兄というのは苦労するが、やり甲斐はある   作:P&D

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-47話-異性同士でお風呂ってよくあることなのか?

 

 

「ただいま。」

 

「ただいまです。」

 

10時、本格的に暑くなり始める前に俺たちは家に帰ることができた。本来なら9時半頃に帰れるはずだったのだが、帰りの道中にチノが屋台のアイスクリーム屋を見つけ、アイスクリームを食べたいと強請られてしまったのだ。暑くなってきたから帰ろうと言うとどうしても食べたいと駄々をこね、挙句には買ってくれるまでここから動かないと言ってくる始末。結局アイスクリームを食べることになった。暑くなる前に帰れるか不安だったが、無事に帰ってこれて内心ほっとしている。チノはアイスクリームを食べていた時、終始ニッコリな笑顔で食べていたから今思えば食べてよかったと思う。

 

「あ!お兄ちゃん、チノちゃんお帰り!」

 

ココアが玄関のドアが開く音に気づき、2階から下りてきて出迎えてくれた。まるで飼い主が帰ってきたとわかって嬉しがっている子犬みたいだ。

 

「ただいま。リゼはまだ寝てるか?」

 

「うん寝てるよ。起こしたほうがいい?」

 

シャロたちが来るまであと2時間ほど残ってる。チヤたちが来た時くらいに起こせばちょうどいいだろう。朝食後の時の様子だとあまり眠れてなかったように見えたし。

 

「いや、そのままにしてていいよ。チヤたちが来るまで寝かせておこう。」

 

「うんわかった!ねえねえお兄ちゃんギュってして?」

 

帰ってきて早々両腕を広げハグを強請ってきた。そういえば今日起きてからしてなかったな。今ここでしてもいいんだけどそれをすると今俺の隣にいる子が…………

 

「お兄ちゃんダメです!ココアさんにハグするなら私にもしないとダメです!」

 

「チノちゃんはお兄ちゃんとお買い物に行ったからいいでしょ!ねえお兄ちゃん早く!」

 

「ダメです!させません!」

 

こうなってしまって結局喧嘩になってしまう。チノは余程ハグさせたくないのか俺の前に割って入り相撲みたいにココアを押し返していた。それに対抗するようにココアも押し返している。もう俺がやるべきことは分かっている。早く鎮めよう。リゼが起きてしまう。

 

「ほらほら2人とも、喧嘩しない。」

 

「「………ふゎぁ~~」」

 

2人同時にハグした途端、氷が溶けていくようにだんだん笑顔になっていった。片方に何かしたらもう片方にも同じことをして平等にしないとすぐ喧嘩になるから中々忙しい。

 

「えへへ///………ん?」

 

さっきまで笑顔だったココアが何か疑問に思ったような顔になり、すんすんと俺とチノの匂いを嗅ぎ始めた。チノは急にどうしたんだろうといった顔で困惑しており、俺もチノと同じようになりどうしたらいいのか分からず立っていることだけしかできなかった。

 

「どうした?」

 

「すんすん………なんかお兄ちゃんとチノちゃんから甘い匂いがする。」

 

「っ!?………き、気のせいです!」

 

アイスクリームを食べたことがバレたくないと思ったのかチノはあからさまな動揺をしていた。おまけに目も泳いでいる。

 

「ん~……チノちゃんなんだか怪しいよ?」

 

「そ、そんなこと……ない、です。」

 

そりゃ疑われるよなそんな動揺の仕方をしたら。ココアがチノと目を合わせようとする度にチノは目をそらす。余程気づかれたくないらしい。

チノ、それをすると余計に怪しまれるぞ。

 

「この匂い…………バニラ?もしかしてアイスクリーム食べて帰ってきたの!?」

 

マズいバレた!

 

俺はこの時どうやってこの場でココアを鎮めようかと頭をフル回転していた。おそらくこの間1秒も経っていないだろう。チノを横目で見ると物凄く慌てふためいており、ココアにはもう誤魔化しが効かないなとこの時点で確信した。

 

「た、食べて、ないです!ココアさんの気のせいです..........。」

 

「うそだー!絶対うそだー!ズルいよ!もー!」

 

「わ、私夏休みの宿題が残ってるので、お昼ご飯まで部屋にいます!」

 

「あ!チノちゃん逃げないでよ!」

 

チノも誤魔化せないと悟ったのか逃げるように階段を上がり自室に行ってしまった。ココアは未だに"ズルい"と大声で叫んでおり、このままだとリゼが起きてしまいそうだ。

 

「ココア、リゼが起きるからあまり叫ぶな。」

 

「だってチノちゃんだけズルいもん!」

 

そう言ってココアは頬を膨らませながら地団駄を踏み始めた。

小さい頃のココアもこうやって地団駄踏んでたな。なんだか幼稚園児の頃に逆戻りしてるように見える。多分傍から見たら高校生になった女の子が幼稚園児みたいに地団駄を踏んで駄々をこねてるようにしか見えないんだろうな。

 

「わかったわかった。じゃあココアだけお昼ご飯にメニューを1つ追加するからそれでいいか?」

 

「.........私だけ?」

 

「ああ。」

 

