初デートで映画館はダメって本当なんですかね?
友達と映画館はすごい楽しいですが。
「はぁ〜今日で4日目、新記録だな。」
学校が終わり、俺は今ラビットハウスへ帰る途中だ。ちなみに新記録とはココアが連続で補習になった日数のことだ。毎度毎度泣きながら補習を受け、いつも少し遅くなって帰ってくるんだが、なんとかならないものかな?
「兄貴ーー!」
後ろで声がしたので振り返ってみると満面の笑みでマヤが俺に飛びついてきた。思いっきり倒れそうになったがなんとか体勢を保てた。
「マヤ!?てことは。」
辺りを見渡すとチノとメグも俺の所へ向かってきた。
「マヤさん。いきなり飛びついたら危ないですよ。」
「だって兄貴がいたんだもん!チノもメグも抱きつこうぜ!」
「じゃあ私も〜!」
「ちょっとおい!」
そう言ってメグも俺に抱きついてきた。そのまましばらくの間、頭を撫でて欲しいとか、おんぶして欲しいとか言ってなかなか俺から離れてくれなかった。
「..........マヤさん!メグさん!リョーマさんが困ってるじゃないですか!早く離れてください!」
チノは少し不満そうに且つ少し羨ましそうな表情でマヤとメグを俺から引き剥がした。
「え〜!いいじゃん別に、減るもんじゃないんだからさ!あ!もしかしてチノだけハグできなくてヤキモチとか?」
「そ、そんなことないです!変なこと言わないでください//////」
「そういえばチノちゃん学校ではいつもお兄さんのことばっかりはなsむぐぅ!んーー!いひへひはい!(息できない!)」
メグが何かを言おうとした途端チノがメグの口を塞いだが鼻まで塞いでしまいメグが息できない状態だった。
「ぷはぁ!も〜チノちゃん恥ずかしがらなくていいのに。」
「なあ兄貴!今から一緒にどこか行こうよ!」
「え?今から?」
「うん!兄貴と一緒に出かけたことなかったから。」
今日はラビットハウスは休みだし帰ってもやることないからな。久しぶりに遊んで帰るか。
「わかった。じゃあ今から出かけようか。」
「やったー!あのな兄貴!この先に美味しいアイスクリーム屋があるんだ!」
「そういえばあったね〜。お兄さん早く行こ!」
俺はマヤとメグにそれぞれ片腕ずつ引っ張られながらアイスクリーム屋に連れていかれた。
「このアイスクリーム美味しいですね。」
「アイスクリーム久しぶりに食べたけど、確かに美味しいな。」
マヤの言っていたアイスクリーム屋に着きみんなでアイスクリームを食べたが予想以上に美味しかった。
「でしょ!この前食べた時すごい美味しかったんだ。」
「もっと早く来ればよかったね〜。」
アイスクリームを食べながらふとチノの方を見ると夢中になって気づいていないのか頬にアイスクリームがついていた。
「チノ、アイスクリームついてるよ。ちょっとジッとして。」
俺は少ししゃがんで頬についたアイスクリームを拭き取ってあげると、恥ずかしそうに俯いていた。
「あ、ありがとうございます///」
「溶ける前に早く食べよう。」
俺は少し急いでアイスクリームを食べた。
「チノ、兄貴に拭いてくれてる時なんだか嬉しそうだったな。」
「そうだね〜、チノちゃんお兄さんといる時だけ楽しそうな表情するもんね。」
マヤとメグはそう言っていたが俺とチノは聞こえることはなかった。
「兄貴またな!」
「またね〜。」
アイスクリームを食べ終えた後、マヤとメグと別れチノと一緒にラビットハウスへ帰ることになった。
「アイスクリーム美味しかったな。」
「はい!とても美味しかったです!」
「また今度食べに行くか2人で。」
「え、2人でですか?」
「うん、嫌だったかな?」
「そんなことないです。また一緒に行きましょう。」
「そうだな。」
「またリョーマさんと2人で.........えへへ////」
チノは少し嬉しそうな顔になりながら歩いていた。すると突然紙飛行機がこっちに飛んできてチノの頭にコツンと当たりそのまま地面に落ちた。
「紙飛行機?なんで?」
「すみませーん、思わぬ方向へ飛んじゃいましたー!」
声のする方を見るとそこには走りながらこっちへ向かってくる青山さんがいた。
「青山さん、この紙飛行機、原稿用紙ですよね?いいんですか?こんなのに使って。」
俺がそう言うと青山さんは何か言いにくそうな顔をしていた。
「その.....実は辞めたんです、小説家。」
青山さんはそう言って紙飛行機を広げ『失職』という文字が書かれた原稿用紙を俺たちに見せた。
「「えええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」」
