みなさんお久しぶりです。
ここ最近忙しく、投稿頻度ガタ落ちですみません┏( ;〃ToT〃 )┓
しばらく忙しい日々が続くので投稿頻度はこの状態が続きますがよろしくお願いします。
そして今回の回ですが、長くなりそうので前編と後編に分けることにしました。今回は前編で次回は後編になるので楽しみにしててください。
コソコソ話
新しい番外編が7割書けてるのでもしかしたらそっちが先かも?
「........暑い。」
8月に入り本格的な暑さになってきたある日、俺は夕飯の買い物を済ませ、ラビットハウスに向かって歩いていた。スーパーからラビットハウスまでの距離はそんなに無いのに、この暑さの所為でものすごく遠く感じる。
「少し休もう。」
俺はタオルで汗を拭き、少し休憩するために公園のベンチに向かった。公園の入り口は目で見える距離なのにやっぱり遠く感じる。多分暑さで思うように足が動かず歩く歩幅が小さいから遠く感じるんだろう。今は学校は夏休みだから別に急ぐ必要は無いしゆっくりと歩いて行こう。
「着いた.........はぁ〜。」
やっと着いた俺は屋根付きのベンチに座り一息ついた。周りを見渡すと小学生の子供たちが元気よくサッカーをしたり鬼ごっこをしたりして遊んでいた。あれくらいの子たちってすごい元気あるよな。一体どこからあんな元気が出るんだろう?あれくらいの元気を俺にも分けて欲しいくらいだ。今両手を掲げたら元気を分けてくれるかな?俺に元気を分けてくれって言いながら..........なんて。暑さでどうかしてるのかな俺。
「はぁ.......はぁ.......はぁ.......」
「ん?あれって......リゼ?」
ふと歩道を見ると息を切らしながらリゼが歩いていた。スポーツバックを肩にかけ服装もスポーツウェアみたいな感じだった。
「おーい!リゼー!」
「.......ん?.....リョーマ?」
少し反応が遅れていたが俺に気付いたようだ。リゼはそのまま俺が座っていたベンチの所まで歩き、俺の隣に座った。
「今日はスポーツクラブか何かか?」
「いや、部活の助っ人だよ。バスケとテニスのな。」
「こんな暑い中2つも?!大丈夫なのか?」
「ああ、思ってたより暑かったけどこれくらい大丈夫だ。」
「........それならいいけど。」
「それよりリョーマは買い物か?」
「うん、最初はチノも一緒に行きたがってたけどこの暑さだからな。熱中症とかで倒れられたら大変だし、家にいてもらうことにしたよ。」
「相変わらず優しいなお前は。」
俺とリゼは話しながら、しばらく公園を眺めていた。子供達が遊ぶ姿、親子で遊ぶ姿、部活の自主練をしている人、いつもそうだけど公園にはいろんな人がいるな。そんなことを思いながら眺めているといつの間にか20分ほど経っていた。
「さてと、そろそろ行くか。リゼ?」
「...........。」
「リゼ?」
「...........え?ど、どうしたリョーマ?」
「もう充分休めたからそろそろ行こうかなって。」
「あ、ああ。そうだな。」
少し様子がおかしい。さっきも歩道で歩いているリゼを呼んだ時少し反応が遅れていたし、今のもそうだ。
「よっと........あ.........あれ?」
「リゼ!」
立ち上がった瞬間リゼは急に倒れそうになり、俺は慌てて抱き支えた。
「おい大丈夫か!?」
「なんか........急に
「全然大丈夫じゃないじゃないかよ!息も荒いし、水分は摂ったのか?」
「いや.........部活中に無くなって、飲んでない。」
「ちょっと待ってろ!........確か今日スーパーで買ったはず。」
もしかしたら脱水症状かもしれない。俺は急いで買い物袋からスポーツドリンクを取り出し、ゆっくりとリゼをベンチに座らせた。
「リゼ、これスポーツドリンク。少しずつ飲ませるから口開けてくれるか?」
「あ、ああ..........」
俺は左手をリゼの後頭部に添え、頭を支えながら少しずつスポーツドリンクを飲ませた。水分を摂れたおかげか、リゼの呼吸が少し落ち着いてきた。
「ふぅ.......。」
「少しは落ち着いたか?」
「ああ、ごめん迷惑かけて。」
「これくらい気にするな。それより病院に行こう?大事には至ってないと思うけど念のために診てもらった方がいい。」
「そうだな。行くか。」
「うん。それじゃリゼ、乗って。」