「..........本当に?絶対に?」

 

「うん、だからもう騒がないようにな?リゼが起きちゃうから。」

 

「.......わかった。」

 

ちょっと信じきれてない所があるようだが一応納得してくれたみたいだ。

時間は10時を過ぎている。チヤたちが来るのは12時頃だ。お昼ご飯を作る時間とココアだけの追加メニューを作る時間を考慮するとそろそろ作り始めないと間に合わないかもしれない。早速だが今から作り始めよう。

 

「よし、じゃあ俺はお昼ご飯を作るから夏休みの宿題とかして、待っててくれるか?」

 

「うん!じゃあ宿題やってくるね!............あ!お兄ちゃん、特別メニューの事忘れないでよ?」

 

階段を上がり始めたココアは半分ほど上がると料理を作ってる最中に忘れられてしまうんじゃないかと思ったのか、振り返り少し不安な顔をして念を押してきた。それほど楽しみなんだろう。

 

「ああ、わかってる。忘れたりなんかしないよ。」

 

それを聞いたココアは安心した顔で残りの階段を上がり自室に入って行き、それを見送った俺は足早にキッチンに向かった。残り時間は2時間弱だ。ココアの特別メニューも作らないといけないが、昼食のメニューと同時進行で作れば何とか間に合うだろう。俺は丁寧かつ迅速に作るような想いですぐさま料理に取り掛かった—————。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ……はぁ……暑い………。」

 

11時半、俺はなんとか昼食の準備を終えることができた。作り終えた後にまず思ったことが”暑い”だった。元々部屋には冷房は効いていたが早く作ろうと急いでせっせと作っていた所為で暖房の効いた部屋にでもいるのかと勘違いしてしまいそうだった。もしこれで冷房が効いてなかったらリゼと同じようになっていただろう。

 

「ちょっとシャワー浴びに行こう........」

 

どれだけ汗をかいたのか服がびしょ濡れだ。気持ち悪くて仕方がなく、俺は汗を洗い流すためにシャワーを浴びに行くことにした。時間まで30分ほど残ってる。作り終わった料理もあとはオーブンに入れれば完成だしシャワーを浴びるくらいの時間は充分あるだろう。

 

「.....ん?張り紙?」

 

キッチンを出た時、壁にメモ用紙くらいのサイズの紙が壁に貼られていた。壁から剥がし読んでみると。

 

”お兄ちゃんへ。

 

 お湯を張っておいたよ!もし汗で気持ち悪いなと思ったら、よかったら入ってね!”

 

と書かれていた。

どうやらココアは1度キッチンに来ていたみたいだ。折角ココアが用意してくれたんだ。時間もまだ残ってるしありがたく入らせてもらおう。

 

かなり汗をかいたので俺は冷蔵庫から水を取り出しコップ2杯分ほど飲み、自室で着替えを取り、脱衣所で服を脱ぎそそくさと風呂場に入った。それくらい早くシャワーを浴びたいと無意識に体が訴えているんだろ。自分でもよくわかる。

 

シャワーのレバーを捻り、やっとシャワーを浴びれると思うかもしれないがそうはいかない。まず最初は冷水が出てくる。これがお湯になるまで少し待たないといけない。この待ち時間がやたら長いと感じるのは俺だけなのだろうか。稀にそんなの関係なく冷水状態からシャワーを浴びる人がいるみたいだが俺はそんな猛者ではない。大人しく待つとしよう。

 

「よし、そろそろいいかな。」

 

シャワーに手を当て程よい温度になったことを確認し、全身にシャワーを浴びていく。汗が一気に流れ落ちてゆく。この感覚がたまらない。もし冬だったらこの感覚はあまり感じないが今は夏だ。冬には味わえないものが今は目の前にあり、それを全身で感じている。もしかしたらこれも一種の夏の風物詩かもしれない。………人によるかもしれないが。

 

「……あれ?リョーマ?いるのか?」

 

一通り体中の汗を洗い流しているとドア越しからリゼの声が聞こえてきた。ドア窓に首を傾げているシルエットが見える。

 

「リゼ?起きたのか?」

 

「ああ、ついさっき起きたよ。」

 

てっきりさっきのココアの叫び声で起きたのかと思ったが、どうやらそうじゃないみたいだ。そしてリゼは何かを迷っているかのように周りを気にしたり何かブツブツと呟いたりしてリゼのシルエットが少しあたふたしていた。

 

「リゼ、そんなにウロウロしてどうしたんだ?」

 

「え!?あ、いや、その……私昨日お風呂入れてないから……///」

 

そうか、昨日夏バテで入れていないんだった。入れてなかったらそりゃ気持ち悪いよな。しかも今は夏真っ只中だし。早く出てリゼと代ろう。

 

「そうだったな。すぐ出るからちょっと待っててくれ。」

 

「………な、なあリョーマ!ちょっと待ってくれ!」

 

早く出てリゼと代ろうとした途端、少し張ったような、緊張しているような声で急に呼び止められた。

 

「ん?どうした?」

 

「えっと……その……」

 

「どうした?もしかしてまだ体が怠いのか?」

 

「い、いやそうじゃなくて!……その……えっと……なんていうか……」

 

何か言いたいことがあるんだろうが言いにくいのか、急にしどろもどろになり始めた。一体どうしたんだろう?さっきまで普通に喋っていたのに。でもこういう言葉が詰まった時のリゼは何か頼み事がある時だ。言いにくい頼み事があるんだろう。俺から聞いた方がいいな。

 

「何か頼みたいことでもあるのか?出来ることなら何でもするぞ?」

 

「え……いいのか?」

 

「もちろん!」

 

「………じゃあ………その………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一緒にお風呂………入って……いいか?……///」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………………ゑ?」

 

 

 

 

今何て言った?一緒にお風呂?一緒にお風呂って何だっけ?

