兄というのは苦労するが、やり甲斐はある   作:P&D

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どうもP&Dです。
最近花粉症で鼻水やくしゃみでヤバいです。
マスクも全然手に入らないし、誰か助けて~!


-42話- 進路を決めよう!

「では皆さん、今から進路希望調査のプリントを配ります。」

 

4月が終わり明日からゴールデンウィークである今日、下校前のHRに担任の先生から進路希望調査を配られた。俺はもう高校3年生だ。無職で生きていくわけにもいかないし、そろそろこの先何をするのかを決めないといけない。でも今の俺には何がしたいのかがわからずにいた。

 

「提出はゴールデンウィーク後になります。それでは皆さん、良い1週間を。」

 

こうしてHRは終わり下校となった。俺は5秒間ほどいくつかの記入欄がある進路希望調査のプリントを見つめた後、鞄にしまいそれを肩にかけ、席を立った。周りの生徒たちはどこに就職するかとかここの大学に行きたいとか進路の話題で盛り上がっていた。将来が決めれない今の俺からしたらなんだか少し羨ましく思える。

俺は静かに教室のスライドドアを開け、廊下に出ると元気な声で俺を呼ぶ声が聞こえてきた。

 

「お兄ちゃーーん!」

 

「おぅ、ココアか。」

 

「お兄ちゃん一緒に帰ろう?」

 

「そうだな、帰るか。」

 

俺は校門に向かって、女子生徒しかいない廊下をココアと一緒に歩き出した。ここの学校に転校したばかりの頃、つまり去年の今頃はココアと一緒にいるとそれを初めて見た生徒たちは彼氏彼女?だのお兄ちゃんって呼んでるから兄妹なの?だのめちゃくちゃ問い詰められるという少し怖かった思い出がある。俺は幼馴染だと答えると何故かみんな残念そうな顔をしたり、期待外れの顔をした人たちがいた。俺、あの時あんな顔されるようなこと言ったっけ?事実を言ったから間違ってはないと思うけど。

そんな恐怖体験を振り返っていると、いつの間にか校門を出ていた。あとはこのまま真っ直ぐ帰るだけだな。

 

「明日からゴールデンウィークか。」

 

「そうだね。1週間も休みだしいっぱい遊ぼうね!」

 

「遊ぶのは別に構わないけど、休みの間特訓があることを忘れるなよ。」

 

「..............。」

 

ココアは後半の俺の言葉を聞くと、石像のように固まり歩みを止めてしまった。そこまで嫌か?

 

「お兄ちゃんゴールデンウィークだよ!?」

 

「ああ。」

 

「わかってる?ゴールデンウィークだよ!?」

 

「わかってるよ。遊ぶ分勉強もちゃんとしないとな。」

 

「ヤダ!ゴールデンウィークなんだからいっぱい遊びたい!」

 

「文句言うな!そんなんだからいつも小テストで赤点ばっか取るんだろ?」

 

ココアはちょっと目を離すとすぐ遊びたがる。それで勉強を疎かにして結局特訓を受ける羽目になるのがテンプレとなっている。つまりゴールデンウィーク中に特訓を受けようが遊び惚けようが結局特訓を受けることに変わりはない。ただの時間の問題だ。

 

「ヤダ!遊びたい!遊びたい遊びたい遊びたい!」

 

ブンブンと腕を振り、小学生みたいに駄々をこね始めた。やめてくれないかな.......一緒にいる俺が恥ずかしい。本当にこいつの精神年齢何歳なんだ?

 

「駄々こねるな!結局特訓することになるんだからおとなしく受けろ!」

 

「ヤダ!遊びたいもん!」

 

「そうか.........ゴールデンウィークだから今日はハンバーグにしようと思ったけど無しだな。」

 

「え?いやだよ!ハンバーグ作ってよ!」

 

ココアはハンバーグのことになると途端に大人しくなった。しかも少し青ざめている。

 

「何も頑張ってないのにご褒美をあげるなんてそんなのご褒美じゃないからな。でもチノは普段から勉強をコツコツと頑張ってるから今日はチノだけハンバーグだな。」

 

ココアにとって少し酷なことを言うとものすごく葛藤し始めた。頭を抱えながら何かぶつぶつと呟いている。ココアにとって遊びとハンバーグは天秤に乗せると同じなのか?

 

「うぅ............する!勉強する!だからハンバーグ作って!」

 

「わかった。じゃあココアが勉強するって言ったから今日は多めに作るよ。」

 

「やったーー!」

 

ココアは両腕を万歳のように広げぴょんぴょんと飛び跳ねていた。どうやら天秤に乗せた結果、ハンバーグの方に傾いたみたいだ。

 

「ほらはしゃいでないで早く帰るぞ。」

 

「うん!」

 

よほどハンバーグが嬉しかったのか、鼻歌歌いながらスキップしている。小学生の性格とココアの性格だけを並べて、どっちが小学生でしょうと聞いたら高確率で間違われるんじゃないか?