「..........え?」
俺はしゃがんでリゼに背中を向けた。リゼは何のことなのか分からずキョトンとしている。
「リョーマ、何やってるんだ?」
「何って、おんぶだよ。」
「え///私が!?む、無理無理無理!そんなの恥ずかしすぎる///」
「立ち上がったらまた目眩で倒れるかもしれないだろ?文句言わない。ほら早く乗って。」
「うぅ///」
リゼは
「よっと。リゼって結構軽いんだな。」
「な///そ、そんな事言ってないで早く行け///」
「痛い痛い!頭叩くな。」
俺はリゼに頭をポカポカと叩かれながら病院へ向かった。道中リゼは恥ずかしいのか周りの人達の視線をものすごく気にしていた。何度か降ろしてくれと頼まれたが、俺が頑なに拒んでいると諦めがついたのかもう降ろしてくれとは言わなくなった。そしてしばらく歩いていると首筋に何かの感触を感じ、見てみるとリゼが安心したような顔でスヤスヤと眠っていた。それを見た俺は無意識に微笑みながら病院へ向かった。
※
「夏バテだったみたいだな。」
「そうみたいだな。ごめんなお前の部屋借りちゃって。」
「いいっていいってこれくらい。」
あの後病院で診察してもらったが軽い夏バテだったみたいで、重症ほどではなかったみたいだ。だけどほんの少し微熱があるみたいで先生からはしばらく安静にして栄養のあるものを食べるようにと言われた。そうすれば2〜3日で治るとのことだ。そして今、リゼは俺のベットに横になってて俺はリゼの邪魔にならないようにそのベッドに座っている。時刻は18時半ですっかり日も暮れている。
「そういえば親父に連絡しないと!」
「ああ、それなら俺がさっきしておいたよ。」
「なんて言ってたんだ?」
「.............えっと.........」
《数分前》
「もしもし、リゼのお父さんですか?」
「ん?その声はリョーマか?どうしたお前が俺に電話をかけてくるなんて初めてだな。」
「はい、それがリゼが夏バテになってしまって病院で診てもらったんですけど特に異常はないみたいで2〜3日安静にしてれば治るみたいで今ラビットハウスで安静にさせてます。」
「何!?お前たち付き合うことになったのか!?」
「.......え?」
「いやぁそうかそうか!リゼももうそんな歳になったのか!」
「違います違います!夏バテです!そんな事言ってません!」
「ん?なんだ夏バテか。驚かしやがって..........夏バテだと!?リゼは大丈夫なのか!?」
歓喜で叫んだり聞き間違いでがっかりしたり、また叫んだりしてリゼのお父さんは忙しい人だな。おかげで耳が少し痛い。ていうか聞き間違え方がすごい。
「はい、しばらく安静にして栄養のあるものを食べさせれば大丈夫と言ってました。」
「そうか、それなら良かった。」
「あの、今から俺がリゼを送りましょうか?家にいた方が安心でしょうし。」
「そうだな。じゃあ俺が今から迎えに...............いや、やっぱりそこで安静にさせておいてくれ。」
「え?大丈夫なんですか?やっぱり家にいさせた方がリゼも安心すると思うんですけど。」
「いや、そこにいさせてやってくれ。それと悪いが1つ頼みがあるんだがいいか?」
「はい。」
「できるだけリゼのそばにいてやってくれないか?あとそれをリゼの友達にも伝えて欲しい。」
なんだろう。今のリゼのお父さんからは真剣さが伝わってくる。普段家で何かあるのだろうか?
「わかりました。そうします。」
「頼んだ。夏バテが治ったら迎えに行くとリゼに言っておいてくれ。」
「はい。」
《現在》
「..........ここで安静にするようにって。あと治ったら迎えに来るって言ってたよ。」
「そうか。..........それよりリョーマ。」
「ん?」
「お前、何か隠しただろ?」
「え!?」
たしかに隠したと言えば隠した。リゼのお父さんがリゼと俺が付き合うことになったと一時的に勘違いをしてしまったことを。けど、それを言ったらリゼは多分顔を真っ赤にして大慌てでリゼのお父さんに電話をするだろう。これはあまり言いたくない。
「さあ何を隠したんだ?」
「い、いや。別に何も........」
「お前は嘘をついたり何かを隠したりした時は顔に出やすいんだ。すぐわかる。」
俺ってそんなに顔に出やすいのか?ポーカーフェイスは得意だと思ってたけど隠し事した時は顔に出やすいのか俺は?
