最近朝食の時はめっちゃ食欲があるんですけど、夕食の時はあまり食欲がないんです。
病気じゃなければいいですけど。
夕方、俺とチノは夕食の材料を買いに行くためにスーパーに向かっていた。
「今日は何か安いものあったかな?」
「確か魚が安かったと思いますけど。」
俺は今日の夕食は魚を使おうと思ったがチノと一緒にいたので、せっかくだからチノの食べたいものを聞くことにした。
「なあチノ、今日の夕食何がいい?リクエスト聞くよ。」
「え?私が決めていいんですか?」
「うん、一緒に来てくれたお礼だからなんでもいいよ。」
チノは何にしようか少し真剣に悩んでいたが、リクエストが決まったのだろう目を若干キラキラしながら言ってきた。
「じゃあハンバーグが食べたいです!」
「ハンバーグがいいの?」
「はい!この前マヤさんとメグさんと一緒に食べた時、とても美味しかったので!」
「そういえばあの時、余分に作っておいた分もあっさりと平らげてたな。よしわかった!今日はハンバーグにしよう!」
「ありがとうございます!じゃあリョーマさん早くいきましょう!」
そう言ってチノは俺の腕を掴みスーパーへ走って行った。余程嬉しかったみたいだ。
スーパーに着き店内へ入ると、チノは一目散に肉の販売コーナーへ走って行った。なんだか無邪気な子供を見ているみたいで微笑ましいな。
「リョーマさん!挽肉はここにあります!」
「そんなに慌てなくても挽肉は逃げないよ。」
「ハンバーグといえばソースもないといけませんね!ちょっとソースを取ってきます!」
多分俺が言ってることは聞こえていないのだろう、チノはそのまま調味料のコーナーへ行ってしまった。あんなに興奮してるチノを見るのは初めてだな。今日は多めに作ってあげるか。
「ん〜どの挽肉にしようかな?」
どれにしようか迷っていると、とても陽気な店員のおじさんがやってきた。
「いらっしゃい!お!にいちゃん!今日はハンバーグかい?」
「はい、今日はハンバーグが食べたいって言われたので。」
「そういえばさっきここでとてもテンションが高い嬢ちゃんがいたな。にいちゃんの妹さんかい?」
「いえ、僕が下宿させてもらっている所の娘さんですよ。」
「へぇ〜そうなのかい?てっきり兄妹かと思ったぞ。」
「あはは、よく言われます。」
青山さんと初めて会った時も兄妹と間違われたけど、俺とチノが並ぶとそんなに兄妹に見えるのかな?
「よし!サービスだ!少し値引きしてやるよ!」
「え?いいんですか?」
「いいんだよ!そのかわりに嬢ちゃんを喜ばしてやるんだぞ!」
「はい!ありがとうございます!」
「毎度!また来てくれよ!」
俺はおじさんにお礼を言い買い物を続けた。
「挽肉と野菜は揃ったな。後はソースだけか。」
残りはソースだけとなったのでチノがいる調味料コーナーへ行こうとした時、チヤとシャロが一緒に買い物をしているのが目に入った。
「ふたりとも買い物か?」
「あら?リョーマ君じゃない、リョーマ君もお買い物なのね。」
「先輩は今日はハンバーグなんですね。」
「ああ、チノがハンバーグが食べたいって行ってたから。チヤたちは何を作るの?」
「私たちはシャロちゃんの家でカレーを作るのよ。」
チヤたちと話をしていると両手にソースを持ったチノが帰ってきた。
「リョーマさん、ソース取ってきました。あれ?チヤさんとシャロさんじゃないですか。」
「チノちゃんこんにちは。今日の夕食先輩が作るハンバーグみたいだけどそんなに美味しいの?」
「はい!とても美味しいです!」
「だったらシャロちゃんの家で食べない?ハンバーグカレーとか美味しそうだし。」
チヤの突然の提案に少し驚いたが、シャロはOKみたいだったのでチヤの提案に乗りココアとリゼも呼びシャロの家に集まることになった。
「お邪魔します。」
シャロの家に上がり早速夕食の準備に取り掛かった。ハンバーグは俺が作り、カレーはリゼが作ることになった。
「今日はありがとうな。呼んでくれて。」
「人数は多いほうが楽しいからな。」
「それもそうだな。」
リゼと会話をしながら夕食を作っていると、ココアが台所へやってきた。
「お兄ちゃん!もうすぐできる?」
「ああ、あとちょっとだ。」
「わかった。それにしても2人で料理してるところを見てると何だか夫婦みたいだね!」
「ふ、夫婦!?」
夫婦という言葉を聞いたリゼは一気に真っ赤になっていった。
「リゼ、夫婦だってさ。」
「こ、こっち見るなバカ!」
「あぶな!包丁振り回すな!」
リゼは顔を見られたくないがために包丁を振り回していた。当たったらシャレにならん!