次の世では仏になることができる菩薩(ぼさつ)のことだっけ?違うそれは一生補処(いっしょうふしょ)だ。

間違いない。リゼは一緒にお風呂に入りたいと言った。あまりに予想を超えた頼み事だった所為で変な"ゑ?"が出てしまった。

 

「い、いやいや何言ってんだリゼ!それはまずいだろ!?」

 

「いや別に変な事しようとかそんなんじゃない///ただ看病してくれたお礼をしたいだけなんだ///そ、それに前に旅行に行った時は一緒にお風呂入っただろ?」

 

あの時は俺とリゼしかいなかったから入れたが、今はココアとチノがいる。もし一緒に入ってるところを見られてみろ、何言われるか分かったものじゃない。特にチノが何しでかすのか予測不能だ。リゼには悪いがここはやんわりと断ろう。

 

「お礼したい気持ちは嬉しいけどそれでも一緒にお風呂はまずいよ。ココアとチノもいるし、お礼の仕方は1つじゃないんだし他の形でお願いしてもいいか?」

 

「………私はただ本当にお礼がしたいだけなんだ。他に方法が思いつかないし、お昼にはシャロ達が来るからお礼する機会が無いだろうから今しかないと思って………。でも、そうだよな。ここで一緒に入るのはまずいよな。ごめんな変なこと言って………それじゃ、リョーマが上がるまで部屋で待つことにするよ。」

 

リゼは明らかに落ち込んだような声で、でもそれに気付かれないようにそう言うとそこから立ち去ろうとしていた。

……お礼の内容はちょっとマズいとはいえリゼは本当に心からお礼をしたいと思ってくれたんだろう。そうじゃなかったらあんな落ち込んだ様子にはならないはずだ。

それに折角のリゼからの厚意をココアたちに見られたらマズいという理由で無碍ににしようとしている。やっぱりリゼの厚意を受けよう。これじゃ後味が悪いし、この後のリゼの様子が変な感じになってしまいそうだ。

 

「リゼ!」

 

「え?なんだ?」

 

「や、やっぱり一緒に入るか?」

 

「え……いいのか?」

 

「ああ、なんだか無碍にしてるみたいで申し訳ないから。」

 

「でもココアたちに見られたらマズいんじゃ……」

 

「その時はなんとかして誤魔化すよ。だからリゼがよかったら………どうぞ。」

 

「…ああ!ありがとう!ちょっと待ってくれ。」

 

「ちょ、ちょっと待って!その前にタオル取って!籠に入ってるから!」

 

俺はドアをほんの少し開け、リゼに籠に入っているタオルを受け取り腰にタオルを巻いてから湯船に入った。この家でまさかモカに続いて今度はリゼと一緒に入ることになるとは。人生何が起こるか分からない。

湯船に入って気づいたが、少し温めになっている。きっとココアが俺が料理で暑くなるのを察してくれたんだろう。それに夏バテに効く温度は温めの方が効果的と聞いたことがあるし丁度よかった。これならリゼも安心して入れるだろう。

 

 

 

…………する…………する…………

 

 

 

「………………。」

 

 

それは良いとして、さっきから気になる音が聞こえてきて少し困っている。さっきまでは俺がシャワーを浴びていたからシャワーの出る音がこの浴室を覆っていたが、今は湯船に浸かっているのでこの空間は無音だ。たまにシャワーヘッドから水滴が落ちる音がするくらいだ。故にどんな音でも聞こえてくる。

そして現に今とある音が聞こえてくる。布が肌に擦れるような音。そう、リゼが服を脱いでいる音が俺の耳に入ってくるのだ。

 

それだけじゃない。ドアを見るとドア窓にリゼのシルエットが映っている。服を脱ぐ動作、下着を脱ぐ動作。裸になるまでの動作が余すことなく全て映っているのだ。今ドアの向こうには産まれたての赤ちゃんのような姿のリゼが………ってやめろ如月リョーマ!変態かお前は!