「本当に......何も隠して、ない。」
「それで隠し通せると思ったのか?」
「........そうだ!そういえばお腹空かないか?俺何か作ってくるよ!」
「あ!こら待て!」
「うぉ!?」
ベッドが立ち上がろうとした時俺はリゼに腕を掴まれ、そのままベッドに押し倒され、馬乗りをされながら手を押さえられてしまった。全然身動きができない。
「ほら、さっさと白状しろ!」
「だから、本当に何も隠してないって........」
「この期に及んでまだ
「うぅ..........」
そう言ってリゼは俺の目をジッと見つめ少しずつ顔を近づけてきた。めっちゃ顔が近い。あと1cmくらいで鼻が引っ付くぞ。
「リゼさん、体調はどうですか............リゼさん何やってるんですか!!!」
タイミングよくチノが入ってきて、この状況を見たチノは慌てて俺とリゼを引き離した。
「リゼさん!何お兄ちゃんに甘えようとしてるんですか!ハグしたりするのはダメって前に言ったじゃないですか!」
「え........いや、私はただリョーマから隠し事を聞き出そうと。」
チノは俺をリゼから守るようにギュッと抱きしめてきた。勘違いをしてるみたいだけど助かった。けどこのままじゃチノが怒ったままだ。ここは言い
「違うよ。リゼを起こそうと思ったらバランスを崩しただけだから。甘えてた訳じゃないよ。」
「そうなんですか?」
「うん。」
「そうですか。ならいいです。」
意外とあっさりと納得してくれた。
「それよりリゼさん、体調はどうですか?」
「ああ、別に熱中症とかじゃなくて軽い夏バテだからすぐに治るよ。」
「そうですか。何かあったらすぐに言ってくださいね。」
「ありがとな。」
「はい。それじゃお兄ちゃん、今日は私が夕飯作りますね。」
「わかった。リゼの分は俺が作るよ。」
「わかりました。」
そう言ってチノは部屋を出て1階のキッチンへと向かって行った。一時はどうなるかと思ったけど上手く言い包まれてよかった。
「リョーマ。」
「ん?」
「その、ごめん。無理に聞き出そうとして。」
「いいよ。別に絶対に言えないようなことじゃないし。」
「..........その言い方だとやっぱり隠してたんだな?」
「.............」
どうして俺はこう墓穴を掘ってしまうんだろう?やっぱり俺は嘘をつくのがあまり上手くないのかな?
「まあ別にいいよ。絶対に隠し通さないといけないことじゃないみたいだしもう忘れる。」
「悪いな。」
「それより変に暴れたからちょっと疲れた。少し寝ておくよ。」
「わかった。夕飯ができたら持ってくるよ。」
「うん。」
そう言ってリゼは俺に背を向けてベッドに横になった。俺は静かにドアを閉めて1階に下りた。
※
「よし、できた。」
リゼ用の料理ができた俺はお盆に乗せて箸やコップを用意した。
「それじゃお兄ちゃん、私たちは先に食べてるね!」
「ああ、俺も後で食べるよ。」
ココアたちにそう言って俺はお盆を持ってゆっくりと2階は上がった。
「リゼ、起きてるか?」
ドアを開けると、静かな寝息を立てて眠っていた。俺は机にお盆を置いて膝立ちになってリゼにそっと近寄った。
「リゼ?リゼ?夕飯持ってきたぞ。」
「..........ん?........リョーマ?」
俺は優しくポンポンと起こすと、リゼはゆっくりと目を開き上体を起こした。まだ少し寝ぼけ眼だ。
「夕飯できたんだけど食べれるか?」
「うん、ありがとう。」
「それじゃ用意するから少し待っててくれ。」
俺は折りたたみ式の小さい机を立てて、その上に料理が乗ったお盆を置き、リゼをゆっくりと立たせ座布団を敷いてそこへ座らせた。
「はい、冷めないうちにどうぞ。」
「ありがとう。いただきます。」
リゼはそう言って夕飯を食べ始めた。ちなみに今日作ったものは豚の生姜焼きにアサリと野菜のスープ、ピーマンの焼き浸し。どれも夏バテにはピッタリの料理だ。リゼの口に合ってるといいんだけど。
「どうかな?美味しいか?」
「うん!どれもすごく美味しいよ!」
リゼは笑顔で答えてくれた。口に合って本当に良かった。笑顔になってくれると作り甲斐があるとすごく実感できる。
「本当にリョーマって料理が上手いよな。」
「そうか?」
「うん。日に日に上手くなってる気がするよ。」
「そうか、ありがとう。」
「それよりリョーマは夕飯食べなくて大丈夫なのか?」