 

「ハンバーグは作るけどちゃんと勉強するんだぞ?」

 

「わかってるよ♪ハンバーグ作ってくれるんだからちゃんとするよ!」

 

ココアは張り切った顔でガッツポーズをしていた。ハンバーグで勉強してくれるのなら毎日ハンバーグといきたいところだけど栄養が偏るからそういうわけにもいかない。ココアとチノは大喜びしそうだけど。

そんなことを考えながら歩いていると。

 

「もういい!!親父とは2度と口を聞かない!!!」

 

どこからか物凄い怒鳴り声が辺りに響き渡った。女の子の声だ。しかも聞き覚えのある声。

 

「ねえお兄ちゃん、今の声って.........」

 

「ああ、リゼの声だな。」

 

俺たちは急ぎ足で怒鳴り声の発生源であるリゼの家へ向かうと門の前で困惑している黒いスーツにサングラスをつけた門番の男の人たちがいた。

 

「あの、どうかしたんですか?」

 

「あなたはたしか.........お嬢のお友達の如月さんでしたね。いやぁそれがお嬢とお嬢のお父上が大喧嘩をしてしまいやしてね。それでつい先程お嬢が家を飛び出してしまったんですよ。」

 

それでさっきの怒鳴り声が響き渡ったのか。それにしてもリゼが喧嘩って何があったんだ?モデルガンを壊されたとかかな?まあ本人に聞けばわかるか。

 

「それでリゼはどこに行ったんですか?」

 

「それが行き先も言わずに出て行ってしまったんでわかんないんですよ。」

 

そう言ってスーツの人たちは頭を掻くような仕草をし、途方に暮れたような様子だった。家を飛び出したとなるとそんなに遠くへは行ってないだろう。

 

「じゃあ俺、リゼを探してきますよ。」

 

「本当ですか!ありがたい!是非お願いしやす!多分そう遠くへは行ってないと思うので。」

 

「わかりました。ココア行くぞ。」

 

俺たちはそのまま、家に帰る前にリゼを探すこととなった。しかし今のリゼが行きそうな所はなんとなくわかる。あんなに響き渡る怒鳴り声を出すほどの大喧嘩をしたんだからどこかで頭を冷やしたいと思っているはずだ。

 

「ねえお兄ちゃん、リゼちゃんどこにいるかわかるの?」

 

「ああ、なんとなく予想は着く。」

 

時刻は16時半を過ぎ、周りの景色は夕日でオレンジ色になってきた。この時間帯で広くて人が少ない場所はあそこしかない。

 

「ここって、公園?ここにいるの?」

 

「多分な。」

 

俺たちは公園に入りくまなく探し始めた。それなりに広い草原、ブランコなどを探し、そして最後に噴水のそばにあるベンチを見てみると床にボストンバッグを置き、腕を組みながら考え事をしているリゼが座っていた。

 

「よぉリゼ。」

 

「ん?お前たちか。」

 

「リゼちゃん何かあったの?リゼちゃんのお父さんと喧嘩したって聞いたよ?」

 

「..........親父と進路の話になって、それで私がやりたいことを言ったら笑われたから喧嘩した。」

 

リゼのお父さん、娘のやりたいことを笑っちゃいけませんよ。そりゃリゼも怒るよな。

 

「なあリゼ。帰ってもう一回話し合ったらどうだ?」

 

「いやだ!しばらく親父の顔は見たくない!」

 

よほど怒っているらしくそっぽ向いてしまった。困ったな。今帰してもまた喧嘩して家を飛び出すだろうし、このままにしておくわけにもいかないし。仕方ないな。

 

「うちに来るか?」

 

「え?」

 

「お兄ちゃん、リゼちゃんを連れて行くの?」

 

「ああ、このままにはしておけないし行く当て無いんだろ?タカヒロさんに話せばわかってくれるよ。」

 

「...........わかった。しばらく、お世話になります。」

 

リゼは少し考えた後、ペコリと頭を下げラビットハウスへ連れていくことにした。道中リゼは喧嘩の時を思い出してるのか少しイライラしている感じだった。俺はしばらくそっとしておくようにした。

そして10分ほど経ち、ラビットハウスに着くと俺はタカヒロさんに事情を話すと快く受け入れてくれた。

俺たちは私服に着替えるために一旦それぞれの部屋へ向かった。リゼはココアの部屋を一緒に使うみたいだ。

 

「さてと着替えるか.........。」

 

着替えようと思ったが部屋の中に1箇所だけすごい不自然なものがあった。俺のベッドにかかっている布団が妙に膨れているのだ。しかも膨らんだり縮んだりしている。俺が部屋を出る前はこんなことはなかった。誰かが入ってるとしか思えない。

 

「誰だ?」

 

