今回で実家編は終わりです。
しっかり書けるかわかりませんが温かい目で読んでください。
ちなみにタイトルはベンジャミン・フランクリンの名言です。
ふと目を覚ますと窓を遮っているカーテンから僅かな日の光が差し込んできた。まだ少しぼーっとする頭をゆっくりと起こし昨夜のことを思い出していた。
どうしてあんなことをしてきたのかわからない、そして最もわからないのは最後に流した一筋の涙。考えても考えても疑問が晴れない。これじゃとてもじゃないが仕事ができる状態じゃない。恐らくモカも同じだろう。
しかし幸いなことに今日は定休日だ。そして今日で木組みの街に戻らないといけない。
「.....電気つけるか。」
俺は部屋の電気をつけ、窓とカーテンを開きここから見える景色を眺めた。考え込んでしまっている頭を少しでも落ち着かせるためだ。日の光は落ち込んだ気持ちを回復、鬱病の予防、気持ちを落ち着かせる効果があると聞く。実際日の光を浴び、景色を眺めたことで少し気持ちが落ち着いた。
「お兄ちゃんおはよう!朝ごはんもうすぐできるよ!」
ココアが元気よく部屋に入って来た。エプロン姿だから恐らくおばさんと一緒に準備をしていたんだろう。とにかく今は朝ごはんを食べて気分を変えた方が良い。
俺はココアにすぐに行くと伝えパジャマを着替え部屋を出た。ドアを開けると隣の部屋のドアが同時に開き中からは今一番顔が合わせづらいモカが出てきた。
「あ......おはようモカ。」
「.......おはよう。」
沈黙が流れる数秒間。途轍もなく気まずい。昨夜のことを思い出すと尚更だ。モカも同じことを思い出しているのか、一向に話そうという気配がなく無言が続く。
「......先に行くね。」
モカは俺に目を合わさず逃げるように1階へ降りて行った。このままギクシャクした状態で木組みの街へ戻ることになってしまったら次会った時さらに気まずくなってしまう。
「どうしたものかな.....。」
俺は1分ほどその場に留まりモカと時間をずらしてからリビングへ向かった。中に入るとちょうど準備ができた時で俺はそのまま席に座った。朝食の最中、俺とモカはココアやおばさんと話すことはあったがやはり互いが話すことはなかった。
「さてと、こんなもんかな。」
出発の準備ができた俺はココアの準備が終わるまでベッドに寝転がり天井を見つめながらボーっとしていた。結局朝食の時も話すことはできなかった。チラチラと目が合いその度に目を逸らしあうことは何度かあったが、ただそれだけだった。
俺はこのままじゃダメと思いモカに気にしてないことを伝えようと立ち上がりドアを開けた。
「あ......。」
「あ......。」
俺の部屋に入ろうとしてたのか、モカがドアの前に立っていた。そして再び沈黙の時間が流れる。
「.....ねえリョーマ君。」
俺が言いたいことを伝えようとした時、モカの方から話しかけてきた。俺は後で言おうと思いモカの話を聞いた。
「どうした?」
「ちょっと、散歩に行かない?」
モカは俺の目を見つめたまま散歩の誘いをしてきた。しかしだんだん恥ずかしくなってきたのか暫くすると顔を逸らしていた。
モカも言いたいことが何かあるのだろう。ここは誘いに乗ろう。これを逃したらもう話す機会は当分先になりそうだし。
「わかった。じゃあ行こうか。」
俺は急いで準備を済ませモカと一緒に散歩に出かけた。
おばさんとココアには少し散歩をしてから駅に向かうと伝え先に駅に向かってもらっていた。そして今、散歩をしている俺たちはというと....
