熱が出ると辛いですよね。インフルエンザなんか特に!
「は~~、何だか最近寒くなってきたね。」
学校からの帰り道、ココアと一緒に帰っているとそんなことを言い出した。確かにここ最近肌寒くなってきており、町中の人たちの服装が長袖服の人たちが増えてきた。
「風邪なんか引くんじゃないぞ。看病するの大変なんだから。」
「大丈夫だよ。もう高校生なんだし!それにお兄ちゃんと出会ったばかりの時に風邪を引いた時から風邪引いたことないから!」
ココアはピースをしながら言ってきた。小さい頃はよく大丈夫とか言って怪我はしてくるわ風邪は引くわモカと喧嘩したから仲直りの手伝いをしてほしいとかですごい大変だった思い出がある。
「ココア、そこの自販機で何か温かい飲み物でも買って帰るか?」
ココアに聞くと、喜んで自販機まで走って行った。財布をポケットから取り出しながら自販機に向かうとココアは何にしようかにらめっこしながら迷っていた。
「どれがいい?」
「このお汁粉がいい!」
ココアは即答しながらお汁粉に指をさしていた。俺はそのままお汁粉を2つ買いココアに1つ渡すと大はしゃぎしながら公園のベンチに座った。
「ぷはぁぁ~!お汁粉美味しいー!」
「寒い日は温かい飲み物だよな。」
俺たちはお汁粉を飲みながら寛いでいた。今日のお昼に食べようと試しに栗羊羹を作っておいたが食べ損ねてしまったのでココアと一緒に食べようとカバンから取り出すと、目をキラキラさせながら食べたいと言われた。
「お兄ちゃんの栗羊羹美味しい!もう1個ちょうだい!」
ココアはそう言って栗羊羹をひょいと取り、美味しそうに食べていた。あまり自信はなかったが、喜んで食べてくれてたのでホッと安心した。
「あ!お兄ちゃん、ココアさん。何してるんですか?」
声のする方へ向くと下校中のチノがいた。
「チノか。自販機でお汁粉買ったからここで寛いでたんだ。」
「私も一緒にいいですか?」
「もちろん!おいで。」
俺は隣に来るようにポンポンとベンチを叩くとチノは嬉しそうにちょこんと座った。そのままチノは俺が持っていた栗羊羹をジッと見ていた。
「この羊羹、甘兎庵で買ったんですか?」
「いや、俺が作ったんだよ。チヤに作り方を教えてもらってな。」
「え!?そうなんですか?てっきり甘兎庵で買ったのかと思いました!食べてもいいですか?」
俺は1つ栗羊羹をチノに差し出すと、じっくりと味わうようにモグモグと食べていた。するとチノは突然目を見開き美味しさに感動したような顔だった。
「すごく美味しいです!お兄ちゃんはやっぱりすごいです!もう1ついいですか?」
しかし手元を見ると栗羊羹は1つしか無かった。それを見たココアはチノに対抗し始めた。
「チノちゃんダメ!私も栗羊羹食べたい!」
「嫌です!私も食べたいです!」
2人は頰を膨らませながら睨み合っていた。半分ずつにしようと考えたが、ココアは既に2つ食べていたのでここはチノにあげようと考えた。
「ココア、お前もう2つ食べただろ?チノはまだ1つしか食べてないんだから、これはチノに食べさせてもいいだろ?」
「む〜、でも。」
「そんなんじゃチノのお姉ちゃんになれないぞ?」
そう言った瞬間、ココアはハッとした表情になりあっさりとチノに栗羊羹を譲っていた。お姉ちゃんに憧れすぎだ。
「さて、そろそろ帰るか?」
「はい!お兄ちゃん、手を繋いで帰りましょう!」
「チノちゃんずるい!私も手繋ぐ!」
俺は2人にそれぞれ片手ずつ手を繋がれながら帰った。
「お兄ちゃん。明日の週末、マヤさんとメグさんと一緒に勉強会をすることになったので、週末はお店を休んでもいいですか?」
チノは申し訳なさそうな表情で聞いてきた。普段は忙しくないので、大丈夫だろうと思い、勉強会を頑張ってくるように言った。
「ありがとうございます!あ、そうだ!お兄ちゃんハグさせてください!」
「おっと、どうしたんだチノ?いきなり抱きついて?」
「週末はお兄ちゃんに会えないので、今のうちにお兄ちゃん分をいっぱい補給します!」
「お兄ちゃん分って......」