なんだか覗きをしているみたいで変な罪悪感を感じる。目のやり場に困るし耳のやり場にも困ってしまう。簡単にまとめるとどうしたらいいのかわからない状況だ。

 

そういえばこういう時は素数を数えると落ち着くと聞いたことがある。パニックになりそうな時こそ冷静になるのが大切だ。そして今がその時だ。そうと決まれば早速素数を数えていこう。

 

 

 

 

2,3,5,7,11,13,17,19,23………

 

 

 

 

 

「ん……しょっと……」

 

 

 

 

 

……37,41,43,47,53………

 

 

 

 

 

「ん?また少し(胸が)大きくなったか?」

 

 

 

 

 

……ろ、67,71,73,79………

 

 

 

 

 

「大きくなると肩凝りが酷くなるんだよな〜……」

 

 

 

 

 

………うぅ……97,101,103,107………

 

 

 

 

 

「それに(胸が)大きいと変な目で見てくる人がいるって聞いたことがあるからな。」

 

 

 

 

 

ひゃ……ひゃく………127………131………

 

 

 

 

 

「………それに、????も大きい方が好きなのかな………?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

「えぇ!?リョーマどうした!?」

 

「え!?……あぁ、いや……何でも、ない……です……。」

 

「そ、そうか?」

 

ダメだ。素数を数えてもドア越しからのリゼの言ってることが耳に入ってきて素数どころじゃない。最後辺りは何言ってたのか聞き取れなかったし、頭がオーバーヒートしそうだ。

 

俺はとにかく頭を冷やすことを最優先にし、シャワーヘッドを手に取り温度レバーを最低まで下げ、無我夢中で冷水を頭にぶっかけ物理的に頭を冷やした。気の所為なのかはわからないがこの冷水がとても心地よく感じる。これから頭を冷やしたい時は物理的に冷やすのが一番良い方法かもしれない。頭がおかしくなりそうになったが、おかげで良い対処法を見つけることができた。結界オーライということにしておこう。

 

「リョーマ、入っていいか?」

 

「あ、ああ。……いいよ。」

 

「し、失礼……します。」

 

リゼは緊張した面持ちでゆっくりと浴室に入ってきた。体にはタオルを巻いており、旅行の時は見ていなかったがタオルで隠れていない肩や脚はよく見ると透き通るような肌をしており普段部活の助っ人などでスポーツをしているということもあって健康的で引き締まってとても綺麗な肌だった。

 

「…………。」

 

「そ、そんなに見ないでくれ///……は、恥ずかしい///」

 

「あ……ご、ごめん!」

 

俺は即座に目を逸らした。モカの時もそうだったが、やっぱりこういうのは慣れないな。思わず魅入ってしまいそうになる。

 

他の一般男性の人たちはこういう時どうするのだろうか。こういった系統の事はどうも苦手だ。恋愛経験がないからなのだろうか。かと言って恋愛しろと言われてもそもそもそんな経験がないから恋愛そのものがどういうものなのかわからない。考えても仕方ないし、いつかわかる時が来るのを待つしかない。

 

「えっと………じ、じゃあシャワー浴びさせてもらうぞ。」

 

「ああ……どうぞ。」

 

「……………。」

 

椅子に座ったはいいもののリゼは一向にシャワーを浴びようとはしなかった。いや、浴びようとはしているが何かを気にしているような素振りだ。そして時折こっちをチラチラと見てくる。俺がどうかしたのだろうか。

 

「……えっと……リョーマ。」

 

「な、なんだ?」

 

「その、シャワーを浴びたいんだけど………そのためにはタオルを取らないといけないんだ………だから、その///」

 

「………え?………あ、ああ!そうだよな、ごめん向こう向いてるよ!」

 

「す、すまないな……」

 

俺は急いで体ごと反対側へ向け、完全に視線を別方向へと移した。間違いない完全に思考能力が落ちてる。普通ならタオルを取ると完全に裸になってしまうって気づくはずなのに気づくのに5秒以上かかってしまった。

今俺は反対側へ向いて壁と睨めっこをしている。今の俺の顔はどんな風になっているんだろう。間違いなく言えるのは顔が真っ赤だということだ。さっき頭から冷水をぶっかけたばかりだというのに。もしかしたら表情も酷いものになっているかもしれない。

 

嗚呼、鏡が欲しい。それがあれば平静を装うための表情を作ることができるのだが生憎その鏡は今リゼがいる所に設置されている。自力で表情を作るしかない。福笑いみたいな顔にならなければいいが。

 

キュッ………ザーーーー……

 

 

 

「きゃあ!!!」

 

 

「……え?リゼ!!!」

 

シャワーが出た途端叫び声が聞こえ、振り返るとリゼが何故かシャワーに驚き転びそうになっていた。俺は慌てて立ち上がりハグをするようにリゼを抱き留めた。

 

「大丈夫か!?」

 

「あ、ああ。水のシャワーが出てきたから驚いて………。」

 

そういえば俺が冷水のシャワーを頭からぶっかけた後そのままにしてしまっていた。そうなれば次にシャワーのレバーを捻れば水が出てくるに決まってる。冷静になるのに必死でそんな簡単なことも見落としてしまっていた。

 

「ごめん、俺が冷水にしたままだった。本当にごめん。」

 

「いや、私も何も考えずにレバーを捻ってしまったから気にすることはないよ。………それよりも……その………///」

 

「………?」

 

「………////」

 

無事に事なきを得た瞬間、何故かリゼが突然何も喋らなくなった。もしかして夏バテがぶり返してきたか?やっぱりもう少し寝かせたほうがよかったんじゃ……。

 

「リゼ大丈夫か?具合悪いのか?」

 

「い、いや……そうじゃなくて、その、ずっとこうやって……抱き留められると………その///」

 

「………あ!!!!!」

 

今になってやっとわかった。転ばせないようにするためとはいえ傍からみたらバスタオル1枚隔てた状態で抱きしめてるようにしか見えない。しかもバスタオル越しとはいえむにゅっと柔らかい2つのお山が俺の胸元当たりにめちゃくちゃ当たってるんですけど!?

