僕は中学の時に創作ダンスをしたんですけど内容がどうも厨二くさかったので発表の時、けっこう恥ずかしかったです。
ある日のこと、いつも通りに仕事をしていたがいつもと違うのが1つある。チノが何故かずっと背伸びをしたままで仕事をしているのだ。ココアは異常成長をしたと勘違いしてずっとチヤに電話をしている。
とりあえず俺はチノに背伸びの理由を聞くことにした。
「チノ、なんで背伸びしながら仕事してるの?」
「今度学校で創作ダンスがあるんです。それでメグさんの家がバレエ教室みたいで本番までの間そこに通おうと思うんです。それでダンスに向けて少しでも足の筋力を高めようと背伸びしてました。」
詳しく聞いてみるとどうやらマヤとメグと同じグループになれたらしくメグは幼い頃バレエをしておりマヤも一時期やっていたらしくそれを聞いたチノは劣等感を感じ2人の足を引っ張らないための背伸びだったようだ。ダンスの内容はもう完成してるらしくあとはダンス力を鍛えるだけみたいだ。
「へぇ〜ダンスか。じゃあ今度差し入れついでに見に行っていいか?」
「はい!是非来てください!その方が私も嬉しいです!」
チノが大喜びで言ってきた。顔が近い。俺は次のダンス練習の時に見に行くと約束しココアに背伸びの理由を言うことにした。
「ココア、チノは創作ダンスのために背伸びしてたんだと。」
「ううん!悪いものは食べてないと思うし、ゾンビにもなってないから大丈夫だと思うけど、チノちゃんのあの背の伸び方は異常だよ!」
「.........はぁ~。」
ココアはまだチヤと電話をしていた。というより何をどう考えたらゾンビという言葉が出てくるのだろうか。ココアは物事を注意深く見ずにすぐ勘違いするから将来が少し心配だ。
ココアに背伸びの理由を言ってあげると心底安心した顔でチノに抱き着いていた。
※
「え~と、ここかな。」
数日後、チノ達がダンスの練習をしているメグのバレエ教室に到着した。受付の人に話をし、中へ通してもらうといろんな年代の人たちがバレエのレッスンをしていた。中学生、高校生、主婦などだ。そんな教室を見渡していると教室の端で一生懸命創作ダンスの練習をしている3人がいた。
「おーい、3人とも!頑張ってるか!」
「あ!兄貴だ!」
「本当だ~!お兄さんだ~!」
「やっと来てくれました!」
3人は俺の姿を見つけると一目散に駆け寄ってきた。3人の中ではチノが一番足が遅いはずなのに、何故か他の2人よりも驚くほど速かった。3人とも俺のそばに来ると尻尾を犬のように頭を撫でて欲しそうにしており、ご希望どおり頭を撫でてあげることにした。
「疲れてるだろうし差し入れ持ってきたから休憩にしよう?」
俺の提案により、俺が持ってきた差し入れのサンドイッチを食べて休憩をすることにした。3人とも目を輝かせながらサンドイッチを凝視しており、早く食べたそうな様子だ。
「「「いただきます!」」」
3人とも声を揃えてサンドイッチを食べ始めた。マヤとメグはどのサンドイッチにしようか迷っていたがチノは何の迷いもなくハンバーグサンドを手に取っていた。ハムカツやたまごサンドなど沢山あったのによほど好きなんだろうな。
こうして美味しそうに食べてくれるとすごく嬉しい。自信がつくしこれからも作ってあげようという気持ちになる。
「チノ、さっきからハンバーグサンドばっかり食べてんじゃん。」
「チノちゃんはハンバーグ大好きだよね〜。」
「だ、だって美味しいんですからしょうがないです。お兄ちゃんが作るハンバーグは最高ですから。」
チノは少し恥ずかしそうにしながらパクパクと食べていた。恐らくチノはハンバーグサンドをたくさん食べると思いハンバーグサンドだけ少し多めに作っておいたのだ。結果は予想通りで少しホッとした。
「「「ごちそうさまでした!」」
籠の中に入っていたサンドイッチは全部なくなり、あっという間に完食されていた。俺はこの後夕食の買い出しと準備があるので、3人にしっかり頑張るように言ってバレエ教室を後にした。
※
それから創作ダンスの本番までの間、俺はバレエ教室に顔を出し、3人に差し入れを渡すようになった。いつも美味しそうに全部食べてくれるので作り甲斐があって嬉しいものだ。
そんな嬉しい気持ちに浸っていた頃、ちょっとした出来事が起こった。それは本番前日、いつものように差し入れのサンドイッチを渡しにバレエ教室に来た時だった。