バサッと布団をめくると、俺が使ってる枕を抱きしめながら縮こまるようにぐっすりと眠っている学校の制服姿のチノがいた。この姿だと帰ってきてそのまま俺の部屋で寝てしまったってところかな。なんで俺の部屋で寝てるのかは謎だけど。

 

「チノ、起きろ。今寝たら夜寝れなくなるぞ。」

 

「.......ん?あ、お兄ちゃんおかえりなさ~い。」

 

寝惚け眼で言ってきた。頭はゆらゆらと船を漕いでいる。

 

「なんでここで寝てるの?」

 

「お兄ちゃんを待ってたらいつの間にか寝ちゃってました。えへへ。」

 

つまり寝落ちというわけか。たしかにいつもより30分ほど帰るのが遅くなったからな。

 

「リョーマ入るぞ。」

 

「あれ?なんでリゼさんがいるんですか?」

 

「ああ、ちょっと色々あってな。」

 

「もしかしてお兄ちゃんに甘えにきたんですか!?ダメですよ!お兄ちゃんに甘えていいのは私だけです!」

 

チノは俺をギュッと抱きしめ子猫が威嚇するみたいにリゼを見ていた。すごい勘違いだな。リゼはちょっと苦笑いしてるし。

 

「リゼは家で喧嘩をしたらしくてな、それでしばらくここに泊まることになったんだ。」

 

「そうだったんですか。わかりました。でもリゼさん、うちに泊まるのは構いませんけどお兄ちゃんにハグしてもらったり頭を撫でてもらったりしてもらうのだけは絶対にダメですからね!」

 

「この歳になってそんなことするか!///」

 

苦笑いから一変、今度は大赤面になっていた。リゼは表情豊かだな。それに甘えていいのはチノだけって、チノって意外と独占欲が強いのかな?

 

「チノ、そろそろ夕食の準備をしないといけないから離れてくれるか?今日はハンバーグだからさ。」

 

「本当ですか!?」

 

チノはうさきが耳をぴょんとさせながら反応するような素振りを見せた。子猫の次はうさぎというわけか。しかも目をキラキラさせてるし。

 

「ああ、だからいい子で待っててくれるか?」

 

「はい!じゃあ私、勉強して待ってます!」

 

夕食がハンバーグとわかったチノはいつもより数倍張り切って自室に戻り勉強を始めた。ハンバーグとわかっただけであそこまでなれるなんてな。ハンバーグの効果は絶大だ。

 

「なあリョーマ。」

 

「ん?どうした?」

 

リゼは今のやりとりを見てなんだか少し驚いた様子だった。

 

「チノの奴、仕事の時以外はいつもあんな感じなのか?」

 

「まあそうだな。俺のハグをめぐってよくココアと喧嘩してるよ。」

 

「...........仕事の時もかなりのあれだけど、仕事以外の時はそれ以上だな。」

 

リゼは半分呆れ顔になっていた。リゼは気付いていないようだが、仕事の時も相当だぞ。事あるごとにお客さんやココアとリゼの目を盗んで後ろからギュッてされることがあるし。その度にニッコリな笑顔をされるから注意したくてもつい頭を撫でて甘やかしてしまう。

 

「さてと、待たせると悪いしそろそろ夕食の準備をするか。」

 

「あ、それなら私も手伝うよ。」

 

俺たちはキッチンに向かい、夕食の準備を進めた。時折上からスキップの足音が聞こえる。この上はココアの部屋だからココアがスキップをしているのか。よっぽどハンバーグが楽しみなんだな。

そして準備が整い、2人を呼ぶと待ちきれないといった様子で階段を駆け下りてきた。

 

「わぁハンバーグだ!」

 

「すごく美味しそうです!」

 

2人は席に座るとキラキラした目でハンバーグを見つめ、早く食べたそうにウズウズしていた。そんなに慌てなくてもハンバーグは逃げないのに。

 

「ほら冷めないうちに早く食べよう。」

 

「「「「いただきます!」」」」

 

言った直後に2人はハンバーグへまっしぐらだった。一口食べると幸せに満ち溢れたような顔で満足気だった。トマトとかセロリもそのくらいの勢いで食べて欲しいんだけどな。

 

「ん〜〜!おいし〜!」

 

「やっぱりお兄ちゃんのハンバーグは最高です!」

 

「久しぶりにリョーマのハンバーグを食べたけど、前より上手くなってるな。」

 

「そうか?」

 

「ああ、久しぶりに食べた私が言うんだから間違いない。」

 

リゼが最後に俺が作ったハンバーグを食べたのはモカがこっちに来た時に、ピクニックで食べたハンバーグサンドだから多分リゼの言う通りなんだろう。それにしても本当に美味しそうに食べるなこの2人は。

 

「そういえばリゼちゃん、なんで進路の話で喧嘩になったの?」

 