「「..........。」」
散歩を始めて数分、お互い無言のまま歩いていた。話しかけたい気持ちは山々なんだが、既に無言が数分続いているので話すタイミングを完全に逃してしまっていた。
しかしこのままだと今朝と変わらない。俺はモカに昨夜のことは気にしてないと伝えることにした。
「なあモカ、その......昨日のことは気にしてないから。酔ってたんだから仕方ないよ。」
「そう......だね。ごめんね。」
「その、こっちこそごめんな。あの時なんか少し怒鳴るような言い方して。別に怒ってたわけじゃないから。」
あの時結構キツめにやめろと言ってしまい、もしかして怒ってると思われてるのではないかと思い、俺は少しでもモカの不安を消そうと安心させるために弁明した。
「リョーマ君はやっぱり優しいね。」
「そうか?」
「そうだよ。あの時は私が一方的にしたことでリョーマ君は何も悪くないのに、そうやって相手のことを考えてくれる。だからリョーマ君はとても優しいよ。」
「そっか、ありがとう。」
最初は相槌だけ打っていたモカだったが、次第に自然と会話ができていた。気のせいかもしれないが少し気まずさが解けてきたようだ。その証拠にいつの間にか俯いて思い詰めてた顔がいつも通り笑顔になっていたから。
「なあモカ、まだ時間あるしこの前の所に行かない?」
「あそこに行くの?もちろんいいよ!リョーマ君もすっかりお気に入りになっちゃったね!」
「まあな、あそこはのんびりするのに持って来いだからな。」
俺たちはこの前にパンのお使いを済ませた後に寄った大きな木がある所へ行き木陰に座り景色を眺めていた。しばらくここにいても駅には充分間に合うだろう。
それにしてもここは本当に落ち着く。人が誰もいないし、ここからの景色を眺めているだけで悩みなんか吹っ飛んでしまうほどだ。
.......ということは最初っからここに来ればよかったのでは?考え込み過ぎててまったく思いつかなかった。
「やっぱりここは落ち着くね。」
「そうだな。」
俺がモカの言葉に相槌を打った後、しばらく俺たちは無言で景色を眺めていた。ここからちょうど駅が見える。今頃おばさんとココアは駅の近くの店で寛ぎながら電車と俺たちが来るのを待っている頃かな。
駅を見つめながらそんなこと考えていると突然モカが立ち上がり手を後ろに組みながら少し前を歩き、景色を眺めながら俺に話しかけてきた。
「ねえリョーマ君はさ、好きな人とかいないの?」
「.......どうした急に?」
「リョーマ君、年ごろの男の子だからさ。ちょっと気になっちゃって。」
唐突の質問に少しびっくりした。しかし考えてみれば恋愛はしたことなかったし、況してや好きな人もできたことがない。俺みたいな年ごろの人は恋の1つや2つするものなのだろうけど如何せん俺は恋がしたことがないから、俺に恋愛話をされてもいまいちよくわからない。
「いやいないよ。ていうより恋自体がよくわからないからな。」
「じゃあもし.........もし付き合うとしたら歳は近い方が良い?」
急に恋愛話をしてきたり付き合う相手の年齢を聞いてきたりと今のモカは少し変だ。いや、変というよりなんだかほんの少し何かに焦っているように見えた。モカは成人してるけど交際相手がいないから将来のことで焦っているのだろうか。
「う~んそうだな........恋したことないからわからないけど近いほうが良いんじゃないか?2歳差までだったらOKかな?」
「............そっか。」
モカはそう言ったきり、何も言わずに景色を眺めていた。後ろ姿しか見えないがなんだか悲しそうな雰囲気をしていた。何だかよくわからなくなった俺はモカをそっとさせ、しばらく何も考えずに景色を眺めた。
「さっ、リョーマ君そろそろ時間だから行こ?」
腕時計を見ると、出発の20分前だった。俺は木に凭れかかっていた体を起こし駅に向けて歩き出した。
「リョーマ君、手繋いでいい?」
「ん?ああ、いいよ。」
モカはいつものように手を差し出してきた。次会えるのはいつなのかわからないし、ここはモカの要望に応えよう。
「なんだか寂しいね。本当にあっという間の1週間だったね。」