「はぁ~、とりあえず完成したし、持って行くか。」
「///////」
俺はリゼに声をかけても返事がなく無言で料理を持って行ってしまった。
「よし!揃ったし早速食べるか。」
「「「「「「いただきます!」」」」」」
「まあ!このハンバーグ美味しいわね!」
「流石先輩ですね!すごい美味しいです!」
どうやら皆に好評だったみたいだ。チノは目を輝かせながら夢中で食べている。
「リョーマさん!このハンバーグ美味しいです!」
「ありがとう。たくさんあるからね。」
「はい!」
「あのチノがここまで夢中になるなんてな、リョーマの料理はやっぱりすごいな。」
「今度コツを教えてあげるよ。と言っても教えられた通りに教えるだけなんだけどな。」
俺はそのまま夕食を食べていると、ココアとチノは嫌いな人参を隅に寄せて食べていた。
「おい!2人とも!ちゃんと人参も食べろ!」
「だって人参苦手なんだもん!」
「リョーマさん食べてください。」
「そんなこと言うんだったらもうハンバーグ作らないぞ。」
「!!!それは嫌です!!食べます!食べますからこれからも作ってください!」
「え!?う、うん。わかった。」
まさかここまで言われるとは全然思ってなかったので驚きを隠せなかった。
「「「「「「ごちそうさまでした!」」」」」」
夕食を終えた俺たちは食後の休憩がてら少し寛いでいた。
「そうだ!この前親父がチョコレート貰ったみたいなんだけど、甘いもの苦手だからってくれたんだ。今から食べようか。」
俺はリゼが持ってきてくれたチョコレートを食べた。とても濃厚な味で且つ少し苦味がありとても美味しかった。
「すごい美味しいなこれ!原材料何が使われてるのかな?」
俺は箱の裏に書かれている原材料に目を通した。半分くらい読んだ時にブランデーという文字が書かれていることに気がついた。
「みんな待て!これブランデー入ってる!」
「え!?お兄ちゃん大丈夫なの?」
「ああ、俺は大丈夫だけど他に食べた人いるか?」
「そういえばチノちゃんが2、3個食べてたような.......」
ココアに言われチノを見てみると顔が真っ赤だったが俯いており、表情が見えなかった。
「......に..........ちゃ........」
「ん?大丈夫かチノ?」
チノはゆっくりと立ち上がり俺のところへ近づいて来た。
「お兄ちゃん!!!」
「「「「「えぇ!?」」」」」
チノはそのまま『お兄ちゃん』と叫び俺に抱きついて来た。皆は何事かといった顔で俺も何が起きたのかしばらくわからない状態だった。
「えへへ〜、お兄ちゃん大好きです///.」
チノは俺にしがみついたまま一切離れようとしなかった。
「チノちゃん大丈夫!?しっかりして!」
「むぅ〜何ですかココアさん?私のお兄ちゃんに近づかないでください!」
「な!?わ、私の!?お兄ちゃんは私のお兄ちゃんだよ!」
「違います!ココアさんのじゃありません!お兄ちゃんは私のです!」
ダメだこれ、完全に酔ってる。ココアとチノはずっと言い合ってるし、他の皆はまだ状況についていけていないようだった。
「ココア、今日だけは大目に見てくれないか?」
「でも、チノちゃんベタベタしすぎだよ。」
「また今度思う存分撫でたりハグしてあげるからさ。」
「ん〜〜、しょうがないな。今日だけだよ。」
「ありがとうな。」
俺とココアはチノに聞こえないように交渉をした。今日はチノの甘えに応えることにした。
「お兄ちゃん、頭撫でてください////」
「いいよ、チノは頭撫でられるの好きか?」
「はい!お兄ちゃんに撫でられるとすごく安心するんです、腕枕と同じくらい///」
最初はチノの変わりように驚いたが、今はだいぶ慣れてきた。
「あの2人を見てるとなんだか本当に兄妹みたいだな。」
「本当にね、なんだか微笑ましいわ。」
「先輩もなんだか楽しそうですしね。」
リゼたちは俺とチノを見てそんなことを話していた。
「お兄ちゃん、次はおんぶしてください///」