ココアはリゼに喧嘩の理由を聞いてきた。どんな進路の話になったらあんな怒鳴り声が出るほどの喧嘩になるのか俺も気になっていた。

 

「親父がバカにしてきたから。」

 

「リゼは将来何になりたいんだ?」

 

「..........。」

 

 

言うのが恥ずかしいのか、頬を赤らめ少し俯いてしまった。

 

「大丈夫だよ。笑ったりなんかしないから。」

 

「そうですよリゼさん。何になるのか決めるのはリゼさんなんですから。」

 

「そうだぞ。恥ずかしがることなんてないんだぞ?」

 

「...........んせい。」

 

何かボソッと呟いていたが、全然聞き取れなかった。

 

「なんて?」

 

「.......しょ、小学校の先生になりたい........って親父に言ったら笑われた。」

 

リゼはいつもモデルガンを携帯している。しかも父親が軍人だから喋り方は女の子らしいかと言われるとそうではない。だからリゼのお父さんは向いてないと思って笑ってしまったといったところかな?それでもやっぱりお父さん、娘のやりたいことを笑っちゃダメです。

 

「ほら!お前たちまで笑う!」

 

向かいに座っているココアとチノを見ると、リゼが先生になった時のことを創造をしてるのか、にへらと微笑んでいた。俺も少し創造してみよう。小学生の子供達からリゼ先生と呼ばれ、わいわいと一緒に遊ぶリゼ。なんだか予想以上に似合いそうだな。

 

「........ふふ。」

 

「お前まで笑うなー!」

 

「いや違う違う!想像したらすごい似合ってたからさ!」

 

「え////」

 

「そうだよリゼちゃん!リゼちゃんなら立派な先生になれるよ!」

 

「そうです!ココアさんの言う通りです!」

 

「そ、そうか///」

 

さっきまでプンスカと怒ってたのに、一瞬で顔を赤くしていた。

 

「でも私こんな喋りかただし、怖がられると思うんだけど。鬼教官とか呼ばれそうだし。」

 

「そんなことないぞ。前にロゼになってた時のお前はすごく女の子らしか「んん?」..........なんでもないです。」

 

めっちゃ怖い。顔は笑顔だけど殺意に似たオーラが滲み出ている。そんな顔しないでくれよ。そんな顔したらそれこそ鬼教官って呼ばれるぞ。幸いココアとチノには聞こえていないみたいだからセーフだ。

 

「まあとにかくだ。リゼは教師に似合ってるから頑張ってみなよ。」

 

「あ、ありがとう。ちなみにリョーマは何を目指すんだ?」

 

「..........俺は。」

 

言葉が出なくなるのは無理もない。まだ決めれていないからだ。

 

「俺は、まだ決まってない。」

 

「そうなのか?」

 

「私、もうてっきり決まってるのかと思ってた。」

 

「私も思ってました。」

 

3人とも少し驚いた様子だった。大抵の人は2年生の時に大体の目星をつけるもんな。驚かれるのも無理はない。

 

「じゃあお兄ちゃん、お兄ちゃんも学校の先生になってみたら?すごくわかりやすいし向いてると思うよ?」

 

「バリスタとかどうですか?初めて会った時、全部当ててましたしそっちも向いてると思いますよ?」

 

「ん~、そうだな。頭に入れておくよ。」

 

ココアとチノが進んで候補を出してくれた。正直あまりピンと来なかったが、進む道はたくさんある。候補として置いておこう。

 

「まあゆっくり考えていけばいいよ。あまり考えこまないようにな。」

 

「そうだな。ありがとう。」

 

進路の話は一旦終わり夕食を続けた。リゼからのハンバーグ評価が好評でなんとおかわりをしてきた。それを見たココアとチノは皿にあったハンバーグを慌てて食べて少しでも多く食べようとおかわりをして必死だった。そして残り1つになった時ココアとチノがハンバーグをめぐって取り合いの喧嘩になってしまった。そこで俺は急いで2つに切って半分ずつにして事なきを得た。その光景を見ていたリゼは俺の肩に手を置き『お前も大変だな』と言われ同情された。本当に大変だよ。たまには仲良く譲り合ってほしいよ。

 

 

 

 

 

「お兄ちゃーん!お兄ちゃんのお母さんから電話だよー!」

 

就寝前、部屋のベッドで寝転がっていると1階からココアの声が聞こえてきた。母さんから電話をかけてくるなんて珍しいな。

俺は起き上がり、1階の電話まで向かった。

 

「母さんから?」

 

「うん、お兄ちゃんに代わってって。」

 

俺はココアから受話器を受け取り電話を代わった。

 

「もしもし?」

 

「リョーマ?少しの間大丈夫?」

 

「うん大丈夫だけど、どうかしたの?」

 

「ほら、あなたもう3年生でしょ?進路の方は大丈夫かなって思って。」

 