俺たちはこれに驚かずにはいられなかった。
「ココアとリゼはまだ知らなかったな。小説家の青山さんだ。」
ココアとリゼに青山さんの紹介をし、青山さんが小説家をやめてしまったこと、そして就職先に困っていたらしくとりあえずラビットハウスに来てもらうことになったことを話した。
「懐かしいですね。昔と全然変わってません。」
青山さんは学生の頃の事を思い出してるのか、懐かしさに浸っている様子だった。しかしその後誰かを探すようにキョロキョロと辺りを見渡していた。
「あの.....白いお髭のマスターさんはいらっしゃいませんか?久しぶりにお会いするので挨拶をしたいんですけど。」
あ....そうか。学生の頃はよく来ていたと言っていたが、俺がこの街に来てから青山さんがラビットハウスに来るところは見ていない。おじいさんが亡くなったのは知らないのか。
「えっと、青山さんが言ってるマスターは去年亡くなったんですよ。」
「え!?そうなんですか?」
俺がおじいさんが亡くなった事を話すと青山さんは今まで見たことないくらい動揺していた。
「そう....ですか。........亡くなったんですか........。」
とても信じられないという表情だった。長い間会ってなかったんだ、無理もない。
「青山さん!代わりにこの白いお髭をもふもふして心を癒してください!」
ココアはそう言ってティッピーを青山さんに渡していた。青山さんはティッピーを見ながら何かを思っている様子だった。おじいさんのことを考えてるのかな。
「私この子気に入りました!特に目を隠してるところがマスターさんにとても似ています!」
青山さんはティッピーを見てそう言っていた。少しだが落ち着いてきたみたいだ。
「そういえば青山さんはどうして小説家辞めたんですか?青山さんが書いた小説、とても人気があるって聞いたんですけど。」
「実はマスターさんから頂いた万年筆を失くしてしまってから全く筆が乗らなくて。」
なんとなくわかる気がする。手に馴染んだ物じゃないと上手くいかないことが俺にも昔あったからな。
それからしばらく青山さんはラビットハウスで働くことになった。青山さんは自分にしかできないことは何かないかと言い少し考えた結果、お客さんの相談に乗ってあげたいと言っていた。それを聞いたココアは『人生相談窓口』という看板を立てていた。......看板にウサギの絵を描く必要はあったのか?
「いい感じだね!さすが私の力作!」
「すごく素敵ですね〜!ありがとうございますココアさん。」
青山さんはとても気に入っているようだった。
「そうだ!青山さん、早速お手紙が届いてましたよ!」
おそらくココアが書いたのだろう、青山さんは手紙を開き中身を音読し始めた。
「妹が野菜を食べてくれません。このままではいつまでも小さい妹のままです。そのままでもOKなんですけどピーマンが嫌いな子でも食べられる方法を教えてくれたら嬉しいです。これはお返事を書かなくてはなりませんね。」
するとチノはハッとし、青山さんが読んだ手紙を読むと顔を赤くし自分も用意していた手紙を青山さんに渡していた。
「わ、私もお手紙をもらってきました!自称姉が自分も嫌いな野菜を押し付けてきて困ってます!」
お互い直接言えばいいのにと思ったが俺も手紙を書いていたので青山さんに読んでもらおうと思った。
「青山さん、これは俺からの手紙です。」
「わかりました読みますね。えーと、妹が最近補習ばかりで困ってます。特訓をしようと言っても嫌だと言って聞きません。ここは心を鬼にした方がいいんでしょうか?ですか。」
青山さんは少し頭を悩ませた後。
「そうですね、無理矢理勉強させても逆効果でしょう。ですが甘やかし過ぎるのもいけませんね。心苦しいかもしれませんが時には心を鬼にした方がいいと思います。」
「そうですか。ありがとうございます。」
そう言ってココアの方へ向かうとチノを盾にして、ものすごく怯えているココアがいた。
「どうしたココア?そんなに怯えて。」
俺はわざと何もわからない振りをしてココアに近づいた。
「ヤダ!特訓はヤダ!」
「おい!逃げるな!」
「ヤダヤダヤダ!明日からちゃんと勉強頑張るから!補習にならないように頑張るから!」
「明日じゃなくて今だ!今を頑張った人に明日が来るんだよ!」
その日の夜、俺はココアの部屋で勉強の猛特訓を行った。ココアは半泣き状態だったが特訓のおかげか、しばらく補習になることはなかった。まあ特訓の後は思う存分ハグしてあげたから不満に思われることはないだろう。
