S10地区司令基地作戦記録   作:[SPEC]

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コラボ回2話目でございます。
まだこちらでは先方のキャラクター等が出ていないので作品名の記載はしませんが、人気知名度共にこちらの倍以上の作品でございます。お気に入り数圧巻の1000越えやぞ。恐れ多いわ


あと、現在開催中の大型イベントに対するやる気が上がらないです・・・。ログインしても後方支援回すばっかでね。

あ、そういえば前のピックアップでRPK-16が来てくれました。製造依頼15枚くらいで来てくれて「はっ?(歓喜)」ってなった。
ちなみにメスゴリラさんはまだ来てくれません。



OPERATION "Two-up" Ⅱ

 

先の強襲作戦。それによって確保されたヘンブリーの身柄は、ブリッツらによって恙無くグリフィン本部へと移送された。

 

そうして現在、ヘンブリーは本部に拵えた尋問室へと連行された。

四方をコンクリートによって囲われ、その内の一面のみにアクリル製のマジックミラーが設置されている。

それ以外には、部屋の中央にステンレス製のシンプルなテーブルと、パイプ椅子が2つあるのみだ。

 

部屋内の対角線上にはお互いの死角を補いあうよう2つの監視カメラ。

そのカメラに監視される形で、パイプ椅子に座らされているヘンブリーが、グリフィン本部に勤めている尋問担当官とテーブルを挟んで向き合い、尋問を受けている。

 

が、その様相は尋問と呼ぶにはとても及ばない有様であった。

 

まず、担当した尋問担当官が毅然とした態度で「武器の出どころ」や「どこに運ぶのか」「誰に渡すのか」を尋ねるが、それはまるで渡された台本を真剣に読み上げただけのような、対象から情報を聞き出すという気概を感じられなかったこと。

そして、グリフィンが情報を聞き出したいと察したヘンブリーの心境だ。

 

不運なことにこの時、ヘンブリーのような手合いにも臆さず尋問できる経験豊富な職員が偶々不在であった。

だからたまたま居合わせた若い尋問担当官にヘンブリーの尋問を任せたが、経験不足が祟り有力な情報を引き出せずにいた。

ヘンブリーも、この尋問担当官は経験の浅い若輩者であることをいち早く察知し、手荒なことは出来ないと高を括り、舐めきった態度で尋問内容の一切を無言のまま聞き流す。

曲がりなりにも、裏社会で生きてきた男であるヘンブリーに、表社会で健全に過ごしているグリフィンの職員とでは地力が違いすぎた。

 

余裕綽々といった薄ら笑みすら浮かべてふんぞり返っている。

 

その様子を、隣接された部屋からマジックミラー越しに見る二人の人影。

 

グリフィンの社長、クルーガーとブリッツだ。

クルーガーはいつも通りに制服姿だが、ブリッツはヘンブリー確保の任務からそのまま本部へと直行したため、今は戦闘服の上着を脱いでコンバットシャツ姿だ。

 

その二人は揃って目を細め、尋問の様子を見る。

 

「埒があきませんね」

 

ブリッツはたまらず溢した。このままだと何も聞き出せないまま来週まで持ち越されそうだ。

 

「想像はしていたが、やはり荷が重すぎたか」

 

クルーガーが小さくもため息をついた。

 

「根が真面目な職員だ。ああいった手合いとは相性が悪すぎます」

 

「このままでは何も聞き出せないまま釈放せざえるを得なくなる。────頼めるか」

 

「お任せを」

 

言って、ブリッツは部屋から出て、尋問室へと入っていった。

 

変わろう、と。ブリッツは職員に労いも込めて優しく声をかける。職員は助かったといわんばかりに安堵の表情を浮かばせて、何度か頭を下げた後に一言二言残して尋問室を出て行った。

 

対し、ヘンブリーはブリッツの姿を見るなり先まで浮かべていた余裕の薄ら笑みが引きつり、若干だが険しくなる。

 

ヘンブリーと向き合うようにブリッツもパイプ椅子に座る。

 

「何も話さないんだって?さっきはあんな饒舌に喚いていたのに」

 