 

それに気付いた瞬間物凄い勢いで頭に血が上ってくる感覚に襲われた。心臓の鼓動が今までにないくらい速いし、なんだか頭も少し痛くなってきた。のぼせているのに近い気がする。

そんなことより早く離れないと。

 

「ご、ごめん!俺はただ転ばないように抱き留めただけで!別に抱きしめたくてやったわけじゃ!」

 

「ああ………わかってる、から………別に………気にしなくて、いい………////」

 

「あ…ああ。」

 

 

 

「「………////」」

 

慌てて離れたはいいもののそこからはお互い一切言葉が出てこなかった。体にバスタオルを巻いた女と腰にタオルを巻いた男がお互い向き合って突っ立っている状態だ。

 

何なんだこの状況は?こんなことって起こるものなの?今回俺が初めて体験した出来事であって他の所ではこんなのは日常茶飯事なのか?いやいやそんなわけあるか!

あまりにも出来事にセルフツッコミをしてしまったぞ。

 

「………とりあえずシャワー浴びなよ。汗とかで気持ち悪いだろうから。俺はまた向こう向いてるから。」

 

「ああ………じゃあ、浴びる、な?」

 

「………うん。」

 

これ以上沈黙の時間を作らないようにとりあえずリゼにシャワーを浴びさせることにした。沈黙の時間を作らないようにとは言ったけどシャワーの音が追加されただけだ。そして俺は浴槽に入りまた壁と睨めっこ。

 

一緒にお風呂に入るってだけなのになんでこんなにもどっと疲れてしまうんだ?お風呂って疲れを取る場所だよな?鼓動は速いし頭は痛いし呼吸しずらいし疲れるための場所じゃないよな?

なんだかリゼとの旅行での混浴を思い出してきた。というか前に一度リゼとお風呂に入ったことがあるのに何故こんなに緊張するんだ?しかも旅行の時よりもだ。自宅だからか?旅行の時は露天風呂だったからその違いだろうか?

 

「リョーマ、終わったから………もう大丈夫。」

 

「ああ、わかった。」

 

シャワーを浴び終えたリゼは、俺の背中越しから振り向いてもいい許可を出してきた。俺はゆっくりと振り向き俺は湯船に浸かったまま、リゼは再び体にタオルを巻いた状態で立ったままで対面する形になった。お互い見つめあったまま微動だにしない。

 

「えっと……どうぞ。」

 

「ああ、じゃあ入るぞ。」

 

俺は端に寄り、リゼが湯船に入るスペースを作った。そしてリゼは足からゆっくりと湯船に入っていき、お互い向き合うような形になった。どうしよう。ここからどうすればいい?ゲームで例えると調べれるところは調べつくしたのに先に進めず行き詰まってしまっているような状況だ。リゼは少し俯いたままずっときょろきょろと目を泳がせているし多分俺と同じ心境なんだろう。

 

「えっと……さっき言ってたお礼なんだけど………具体的にどんな事するんだ?」

 

「あ、ああ……えっと、頭を洗ったり背中を流したり……かな///」

 

俺は無言の間を何とかするためにリゼが最初に言っていたことを話題に話を振った。誰かに洗ってもらうなんて小さい頃以来だ。結構恥ずかしいがお礼を受けると言ったし、ここは素直に受けよう。

 

「そうか……じゃあその……早速だけどお願いしていいか?」

 

「ああ、わかった…………じゃあこっちに来て椅子に座ってくれ。」

 

「…………うん。」

 

俺はゆっくりと湯船から立ち上がり、リゼに促されるがままに椅子に座った。

 

今の自分でもわかる。滅茶苦茶ぎこちない。というか何度も思うがどうしてこんなにも緊張するんだ?相手は1度一緒にお風呂に入ったことがあるリゼだぞ?緊張する理由なんかないはずなのに。不慣れなだけか?考えてみれば異性と一緒にお風呂に入るのはこれで3度目だ。…………小さい頃のはカウントしないとして。

 

一層の事誰かに電話で聞いて克服の仕方を聞いてみるとか?となると母さんに聞くのが無難かな。いやダメだ、母さんに聞いたら何があったのか根掘り葉掘り聞かれそうだ。

 

そうくるとモカがいいかもしれない。前にこっちに来た時一緒にお風呂に入ることになったが、あまり緊張してなさそうな感じだったし。………でも、今モカに聞くのは嫌な予感がする。最後にモカに会ってからしばらく経っている。電話越しとはいえ何されるか分かったものじゃない。そう考えると急に背筋が凍りつくような寒気が走った。やっぱりモカもダメだ。

 

だったらおばさんはどうだろう。聞いても親身になって話してくれそうだし、誰にも言わないで欲しいと言えば秘密にしてくれそうだし。よし、そうと決まれば近いうちにおばさんに聞いてみよう。いつまでも苦手なものを苦手なままにしておくのは良くないしな。

