる。2人とも無事に帰ってきたことに安堵しつつ、男はコーヒーをもう二つ用意した。
「珍しいね。話した内容は聞かないほうがいいかい?」
「うーん、私の口からは言わないよ」
9は思わせぶりにアーキテクトの方へと視線を向ける。
「そうだね、この話は時が来たら私が話すよ」
「随分ともったいぶるじゃないか。まあ無理に話してもらうつもりもないしいいけれどね」
「うん……ありがと」
アーキテクトは俯きながらそう言って、コーヒーを啜った。
「アツッ」
「ははは、淹れたてだからね」
「もう、猫舌なんだから先に言ってよ〜」
口を尖らせながらすねるアーキテクトを、男はなだめる。45と9はその様子を見て、それぞれのいつもの笑い方で笑う。
「随分と楽しそうね」
「416!お帰り〜」
「ただいま。ところで……」
416は男の方を見てニッコリと笑みを浮かべる。416らしくない、満面の笑みだった。
「良い知らせと悪い知らせ、どちらから聞きたい?」
「それじゃあ悪い知らせから聞こうか」
「食料はダメね。食べられそうになかったわ」
本当に悪い知らせである。特に男にとっては、余命が決まったようなものだ。
「それで416君、良い知らせってのはなんだい?」
「これよ」
416が投げてきたものを危なげなくキャッチする。それは車のキーだった。
「まさか、動く車があったのかい」
「残念ながらそんなに都合はよくないわ」
「それじゃあどういうことだい?」
「見たほうが早いわね。G11は?」
「あそこのプレハブで寝てるよ」
「叩き起こしてくるわ」
わざと足音をたてながら416はプレハブへと向かっていった。苦笑いしながら、男も荷物を片付け始める。
「……どうしたんだいアーキテクト」
「うん?いやなんでもないよ」
「っとあぶない」
鞄からこぼれ落ちたネックレスを地面に落ちる前に掴んで、大事そうに戻す。
「それ……なに?」
「ん、これかい?」
男はそのネックレスを光にかざす。
「僕の世話をずっとしてくれていた人形に送ったものだよ」
「人形?」
「ああ、家事を任せていてね。僕が研究所を抜けるときに死んでしまったけどね」
「死んだ?人形なのに?」
首をかしげるアーキテクトから、男は目をそらした。
「僕がバックアップごと研究所を吹き飛ばしたからね」
「えっ!吹き飛ばしたの!?」
「知らなかったのかい?」
「いや、研究所が爆発したってことはわかってたけど……そうかぁ……データサーバーもかぁ」
「サーバーに何かあるのかい?」
「うんにゃー、なんでもない」
そうは言うも、アーキテクトは明らかに落胆した様子であった。男が疑問に思って頭を働かせても、その答えは出そうになかった。
「それよりほら、車に行こ?」
「ああ、そうだね」
男は荷物を持つと、アーキテクトの背中を追いかける。その光景にどこか懐かしかを感じたが、何の記憶だったか思い出すことはなかった。
=*=*=*=*=
416の示す方向へと向かった男たちをむかえたのは、新品かと見間違うほど使用感のない車だった。カバーをかけられており、埃すら被っていない。
「すばらしい発見だ。しかし……これをどうするかだね」
男の視線の先には瓦礫がある。この車庫の出入り口を塞ぐかのように、大小さまざまな瓦礫が転がっている。
「この間を抜けていくのは無理かい?」
「パパ、それは流石に無理だよ」
アーキテクトは男の横で、手で簡単に測りながらそう言う。
「幅が足りてないし、無理に動かせばボッコボコになって動かなくなっちゃう」
「そうだよね……これは困った」
「そのための私だよ!」
「アーキテクト、何か手があるのかい?」
アーキテクトは満面の笑みを浮かべながら、任せてと自分の胸を叩く。
「私がなぜ建築家を名乗ってると思っているの!416、榴弾は残ってる?」
「ええ、あとこれだけ」
そう言ってバッグから取り出したのは3発だ。
「うん、それだけあれば十分かな」
榴弾を受け取ったアーキテクトはお手玉のように長ながら、ニシシと笑う。
「さて、派手にふっ飛ばそっか!」
「……待ってくれアーキテクト?吹っ飛ばす?何をだい?」
「もしかしなくとも瓦礫よだね?そうだよね?」
男に続いて、9もアーキテクトにそう確認する。アーキテクトは二人に笑いかけて、そのまま車庫の方へと向いてしまった。
「よーし、それじゃあ解体工事開始~!」
他の三人を加わり止めようとしても、アーキテクトはニコニコで榴弾を仕掛けていくのだった。
=*=*=*=*=
「ねえ、本当に大丈夫なの?」
「さあ、僕にもわからないよ」
416の耳打ちに男は首を横にふる。その後ろでは9と45が岩陰に隠れて補給をしている。
「よーし、じゃあ撃っちゃってー!」
「もー、メンドイなぁ」
そうはいいつつも、G11は呼吸を止めてじっくりと狙う。
放たれた3発の弾丸は、制御された弾道によってきれいに3発の榴弾に撃ち込まれた。
少し遅れて爆発音が響き、視界を砂塵が遮る。
「ケホッ、コホッ、どうだいアーキテクト」
「見てよパパ、大成功!」
無邪気に喜ぶアーキテクトから車庫に目を向ける。少しして視界が晴れてくると、横に大きな穴の空いた車庫が目に入ってきた。
「これなら安全に出れるでしょ」
「大丈夫かい?建物が壊れたりはしないかい?」
「もう、心配性だなぁ」
アーキテクトは躊躇いなく建物の方へと歩いていき、車庫の壁を手で叩く。
「見ての通りちゃんと計算して爆破したから全然大丈夫だよ」
「そうかい、ならいいんだが」
男は恐る恐るといった風に近づき、建物の中を覗き込む。そこでしっかりと安全を確認してから、車へと近づいた。
「本当にいい状態だ。誰が運転するんだい?」
「私運転したいなー」
「アーキテクト、運転が好きなのかい?」
「いいや。でも最近皆から車を触らしてもらわなくて、久しぶりにハンドルを握りたいなって」
手を前に出してハンドルを切る動作をしながら、アーキテクトはそう言う。
「……私が運転するわ」
「416君」
「大丈夫……訓練では完璧だったから」
そういう416の手は緊張からか少し震えている。
「G11君は……」
助けを求めるも、すでに助手席で寝息をたてている。
「よ、45君……」
「はいはい、わかったわよ」
45はため息をつきながら鍵を受け取る。
「……えっと、左側がアクセルだったっけ?」
「9くーん!」
その後駆けつけてきた9は運転席に座る45を見てすぐに全てを理解した。
「まったく、しょうがないなぁ」
その後慣れた手付きでエンジンをかけた9を見て、男が安堵のため息をついたのは言うまでもない。