挨拶もなしに挑発的に語り掛けるブリッツにヘンブリーは舌打ちし、そっと自身の顔を撫でた。ブリッツに顔面を蹴られた事を思い出したようだ。

そのブリッツは、親し気で気さくな微笑みを浮かべてヘンブリーを見ている。

 

「さて、何度も聞かされただろうが俺も聞こう。あの大量の商品(武器)、どこに運んで誰に渡そうとした?」

 

ブリッツの質問にヘンブリーは明後日の方へと視線を向ける。完全無視の態度だ。

構わずブリッツは続ける。

 

「AK-74Mが50挺。ペチェネグが50。ブローニング・ハイパワーが50。それらに適合した弾薬と、一つ5キロのC-4爆薬が500キロ分。RPG-32、スティンガーミサイル、ジャベリンがそれぞれ15ずつ。ああ、ボディアーマーもあったし、フラググレネードにスタングレネードもダース単位で大量にあったな。なんだ?戦争でも起こそうとしてるのか?」

 

ヘンブリーは口を閉ざしている。

まだブリッツは続ける。

 

「商品に混じっていたドールズジャマー。あれは凄いな。バラして解析してみて驚いた。従来品と比較しても軽く3倍以上の出力を発揮できるよう改造されていた。半径30メートル以内なら例外なく電脳が焼き切れ、50メートル以内でも行動不能に陥る。あれだけの出力なら、近距離にあるほぼ全ての電子機器にも影響が出るだろう。戦術人形を主戦力にしているグリフィンには効果覿面だろうな」

 

ヘンブリーは視線も合わせず黙ったままだ。

それでもブリッツは続ける。

 

「一体どこに売り飛ばすつもりだったのか。軍にでも売るのかと思ったが、ドールズジャマーが混じっているとなるとその選択肢は消える。PMC?いや、それにしたって一度に買う量が多すぎる。その半分でも多すぎるくらいだ。となるとだ、早急に武器が欲しい存在。・・・例えば、マフィアかギャングか、テロリスト。反グリフィン団体か」

 

ヘンブリーは沈黙を続ける。

ブリッツは参ったなと言わんばかりに肩を竦めた。

 

「だんまりか。頑なだな」

 

すっと立ち上がり、ブリッツはマジックミラーの前へと立った。

それから、自身の眼を隠し、耳を指さし、人差し指と親指で何かをつまむように形作り唇をなぞる様にしてジェスチャーを送った。

 

マジックミラーなのでブリッツの目に映るのは今のジェスチャーをした自身の姿だけだ。なので、伝えたい相手に伝わったかどうかはわからない。なので、伝わったという体でブリッツは踵を返し、ヘンブリーの背後へと回った。

 

その瞬間、先まで浮かべていた笑みは鳴りを潜め、感情の一切の無い無表情に変わった。

 

瞬間、ヘンブリーの後頭部を掴んでテーブルに額を叩きつけた。

硬いもの同士がぶつかった鈍い音が尋問室に響く。

 

二度、三度。ヘンブリーの額をテーブルに叩きつけてから、今度は頭部をテーブルに強く押し付ける。

次に、ポケットに忍ばせていた小型のナイフを取りだす。手の中で翻り、逆手に握られたナイフは振り下ろされ、その切っ先はヘンブリーの首に突き刺さった。

 

「あ・・・が・・・!」

 

額を打ち付けられ思考や感覚がぼんやりとした中で、瞬く間に行われた早業。それを遅れてやってきた首の痛みが意識を覚醒させ、すぐに何が起きたかを理解。ヘンブリーは苦悶の声を上げた。

 

「大丈夫だ。それほど深く刺してはいない。動脈も避けた。死にはしない。・・・まあ、ここから無事に済むかどうかはお前の返答次第だ」

 

「何・・・?」

 

「お前は何かしらの情報を握っている。だから手荒な真似はされないと思っていたようだが、悪いな。俺はお前をVIP扱いする気は無い。ハッキリ言おう。死んでも構わない」

 

この時、ここに連れてこられてから初めてヘンブリーに緊張が走った。

 

「情報を吐かないお前には何の価値もない。生かしておく理由もない。でもまあ死ぬ前に一応もう一度聞こうか。あの武器をどこの誰に持っていくつもりだった?」

 

