兄というのは苦労するが、やり甲斐はある   作:P&D

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どうもP&Dです。
もうすぐハロウィンですね。
仮装するならなにがいいですかね......思いつかない。


-32話- 恋人同士の練習だ!......練習だぞ。......もう一度言う、練習だぞ!?

午前の仕事が終わり今は昼休憩。ココアが作ってくれた大量のサンドイッチを4人でテーブルに座って食べていた。

 

「ココア、パン少し上手になったな。」

 

「ほんと?でもお兄ちゃんほどじゃないよ。」

 

「そうか?このまま上手くなったらチノにお姉ちゃんって呼んでくれるかもな。」

 

「ほんと!?チノちゃんもし私がもっとパンが上手になったらお姉ちゃんって呼んでね!」

 

「呼びませんよ。私にはお兄ちゃんがいるのでもう充分です。」

 

「そんな〜〜!」

 

こういった団欒とした感じで昼食を食べていたが、リゼだけがさっきから食が進んでいなかった。何か思いつめたような表情で俯いている。

 

「ん?リゼどうしたんだ?さっきから全然食べてないけど。」

 

「ほんとだ。リゼちゃん大丈夫?体調悪いの?」

 

「いや、そうじゃないんだ。」

 

「何か悩み事か?できることならなんでもするぞ。」

 

「そうだよ!私もできることなら手伝うよ!」

 

「そうか?じゃあ......えっと.......リョーマ!!!」

 

突然テーブルを叩きながら立ち上がり俺の名前を呼びジッと見つめられた。

 

「リョーマ!......わ、私と付き合ってくれ!!!/////」

 

「え!?」

 

「「ヴェアアアアアアアア!!!」」

 

その言葉を聞いたココアとチノは驚きというより慄きに近いような叫び声で倒れてしまった。

 

「おい2人ともしっかりしろ!」

 

「お兄ちゃんに.......恋人......そんなわけ......ありません。」

 

「あ、あはは、そうだよね。お兄ちゃんはもう高校2年生なんだし恋人くらいできてもおかしくないよね。そうだよね、あはは、アハハハハハハハハ!!!」

 

ココアはだんだん狂い始め、チノは気絶しながら何かブツブツと呟いていた。

 

「えっと、詳しく教えてくれないか?」

 

「実は、その......。」

 

話を聞いてみるとどうやら今度、部活の助っ人で演劇をするらしい。そしてリゼの役は恋人がいるヒロインの役だという。だがリゼには今まで恋人ができたことがなく、恋人がいる気持ちを理解したいらしく恋人の練習に付き合ってほしいとのことだった。

 

「そうだったのか。わかった!その練習付き合うよ!」

 

「「ちょっと待って(ください)!!!」

 

突然ココアとチノに声を揃えて呼び止められた。心なしか少し焦っているような表情だった。

 

「どうしたんだよ急に。」

 

「えっと.....えっと......そう!お兄ちゃんだって今まで恋人できたことないのにいきなり練習相手になるなんてリゼちゃんに申し訳ないよ!だからまずは私がお兄ちゃんの恋人相手の練習に付き合うから、それからリゼちゃんの恋人相手の練習に付き合うといいよ!」

 

「な!?待ってください!ココアさんはドジで方向音痴で日向ぼっこばかりしているのに恋人相手の練習は務まりません!ここは私がお兄ちゃんの恋人相手の練習に付き合います!」

 

「何言ってるの!?チノちゃんはまだ中学生でしょ!チノちゃんにはまだ早いからここは私が練習相手になるの!」

 

「そんなことないです!中学生でも恋人同士の人はいます!子供扱いしないでください!」

 

また始まった。今日のはいつにも増して激しい言い合いだ。あくまで演劇のための練習なのにそこまで本気になることはないと思うんだけど。

 

「2人とも落ち着け。そんなことしたら時間がかかってそれこそリゼに申し訳ないだろ?できることならなんでもするって言ったんだ。それに2人とも恋人できたことないだろ?。」

 

俺が言うとココアとチノはそのまま渋々納得してくれた。

 

「そういうわけだ。よろしくなリゼ。」

 

「ああ、ありがとう。えっと、よろしく......お願いします///」

 

リゼは恥ずかしさの所為か敬語になっていた。練習は明日からということに決定し午後はそのまま仕事を続けたが、リゼは俺が近くにいると顔を赤らめ、ココアとチノはジーッと俺とリゼを見つめ、なんだか監視されているような感覚だった。

 

 

 

 

 

 

 