 

「それじゃあリョーマ。その………まずはシャンプーからいくけど………いいか?」

 

「ああ、よろしく頼むよ。」

 

リゼはボトルからシャンプーの液体を取り出し、緊張した手つきで俺の髪を洗い始めた。その所為なのか少しくすぐったい感じがする。

 

けどなんでだろう、それとは別に心地よいという感覚もある。自分でするのと人にしてもらうのとではこんなにも違うのか。心なしか癖になってしまいそうな気がする。

 

「上手く洗えてるか?こういうの初めてだからよくわからなくて……」

 

「ああ、ちょっとくすぐったいけど心地いいよ。」

 

「そ、そうか……よかった。」

 

顔は見えなかったがホッとしたような声だった。初めてだったからちゃんとできるか不安なところもあったのだろう。そこからは自信がついたのか緊張した手つきはなくなりもう慣れたかのような手つきで洗うようになってきた。

 

「前から思ってたけどリゼって何事にも器用だよな。」

 

「え?そうか?自分ではそうは思ってないけど。」

 

「だって髪洗うの上手だし、色んな部活の助っ人もしてるし、出会った頃に作ったラテアートもすごく上手だったし、リゼが思ってるよりずっと器用だよ。」

 

「そ、そうか///それだったら私もうれしいな。」

 

リゼはだんだん緊張が解れてきたみたいだ。それに比例するかのように俺もこの状況に慣れつつある。その証拠にさっきまであんなに一緒に入ることに緊張してたのに今は一緒に入るのが普通だと錯覚してしまいそうになるくらい落ち着いて話ができている。

 

「それじゃあそろそろシャワーで洗い流すぞ。」

 

「ああわかった。」

 

俺はそっと目を閉じリゼはシャワーのハンドルをひねって俺の髪を洗い流す。少し思ったのがリゼはシャワーの水圧がほんの少し弱めみたいだ。普段俺が出してるシャワーの水圧の9割くらいだ。リゼは髪が長いし女の子だから髪に強い刺激がいかないように気をつけているんだろう。俺の髪も全然傷んではいないがリゼを見習って少し気をつけてみようかな。

 

なんだかリゼの新しい一面が見れたみたいでなんだか新鮮だ。

 

…………女の子と一緒にお風呂に入ってその子の新しい一面を見出すなんてなんだか変態みたいだな。これ以上は考えないようにしよう。女の勘は鋭いって聞いたことあるし。

 

「よし!こんなものかな?それじゃあリョーマ、今度は体を洗うからボディタオル取ってくれるか?」

 

「ああ、……はい。」

 

「ありがとう。」

 

俺はそばにあったボディタオルをリゼに渡し、今度は体を洗ってもらうことになった。リゼはタオルにボディソープを乗せ、それを充分に泡立て俺の背中を洗い始める。そういえば背中は意外と洗い残しがあると聞いたことがある。誰かに背中を洗ってもらうなんて滅多にないだろうからリゼに感謝して背中を洗ってもらおう。

 

「痒いところはないか?」

 

「ああ、大丈夫だよ。」

 

「そうか、わかった。……ん、………ふぅ……。」

 

丁寧に洗ってくれているお陰でとても心地いいが、さっきからリゼの吐息が背中に当たって妙に擽(くすぐ)ったい。筆か何かで軽くなぞられてるような感覚だ。

 

「こうして見てると、リョーマって背中大きいよな。」

 

「そうか?普通ぐらいだと思うけど。」

 

「私、こんなだけど学校も女子高だし、今まで男の人と仲良くなったことなんて無かったから比較できる人は親父くらいしかいないけど、良い背中をしてる方だと思うぞ。」

 

「そう、か………ありがとう。」

 

「ふふ、リョーマって褒められるとすぐ照れるよな。なんだか可愛いって思う時があるよ。」

 

「可愛いって、俺一応男だぞ?」

 

「男の人でも可愛いって思うところはあるんだぞ。あ!あとそれで思い出したけどリョーマは年上の人にも弱いよな。」

 

「年上の人?」

 

「ああ、前にモカさんがこっちに来た時、リョーマってば恥ずかしがってたというか普段通りじゃ無かったというか、そんな感じだったぞ?」

 

「いやあれは、ちょっと怖かったからというか………。」

 

「それに青山さんがスランプを克服させてくれたお礼にって抱きしめてくれた時も。」

 

「ああああああ!!!!言わなくていい言わなくていい!恥ずかしいから!」

 

「あははは!」

 

怖かった記憶を思い起こされたと思ったら今度は恥ずかしかった記憶を思い起こされた。凍り付いた体に灼熱の炎を浴びせられた気分だ。

リゼはそんな俺を見て笑ってるし。いじめ反対だ。

 

思い返してみれば俺が関わる女性は同い年、年下ということが多かった。年上の女性は結構少ない。片手だけで数えれる程だ。それが原因なのかは分からないが、モカに褒められた時は口数が少し減ったり、青山さんに抱きしめられた時は体が石のように硬直してしまった事があった。それを踏まえるとリゼが言ってることは一概にも否定はできないかもしれない。