「俺か?俺は、リゼが食べ終わってから食べるよ。だからって別に急いで食べなくていいからな?ゆっくり食べてくれ。」
「ああ、ありがとう。そうさせてもらうよ。」
そのままリゼはゆっくりと味わいながら夕飯を食べた。だが時々リゼは俺をチラチラと見て何か言いたそうな顔をしていた。
「どうかしたか?」
「え、いや........その........」
リゼは茶碗と箸を持ったままソワソワし始めた。
「何かあれば何でも言ってくれよ?出来ることなら何でもするから。」
「何でも?」
「うん。」
「じゃあ........その........」
リゼは茶碗と箸を置いたが、言うのが恥ずかしいのか少しモジモジしている。しばらくすると言う決心がついたようで重い口を開いた。
「その.........1人だと、ちょっと.......」
「ん?」
「その.........料理は全部美味しいんだけど、1人で食べてると味気ないというか.........寂しいというか///........」
リゼはそれ以上何も言わず頬を赤らめながら、察してくれと言わんばかりの目で俺を見ていた。一緒に食べたいんだな。目を見てすぐにわかった。
「わかった。じゃあ俺の分の夕飯持ってくるから一緒に食べようか?」
「っ!.......ああ!」
リゼは一緒に食べれるとわかった途端、無邪気な子供みたいな笑顔になった。俺は夕飯を取りに行くためにリゼに少し待つように言い残し、一旦1階へ下りた。そしてリビングに入るとココアとチノが楽しそうに話をしながら夕飯を食べていた
「ココア、チノ。悪いけど今日はリゼと一緒に夕飯食べるよ。」
「え?リゼさんに何かあったんですか?」
「特に何もないんだけど1人で食べてると寂しいらしくてな。それで一緒に食べることにしたんだ。」
「リゼちゃんにも可愛いとこあるんだね!」
「元々可愛らしいところいっぱいあるけどな。そんじゃリゼが寂しがるといけないし、行ってくるよ。」
「はーい!」
「そういえば今日の夕飯は何だろう?」
そう思って台所へ行くとすでに皿に移し、お盆に乗せてくれていた。見てみるとハンバーグにコンソメスープ、サラダ、にんじんとベーコンの炒め物だった。
「ハンバーグ作ってくれたのか。」
「はい!今日のは少し自信作です!」
「そうなんだよ!今日チノちゃんが作ったハンバーグすごく美味しいよ!」
そう言ってチノとココアはトコトコと走りながら俺がいる台所へやってきた。チノは俺が作るハンバーグが大好物で味が忘れらないあまり、最近は俺が作るハンバーグの味を再現しようと頑張っている。その所為か最近はやたらと夕飯がハンバーグなことが多い。栄養が偏るのはあまり良くないけどこんなに頑張ってるんだからやめろとも言いにくい。なので俺はチノが上達できるようにノートに作り方やコツやちょっとした豆知識を書いて、さらにはカメラで動画を撮ってそれらをチノに見せている。その効果があったのか、チノの上達の速度が桁違いに速くなっている。
「そうか。ありがとうチノ!」
「えへへ///」
俺はお礼を言って頭を撫でた。少し頬を赤らめてすごく嬉しそうだ。
「ああー!チノちゃんずるい!お兄ちゃん私も!私も夕飯作るの手伝ったから私にも頭撫でて!」
「ココアさんはダメです!それにココアさん手伝ったって言いましたけどお米炊いただけじゃないですか!」
「うぅ............で、でも手伝ったのには変わりないから私にも頭撫でてもらう権利はあるよ!」
「無いです!」
「ある!」
「無いです!」
「ある!」
「無いですって言ったら無いんです!」
「あるって言ったらある!」
始まっちゃった。この2人の喧嘩は鎮めるのに少し苦労するんだよな。
「こら2人とも。上にリゼがいるんだし、それに体調も少し良くないんだから騒がない。」
「でもずるいよ!チノちゃんだけ頭撫でてもらうなんて!」
「じゃあ2人ともハグしてあげるからそれでいいか?」
「うん!それならいいよ!」
「まあ、ハグしてくれるのなら私も大丈夫です。」
「うん。夕飯作ってくれてありがとう2人とも。」
俺はそっと優しく2人を抱きしめた。2人とも目を瞑って幸せそうな顔をしていた。喧嘩が収まってくれて一安心だ。
「それじゃあリゼの所に行ってくる............ん?」
俺は2階へ上がろうとお盆を手に取った瞬間、妙な違和感に気づいた。よく見てみるとサラダにやたらとトマトとセロリが多かった。そして炒め物の方はにんじんが多くベーコンが少なかった。