翌日、この日は恋人練習のために遊園地でデートをすることになっている。待ち合わせは公園にしており時間まであと30分ほどあるが、俺は少し早めに待ち合わせ場所に向かうことにした。

 

 

約束の時間までまだ20分ほどあったが待ち合わせの公園に着くと、既にリゼが待ち合わせ場所に立っていた。少し落ち着かない様子でツインテールの先の髪をいじりながら待っていた。

 

「リゼお待たせ!」

 

「ああ、リョーマか。おはよう。」

 

「おはよう。まだ20分くらいあるのに結構早くから来てたんだな。」

 

「夜全然眠れなくてやっと眠れたと思ったら朝早く起きてしまって、居ても立っても居られなくて早めに来てしまったんだ。」

 

よく見てみると瞼に少し隈が出来ていた。よほど今日の事で緊張していたんだろう。

 

「じゃあ早速練習始めるか。」

 

「そうだな、よろしく頼むよ。」

 

「じゃあ手を繋いで歩こうか。」

 

俺が手を差し出すと、リゼは状況を掴めず戸惑っていた。

 

「手を繋ぐのか?」

 

「ああ、この街でよくカップルを見かけるけど、みんな手を繋いでたし、昨日少し調べてみたらそこにも手を繋ぐって書いてあったから。」

 

俺がそう言うとリゼはものすごく恥ずかしそうに周りの目を気にしながらそっと手を繋いできた。

 

「いつもしっかりしてるリゼが、慣れないことに戸惑ってる姿を見てるとなんだか新鮮だな。」

 

「しょ、しょうがないだろ!恋人なんか出来たことないしデートだってしたことないんだから。」

 

「じゃあ慣れるように今日は頑張ろうな!さあ行くぞ!」

 

俺は緊張状態のリゼの手を引っ張り目的地へ歩き出した。向かう途中、お年寄りの方や主婦の人たちから微笑ましそうな目で見られていたので到着するまでリゼは顔を真っ赤にして、俺が話しかけても恥ずかしさのあまり一言も話してくれなかった。

 

 

 

 

遊園地に到着すると、リゼはさっきの恥ずかしさとは一変して無邪気な子供のように興奮していた。

 

「なんだか楽しそうだな。」

 

「ああ!遊園地なんて初めて来たよ!リョーマ早く行こう!」

 

俺はそのままリゼに引っ張られ園内に入っていった。

 

「さてとまずは何に乗ろうかな?」

 

「リョーマ!あのジェットコースターに乗ってみたい!」

 

そう言ってリゼはジェットコースターに指を指していた。

 

「よし!じゃあ乗ってみるか!」

 

かなりの行列で40分ほど並ぶことになったが、ようやく順番が回ってきた。リゼは初めてのジェットコースターに大興奮だった。

 

「どんな感じなんだろう?すごく楽しみだな!」

 

リゼは早く発進して欲しそうにウズウズしていた。しばらくするとアナウンスが鳴り、間も無く発進だった。

 

「リゼ、興奮しすぎて口噛んだりすうわぁ!!!」

 

リゼに少し注意しようとした途端いきなり猛スピードで進み始めた。てっきり少しずつ進み頂上に着いたら坂を思いっきり降るのかとすっかり油断していた。リゼはそんなの関係なく満面の笑みだった。

 

「あははは!すごいスピードだな!」

 

「なんだこれ!スピード早すぎるだろ!」

 

スピードも予想より遥かに早くこの状態が3分ほど続いた。ようやく1周を終えた頃には俺は疲れ切っていた。

 

「お、俺の思ってたジェットコースターと全然違う...,.。」

 

「リョーマ!次はあれに乗ろう!」

 

俺は半ば強引に手を引かれ次々とアトラクションに乗って行った。リゼは興奮状態で止まることを知らず、それに比べて俺はリゼについて行くのがやっとで遊園地を楽しむ余裕がなかった。約3時間休憩無しでアトラクションに乗っていたので、休憩を頼み込んで今はベンチで休んでいる。

 

「ごめん、無理させちゃって。」

 

「大丈夫。気持ちはわかるから気にすることはないよ。」

 

「じゃあリョーマ、次はあれに入ろう!」

 

指を指している先を見るとお化け屋敷だった。暗いところが苦手なリゼがこんなとこに入って大丈夫なのだろうか。

 

「大丈夫なのか?暗い所怖いんだろ?」

 

「大丈夫!所詮は作り物なんだし、いざとなったら私が守ってやるぞ!」

 

「まあ、リゼが大丈夫ならいいけど。」

 

俺たちはそのままお化け屋敷に入っていった。入る直前看板に小さな字で超本格的と書いてあり、この時点でこの後の展開をなんとなく察した。

 