週末は俺に会えない寂しさを紛らわすためにいつもより力強く抱きしめられた。10分経っても離れようとしなかったのでそろそろ離そうとすると、それを完全否定するかのように抱きついてきた。超強力磁石みたいだな。
「じゃあ週末は私がお兄ちゃんをいっぱいモフモフしてもいいんだね!?」
「少しならいいけどやり過ぎるなよ。」
「やったー!じゃあ早速モフモフ!」
そう言ってココアは俺に抱きついてきた。それを見たチノは頰を膨らませながらココアに対抗するために負けじと抱きついてきた。
翌日、チノはマヤとメグと一緒に勉強会に行き今はココアと一緒に仕事をしていた。
「ココア、コロンビアとケーキだ。」
「..........。」
「ココア?」
「......へ!?何?」
「だからコロンビアとケーキだってば。お客さんからの注文だぞ。」
「あ!うん!すぐに準備するね。」
そう言ってココアは急いで準備を始めた。仕事を始めてからなんだかココアがボーッとしてるのが多く、朝起きた時はなんともなかったのに一体どうしたんだ。
昼休憩、ココアと一緒に昼食を食べていた。朝のことが気になったので少し聞いてみることにした。
「ココア、午前中ボーッとしてるのが多かったけど具合でも悪いのか?」
「ううん、大丈夫。多分寝不足だから。」
「夜更かしはするなっていつも言ってるだろ?怪我でもしたらどうするんだ。」
「大丈夫だよ。少しだけだから。」
「ならいいけど。」
そのまま休憩は終わり仕事を再開したが、やはり午後もボーッとしてるのが多かった。コーヒーを運ぶ時もほんの少し千鳥足になっており、さすがに危ないと思ったので代わりに俺が運ぶことにした。
「ありがとうございました!......さて、お客さんはいなくなったし、そろそろ終わるか。ココア?」
ココアの方を見ると俯いたまま無言で立っていた。
「ココア?ココア?どうした?」
「........。」
何度呼んでも返事がなく肩を叩いて呼んだ途端、糸が切れたかのように床に倒れてしまった。
「ココア!?ココア!!!」
慌てて抱き起こすとココアの顔は真っ赤になっており、息もとても荒かった。
「ココア!しっかりしろ!」
「はあ........はあ......お......に.......ちゃ......」
話すことさえままならない状態だったので急いで寝室のベッドまで運んだ。氷とタオルで体を冷やしたが気休め程度にしかならず、相変わらず息が荒いままだった。
「ココア大丈夫か?俺の声聞こえるか?」
「はあ.........う......うん.....」
「確かここの引き出しに薬が....」
なんとか意識はあるようだがとても苦しそうな状態だった。急いで薬を飲まそうと引き出しから薬を探したが中身は空だった。
「薬切れてたのか!?こんな時に!」
「お......兄......ちゃん......」
「どうしたら.....店はもう閉まってるし.......ここからなら甘兎が一番近い。チヤに薬を分けてもらおう。」
「ココア、今からチヤの所に行って薬を分けてもらってくる。急いで戻ってくるから待っててくれ。」
チヤに薬を分けてもらおうと考えた俺は急いで着替え、ココアに薬を分けてもらいに行ってくるように伝え、急いで甘兎へ向かった。
「はあ.......はあ........早くしないとココアが.......」
俺は甘兎に向かって夜道を全力で走っていた。時間が経つにつれココアの容体が悪化していくと思うと、最悪の場合のことを考えてしまった。
「.....そんなことあるか!ココアはいつも元気で誰にでも優しくて俺の大切な妹なんだ!こんなことでくたばられてたまるか!」
俺は体を奮い立たせ残りわずかの道を走った。入り口前に到着するとちょうどチヤが出てきた。
「チヤ!」
俺を見たチヤは俺の慌てように驚いていた。
「リョーマ君!?どうしたのそんなに慌てて!」
「チヤ!薬持ってないか?あったら少し分けてくれ!」
俺はチヤに事情を説明すると、チヤは急いで薬を持ってきてくれた。ちょうど喉が渇いていたので飲み物も持ってきてくれ、とてもありがたかった。
「早くこれをココアちゃんに飲ませてあげて!」