..............まさかこの2人。
「なあココア、チノ。」
「ん?」
「どうしました?」
「俺のサラダ、トマトとセロリが多いんだけど。あとにんじん多くてベーコンが少ないような気がするんだけど気のせい?」
「「..............」」
「.........おい、2人ともなんで目を逸らす?」
俺は2人を見ると、目を合わそうとせず少し俯いていた。間違いない、この2人やったな。
「別に怒らないから正直に言いな。嫌いな野菜俺の所に移しただろ?」
「「............はい。」」
2人は口数が一気に少なくなり怒られるんじゃないかと少しビクビクしていた。夕飯の食材を準備したのは俺だけど、少しくらいは頑張って食べて欲しかったな。
「2人とも、別に怒ってるわけじゃないからそんなに怖がらなくていいんだぞ?」
「で、でもお兄ちゃん!私、頑張ってトマト1つは食べるつもりだよ!ほら、私のお皿にトマトが1つあるでしょ?まだ食べてないけど。」
「わ、私もまだ食べてませんけど、お皿にセロリが1つだけあります。」
そう言われて見てみると確かにトマトとセロリが1つだけあった。俺に言われなくても2人なりに頑張って食べようとしていたんだな。
「お兄ちゃん、その........ごめんなさい。」
「......ごめんなさい。」
2人は頭を下げて謝ってきた。でも頑張って1つは食べようとしてくれたんだからちゃんとそこは褒めてあげないとな。そうしないとこのままじゃ、俺を怒らせてしまったとずっと思われそうだし。
「謝らなくていいよ、怒ってないから。それに頑張って食べようとしたんだろ?その気持ちがあるだけで充分だから。2人とも偉いぞ。」
そう言って再び2人の頭を撫でた。優しく撫でていると次第に固くなっていた表情が柔らかくなっていき、いつも通りに戻っていた。こうして見ると2人とも時々姉妹のように見えるのは気のせいだろうか。
「それじゃ、リゼの所に行ってくるよ。」
「うん!行ってらっしゃい!」
「行ってらっしゃいです。」
俺は夕飯を持ってそのまま2階へ上がった。自室に入るとリゼは箸を止めて大人しく待っていた。
「あれ?待たずに食べててもよかったのに。」
「いや、せっかく一緒に食べるのに先に食べたらなんだか勿体ないからな。ほらリョーマ、早く食べよう!」
俺はリゼの隣に座って、そのまま一緒に夕飯を食べた。その間リゼはとても楽しそうでさっきよりも美味しそうに食べていて、なんだかリゼが幼く見えたというかいつもココアとチノの面倒見てるからなのか少し年下に見えたような気がした。
「ごちそうさまでした!」
「お粗末様。」
20分程で夕食を終え食器を片付けた俺は、一度リゼの体温を測ることにした。見た感じはもう元気そうだけど、たまにぼーっとしている時がある。多分まだほんの少し熱があるんだろう。体温計を持って来て測ってみると予想通り、37.2℃の微熱だった。
「やっぱりまだ少し微熱だな。それじゃあこのまま安静にするようにな。」
「ああ、ありがとう。」
「まだ寝るまで時間あるし、何かして遊ぶか?」
「え?いいのか?」
「うん、俺も暇だしすることないから。」
本当はリゼのお父さんに頼まれたことを尽くすためだが、あの時のリゼのお父さんの真剣さからして、リゼにはこのことは言わない方が良いような気がする。
「それじゃあ遊ぼう!でも何して遊ぶんだ?」
「ん~そうだな。」
遊ぼうにも何して遊ぶかは全然決めてなかった。俺の部屋には遊べるようなものが置いてない。ココアなら何か持ってるかもしれない。
「リーゼちゃーーーん!!!」
「ココアさん、リゼさんはまだ夏バテ治ってないんですから静かにしないと。」
ちょうどココアの所へ行こうとしたらちょうど本人が部屋に入ってきた。そしてココアは右手に少しだけ大きな箱を持っていた。
「リゼちゃん!お兄ちゃん!みんなで人生ゲームしよ!」
そう言ってココアは箱を俺たちに見せてきた。タイミングよく遊べるものを持ってきてくれて助かった。リゼはやる気満々と言った顔で早くやりたそうにしている。
「それじゃ4人でやるか!」
「うん!じゃあ早速準備するね!」
箱を開けみんなで準備を始めたが、早くしたいのか中でもリゼが準備する速度がけっこう速かった。それほど早くやりたいんだろう。目がキラキラしている。
