……今回は少しだけ忙しいので短めです。
お許しを。
では、本編をどうぞ!
六月十三日。
紫の誕生日である。
ようやく慣れ親しんできた親衛隊メンバーは、何とか時間を作ってケーキを買い、誕生日会を密かに開こうとしていた。
百合と寿々花は、一緒に買い物担当。
真希と結芽と夜見で、給湯室を飾り付けていた。
給湯室には、キッチンに加えて大きめな冷蔵庫もあり、テーブルやソファなども揃っているため、パーティ会場に決定された。
「先輩たちと結芽、大丈夫ですかね?」
「大丈夫でしょう。結芽は兎も角、真希さんも夜見さんも、誕生日会の飾り付け位簡単に出来ますわ」
「結芽は……紫様にどう遊んでもらえるか、考えてそうです。……にしても、良かったですね。ケーキにおまけして貰えて」
百合が持つ袋には、綺麗な箱に包装されたチョコケーキが入っている。
本当は四号で頼んだ筈なのだが、今日渡されたケーキは何故か五号になっていたのだ。
二人は不思議に思いつつも、店長らしき人物の「おまけみたいなもんだから」と言う言葉を聞いて、素直に受け取り帰宅している。
今頃、給湯室では結芽や真希や夜見たちが、飾り付けに勤しんでいることだろう。
料理は朝の内に調理し、温めるだけにしておいた。
勿論調理したのは百合だ。
結芽も手伝ってはいたが、包丁もろくに使えないので戦力外だった。
作ったのは焼きそば。
大々的に祝うのは喜ばないと思った百合が……有り合わせの物で何か作る程度ならいいだろうと思い、作ったのだ。
キャベツにニンジンに、ピーマンにベーコン。
そして、嫌に主張強めな麺が置いてあった。
先日、鎌府の高津学長が大きなビニール袋片手に給湯室に密かに入っていたので、彼女が入れたものだろう。
なんでそんなの物を入れたのか?
百合はそんなことも知らずに、ただ作りやすくて美味しい焼きそばをチョイスした。
……それが、雪那の計画通りだも知らずに。
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帰ってきた二人が給湯室に入ると、飾り付けが終わったのか室内は綺麗に装飾されていた。
結芽が胸を張って「えっへん!」と言うのを見て、真希の方を見た。
真希は首を横に振っていた。
良く見ると、少し疲れた顔をしている。
百合はため息をつきながら、寿々花にケーキを任せ、結芽の方に歩いていく。
「褒めてくれる!」、そう思った結芽は目を輝かせていたが、やけに笑顔な百合の顔を見て、背筋が凍るような感覚が走った。
急いで弁明しようとしたが、そんなことは百合が許すはずもなく、頬を指で摘まれた。
「ゆ〜め〜? 紫様の誕生日なんだから、今日くらい良い子にするって言ったよね?」
「
「言った…よね?」
「
「真希先輩や夜見先輩に、迷惑掛けなかった?」
不気味な程良い笑顔な親友に対し、結芽は自分の命の危機を感じる。
咄嗟に、他の親衛隊メンバーに目を向けるが、他の者は料理を温めたり、テーブルに食器を並べたりしている。
万事休す、そう思ったその時。
「仕事は終わった筈だ。どうしてここに居る?」
『ゆ、紫様!?』
結芽以外の全員が紫の登場に驚いていた。
結芽の場合は、自分を助けてくれるかもしれない存在に歓喜していた。
驚いて力が弱まった百合の手から逃れて、紫の後ろに隠れる。
「結芽?! 何してるの!?」
「そーだ! 紫様? 今日何の日か知ってる?」
「? 今日は六月十三日。特に何も無い日だと思うが」
「え〜! 紫様って変な所で鈍感だよね〜。何時もは未来が視えてるんじゃないか、ってくらい鋭いのに」
自分の親友が暴露する前に、百合は三人に目配せをしてクラッカーを投げ渡す。
幸いなことに、紫は結芽の言葉に首を傾げていて気付いていないようだ。
四人はタイミングをズラすことなく、一斉にクラッカーを鳴らした。
『紫様、誕生日おめでとうございます!』
その時、親衛隊メンバーは初めて紫が驚く顔を見た。
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誕生日会が始まってから一時間。
粛々とことは進み、ケーキも料理も食べ終わった頃。
彼女は何気なく、爆弾級の発言をした。
「紫様。一つ気になったのですが、今年でおいくつになられたのですか?」
「…………」
大人の女性に、年齢の話はタブー。
そんなルールを知らない訳もない筈なのに、百合は好奇心に負けてしまい、こんな発言をしてしまった。
いつもなら、真希や寿々花から怒声が上がってもいいはずだが、誰も何も言わない。
気になっているのだ。
案外近くに居る人の年齢を知らないと言うのは気になるもので、親衛隊メンバーは誰も口を開かない。
そんな中で、相も変わらず結芽だけは、「はやくはやく!」とでも言いたげな視線を送っている。
紫も、全員が口を開かない現状に耐えられなくなったのか、重い口を開く。
「夢神、お前はどれくらいだと思う?」
「え、えっと……」
見た目だけで言うなら、十代後半とそう変わらなく見える。
だが、二十年前の相模湾大災厄で特務隊として、戦ったとされている限り、四十歳近くなのは間違いない。
百合も変な事は言えないので、あえて冗談を言った。
「まだ、十代後半くらいだったりして……。さ、流石に冗談ですよ?! それぐらい若く見えると言うだけです!」
「…良い観察眼だな、正解は言わないが」
「えぇ〜、言っても言いじゃん! 紫様のケチ〜!」
「こら! 結芽言い過ぎだぞ!」
「そうですわよ結芽。大人の女性に年齢を聞くのはタブーですわ」
「そうですね。褒められたものではありません」
紫がそんなやり取りを見て、クスリと笑った。
それを見たみんなも笑う。
六月十三日、紫の誕生日であるこの日。
親衛隊の絆はより一層深まった。
次回もお楽しみに!
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結芽の誕生日は……
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