「ありがとう!助かったよ!」
俺はチヤにお礼を言い、急いでラビットハウスへ戻って行った。
「ココア!大丈夫か?」
ココアの元へ駆け寄ると息が荒いままだった。急いで薬を準備し、ココアをゆっくりと起こした。
「ココア、薬だ。頑張って飲んでくれ。」
「はあ........はあ.......んっ...んっ。」
無理をさせないように少しずつ少しずつ水と薬を飲ませた。水を飲んだおかげかほんの少し息が落ち着いていた。そのままココアを横に寝かせ、おでこや首元辺りに氷水を当て、安静にさせた。
1時間程経つと、荒かった息はだいぶ落ち着き意識も戻ってきた。熱はまだ少し高かったが話すことならできる状態だった。
「お兄ちゃんありがとう。」
「ごめんなココア、こんなになるまで気づかなくて。俺.......お兄ちゃん失格だな.......本当にごめん。」
「そんなことないよ。お兄ちゃんは料理ができて、勉強もできて、私たちのことちゃんと見てくれて、お兄ちゃんは私にとって理想のお兄ちゃんだから、だから....そんなこと言わないで。」
ココアは俺を励まし、笑顔を見せてくれた。俺がしっかりしないといけないのに、励ましくれてるココアに対し、落ち込んでる俺がとても情けなく感じた。
「ありがとうココア。そうだな、俺はココアたちのお兄ちゃんなんだから俺がしっかりしないとダメだよな。」
「それでこそお兄ちゃんだよ......えへへ///」
ココアが励ましてくれたおかげで前向きになることができた。ココアに何かお礼しないといけないな。
「今日は一緒に寝るよ。」
「え!?ダメだよ、風邪移っちゃうよ。」
「大丈夫。それに風邪引いてるのに1人で寝たら寂しいだろ?」
ココアは少し迷っていたが、1人で寝る寂しさは嫌だったのだろう、一緒に寝てくれと頼まれた。
「早く元気になるんだぞ。」
「うん。お兄ちゃん、ギュってして。」
「これでいいか?」
「ううん、もっと強くギュってして。」
熱が出ていた時の不安がまだ少し残っているのか、不安を完全に消し飛ばしたいような様子だった。
「お兄ちゃんがそばにいる。嬉しい///」
そう言ってココアは俺の胸に顔を擦り寄せていた。俺はそのままココアを抱き寄せながら頭をポンポンとした。
「そろそろ寝ようか。早く風邪治さないとな。」
「うん、お兄ちゃんおやすみ。」
俺は眠りについたココアの顔を見て俺も眠りについた。
「ん〜!元気になった!」
そう言いながらココアは元気よく飛び起きカーテンを開けた。そのままココアは寝ている俺の顔を見つめていた。
「ありがとうお兄ちゃん。お兄ちゃんがいなかったら今頃どうなってたか。」
ココアは突然顔を赤くしながらキョロキョロと周りを見ていた。
「いい......よね////お姉ちゃん別れ際にしてたんだし。」
そう言ってココアはそっと近づき寝ている俺の頰に口付けをした。
(お兄ちゃん////)
「........うぅ〜恥ずかしすぎるよ〜////これを人前でやったお姉ちゃんすごすぎるよ!」
なにやら大声が聞こえたので目を開けるとジタバタとしているココアがいた。
「ココア、起きてたのか。」
「へ!?お、おはようお兄ちゃん!」
「どうした?俺の顔に何かついてるか?」
「ううん!何もついてないから大丈夫!」
そう言いながらココアはすごくあたふたしていた。何があったのか知らないけれど元気になったようで本当に良かった。
「風邪が治って本当に良かった。もう平気か?」
「うん!もうすっかりこの通り!」
ココアは元気になった姿を見せるために部屋中を走り回っていた。
「良かった良かった。よし、チノが帰ってくるのは明日だから今日も一緒に仕事頑張るぞ!」
「お兄ちゃん!」
そう言いながらドアノブに手をかけた瞬間、ココアに呼ばれたので振り向くと勢い任せに抱きつかれた。見上げたココアの顔はほんのりと赤かった。
「お兄ちゃん、いつもありがとう/////」
To be continued
今回はここで終わります。
先日眼鏡が壊れてしまって大惨事でした。
周りが全然見えなくてめちゃくちゃ焦りました。すぐに新しいのを買いに行きましたけど。