一昨日のIFエンドで、お気に入りが一人減った後に二人増えました。
……タグ詐欺じゃないんです!
百合的にはハッピーエンドなんです!
許してください何で(ry
と言う訳で、本編をどうぞ
あまりにも唐突すぎる出会い。
驚きを隠し切れない百合に対し、聖は人懐っこい笑みで百合を見ている。
どうにかして出てきた言葉は、
「お、お母さん!」
「お母さん? 誰それ? もしかして私の事?」
自分の失言に気付いた百合は急いで、自分がここに来る前。
昨日聞いた話をうろ覚えだけれど、丁寧に話していった。
聖はその話に相槌を返すだけで、特になにか言うことはなく、落ち着いた様子で自分の娘? らしき少女の話を聞いた。
「なるほど~、篝ちゃんや美奈都にも子供出来たんだ。いや結婚できたの間違いか……」
「お母さんは、自分が結婚できたの驚いてないの?」
「だって、私が結婚したのって龍雅君なんでしょ? だったら納得だよ~、幼馴染だしね」
段々と頭が痛くなってくる百合だが、何とか抑えて母である聖に質問をする。
色々と確かめたいことがあって、聞きたい話があって。
話を続けた。
「真庭学長から、お母さんは誰からも愛される人だったし、他人に優しく自分に厳しい人だった。後輩に尊敬されて、先輩に頼られる人だった。って聞いたけど……本当?」
「う~ん、誰からも愛される人ね~。別にそうでもなかったよ? 他人に優しくしたのは、
「…………」
「自分を愛せない人は他人を愛せないってのは嘘っぱちだよ。だって、私は自分のことよりも他人を優先した。
聖の人としての在り方はきっと、慈悲深き神を思わせるものだった。
彼女が誰からも愛される理由の一つが少しだけ垣間見えた瞬間だ。
「後はそうね、何か聞きたいことはある?」
「後は……」
聞きたい事ならある。
でも、それを聞いていいのか?
本当にそれを聞くことに意味はあるのか?
百合が迷っているのを見かけた聖は、少しだけ母親らしく娘を導こうとした。
「そう言えば、百合っていい名前よね。未来の私がどんな人か知らないけど、私も同じ名前を付けたと思うよ」
娘に接する母親の如く、ニッコリと微笑んで頭を撫でる。
聖の年齢は百合とそう離れていない。
だけど、その包み込むような優しさに確かに温かいものがあった。
「あの……その……お母さんは、私を愛してくれていたんでしょうか?」
愛されたかった。
だからこそ、彼女は聞いてしまう。
ここに居る聖は大災厄の日で止まってしまったので、自分の母となる聖とは違うと分かっていながらも――
「そっか、それが聞きたかったんだ……。分かんないってのが本音だけど、安心していいんじゃないかな? 未来の私は絶対にあなたを愛していた筈だよ」
「…………」
嬉しくて、切なくて、有り得ない未来を幻視した。
でも――
「……いいえ、違いますね。私が今欲しいのは、お母さんからの愛じゃなくて……あの子の……」
「結芽って子だっけ? ……助かるといいね」
「うん、助けて見せる。絶対に……」
これは、五歳違いにも満たない、幼い親子の幸せの一ページ。
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ぽつぽつと会話は続き、最終的に今の剣の実力を確かめることになったのだが……
「ハァ…ハァ……ハァ」
「うんうん、良い感じ良い感じ!」
三回やっても一度も勝てなかった。
それどころか、一太刀浴びせる事すらできなかった。
夢神流の定石上、どちらかから仕掛けないといけない為百合から仕掛けた。
迅移で背後を取り、八幡力で重い一撃。
大抵の相手ならこれで終わる筈――だった。
迅移は勿論三段階まで上げた後の一撃で、八幡力も全力とはいかないが本気でやったのにも関わらず、自分が使っているものと同じであろう
聖も百合も御刀を二本とも使っていたので、同じならば全力の六割ほどはの筈なのに格が違うことが一瞬で分かる。
二本目は聖から仕掛ける。
二本の御刀をシンプル使った、二連撃。
宗三左文字を右薙ぎに、篭手切江は唐竹に。
右薙ぎの攻撃は右手にある篭手切江で受け止め、唐竹は左手にある宗三左文字で受け流した。
その後は、足で前蹴りをして距離を取ろうとしたが、斜め左下方向に受け流した筈の篭手切江が高速で左切り上げに切り替えられており、そのまま左腕を斬られて敗北。
三本目は、もう一度聖から始めたが有無を言わせない突きで簡単に核を取られては負け。
「でも、何で全力で来なかったの?」
「奥伝のことですか? ごめんなさい、あれはまだ上手く使いこなせないと判断して、条件を基本的に自分一人じゃ使えないようにしたんです。お母さんはどんな条件を課してるんですか?」
『新夢神流 奥伝・悪鬼羅刹』
百合が全力を出した時の状態。
脳に掛かっている安全装置や制御装置を外し、潜在能力を全て開放する。
分かり易く言うと、通常なら一割程度しか使われていない言われている脳をフル稼働させると言うこと。
代償は明快、筋肉や骨に掛かる負担は相当なもので筋肉をグチャグチャに骨を粉々にする。
脳に掛かる負荷はそれ以上で、神経は焼き切れ高速で稼働させていた脳は融けていく。
基本的に夢神流を極めた者なら使うことが出来る。
だが使う人を選び、夢神家の中でもほんの一握り程度の者しか使うことが出来ない。
百合ですら、制限を掛けて自分一人では使えないようにするほど。
「私の条件? ああ、私の条件は『荒魂を祓い清める気持ち』かな」
「? どういうことですか?」
「え~っと、ノロって珠鋼を精製する際に砂鉄から出る不純物って言われてるのは知ってるよね?」
「はい、それが集まりあって荒魂が生まれることも」
「そうやって元を辿ると、本当は全部人間の傲慢さ故に生み出してしまったという事実が分かる。だから、私は荒魂と戦う時は想いを込めて斬ってる」
自分と同じやり方に少し目を丸くする。
だけど、そういうところが無性に嬉しく感じた。
「……そろそろお別れだね。霧が濃くなってきた」
聖にそう言われて辺りを見渡すと、先程より濃い霧が漂っていた。
名残惜しいが、お別れだ。
百合の寂しそうな顔を見た聖は、思い出したような顔をしてそっと百合を抱きしめた。
「頑張って」
「……うん」
その一言で、どこまでも頑張れる気がした。
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目覚めると、昨日寝た和室に布団で寝かされていた。
掛けてある時計を確認すると、八時を回っていることに気付く。
布団から出てる。
襖を開けて縁側に座り、月を見上げる。
自然と誓いの言葉が口から漏れた。
「結芽、待っててね。あなたを絶対に――」
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執務室で紫から「百合の居場所が突き止められそうだ」と、聞いた結芽は上機嫌で鼻歌交じりに廊下を歩く。
部屋に着くと、ドアを閉めて窓から外を見上げる。
やっと会える、そのことが嬉しくてつい想いが声になって漏れ出した。
「百合、待っててね。
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その時、二人の言葉は奇跡にも重なった。
真逆の方向に……
「
「
その日の月は、やけに緋色に輝いて見えた。
次回もお楽しみに!
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結芽の誕生日は……
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