「........。」

 

こういうのは親が一番心配するよな。あまり心配かけたくなかったから今は申し訳ない気持ちでいっぱいだ。

 

「まだ、決めれてない。」

 

「そうだったの。でも焦ることないわ。ゆっくり考えていきなさい。リョーマはしっかりしてるから大丈夫よ!それにきっかけって案外そばにあるものだからね。」

 

てっきり早く決めなさいって言われるんじゃないかと思ったが、信頼してくれてるようだ。

 

「うん、わかった。」

 

「ええ、頑張りなさい。あ!それとリョーマ。」

 

「何?」

 

「そろそろ好きな女の子できた?」

 

「はぁ!?」

 

進路のことかと思ったら全然違うことを聞かれた。まだできてないけど、普通電話でいきなりそんなこと聞くか?

 

「できてないよ!ていうか俺には恋とかそういうの全然わかんないから!」

 

「あらそう?まあいつか好きな人ができたら教えてね!」

 

「....っ////教えるわけないだろ!もう切るよ!」

 

俺は顔を真っ赤にして電話を切った。なんで寝る前にこんな思いをしないといけないんだ?俺何か悪いことしたか?

 

「はぁ~。もう寝よう。」

 

俺は少し重くなった足で部屋に戻りベッドへ横になった。だけど母さんの所為で寝付くのにいつもより少し時間がかかってしまった。

相変わらず母さんは恋愛ごとには興味津々だな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「リョーマ君、進路決めれてなかったの?」

 

数日後、俺は進路の相談をするために甘兎に来てきた。ちょうどシャロもいたので今は2人に相談に乗ってもらっている。

 

「焦る必要はないですよ。焦れば焦るほど考え込んでしまいますから。」

 

「うん。わかってはいるんだけど、どうしても考えてしまって。」

 

「シャロちゃんの言う通りよ。悩み過ぎは良くないわ。はい、お茶淹れたからちょっと休憩しましょ?」

 

「ありがとう。」

 

チヤが淹れてくれたお茶を飲んだ。かなり熱かったが今の俺にはちょうどいい熱さだった。

 

「ココアちゃんたちは何か言ってたの?」

 

「ココアからは教師で、チノからはバリスタはどうかって聞かれたよ。いいなとは思ったけどあまりピンとは来なかったよ。」

 

「そうだったんですか。........あ!でしたら先輩、料理人とかどうですか?先輩の料理すごく美味しいですし!」

 

「料理人か......。」

 

たしかに候補の中では一番良いかもしれない。やり甲斐があるしみんなから美味しいって言ってくれるし。でも何かが足りない。

 

「う~ん、すごくいいと思うけど、この職業だって思える決定的な何かが足りないかな。ごめんなせっかく考えてくれたのに。」

 

「いいんですよ。気にしないでください。最後に決めるには先輩ですから。」

 

「そういえばシャロちゃん、前にモカさんがいた時にみんなで食べたサンドイッチがすごく美味しかったって私にだけ内緒で言ってたわね。もしかしてそれで料理人って言ったのかしら?」

 

「な!なんで今それを言うのよーーーー!」

 

顔を真っ赤にしたシャロは逃げるチヤをポカポカと叩きながら追い回していた。俺は少し冷めてしまったお茶を手に取り、2人のやり取りを見ながら飲んだ。

2分ほどかけて全部飲んだ後、2人に俺を言って店を出た。

 

 

 

 

 

 

 

そしてゴールデンウィーク最終日の早朝、結局俺は進路を決めれずにいた。教師、料理人、バリスタ。みんなから色んな候補を挙げてくれたがいまいちピンとこなかった。提出期限明日なのにどうしたらいいんだ。白紙のまま出すわけにもいかないし。

 

「はぁ~........。」

 

「お兄ちゃん大丈夫?」

 

「ん?ああ」

 

リビングのテーブルにある椅子に座り、頬杖をつきながら進路のことを考えていると階段を下りる音が聞こえ、振り向くと今日は仕事も休みなのに珍しくココアが朝早く起きていた。

 

「珍しく今日は早いな。」

 

「うん。お兄ちゃん最近元気無いし、昨日なんか特にそうだったからちょっと心配になっちゃって。」

 

「..........ごめんな心配かけて。」

 

「ゆっくりと考えていこうよ。焦ってもいいことないよ?」

 

「そうだな.........ありがとう。ちょっと気分転換に朝食のパン作ってくるよ。」

 

「じゃあ出来上がったらちょっとだけ食べていい!?」

 

めっちゃ目をキラキラさせてきた。今日のはお客さん用のじゃないし慰めてくれたお礼に食べさせてあげよう。

 

「いいよ。じゃあ出来上がるまで待っててくれ。」

 

「うん!」

 