5分ほどで準備が終わり、みんなワクワクした様子で人生ゲームが始まった。出だしはココアが群を抜いて1位を独占していたが、罰金マスに止まる回数が増えていき次第に差が縮まり2位になったココアは"まだまだこれから"と言っていたが中盤になると3位になってしまい、少し焦りの様子が見え隠れし始めこの段階では1位がチノ、2位が俺、3位がココア、4位がリゼになっていたがココアとリゼが僅差でココアが4位になってもおかしくない状況だった。終盤になる頃にはココア以外は全員ゴールしておりココアは祈りながらルーレットを回して駒を進めた。するとゴールの1マス前で止まってしまい内容を見てみると"会社経営の軌道に乗りかけたが上手くいかず倒産、30万失う"だった。この瞬間ココアは顔を青ざめショックを受けながら泣く泣くゴールに到着した。結果ココアはみんなと大きな差をつけて最下位の4位だった。
「むぅ~........。」
「ココア、そんなに拗ねるなよ。」
「だっておかしいもん!最初はあんなに良かったのに最後は最下位なんて。」
「ゲームなんだからそんなにむきにならなくても。」
「そうだけど.......」
ココアは頬を膨らませて拗ねてしまった。気持ちはわからなくもないけど.......。
そう思いながら時計を見るともう11時だった。
「さてと、もう
「そうだな。私はこの部屋で寝ても大丈夫なのか?」
「ああ、俺はココアと寝るから大丈夫。ほらココア、いつまでも拗ねてないでもう寝るぞ。」
「.........。」
まだココアは拗ねていた。もう寝ないといけないのに困った妹だ。
「ほらココア?」
「............して」
「ん?」
「......ギュってして。そうしてくれたらもう拗ねない。」
そう言ってココアは両腕を広げた。そういうところも小さい時から変わってないな。昔も拗ねた時はおばさんがハグして宥めていたし。
「わかった。おいで。」
「.........えへへ///」
そう言って俺も両腕を広げるとそっと抱きしめてきた。頭も撫でてあげると一瞬で笑顔になり拗ねていたことなんて忘れているみたいだった。しばらく撫でていた時、俺はハッと気づいた。さっきまでみんなで人生ゲームをしていたんだから当然チノもいるはず。そう思いながら気配を感じていた背後を振り向くとチノが頬を膨らませながらジーっと見ていた。
「私、1位になれたのに最下位のココアさんにはハグするんですね...........ひどいお兄ちゃんです。」
そう言って今度はチノが拗ねてしまった。チノって甘えん坊さがもう既にココアを上回ってるような気がするのは俺の気のせいなのかな?それよりこのままだとチノはずっと拗ねたままだ。1位になれたんだしチノにもハグしてあげよう。
「ごめんごめん。チノは1位になれたんだもんな。ほら、チノもおいで。」
「っ!........はい!」
チノは満面の笑みで抱きついて来た。いつもより少しだけ長くハグした後、充分に満足できた2人はいつでも寝れるような様子だった。
「それじゃお兄ちゃん早く寝よ?チノちゃんも一緒に寝る?」
「今日は私1人で寝ます。」
「うんわかった、お兄ちゃん早く行こ?」
「俺はリゼに寝る前の薬を飲ませてから行くよ。先に行ってて待ってて。」
「じゃあ先に行ってるね!チノちゃん行こ?」
「はい。お兄ちゃんお休みなさい。」
「お休み。」
そのまま2人は部屋を出て、各自の部屋へ向かって行った。俺は水を薬をリゼに渡してもう少しだけ話をすることにした。
「相変わらず優しいな。」
「そうか?」
「いつも2人の面倒見てて凄いと思うよ。」
「多分慣れちゃってるんだろうな。これが普通って思ってるし。」
時々思うけど慣れって色んな意味で凄いよな。けっこうキツイと感じていたのがいつの間にか全然キツくなくなってたり、新しいことで戸惑っていたけど気がついたらそれが当たり前になっていたなんてことをクラスメイトの人たちや、仕事をしてる時にお客さん達からそんなことをよく耳にする。まあ、俺自身もそれを感じているから本当のことなんだろう。
「そういえばリョーマって全然怒らないよな?」
「まあそうだな。ココアやチノにたまに注意することがあるぐらいかな。」
「そうなのか。今まで本気で怒った事ってなかったのか?」
「............。」
...........ちょっと嫌なことを思い出してしまったな。
「............1回だけある。」