「今日でバレエ教室最後か。3人ともしっかり頑張れ。」
「うん!ありがとうお兄さん!」
サンドイッチの籠を4人で囲いながら話しているとここの教室の先生らしき人が現れた。髪が赤色でどこかメグに似ている。
「こんにちは〜!あなたがもしかして如月リョーマ君?」
「はい、そうですけど。」
「初めましてメグの母です。いつも差し入れありがとう!」
なんとなく予想していたがやはりメグのお母さんだった。メグと同じ少しおっとりとした様子をしており、親子揃って似たところがあるなと思った。
「メグの言ってた通り、優しいお兄ちゃんって感じがするわね。」
「お、お母さん!」
やはり本人の前で言われると恥ずかしいのか突然メグが割って入ってきた。
「聞いてリョーマ君。メグったらほぼ毎日あなたのことを話すのよ。この前頭撫でてくれて嬉しかったとか、ダンスの応援してくれてすごく元気が出たとか、もし泊まってくれたら1日中そばにいたいとか言ってたわ。」
「やめて〜///お母さんやめて〜///」
とうとう恥ずかしさに耐えられなくなったメグは顔を手で覆いしゃがみこんでしまった。確かに俺も同じ立場だったらメグのようになっていたかもしれない。というよりメグのお母さん、なんの躊躇いもなく言ってきたな。
「そうだわ!リョーマ君、よかったら今日うちに泊まっていって!差し入れのお礼もしたいし!」
「え!?お兄さん泊まってくれるの?」
さっきまで恥ずかしがっていたメグが何事もなかったかのようにひょこっと話に入ってきた。せっかくの誘いだし、メグも期待と不安の眼差しをしてるし、ここはお言葉に甘えよう。
「ありがとうございます。じゃあ今日1日よろしくお願いします。」
「やった〜!お兄さんと1日一緒にいれる!」
「待ってください!!!」
メグが大喜びではしゃいでいるのとは逆にチノは頬を膨らませながらズンズンと俺の所に寄ってきた。これ絶対に泊まるなって言われるな。
「お兄ちゃんは泊まっちゃダメです!」
やっぱり言ってきた。こうなったチノはなだめるのに苦労するぞ。
「いいでしょチノちゃん!チノちゃんはいつもお兄さんと一緒にいるんだからたまには一緒にいさせて!」
「いやです!そんなに泊めたいならまずは私に許可を取ってからにしてください!」
「じゃあチノちゃん、お兄さんをうちに泊めてもいい?」
「ダメです!!!」
「も〜!最初からそのつもりで言ったでしょ!」
メグも頬を膨らませ始め、チノと言い合いになってしまった。チノには悪いけどメグのお母さんがせっかく誘ってくれたんだからここはメグの味方になろう。
「チノ、今日1日メグの所に泊めさせてくれないか?いつも一緒に寝てるんだし1日だけいいだろ?」
「嫌です!お兄ちゃんが泊まっちゃったら今日1日どうやってお兄ちゃん分を補給すればいいんですか!」
めっちゃ涙目になっている。どう宥めてあげればいいだろうか。それにしてもチノはだんだんとわがままになってきている気がする。何かすることになっても俺と一緒じゃないと嫌だとか、誰かと一緒に何かしてたらずるいと言って割って入ってきたりとそういうのが多くなってる気がする。
「チノ、少しは我慢できるようになろう?俺がしばらく留守の時は我慢できただろ?」
「だってお兄ちゃんがいないと不安になるんです.....2回も1週間留守にされるとお兄ちゃんが帰ってこないんじゃないかと怖くなるんです。」
チノを不安にさせてしまう原因は俺にある。普段から甘やかしてしまった結果がこれだ。最初は厳しくしててもだんだん可哀想に思ってしまい甘くなってしまう。甘やかす時は甘やかす、厳しくする時は厳しくするというのを俺はもっと勉強した方が良いかもしれないな。
「大丈夫1日だけだから。帰ったら一緒にいるから。だから頑張って我慢しような?」
「じゃあ頑張って我慢するので帰ったらいっぱいハグしてくださいね?」
「ああ、もちろん!」
こうしてチノから許可を取ることができた。メグは大喜びのあまりジャンプして俺に飛びついてきた。背後から嫉妬の気配を感じたが、感じなかったことにして、メグの家にお邪魔することになった。
※
「お兄さん!早く早く!」