思えば確かにあっという間だった。最初は狂気のモカを落ち着かせるのに精一杯だったが、その後は楽しく過ごせて良い1週間だった。1週間とはいえ4人で過ごした家から急に2人いなくなったら確かに寂しくなるよな。
「また近いうちに来るよ。その時はまた一緒に遊ぼう?」
「うん!また一緒に遊ぼうね!さあお母さん達が待ってるから早く行こ!」
俺たちはそのまま駅に向かった。駅にはすでにココアとおばさんが立っており、ココアが俺たちを見つけると元気よくジャンプしながら手を振っていた。
「お待たせ。」
「お兄ちゃん!朝モフモフできなかったから今させて!」
ココアの元へ行くと、いきなり抱きつかれた。チノがいたら割って入ってきて言い合いが始まるところだ。ココアに抱きつかれたままだがおばさんにお礼を言わないと。もう出発の5分前だ。
「おばさん、1週間色々とありがとう。本当に楽しかったよ。」
「どういたしまして!また遊びに来てね。それとココア?モカとリョーマ君から聞いたけど補習ばかりって聞いたわよ。あまり勉強を疎かにするんじゃないわよ。」
「は、は〜い......。」
おばさんに注意をされたココアは恐る恐る俺を見てきた。俺はまた特訓するぞというサインを出すと顔を青ざめていた。それが嫌なら普段から勉強してればいいのに。全然懲りないな。
「もう出発するからそろそろ行くよ。」
「ええ、頑張ってね!」
俺はおばさん達に挨拶をし、電車の入り口に向かった。俺はこの時1つある事を思い出したので、ココアに先に乗るように言い、俺はモカの元へ向かった。
「どうしたのリョーマ君?」
俺は何も言わずにモカの手を引っ張り前にモカにされたように頬にキスをした。
「な!?.......リョーマ君///」
「この前の仕返し!じゃあな!」
俺は顔を真っ赤にしているモカを後にし電車に向かった。おばさんは柔らかい笑みで見ていた。前にされた時、あの後ココアとチノにめっちゃ問い詰められたんだから当然の仕返しだ。内心めっちゃ恥ずかしかったが、俺は振り向かず電車に乗り込みそのまま出発した。
「よかったわねモカ。」
「............うん///」
電車が去った後もまだモカは顔を真っ赤にしていた。おばさんは微笑ましそうに見ていたが、電車が去った方向を見ながらモカに質問を問い出した。
「モカ、よかったの?リョーマ君に想いを伝えなくて。小さい時からずっと好きだったんでしょ?」
「うん.......でも私じゃダメだよ。私とリョーマ君少し歳が離れてるし、リョーマ君も恋愛するなら歳が近い方が良いって言ってたし。もしリョーマ君が恋をするとしたら多分、あの子たちの誰か。そこに私は入ってないよ.......。」
モカの回答におばさんは黙って聞いていた。昔の自分を思い出しながら。昔の自分をモカと重ねて見ていたおばさんはモカにアドバイスをした。
「モカ、恋愛に年の差は関係無いわ。お母さんだって昔はお父さんと付き合う前は色々悩んだわよ。歳が少し離れてたから、今のモカと同じように悩んだわ。でも告白してOKをもらった時、年の差なんか関係無いって言ってくれた時は本当に嬉しかったわ。だからモカ、今のリョーマ君は恋をした事ないから歳が近い方がいいって言ってるけど本当にモカのことを好きになってくれたら歳の差なんか気にしないって言ってくれるわ。だから頑張りなさい!」
おばさんの言葉を聞いたモカは心の中にあった重りがスッと消えたような顔で気持ちが吹っ切れた様子だった。失恋をしかけたモカにとってどれだけ希望が持てる言葉かは本人にしかわからない。
モカは右手を胸に当ておばさんと同じ電車が去った方向を見つめていた。
(リョーマ君、私頑張るよ。振り向かせることができるかはわからないけど、最後まで頑張って振り向かせるように頑張るから。
だからあなたを.......
.....私の想い人でいさせてね。)
「ックション!」
「お兄ちゃん大丈夫?」
「ああ、風邪かな?」
「もしかしたらお母さんとお姉ちゃんがお兄ちゃんの話でもしてるのかもね!」
「はは、そうかもな。」
To be continued
今回はここで終わります。
モカの成人やモカの両親の年の差云々は僕の勝手な想像なので、この人そういう風に考えてるんだみたいに思っててください。