「あるのか?何で怒ったんだ?」
「まあ、モカに関係してることだな。」
「モカさんに?何があったんだ。」
言おうか迷ったけどリゼになら話してもいいだろう。
「まだ俺が小学生でモカが中学生の時の話なんだけどな。当時のモカは男子にいじめられてたんだよ。」
「え!?あのモカさんが?なんで?」
「当時のモカは他の女子生徒と比べて胸がかなり大きかったらしくてな。それを奇妙に思った2人の男子生徒がそれでモカをいじめてたんだ。そんな日々が2ヶ月くらい続いたって聞いたよ。」
「そうだったのか...........」
「そしてある日、俺が学校から帰る途中にモカと男子生徒が2人見えて何か話をしてたんだ。少し離れて話を聞いてると、"お前の胸デカすぎだろ!"とか"こんなにデカいなんておかしすぎだろ!"とか言って笑いながらモカをいじめてたんだ。その間モカはずっと涙を堪えながら歯を食いしばって耐えていて、そんな光景を見た俺は我慢が出来ず割って入って反論したんだ。そこからしばらく俺はその2人と言い合いになって、そして男子生徒の1人に"こんなにデカイ胸を持ってる保登なんてただの化け物じゃん!"って言われた瞬間、頭の中で何かが切れる音がしたんだ。気が付いたら俺はその男子を思いっきり殴ってた。そこからは殴り合いの大喧嘩だよ。殴った数より殴られた数の方が多かったけど、偶然近くを通ってたお年寄りの夫婦が急いで学校に通報して先生達が駆けつけて来てすぐ止められたんだ。喧嘩はそこで終わったけどその後俺はモカにずっと"ごめんなさい"って言われ続けたよ。」
「............ごめん、嫌な事思い出させてしまって。.........本当にごめん。」
リゼは物凄い申し訳ない顔をしていた。まあこんな話聞いたらみんなそうなるよな。俺だって絶対にそうなる。
「いいよ気にしなくて。それにその後その2人は先生にこっぴどく叱られたみたいでな、男子2人が頭を下げてモカに謝ってその日からモカがいじめられることは無くなったよ。」
「そうか。それは本当に良かった。」
「それで何故かわかんないけど、その日からモカからのハグとか頭を撫でてきたりとかのスキンシップがその時まで以上にめちゃくちゃ多くなったんだ。まあそれがたまに怖いと感じたこともあったけど。」
「それでモカさんがこっちに来た時あんなに怯えてたんだな。」
「まあな。」
「なあリョーマ、よかったらもう少しだけ
「ああいいよ。」
「じゃあ前から気になってたんだけどさ、お前とココアが出会った時の話聞かせてくれないか?」
「出会った時の話か?いいよ。まずココアと出会ったのは俺が小学1年生の時で________。」
俺は前にチノにも話した俺とココアとの出会いをリゼにも話した。出会った瞬間からお兄ちゃんと呼ばれるようになったこと、いつも毎日一緒に遊んだり俺がココアの家にお邪魔して一緒にご飯を食べたりといろんなことを話した。一通りのことを話した後、それを聞いたリゼは"今とあまり変わってないな"と言っていた。実際俺もそう思う。
色々話をしていたらいつの間にか40分近く経っていた。そろそろ本当に寝ないと0時を過ぎてしまう。
「さて、俺はそろそろ寝るよ。何かいるものはある?」
「ううん大丈夫、ありがとう。あと、本当にごめんな。あんな嫌な話させてしまって。」
「いいよもう昔のことだし。今はもうすっかり元気だし。それじゃあお休み。」
「お休み。」
俺はそのまま部屋を出てココアの部屋へ向かった。少し遅くなってしまった。多分怒って待っているんじゃないかと思いながら廊下を歩き、ココアの部屋の前まで来た。
「ココアごめん、ちょっと遅くなっ...........おっと。」
「.........すぅ~..........すぅ~」
謝りながらドアを開けると、ココアが椅子に座って机にうつ伏せで眠っていた。俺が来るのを待ってたけどなかなか来なかったから眠ってしまったんだろう。早くベッドへ寝かせよう。こんな所で寝たら風邪をひいてしまう。
「ココア、ここで寝たら風邪ひくからベッドで寝ないと。」
「ん~.......お兄...ちゃん......?」
軽く肩を揺すると寝ぼけ眼でゆっくりと起きた。多分これ9割方寝てるな。
「ほらココア、こんなところで寝てないでベッドに行かないと。」
「.......抱っ....こ...。」
「ちょっ......ココア?」