 

「はあ、のぼせそうだよ。」

 

「確かに顔真っ赤だもんな。」

 

「まったく、誰のせいだと。」

 

「ごめんごめん。じゃあ続きを洗っていくぞ。」

 

お互いクスっと笑った後、リゼはそのまま背中を洗い始めた。お互い笑いあえるぐらいにまで落ちつけている。今後いつかまた一緒に入ることがあっても今回みたいなぎこちない雰囲気になることはないだろう。そもそも男女が一緒にお風呂に入るなんてことが起こっていいものなのかは分からないが。

 

一通り背中を洗い終わらせてくれたリゼは少し恥ずかしそうに残りは自分でやってくれと言いながらボディタオルを渡してきた。残りの意味を理解した俺は、リゼと同じように少し恥ずかしくなってしまい変な空気になったがそのままタオルを受け取り、残りは自分で洗うことにした。

 

というかこれ以上やると雰囲気がまた振り出しに戻ってしまいそうな気がしたのでさせる訳にはいかないしな————。

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ~やっぱり風呂に入ると落ち着くなぁ。」

 

そんなことを言いながらリゼは伸びをして極楽モードだ。

一通り洗い終えた俺は、もう一度湯船に浸かりリゼと向かい合う形になった。最初の時のガチガチの緊張状態ではなくリラックスした状態で。

 

「そういえばリョーマ、ここに来る前キッチンに何か置いてあったのを見たけど、何を作ったんだ?」

 

「ん?あああれか。今日のお昼ご飯だよ。結構自信作だから楽しみにしてていいよ。」

 

「リョーマがそこまで言うんだったら美味しいんだろうな。ふふ、楽しみだ。」

 

どれくらいの美味しさなのかを想像してるような顔でニコニコしている。想像だけでこんなに笑顔になってくれるなんて汗びっしょりになりながらも作った甲斐がある。実際に食べてもらったらもっと喜んでくれたりして。

 

 

 

コンコン

 

 

 

「ん?何か聞こえなかったか?」

 

「え?別に何も聞こえなかったけど。」

 

気のせいか?木を叩くような音が聞こえたが……。

 

 

 

ガチャッ

 

 

 

「あら?鍵が開いてる。入っていいのかしら?」

 

「リョーマ先輩が裏口の鍵が開いてるってメールで言ってたから大丈夫だと思うわよ?」

 

今度はドアが開く音と同時に何かの話し声が聞こえた。ココアとチノか?それにしては声質が違うが。

 

「お邪魔しまーす!誰かいませんかー?」

 

透き通ったような大声で分かった。チヤの声だ。ということはもう片方の声はシャロだ。なんでもう来てるんだ?

 

「チヤ!?もう来たのか!?」

 

「リゼ!お前がここに来たのって何時頃だ?」

 

「えっと、確か12時10分前か15分前だったと思う。」

 

しまった。風呂での出来事で頭がいっぱいだったせいで時間のことをすっかり忘れてしまっていた。チヤたちが来たってことは12時を過ぎた頃だろう。早く出てチヤたちを止めないと。。こんなところを見られたら間違いなく誤解されてしまう。

 

「そんな事より早く足止めしないと!きゃあ!」

 

「リゼ!」

 

リゼも考えてることは同じだったらしく、浴槽から出た瞬間よほど焦っていたせいか、足を滑らせ顔が床に直撃しようとしていた。俺は頭より先に体が動き浴槽から出てすぐリゼの腕を掴み自分の方へ引き寄せ、抱きしめる形になった。そこまではいい。そこまではよかったのだが、安堵した瞬間ハッと気が付くと俺の胸元辺りに柔らかい、とても柔らかい2つのお山がタオル越しに当たっている。

 

またやってしまったぁ!!!

 

「ひゃう///………うぅ///」

 

「あ!ご、ごめん!」

 

「いいから……早く離れ………あ///」

 

慌てて離れようとしたが、離れようとする度にリゼが変な声を出してくるせいで動くに動けなかった。そうこうしているうちに走るような足音が聞こえ、そしてその足音はだんだんこっちへ近づいてくる。

 

「リゼちゃん大丈夫!?叫び声が聞こえ………たん………だけど………。」

 

脱衣所のドアが開き、浴室のドアが開くとそこには慌てたチヤが入ってきた。そして俺たちを見ると石のように固まり動かなくなってしまった。チヤから見たら抱き合ってるようにしか見えていないんだろうけど。

 

「チヤ!何で固まってるのよ!リゼ先輩大丈夫ですぴゃああああああああああ!!!」

 

後から来たシャロも入ってくると、シャロの方は苦手なウサギを見てしまったような悲鳴をあげ固まってしまった。俺たちがウサギに見えているのか?