「もちろんいいよ。よいしょっと」
「えへへ、お兄ちゃんの背中大きくてあったかいですね///」
チノが俺のおんぶを堪能しているとチヤが写真を撮ってあげようかと言ってきた。
「どうするチノ?」
「撮って欲しいです!」
「そうか、チヤ頼めるか?」
「ええいいわよ、チノちゃんのケータイ借りるわね。はい行くわよ!はい、チーズ!」
チヤにおんぶしているところを撮ってくれた。写真を見てみるとチノの顔が今まで見たことないくらいニッコリな笑顔だった。
「さて、チノ次は何をして欲しい?」
「すぅ......すぅ.........。」
どうやら眠ってしまったようだ。とても安心しきった顔で寝ていて、とても可愛らしかった。
「今日はラビットハウスに戻るよ。チノを連れて帰らないと。」
「そうだな。今日はもうお暇するか。」
俺はチノを背負ったままチヤ達にお礼を言いラビットハウスに戻った。
「今日のチノちゃん楽しそうだったね!」
「まあ酔っていたんだけどな。でも楽しそうでよかったよ。」
ココアと話しながらラビットハウスに到着すると、ちょうどチノが目を覚ました。
「ん〜?お兄ちゃん?」
「起きたか、もうラビットハウスに着いたぞ。」
「今日はお兄ちゃんと一緒に寝たいです///」
どうやらまだ酔いは覚めていないようだ。おそらく明日の朝までは覚めないだろうな。
「わかった、一緒に寝ようか。」
「はい!」
チノを寝室に連れて行くと、もう今にも眠ってしまいそうな様子だった。俺がベッドで横になると、チノも俺の横に寝転がってきた。
「腕枕してあげようか?」
「はい!して欲しいです///」
チノに腕枕をしてあげると安心した顔でトロンとした顔だった。
「やっぱりお兄ちゃんの腕枕は安心しますね///」
「そうか、チノが喜んでくれたら俺も嬉しいよ。」
俺はそのまま頭を撫でるとまたニッコリな笑顔になった。
「さあ、もう寝ようか。」
「はい、おやすみなさいお兄ちゃん///」
「おやすみ。」
そのままチノは人形のように動かなくなり眠ってしまった。
翌朝、目覚めるとちょうどチノも目が覚めたようだ。
「おはようチノ。」
「リョーマさん、おはようございます.......」
まだ少し眠そうだったが、酔いはもう覚めたようだ。
「どうしたんですか?私の顔に何か...........あ///......ああ!!......,ああああああ!!!!」
酔っていた時の事を思い出しているのだろう、なんだか取り返しのつかないことをしてしまったみたいな顔だった。
「ごめんなさい!!ごめんなさい!!私なんて事を!!!」
「気にしなくていいよ、俺は楽しかったから。それにチノの新鮮なところが見れて嬉しかったよ。」
「うぅ〜////恥ずかしいです///」
「恥ずかしがることないよ。なんだか本当の妹みたいな感じで楽しかったよ。」
「ほ、本当ですか?」
「ああ、ココアとはまた違った可愛さがあったよ。」
「そ、そうですか///リョーマさんが良いならよかったです。」
「さて、今日は仕事があるから俺はもう行くよ。チノはもう少し休んでて。昨日のチョコレートに入ってたブランデーがまだ残ってるかもしれないから。」
「わかりました。もう少し休んでます。」
俺はそのままチノの部屋を出た。
「うぅ〜、酔っていたとはいえあんな事を///」
俺が部屋を出た後チノは頭をかかえていた。余程昨日のことが恥ずかしかったようだ。
「でも悪い気分ではありませんでしたね。あ!そういえば。」
チノはケータイを開き、酔っていた時にチヤに撮ってもらった写真を見ていた。
「こんなに笑顔だったんですね私。」
チノは無言でその写真を待ち受け画面に設定した。
「いつか........
いつかまた、お兄ちゃんって呼べたらいいな。」
To be continued
今回はここで終わります。
チノがお兄ちゃん呼びになってから甘えるところが思った以上に難しかったです。
何故でしょうか?