中学生の頃、大喧嘩して仲良くなっていたクラスメイト同士がいました。喧嘩するほど仲が良いってあういうことなんですかね。
お昼が過ぎお客さんが少なくなった頃、俺は朝からチノが少し機嫌が悪いことをずっと気になっていた。
「なあリゼ、今日のチノなんか機嫌悪くないか?」
「それが昨日チノがトイレへと部屋を出ていた間、毎日少しずつするのが楽しみだったジグソーパズルをココアが全部やってしまったらしいんだ。しかも1ピース足りなかったらしい。」
「それで機嫌が悪かったのか。ココアに悪気があったわけでは無いと思うけど。」
俺はココアに機嫌が悪くなったチノについて話すことにした。
「ココア、お前チノが毎日少しずつしてたジグソーパズルを全部やったんだって?1ピース分残して。」
「うん!チノちゃんが喜ぶと思って!」
「いやいや、喜ぶどころか機嫌悪くなってるぞ。」
「え!?そうなの?で、でもピースは最初から1つ足りなかったよ。」
「それはココアのせいじゃないと思ってると思うけど、毎日少しずつしてたのを邪魔されたら機嫌悪くなるよ。」
「そんな......チノちゃんが喜ぶと思ったのに。」
「まあ、喜ばせたいっていう気持ちはわかるけどさ。」
「私.......お姉ちゃん失格だーーーー!」
そう言いココアは慌てて店から出て行った。
「おい!ココア!はぁ〜まったく。チノ、リゼ、悪いけど店任せてもいいか?」
「ああわかった。」
俺は店を出てココアを探し出した。おそらく公園にいると思い向かってみると、思った通り公園のベンチに座っていた。
「ココア。」
「....お兄ちゃん。」
俺はココアの隣に座った。
「チノちゃん、喜ぶと思ったのに.....」
「悪気があったんじゃ無いんだろ?」
「....うん。」
相当落ち込んでいる。本当にチノを喜ばせたかったんだな。でもそれが逆効果になったが悪気が無かったのなら謝れば許してくれるはずだ。
「だったら大丈夫。ちゃんと謝れば許してくれるよ。」
「そうだよね。私ちゃんと謝ってくるよ!」
ココアの気持ちが前向きになった。これなら大丈夫そうだな。
「それでこそチノのお姉ちゃんだな。」
「えへへ〜///そうかな?そうだ!チノちゃんに何か買って行くよ!」
「そうか。じゃあ俺も付き合おう。」
「ありがとう、お兄ちゃん!」
帰り道、買い物を終えた俺たちはラビットハウスに向かっていた。
「なあココア、本当にそれで良かったのか?」
「うん!これならチノちゃんも喜んでくれるよ!」
まあ.......喜んではくれるだろうけどその前にまず驚きそうだが.....本人に見せたらわかるか。
「仕事中に抜け出しちゃったんだ、早く戻るぞ。」
「うん!」
ラビットハウスに戻り店内に入るとチノとリゼがいた。
「チノちゃん、勝手にパズルしちゃってごめんね!これ買ってきたからこれで許して!」
そう言いココアは新しく買ったジグソーパズルをチノに差し出した。
「あ、ありがとうござい.......8000ピース!?」
ほらやっぱり驚いた!8000ピースだもんな、そりゃ驚くか。
「あの、高かったんじゃないですか?」
「気にしないで、チノちゃんの楽しみを奪っちゃったお詫びだから。」
「えっと、ココアさん。ずっと素っ気ない態度取ってしまってすみませんでした。話そうとは思ってたんですけど、どう話したらいいのかわからなくて。」
「私こそごめんね。じゃあさ今日の仕事が終わったら一緒にこのパズルしようよ?」
「はい!」
俺とリゼは2人の様子を離れて見ていた。
「どうやら仲直りできたみたいだな。8000ピースのパズル買ってた時はびっくりしたよ。」
「お疲れ様。兄っていう立場も楽じゃないな。」
「まあな。そうだ!リゼも一緒にパズルするか?あの2人だけじゃすっげえ時間かかりそうだし。」
「うーん、そうだな。じゃあ私もやってみよう。」
仕事が終わった後4人でココアが買ったジグソーパズルを始めたが完成する気配がまったく無かったのでシャロとチヤを呼ぶことにした。
「悪いな来てもらって。やり始めたはいいけど終わらなくてな。」
「いいのよ。ジグソーパズルなんて久しぶりだし。」
「そんなに難しいんですか?」
「難しいっていうより量がな、8000ピースあるんだ。」
「「8000!?」」
やっぱ驚くよね。
「それは終わらないわよね。」
「私たちも手伝います。」
「助かるよ。」
チヤとシャロも加わってパズルを再開した。
「リゼ、なんだか楽しそうだな。」
「ああ、なぜかわからないけどすごい楽しい!」
珍しくリゼが目を輝かせながらパズルにのめり込んでいた。
「なんだか小さな子供を見てるみたいな感じだな。」
「な!私は子供じゃない!お前と同い年だろ!」
「まあそうなんだけどさ、パズルに夢中になってるリゼを見てたらなんかそんな感じがして。リゼにもかわいいとこあるんだな。」
「それ以上言うな!!////銃口向けられたいのか?」
「それだけはやめてください!」
恥ずかしいからって脅すのは無しだろ?