ココアはそう言いながら立ち上がると、俺に全体重を預けてきた。慌ててココアをもう一度起こしてみたが完全に眠っており、いくら起こしても寝息を立てるだけだった。
「仕方ないな。」
俺はそのままココアを抱きかかえてベッドに寝かせた。ドアの近くにあったスイッチを押して電気を消しベッドへ向かおうとした時、ふとココアが寝てた机に目が行った。
「これって..........。」
見てみると開きっぱなしのノートが置いてあった。ココアをベッドに運ぶので全然気づかなかった。ノートを手に取って中身を見ると英語の文章や、単語、文法がズラリと並んでいた。特にわかりにくい所は蛍光ペンで印をつけて各5回ずつ書いていた。
(ココア........俺が来るまでの間苦手な英語の勉強をしていたのか。)
ここ最近でココアは本当に変わった。仕事を頑張ってミスも以前と比べるとかなり減ったし、苦手な英語を自ら取り組むなんて昔のココアなら何かと理由をつけて絶対にしなかっただろう。夏休み前の期末試験の時は理系科目は相変わらず90点代だったけど、文系科目は3科目とも50点代だった。結果を見た時俺は本当に驚いた。多分ココアのクラスの担任も驚いてたんじゃないかな?去年は10点代とか20点代だったのにここまで上がるなんてすごい成長速度だ。これはココアの頑張りの
俺はそっとノートを閉じて、ベッドに入りココアの隣で横になった。
「本当によく頑張ってるな。」
「...........ん?お兄ちゃん.........?
俺はベッドで横になりながらそっとココアの頭を撫でているとゆっくりと目を開け起きてしまった。
「あれ?いつの間に来てたの?」
「お前が机で寝てる時にな。」
「そっか、私寝ちゃってたんだね。」
そう言いながらココアはモゾモゾと動きながら俺のそばへ寄って来た。
「えへへ///やっぱりお兄ちゃんと一緒に寝てると安心する。」
そばへ寄って来たココアはそのまま俺に抱きついてきた。甘兎庵でのあの出来事から2ヶ月ほど経ったが今でも毎日ココアと一緒に寝るようにしている。そのおかげか今はもう怖い夢を見ることは全くなくなったみたいだ。もちろんこれからも毎日ココアと一緒に寝るつもりでいる。
そういえば前から気になっていたけどどうしてココアは急に勉強を頑張るようになったんだろう?いい機会だし聞いてみるか。
「なあココア。」
「ん?どうしたの?」
「前から思ってたんだけどなんで急に勉強頑張るようになったんだ?前のココアなら自分から勉強することなんてなかったのに。何かきっかけがあったのか?」
ココアはきっかけを思い出すかのような顔をして、そしてゆっくりと口を開いた。
「.....うん。きっかけはお兄ちゃんが高熱で入院したことだよ。」
「え?そうなのか?」
「うん。あの時本当にお兄ちゃんに申し訳ないことしたと思ってね、それでお兄ちゃんに少しでも負担をかけないようにと思って勉強を頑張ることにしたの。それがきっかけだよ。」
「あの時から?てことは怖い夢を見ながら勉強も頑張ってたってことか?」
「うん。だけど元はと言えば私がお兄ちゃんに負担をかけてたのが悪いんだからお兄ちゃんは悪くないよ?」
「けどお前に苦しい思いをさせてしまったのは俺が原因だ。甘兎庵でのあの取り乱し方、普通じゃなかったし。」
「そうだね。今だからわかることだけど怖い夢を見てから1ヶ月くらい経った日に1番怖い夢を見てしまって、その日から私狂って夢と現実の区別がつけれなくなって現実が死後の世界だと思い込んでしまっておかしくなってたの。」
「1ヶ月って俺が進路に悩んでた時くらいからか?」
「うん。」
そうだったのか。その時からココアはおかしくなってしまっていたのか。10年近く一緒にいるのにそれに気づけなかったなんてやっぱり俺はダメな兄だ。
「本当にごめんな、全然気づけなくて。」
「大丈夫だよ、今はもう平気だから。私はお兄ちゃんと一緒にいれるだけで充分だよ。」
「そうか、これからも遠慮しなくていいからな?」
「うん!」
話をしながら頭を撫でているとだんだんココアの目がトロンと眠そうにしてきた。もう寝よう。とっくに0時を過ぎている。
「さてと、もう0時過ぎてるしもう寝るか。」
「うん。お兄ちゃんお休み。」
「お休み。」
to be contined
今回はここで終わります。
これ誰の回?と思った方がもしかしたらいるかもしれないので後書きに書いておきます。
リゼ回です。