ナイフを握る手に力が入るのを、ヘンブリーは首に刺さった異物から感じ取った。これはそのまま自分の命に直結していることも。

この男は、本気で自分を殺すつもりだ。そう認識した。

 

それが恐怖を呼び起こし、心拍数を急激に引き上げた。

 

ヘンブリーは裏社会で生き抜いてきた実績のある男ではあるが、その実態は小心者の小物だ。自身の死が現実として目の前に差し迫り、実際に死ぬ直前になっても、死ぬ覚悟を決められない。そんな男だ。

 

「あ、R20地区だ!」

 

だから叫んだ。自身が生き残るために。生にしがみつきたいがために。死を回避する為に叫んだ。

 

「商品はR20地区の教会に運んでくれと頼まれた!」

 

「R20地区ということはグリフィンの管轄地区だな。何故そこに」

 

「知らん!本当に知らん!ただ依頼してきたのは女だ!音声通信だったから顔はわからんが耳に纏わりつくような甘ったるい声で大量の武器が欲しいと言ってきた!その電話の後に前金として総額の半分が振り込まれた!だから俺は商品を持ってR20地区の教会に向かっていたんだ!」

 

「・・・ゲート、どうだ」

 

ブリッツは耳に仕込んだヘッドセット越しにナビゲーターへと呼びかける。

返答はすぐにあった。

 

『確かに、R20地区には教会がありますが・・・。あの辺りは今立ち入りが禁止されています。昔火事があったようで、それ以来ほとんど放置されたままのようです』

 

「・・・R20に教会なんて無いそうだが?」

 

「そんなハズは無い!教会周辺はグリフィンの監視もないから侵入するのは簡単だと言っていた!」

 

ブリッツは思案する。少しして、首に刺していたナイフをそっと抜いた。傷口からは血が溢れてくるが、布か何かで押さえておけば問題にはならない程度の出血だ。

 

ナイフに着いた血はズボンでぬぐい取りまたポケットに収めた。そのまま振り返りもせずにブリッツは尋問室から出る。

 

物理的にも精神的にも、ブリッツの圧力から解放されたヘンブリーは首を押さえながら苦悶の声を零してテーブルに突っ伏した。

 

尋問室を出たブリッツは隣接している部屋へと入室。そこにいるクルーガーと合流した。

 

「どう思った」

 

開口一番にクルーガーから問いが飛んでくる。

 

「咄嗟に嘘を言っているにしては整合性が取れすぎている。依頼した女とやらもそうですが、ヤツの発言全てを鵜呑みにはできません。しかし、少なくともR20地区には武器を欲しがる集団がいる可能性があります」

 

「R20地区で非合法武装集団による大規模な武装蜂起」

 

「十分有り得るかと」

 

「そうか・・・」

 

クルーガーは眉間に深い皺を寄せた。

グリフィンのCEOとしては頭の痛い問題だろう事はブリッツにも想像ができた。

 

やがて、眉間に皺を寄せたままクルーガーはブリッツを見遣る。

 

「ブリッツ、お前たち多目的戦闘群にR20地区への派遣を命ずる。人員と装備を整え、現時刻より24時間以内に現地入りし、情報のあった教会を中心に調査を行え。R20地区基地の指揮官には私からお前たちを支援するよう言い伝えておく」

 

「了解しました。直ちに出立の準備にかかります」

 

「頼んだぞ」

 

ブリッツは一度敬礼し、すぐに踵を返して足早に部屋から出ていく。

その後ろ姿を見送り、クルーガーはまたマジックミラーの向こうにいるヘンブリーを見るが、彼の目にはヘンブリーの姿は映っていない。その向こう。ヘンブリーに依頼をしたという得体の知れない女の姿を捉えようとしていた。

 

 





というわけで、ブリッツ流の尋問で入手した情報を基にR20地区へと向かいます。
果たしてR20地区に何があるのか。乞うご期待。

ちなみに、今章のブリッツくんは最初から最後まで脳筋ムーブをかましていく予定です。


あと感想ください。反応ないのは結構メンタルにクるんすよ・・・(豆腐メンタル)

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