俺はメグに手を引かれながら家の中に入った。メグの家はこのバレエ教室の2階でそれなりに広かった。バレエの道具やポスターなどがあるかと思ったがそんな事はなく、普通の家だった。メグのお母さんは夕食を作るからメグと遊んでいて欲しいと言われ、俺はそのままメグの部屋に連れられた。
「ここが私の部屋だよ!」
部屋の中はいかにも中学生といった部屋だった。勉強机がありベッドがあり、人形が置いてたりと部屋の模様が少しピンクだけなのを除けばチノの部屋とあまり大差はなかった。
「まずは何したい?」
「チノちゃんはいつも何してもらってるの?」
「帰ってきたらまずはハグをしてってせがまれるな。」
「じゃあハグしたい!」
すごい即答だった。メグは早くしてほしそうにそわそわしていた。なんだか今のメグはチノにそっくりだ。これじゃラビットハウスにいるのとあまり変わらないぞ。
俺はあまり気にしないことにして、腕を広げるとにこやかに俺の胸に抱きついてきた。
「やっぱりお兄さんのハグ落ち着く〜。」
「そうか?」
「うん!ねえお兄さん、チノちゃんは他にも何してもらってるの?」
「色々あるよ。抱っこしてあげたり、頭撫でたりしてる。」
「そうなの!?じゃあチノちゃんにしてあげてること全部して欲しい〜!」
「お、おう。わかった。」
俺はメグにせがまれるままチノにしてあげてることをしてあげた。頭を撫でて、抱っこをして、膝枕をして、背負ってあげたりと挙げだしたらきりがない。メグの要望を応えているといつの間にか30分経っていた。それでもメグはまだ満足してないらしく全然離れてくれない。
「メグ!リョーマ君!夕食できたからリビングに来てー!」
リビングからメグのお母さんが呼ぶ声が聞こえる。どうやら夕食ができたようだ。しかしまだメグは俺に抱きついたままだ。
「メグ、もう夕食できたみたいだから離れてくれるか?」
「えへへ~、お兄さ~ん。」
ダメだ。誰の声も聞こえていない。夢中になってしまうという気持ちはわかるがこれは夢中になりすぎだ。こんなんじゃ夕食なんて食べられないぞ。
俺はメグに抱き着かれたままリビングに向かった。
「すみません、ちょっと遅くなりました。」
「メグ!?なにしてるの!リョーマ君が困ってるじゃない!はやく離れなさい!」
メグのお母さんの言葉を以てしても聞こえていない。どうやら自分だけの世界にのめり込んでいるようだ。このキラキラした笑顔を見てるとすごく可愛くは思えるのだが限度というのを守ってほしい。まあこれはメグだけに言えることではないが。
「メグ?そんなにリョーマ君を困らせてばかりだと嫌われちゃうわよ?」
「ふぇ!?ヤダ!」
ようやく我に返ったようで笑顔から焦りに変わっていた。涙目で嫌われないでほしいといった表情で俺を見てくる。もちろんこんなことで嫌う事はないがメグからしたらちょっとしたことでも嫌われてしまうと思っているんだろう。ここはちゃんと言って安心させないといけない。
「大丈夫。こんなことで嫌いにならないよ。」
「ほんと?」
「うん、でも何事もそうだけどやりすぎないようにな。」
「うん!」
無事にメグが安心できたようで気を取り直して俺たちは夕食を食べることにした。夕食はシチューだ。とても濃厚で味をしっかりと引き出しており、具と一緒に食べるとさらに美味しさが引き立つ。シチューを味わいながらふと隣を見るとメグがキラキラした目で俺を見ていた。
「どうした?」
「お兄さん食べさせて!」
「メグったらあまりリョーマ君に迷惑かけないの。」
終始笑顔で鼻歌を歌いながら超ご機嫌のメグ。目を閉じニッコリと微笑みながらこっちを向いている。控えめに言ってもすごく可愛い。恐らくこれの類が俺を甘くしてしまう原因だろう。
「ごめんね、メグのわがままに付き合わせちゃって。」
「大丈夫ですよ、家でもこんな感じですから。」
最近は夕食の時、チノが甘えて食べさせてほしいと言ってくる。そしてそれを見たココアも対抗して同じように甘えてくる。さらにそれを見たチノも対抗して甘えてくるといったループがよく起こっている。今ここにいるのがメグだけで良かった。
「ねえお兄さん!1回だけでいいからお願い!」
「わかったわかった。はい、あ〜ん。」
「あ〜ん♪」
「美味しい?」
「うん!ありがとうお兄さん!」
どうやら満足したみたいでようやく落ち着いてくれたみたいだ。夕食を続けようとシチューをひと口食べた時少し温くなっていた。メグがこんなに嬉しくなってくれたんだからまあいいか。