俺&リゼ、チヤ&シャロのペアでお互いがお互いを見合ったまま時間が過ぎていく。10秒、20秒、誰一人言葉を発することなく。

もしかして時間が止まってる?それならそっと移動して2人が見たのは夢だったんだよと言って誤魔化すことができるんだけど。

 

「な、なんで2人ともお風呂に………?」

 

「お2人ってもしかして………そ、そういうご関係なんですか?」

 

残念。時間は止まってなかったみたいだ。俺とリゼは慌てて離れたが、離れたところで誤解が解けるわけではない。どうやって誤解を解けばいい?何を言ったところで簡単には解けそうには見えないが。

 

「ち、違う!ただ私はリョーマに看病をしてもらったからそのお礼をしようとしただけで!」

 

「お、お礼って………も、もしかして………その、イケナイこと、とか///?」

 

「イ、イケナイ………こと///」

 

リゼの発言でさらに誤解をさせてしまったようで、チヤは恥ずかしそうな顔で赤くなり両手で口元を隠してる。

何を想像しているのか分からないがチヤの言葉を聞いたシャロもだんだん顔が赤くなり、のぼせたようなボーっとした顔で立ち尽くしている。

 

「違うそんなんじゃない!私はリョーマにお礼に奉仕をしようとしただけだ!」

 

「ちょっ!リゼ言い方!!!」

 

「お風呂で!?」

 

「奉仕!?」

 

最後の言葉がとどめになったらしく、2人はリンゴみたいに真っ赤になると口から魂が抜けていくようにゆっくりと後ろへバタンと倒れてしまった。

そしてその音が聞こえたのか、2階からドタドタと慌てて階段を下りてくる音が聞こえた。そしてその音はチヤたちの時と同じようにこっちへ近づいてくる。

 

「チヤちゃん!?シャロちゃん!?どうしたの?お兄ちゃん大丈夫!?………ああああごめんなさい!!!」

 

ココアは慌てて浴室に入って来るや否や、俺たちの姿を見て顔を真っ赤にし両手で顔を覆い隠した。

まあ腰にタオルは巻いてるから最悪の事態は防げてるけど。

 

「ココアさんうるさいですよ?……なんでお2人が倒れてるんですか?お兄ちゃん何かあったんですかあああああああああああ!!!!」

 

有ろう事か最年少であるチノまで浴室に入ってきた。そして俺たちを見ると今まで聞いたことがないくらいの声量の叫び声が響き渡った。うるさいと言っておきながら浴室に入ってきた4人の中で一番うるさい。というかチノそんな大声が出せるんだな。

 

「ご、ごめんなさい!叫び声と倒れる音が聞こえたから心配になって来ただけだから!べ、別にお兄ちゃんを覗こうとかじゃないから///」

 

「そ、そうです!ココアさんの言う通りです!確かにお兄ちゃんの体よく見ると逞しくて、いつもこんな体でハグしてくれてたんだなって思うと、その………へへ////………あっ、じゃなくてココアさんと同じで覗きじゃないです!」

 

なんだか1人だけ変に暴走しかけてたが、さっきから俺の事しか言っていないのが気になる。普通ならチヤたちのようにどうしてリゼもいるのか聞くはずだ。まるで俺1人しかいないかのようなことしか言ってこない。

不思議に思った俺はチラッと後ろを見たがそこにはリゼがいなかった。消えた?————と思ったが、湯船をよく見てみると水面に少しだけ浮いている髪の毛を見る事ができた。

そうか、ココアたちにも見られるとこれ以上手の施しようがないと踏んで、機転を利かして隠れてくれたんだ。リゼも長くは隠れられないだろう。ならばそれを無駄にはできない。急いでココアたちをここから離れさせないと。

 

「えっと、2人とも間違えて風呂のドアを開けてしまったみたいなんだ。悪いけど2人をココアかチノどっちかの部屋まで運んでくれないか?」

 

「う、うん///」

 

「はい///」

 

ココアはチヤの、チノはシャロの腕をそれぞれ自分の肩にかけ支持搬送で部屋まで運んで行ってくれた。なんとか事の峠を越すことはできた。

 

「ぷはぁ!ケホッ……ケホッ………」

 

「大丈夫か?」

 

「ああ、大丈夫だ。」

 

「なんとかあの2人にはバレずに済んだな。」

 

もう息の限界だったのか、勢いよく水面からリゼが飛び出してきた。一時はもうだめかと思ったが、リゼの機転のおかげで助かった。

ココアたちにも見られてたら本当にマズかっただろう。不幸中の幸いといったところだろうか。

 

「リゼ、早く出よう。リゼが先に出て俺の部屋に戻っておいてくれ。まだバレてないけどココアたちが俺の部屋に入ってリゼがいないって知られたらまずいことになりそうだし。」

 

「わかった。先に出るぞ。」

 

リゼを浴室から出し、ココアたちにバレないように先に自室へ帰すことにした。

さて、ここからが問題だ。どうやってあの2人の誤解を解けばいい?恐らくだが一緒に風呂を入るくらい深い関係にあるみたいに思われているだろうな。誤解が解けるまで何度も説明すればいけるのか?誰でもいいから知恵を貸してほしい。

これぞ正に猫の手も………猫の知恵も借りたいというやつか。

 

あぁ神よ、何故このような試練を与えたのですか————。

 

 

 

 

To be continued




どうもP&Dです。だいぶ前にこの回は3話構成とか言ってたと思うんですけど………





すいません!4話構成にさせてください!ほんとにすいません!
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