そう言ってココアはテーブルの椅子に座り、足を振り子のようにゆらゆらと揺らし、わくわくした顔だった。そして俺は厨房へ行きパンの材料を用意し、生地を作り始めた。こうしている時は普段なら何かを考える意識がなくなるから、かなり落ち着く。でも今はどうしても進路のことが頭にちらつき、今は忘れようと頭を振っても離れてくれない。その度に俺は溜息をついた。

 

「これじゃ気分転換じゃないな。」

 

俺は独り言を呟き、出来上がった生地をロールパン状に均等に分け、オーブンに入れた。焼き時間の間、することが何も無いとますます進路のことを考えてしまう。本当にどうしたらいいんだろう。

 

「お兄ちゃん。」

 

入口の方を見ると、リビングにいたココアが入って来た。

 

「パンもう焼ける?あ!焼いたとこなんだね。」

 

「ああ、あと少しかな。」

 

「じゃあお兄ちゃん出来上がるまでお話しよう?」

 

1人でいたら、頭の中が進路のことばかりになりそうだからな。今はココアと話をして落ち着こう。

 

「リゼはまだ寝てるのか?」

 

「うん、昨日はリゼちゃんとちょっと夜更かししちゃって。」

 

「ちょっとって.....いつもそうだろ。」

 

「まあそうだね。」

 

「夜更かしするなっていつも言ってるのに。」

 

「リゼちゃんが泊まってるんだから特別だよ。」

 

「はぁ~。そうか。」

 

こうやって何気ない会話で時間が過ぎていく。張り詰めた頭の中がほぐれていき、だんだん心が落ち着いていった。やっぱり思い悩んだ時は1人でいるんじゃなく誰かと何気ない話をした方がいいな。

 

「そういえば今日起きたらまたチノが夜中に俺が寝ている布団の中に潜り込んできてたよ。」

 

「チノちゃんいいな〜。私も入っていい?」

 

「やめろ。あれ結構びっくりするんだよ。」

 

前に同じことされた時にちゃんと注意したのに、絶対寝惚けて覚えてないなあれは。チノが起きたらまたちゃんと注意しておかないと。

 

こうしてココアと数十分間話しているとオーブンから焼きあがったアラーム音が鳴った。中からパンを取り出し厨房のテーブルに置くと、ココアが早く食べたそうにパンを見つめていた。

 

「お兄ちゃん早く食べたい!」

 

「はいはい、そう慌てんなって。ほら。」

 

「えへへ!」

 

俺はロールパンを1つ渡すとすごく嬉しそうに受け取った。ココアは好きな食べ物を前にすると小学生みたいに喜ぶんだよな。

そしてココアはパクっとロールパンを一口食べた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お兄ちゃんが作ったパン、いつ食べてもすごく美味しい!

 

 

 

 

 

「っ!!!.......。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

........何だ......今の。

 

 

ココアがパンを食べた時の笑顔なんて見慣れてるはずなのにすごく輝いてて、心が突き動かされるようないつまでも見ていたくなるような、そんな感覚だった。

 

「.........なあ、ココア。」

 

「ん?」

 

「パン......美味しいか?」

 

「うん!!!」

 

「っ!!!.......そ、そうか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(パン職人.....か。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

頭の中に出てきたのはそれだった。パンを食べさせてココアを笑顔にさせたい。この笑顔をずっと見ていたい。不思議とそう思えた。目指す理由は単純だが明確な目的を見つけ出せた俺にとっては十分だった。そのおかげでゴールデンウィークの間、霞がかっていた心の中が一気に晴れていった。

 

「.....悪くないな........お前の笑顔を見るためなら。」

 

「ん?お兄ちゃんどうしたの?」

 

「あ、いやなんでもない。ありがとうココア。」

 

「ほぇ?」

 

俺は1週間悩み続けた答えを見つけ出させてくれた感謝を込めてココアを抱きしめた。本人は何のことだか全然わかっていなかったが、これで俺は進む道が決まった。

 

「ココア、他に食べたいパンあるか?」

 

「え?いいの?」

 

「ああ!今日はココアが食べたいパンを全部作ってあげるよ!」

 

「ほんと!?じゃあクロワッサン食べたい!あとクリームパンとチョコパンとスコーン!あ!あとロールパン追加!」

 

「よしわかった!ちょっと待ってろ!」

 

俺は清々しい気持ちでパン作りを続けた。しばらくしてリゼとチノも起きてきて、ココアが注文したパンを作りみんなで朝ごはんを食べた。その後みんなにパン職人を目指すことを話すと、進路が決まってよかったと安心してくれた。ちなみになぜそれを目指すのかは言ってない。ていうか言えるわけがない。言ったら恥ずかしくてどうにかなりそうだ。

 

 

 

そしてその日の夜、俺は母さんに進路が決まったことを伝えるために電話をかけた。

 

「母さん?」

 

「リョーマどうしたの?もしかして進路決まった?」

 