パズルを始めて1時間と少しした後、みんながぐったりしてきていたので俺はホットケーキを作ることにした。
「みんなお腹減っただろうし、ホットケーキ作ってくる。」
「私も手伝っていいですか?」
「もちろん!助かるよ。」
1階のキッチンへ行き、チノと一緒にホットケーキを作り始めた。
「リョーマさんって料理上手ですよね。」
「そうかな?タカヒロさんほどじゃないと思うけど、ありがとう。」
ここに引っ越す前に、母さんから料理くらいできないとダメと言われみっちり叩き込まれたことがある。あの時は何故か寝る間も惜しんで指導されたので結構辛かった思い出がある。でも、そのおかげで料理の方はだいぶ上達したので感謝はしている。ちなみにココアも俺の母さんから教わった。
「実は母さんから料理を教わったんだ。ココアも俺と一緒に教わりたいって駄々こねてな、よくココアと2人でお互いに料理を出し合って食べた思い出があるよ。」
「そうなんですか。私、1人っ子なのでリョーマさんとココアさんが兄妹のように仲良しなのが羨ましいです。」
「俺も実際1人っ子だし、もし俺に妹がいたらチノみたいな妹がいいな。店の仕事もできて家事もできて、自慢の妹になるよ。」
「そ、そうですか////」
チノの頬が赤くなっていた。
「あ、あのリョーマさん。」
「ん?」
「えっと....あのですね.....その////」
「どうかした?」
「やっぱり何でもないです///」
「どうした?何か悩み事でもあるのか?」
「い、いえ!そういうのではないので...今のは忘れてください。」
「そうか。」
何だったんだろう?なにか言いたいことがあるような様子だったけど。
「さてホットケーキできたし、上に持っていくか。」
「.....はい。」
ココアたちのいる部屋に行くまで何故かチノはずっと黙ったままだった。
「おまたせ。」
「お帰りお兄ちゃん。あ!ホットケーキだ!おいしそー!」
「本当ね、いい香りだわ。」
「みんな疲れただろ?少し休憩にしよう。」
パズルでみんな疲れていたのでホットケーキを食べ始めた。
「んー!おいしー!」
「リョーマって料理上手いよな。」
「先輩ってすごいですね。」
好評のようだ。口に合ってよかった。
「さて、パズルもあと少しだし頑張るか!」
「うん!頑張ろう!。」
ホットケーキを食べて休憩したことでスムーズに進み30分ほどでようやく完成することができた。
「やったー!できたー!」
「やっと終わったな。」
「結構時間がかかっちゃいましたね。」
俺たちが完成できた喜びの余韻に浸っていると突然リゼが。
「なあ、これ下に何も敷いてないけどどうするんだ?」
「「「「「.........」」」」」
あ。何で気付かなかったんだろう。パズルすることに夢中になりすぎた。
「何も考えてなかったのか!?」
「ど、どうしよう。お兄ちゃんどうしよう!」
「大丈夫。ゆっくり動かせばいいから。」
このあとめちゃくちゃ慎重にパズルの額縁に移動させ何とか事なきを得た。
時刻は10時を過ぎていたのでチヤとシャロとリゼはここで泊まることになった。
「またみんなと一緒に寝れてうれしいよ!」
「じゃあ俺は自分の部屋に戻るよ。」
「え?なんで戻るの?一緒に寝ようよ?」
「今日は怪談しなかったし大丈夫だろ?」
「あの、できれば私からもお願いします。」
ココアとチノに頼み込まれたので一緒に寝ることにした。
「しょうがないな。わかった、一緒に寝よう。」
「やったー!」
「ありがとうございます!そうだ、リョーマさん。よかったら今日も腕枕を.......あ!」
言った直後に気づいたのだろう。ココアがすぐそばにいたことを。
「お兄ちゃん!」
「な、なんでしょうか?」
「腕枕ってどういうこと?ねぇ!どういうこと!?」
やばい、早く訳を言わないと。
「前に怪談をして寝ただろ?その時チノがすごく怖がってさ、それで腕枕したんだよ。」
「もー!チノちゃんばっかりずるいよ!」
「あの時は本当に怖かったんです。だからずるくないです。」
「だったらお兄ちゃん!今日は私も腕枕して!さもないと学校でもずーっと抱きつくよ!」
「おい!それはやめろ!」
そんなことされたら卒業するまでずっとネタにされる。
「わかった、わかったから腕枕するから落ち着け。」
「ほんとに?ありがとう!」
「チノもそれでいいか?」
「腕枕してくれるのなら大丈夫です。」
なんだかここ最近振り回されてるような気がするけど気のせいかな?
「さあ、早く寝よう。」
「うん!」
俺が真ん中になり両腕にそれぞれココアとチノが横になった。
「お兄ちゃんの腕枕気持ちいいね!」
「やっぱり落ち着きますね。」
「そんなに良いのか?」
「うん!」
まあ、喜んでくれてるからいいか。
「さあて、明日も仕事あるし寝よう。」
「おやすみ!」
「おやすみなさい。」
俺は少し暑苦しいと思いながら眠りについた。
To be continued
今回はここで終わりです。
実はこの小説に出ている腕枕は、僕が小さい頃に母親によくしてもらっていたのでそれを元に書いています。
腕枕いいですよね。