※
外は完全に暗くなり寝る時間になった。メグのお母さんから空き部屋あったのでそこを使うように言われていたのだが、メグがどうしても一緒に寝てほしいと何度も言われメグと寝ることになった。
「お兄さんといると時間があっという間に経つね〜。」
「そうか。それぐらい楽しかったってことだろうな。」
メグはベッドに座り、俺は床に座って会話をしていた。明日のこともあり今日は早めに寝ることになっており、話せる時間は少しだけだ。今日はいろいろメグの可愛らしい所が見れて俺も楽しかった。しばらくここに泊まったらメグもチノみたいになりそうだな。
「ダンス大丈夫そうか?」
「う〜ん、まだちょっと緊張するけど大丈夫だと思う。」
俺も気持ちはわかる。特に小学生になったばかりの頃、席を立って発表した時はめちゃくちゃ緊張したものだ。今は全然平気だが、今のメグを見るとそんなことを思い出す。
「とにかく全力で頑張れ。そうすれば結果がどうなろうと落ち込むことはないよ。むしろやり切った感が出ると思うから。」
「うん!私頑張るね〜!」
「その意気だな。さてとそろそろ時間だし寝るか。」
俺は部屋の電気を消しメグが座っているベッドへ向かい横になった。隣にはメグも横になっており、微笑みながら俺を見ている。しかし気のせいかまだ明日の不安があるように感じられた。こういう時は寝る時にいつもチノにしてあげてることをしよう。
俺はそのままメグを俺の胸に抱き寄せポンポンとメグの頭に手を添えた。
「なんだろう、これすごくいい〜。」
「いつもチノにしてあげてることなんだ。怖くて眠れない日やなかなか寝付けない日はこうしてあげるとすぐに寝るんだ。」
「そうなんだ。うん、すごく安心する.........。」
さっきまで不安で少し体が固まっていたメグの体だったが、だんだん力が抜けていきとろんとした目をしていた。よほど落ち着けているのだろうか3分ほど続けていると安心した寝息が聞こえてきた。どうやらもう眠ってしまったようだ。
俺はメグが眠ったのを確認した後、重くなった瞼を閉じた。
※
翌日、創作ダンスの本番が行われた。俺はいつも通り仕事をしながらチノの帰りを待っていると裏口からドアが開く音がし、数人の足音がした後、最初はチノが、それに続いてマヤとメグもやってきた。なんだか3人とも喜んでいる顔だ。
「お疲れ様。ダンスどうだった?」
「兄貴!すげえんだよ!私たち優勝したんだよ!」
話を聞くと見事優勝したらしく、しかもクラスではなく学年で優勝だったらしい。いつもバレエ教室で練習を頑張った結果だ。それはとても良いことだ。
「おめでとう3人とも!じゃあ今日はご褒美にハンバーグ作ろうかな?マヤとメグも食べていくか?」
「いいの!?やったー!メグ、ハンバーグだってさ!」
「うん!すごい楽しみだね〜!」
3人とも大喜びだった。優勝できたんだからこれくらいはしてあげないとな。
「ねえお兄さん。」
チノとマヤが手を合わせながら喜んでいた時、メグがこっそり俺の元へ来た。
「どうした?」
「昨日はありがとう。ダンスの本番中にね、寝てる時にギュってしてもらいながら頭を撫でてくれた時のことを思い出しながらやったら全然緊張しなかったんだ〜。」
「そうか。俺も嬉しいよ。」
「お兄さん!本当にありがとう!」
メグは俺にお礼を言いながら抱きついてきた。そこまで効果があったとは正直思っていなかったが、メグのためになったのなら良かった。
俺はメグをハグしていると背後から2つの気配を感じた。あぁ.....この時点でわかってしまった。この後の展開を。ゆっくりと振り向くとジーっと俺を見つめている2人がいた。
「.....待て。2人が言いたいことはわかる。」
「じゃあ私たちが今してほしい事は何かわかるよな?」
「わからないとは言わせませんよ。」
ジーっと見つめたままだが、すごい圧力を感じた。2人も頑張っただし、ご褒美をあげないとな。メグを抱きしめている腕の片方を広げると、とても嬉しそうに抱きついてきた。ちょっと息苦しかったが、俺は気にせず3人が満足するまでこのままにしておいた。
To be continued
今回はここで終わります。
最近、IFストーリー書こうかな?どうしようかな?と思ってます。
気が向いたら書いてみようかと思います。