「うん。俺、パン職人を目指すよ。」

 

「ふふ。やっぱりパン職人だったわね。」

 

「え?母さんわかってたの?」

 

「ええ。まだあなたが小さい頃、ココアちゃんに出会って1年経ったくらいだったかしら?あの頃、絶対にココアを喜ばせるんだって言って張り切ってパンを作ってたのよ?覚えてない?」

 

「そうだったっけ?」

 

母さんが言うにはそんな頃があったみたいだけど俺自身は全然覚えてない。もしかしたらあの時ココアの笑顔を見てパン職人を目指そうと思えたのは、俺が覚えてないだけでその頃の記憶が頭の奥底にあったからなのかもしれない。もしそうなら昔の俺に感謝しないとな。

 

「ところでリョーマ。なんでパン職人を目指そうと思ったの?」

 

「.......え?」

 

まずい!一番聞かれたくないことを聞かれた。

 

「いやぁ、まあ、色々と。」

 

「え~?何か隠してるでしょ?」

 

「いや、隠してなんかないよ。」

 

「絶対隠してるでしょ?」

 

なんか今日の母さんはグイグイ来る。これじゃ口を滑らしてしまいそうだ。

 

「もしかして.......誰かさんの笑顔が見たいから、とか?」

 

ヤバい!バレるバレる!

 

「いや!.......別にココアのためとかじゃなくて!」

 

「あら?私1度もココアちゃんのためとか聞いてないわよ?」

 

「.........あ。」

 

やってしまった!地雷踏んじゃった!

 

「ち、違う違う!そうじゃなくて......えっと.....えと!」

 

「あらあら~~?どうしたのそんなに慌てちゃって?やっぱりココアちゃんのためなのね!」

 

「あ.....あの.......えっと........と、とにかく!俺はパン職人を目指すから!それじゃ!」

 

 

 

ガチャッ!

 

 

 

......バレた?絶対バレたよな!?

なんでよりによって母さんにバレるんだ!?絶対に今日父さんと話のネタにされるよ!めっちゃ恥ずかしい!穴があったら入りたいってこんな気持ちなのか!

 

「お兄ちゃんどうしたの?」

 

俺は恥ずかしさのあまり電話の前で両手と両膝を床につけ、項垂れているとココアが不思議そうな目で俺を見ていた。

 

「.....いや、なんでもない。」

 

俺は気にすることはない、バレるのが早くなっただけなのだと、今だけポジティブな気持ちに無理やり切り替えて自室に戻った。そして部屋に誰もいないことを確認すると俺は気絶するみたいな倒れ方でベッドにうつ伏せで倒れこんだ。

 

「はあぁぁぁぁぁぁぁぁ。」

 

俺はかなり長めの溜息をついた。理由は簡単。母さんにパン職人を目指す理由がバレたからだ。いつかは知られるんだろうけどやっぱり恥ずかしい。特にココアには絶対に言わないで欲しい。母さんは周りの人に言いふらすような野暮な人じゃないから大丈夫だと思うけど。

 

「.......それにしてもあの笑顔を見た時、すごくドキッとしたな。」

 

俺は仰向けに寝がえり独り言を呟いた。いつも見てきたはずなのに、不思議なことがあるものだ。

俺は5分ほど何も考えずに天井を見つめ頭の中をリセットし落ち着いた後、机の椅子に座り鞄の中から進路希望調査のプリントを取り出し机に置いた。

 

「よし、書くか!」

 

俺は意気込んでペンを握った。俺は明確な意思があるのだという意味を込めて、強めの筆圧で記入した。進む道が決まってなんだか爽快な気分だ。母さんの言った通りだ。きっかけってこんなに近くにあったんだな。

俺は書き終えたプリントを鞄にしまい部屋を出た。

 

「ココアはまだ起きてるよな。」

 

いつも夜更かししてるらしいから恐らくまだ起きてるだろうと思い、ココアの部屋へ向かった。

 

「ココア、起きてるか?」

 

コンコンとノックをし、しばらく待っているとパジャマ姿のココアが出てきた。

 

「お兄ちゃんどうかした?」

 

「えっと、その..........今日は、一緒に寝るか?」

 

「え、いいの?」

 

「ああ、チノは今日1人で寝るみたいだから今日は俺1人なんだ。」

 

「ほんとに!?やったー!寝る寝る!一緒に寝る!」

 

ここ最近の俺はチノとばっかり一緒に寝てたからな。久しぶりだからよほど嬉しいんだろう。ココアのおかげで進む道が見えたわけだから今日はできるだけココアが喜ぶことをしてあげよう。

 

「さあさあ!部屋に入って!」

 

「え?俺の部屋で寝るんじゃないのか?」

 

「いいのいいの!今日は私の部屋で一緒に寝よ?」

 