数日後、青山さんに万年筆をどこで失くしたのか聞いてみると俺とチノと初めて会った時に失くしたらしく俺は前にチノとクレープを食べた公園に行き、万年筆を探していた。
「ん〜無いな。チノそっちはどう?」
「こっちにもありません。」
万年筆を探し始めてから約2時間が経とうとしていた。今日は諦めて明日もう一度探そうと思った時、ティッピーが青山さんが失くした万年筆を持ってきていた。
「リョーマよ、これじゃ」
「あったんですね!よかった。」
万年筆が見つかった事をチノに話すとホッとした表情だった。
「さあ、早くこれをあの娘に渡してやっておくれ。」
俺はこのまま青山さんに渡してもいいと思ったが、ここはおじいさんが渡して励ましてあげた方が良いと思った。
「おじいさん。ここはおじいさんが渡した方が良いと思うんです。今の青山さんはおじいさんが亡くなった事を知ってショックを受けているはずなんです。だからこれはおじいさんから渡して青山さんを励ましてあげてくれませんか?」
「じゃが、今のわしが喋るわけには.......。」
「大丈夫ですよ。きっと天国からの言葉だって思うと思いますよ。」
「そうか。わかった、わしが渡そう。」
こうしておじいさんが青山さんに万年筆を渡すことが決まった。
「おじいちゃん大丈夫でしょうか.......。」
その日の夜、バータイムで働くことになった青山さんにおじいさんが万年筆を渡すことになり俺たちはおじいさんが戻ってくるのをチノの部屋で待っていた。
「多分大丈夫だよ。今頃励ましてる頃だと思うよ。」
そうやってチノと話しながら待っているとドタドタと階段を上がり勢いよくドアが開いた。見てみると青山さんがとても驚いた表情だった。
「ど、どうしたんですか!青山さん!」
「あ、あのリョーマさん!このぬいぐるみからマスターさんのお声が聞こえたんです!」
そう言って青山さんはそのぬいぐるみを見せてきた。しかしそれはティッピーではなく側にあったのであろう、ひよこのぬいぐるみだった。.........それじゃない!
「そ、そうなんですか。もしかしたら天国にいるおじいさんが青山さんに励ましに来てくれたのかもしれませんね。」
「き、きっとそうですよ。落ち込んでる青山さん励ましに来たんですよ。」
俺はそれじゃないと言いそうなったのをなんとか堪え平然を装った。
「そうなんでしょうか?でも久しぶりのマスターさんのお声.......とても嬉しかった。」
青山さんは目を閉じ始めた。きっとさっきのおじいさんの声を思い出しているのだろう。
「なんだか元気が出てきちゃいました!すみませんお騒がせして。私バーに戻りますね。」
「わかりました。頑張ってください。」
青山さんはさっきより元気そうに戻って行った。
「青山さん嬉しそうだったな。」
「そうですね。おじいちゃんに任せて良かったです。」
「そうだな。それじゃ俺はもう部屋に戻るよ。」
俺はチノに挨拶を交わし部屋に戻った。
数日後、万年筆が戻った青山さんは再び小説家に戻ったそうだ。バータイムの仕事にハマったらしく時々バーの方も手伝ってくれるようになった。
「青山さん、万年筆戻って良かったですね。」
「リョーマさんのおかげです。ありがとうございました。」
「どういたしまして。」
「何かお礼をしないといけませんね。」
「大丈夫ですよ。気にしなくて。」
「いえ、そういうわけには。そうですね........ではこうしましょう。リョーマさん、ちょっとこちらへ」
俺は青山さんに手招きをされたので近くに行くと、突然青山さんにぎゅっと抱きしめられた。
「え!?あの..........え///////」
「万年筆を見つけてくれたお礼です♪」
やばい何これ!?年下になら何回もハグしたことはあるけど年上の人、しかも女性にされるのは久しぶりでしかも年相応のむ、胸の感触が......な、なんて表現すればいいんだこれは!
「あのお兄ちゃんが顔真っ赤だよ!」
「あんなリョーマさん初めて見ました!」
「すみませんリョーマさん、これくらいしかできなくて。」
「い、いえ!あの.....えっと.......じゅ、充分.........で、です!」
ヤバイ!あまりの出来事で口が回らない!
「じゃあ俺仕事に戻りますね!」
俺は早歩きでその場を去った。その日1日中俺の顔は真っ赤でお客さんに熱でもあるの?と何回も聞かれ、挙げ句の果てには救急車まで呼ばれそうになるほどだった。
To be continued
今日はここで終わります。
最近なんだか1話分の文字数が増えてきている気がします。
なんだか嬉しいですね。