 

 

 

 

 

 

「ゔごぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

「キャーーーーーー!!!」

 

「があああぁぁぁぁ!!!」

 

「キャーーーーーー!!リョーマ!!」

 

開始30秒、さっきの意気込みはどこへやら。お化け役の人が脅かせて来る度にリゼは悲鳴をあげ俺の背中にしがみついた。なんとなく予想できたが的中すぎて何も言えなかった。

 

「全然大丈夫じゃないじゃん。」

 

「だ、だってこんなに本格的とは。」

 

リゼは足をガクガク震えさせており、全然先へ進めなかった。今にも泣き出しそうな顔で普段とは全く違う姿だった。

 

「リョーマ!頼むから離れないでくれ!」

 

「わかったわかった。.......あ、リゼ後ろ。」

 

「え?」

 

「うがあああぁぁぁ!!!」

 

「キャーーーーーー!!!」

 

この悲鳴はお化け屋敷を出るまで数十回にも及んだ。やっと出れた頃にはリゼは大号泣状態で落ち着かせるのにかなり時間がかかった。時刻は17時を過ぎ夕方に差し掛かっていたので最後は観覧車に乗って景色を楽しむことにした。

 

「今日はありがとう。あと色々と迷惑かけてごめん。」

 

「気にするなよ。俺はリゼの可愛らしい所が見れて楽しかったよ。」

 

「か、かわ!?それは忘れろ!」

 

顔を真っ赤にしながら言ってきた。

観覧車が半分過ぎた頃、リゼが何か言いたそうな顔をしていた。

 

「どうした?」

 

「その.....1つ頼みがあるんだけどいいか?」

 

「なんだ?なんでも言っていいぞ。」

 

「その、もう少し練習に付き合ってくれないか?」

 

「もちろん!どんな練習をするの?」

 

「えっと.....りょ、旅行に行ってみたい!昨日調べてみたら恋人同士は旅行にも行くみたいなんだ。それでリョーマが良ければその旅行に付き合ってほしい。」

 

リゼはちょっと頰を赤らめながら言ってきた。もう演劇の本番まで1週間もないみたいだし、なんでも手伝ってあげよう。

 

「ああ、俺で良ければ付き合うよ。」

 

「本当か!?良かった!ありがとうリョーマ!」

 

「どういたしまして。観覧車も終わるしそろそろ降りるか。」

 

俺たちは観覧車を降りそのまま遊園地を出た。リゼを家まで送り、旅行は明後日となり明日はその準備をすることになった。

ラビットハウスへ戻りドアを開けると、電気はついてなく誰もいなかった。

 

「ただいま!......あれ?誰もいないのか?」

 

俺はココアの部屋とチノの部屋に入ったが2人ともいなかった。どこを探してもいなかったのでとりあえず部屋に戻って着替えることにした。

 

「それにしても2人ともどこに行ったんだ?」

 

そう思いながら部屋に入った瞬間、誰かに腕を掴まれそのまま引っ張られ無理矢理椅子に座らされロープで縛られてしまった。そして電気がついたので見てみると目の前にはココアとチノがいた。

 

「おい2人ともなにやってんだ!これ解いてくれよ!」

 

「ダメだよお兄ちゃん!今日のデートの内容を聞くまでは解かないから!」

 

「はあ!?なに言ってんだよ!チノこれ解いてくれ!」

 

「嫌です!お兄ちゃんには今から尋問を受けてもらいます!」

 

2人ともギラギラとした目で近づいてきた。そしてデートの内容を隅から隅まで事細かく尋問された。最後に明後日リゼと一緒に旅行に行くと言った瞬間、2人の目から光がなくなった。

 

「どういうことですかお兄ちゃん?」

 

「リゼちゃんと旅行に行くの?ねえなんで?」

 

「なんでって、演劇の練習だよ。リゼに演劇のために旅行に行きたいって言われたから旅行に行くんだよ。」

 

「そっかー、本当に旅行に行くんだね。チノちゃん!」

 

「はい!メモの準備はできてます!」

 

「さあ!その旅行の内容のプランを詳しく聞かせてもらうよ!」

 

「もうやめろーー!!!」

 

俺はそのまま1時間ほど尋問された。翌日、旅行の準備をしている最中、常に2人からジーッと見られていた。

そしてその日の夜は何故か3人一緒に寝ることになり、2人に抱きつかれながら眠りについた。

 

To be continued




今回はここで終わります。
本当は1話で終わらせるつもりだったんですけど長くなりそうなので2話に分けることにしました。
次回は旅行編です。お楽しみに!
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