半ば強引にココアは俺の手を引き部屋へ連れて行かれた。そういえばこっちに来てからココアの部屋に入るのって結構久しぶりだったな。部屋に入ると正面奥には机の椅子が、その手前にはスタンドミラーがあり右真横を見るとクローゼット、右奥にはピンク色の布団がかかったベッド、そのベッドの横にタンスがあり目覚まし時計とうさぎの人形が3,4匹置いてある。悪く言えば少し質素でよく言えばスッキリとした部屋だ。

 

「意外と片付いてるんだな。」

 

「意外とって。どんな部屋想像してたの?」

 

「服とか勉強道具で散らかってるのかと思ってた。」

 

「そんな散らかせ方しないよ!」

 

「いや小学生の頃のお前の部屋、すごく散らかってたぞ。」

 

「今はもう高校生だよ!昔みたいに散らかさないよ!」

 

顔を真っ赤にしたココアはポカポカと俺の胸を叩いていた。そうだよな。ココアはもう高校2年生なんだよな。小学生の頃のココアは今のチノより遥かに甘えん坊だったからな。登下校や遊ぶ時はいつも一緒だったし、寝る時だって一緒じゃないと眠れないと駄々をこねられてその時は俺がココアの家にお邪魔して一緒に寝ることが多かった。でも1回だけココアがうちに来て一緒に寝ることがあった。けれどそれは夜中に勝手に家を抜け出して、俺の部屋の窓からこっそり侵入して、爆睡中の俺の布団の中に入って一夜を過ごしたのだ。そして翌日、ココアはおばさんにめちゃくちゃ怒られて大泣きしてたけど、今となってはいい思い出だ。

 

「ごめんごめん。ココアはもう高校生なんだもんな。」

 

「そうだよ!もう大人なんだから!」

 

ココアが胸を張って言ってきた。

 

「.........そうか。なら今から少し勉強するか。」

 

「.........え?」

 

「だってもう大人なんだろ?だったら今から少しだけ勉強しよう。知ってるか?勉強は寝る前と朝起きた時にするのが良いんだぞ。寝る前は漢字とか英単語とかの暗記系、朝起きた時は数学とか現代文とか古文とかの考える系だ。大人なんだからこれくらい楽勝だろ?」

 

「あの、えっと............。」

 

さっきまで胸張って言ってたのに急に縮こまり始めた。やっぱり高校生になってもココアはココアだな。

 

「冗談だよ。でももう高校2年生なんだから授業も難しくなってくる。近いうちにこの方法で特訓していくからな。」

 

「は、はーい.......。」

 

なんだか半分固まってるけど大丈夫か?この方法は2学期が始まってからでいい。今日はもう夜遅いから寝よう。睡眠時間を削ってまで勉強するのは良くないからな。

 

「ほら、夜更かしは良くないから早く寝るぞ。」

 

「あ、うん!」

 

気持ちを切り替えて、俺たちは布団に入った。ココアがベッドから落ちてしまわないように壁際に寝かせるようにした。右隣にはココアがいる。俺たちは互いが向き合うように横になった。

 

「やっぱりお兄ちゃんと寝ると落ち着くよ。」

 

「そんなに嬉しいのか?」

 

「うん!お兄ちゃんもうちょっと近寄ってもいい?」

 

「ああ、いいよ。」

 

俺は少しスペースを空けると、ココアは俺の胸に顔を埋めるように抱き着いてきた。

 

「ねえお兄ちゃん、頭も撫でて。」

 

「これでいいか?」

 

俺もココアを抱きしめて、そっと頭を撫でた。蕩けた目でとても幸せそうな顔だ。

 

「はぁ~すごく幸せ~。」

 

「それは良かった。」

 

「........ん.........ふぁ〜......。」

 

いつも夜更かししてるのに、今日はすごく眠そうだ。そういえば今日は朝早くから起きてたからな。そのせいかもしれない。それに頭を撫でれば撫でるほど、どんどん眠そうになっていってる。

 

「もう寝ようか。」

 

「.......いや........お話、したい.......。」

 

「明日から学校なんだから、夜更かしは良くないぞ。」

 

「............。」

 

「ココア?」

 

どうやら眠ったようだ。起きてる時はあんなに元気な顔なのに、寝てる時の顔は安心しきったような顔だ。見てると俺も安心してくる。

 

「本当にありがとうココア。」

 

俺はそっとココアの頭に手を添えて目を閉じた。ココアがいてくれなかったら今もずっと悩み続けていただろう。パン職人を目指す理由を聞いたら『そんなことで?』って言う人もいるだろう。でも誰に何を言われようと変えるつもりはない。それが俺が目指す理由だ。それに目標があった方がやり甲斐があるしな。

 

 

To be continued




今回はここで終わります。
前に友達から緊急事態宣言で暇すぎると電話がかかってきました。
7都道府県に住んでる方々、すごく暇な方がいるかと思いますが、安全第一で過ごしてください。
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