それもこれも日頃読んでくれている皆さんのお陰です!
独り言はここら辺にして、本編をどうぞ!
御前試合当日。
百合は一人、準決勝までの試合が行われる予選会場にいた。
勿論ただ試合を見に来た訳では無い。
彼女もこの試合に出るためにここに居るのだ。
……一応、百合の登場は誰にも知らされていない。
準決勝の試合が始まる数分前に、何とか予選に出てきた刀使の殆どと対戦。
準決勝出場を確定した相手に勝って、可奈美との試合をもぎ取った。
相手からしたら理不尽極まりない行為だったが、こうでもしないと出場できないため、百合は対戦相手に謝り倒していた。
そして、準決勝の開始がアナウンスで指示される。
『準決勝。美濃関学院・衛藤可奈美、特別遊撃隊副隊長・夢神百合、前へ』
アナウンスの指示で、審判が待機している対戦場所に移動する可奈美は、頭に大量の疑問符を浮かべているようだ。
それ以外にも、会場に応援に来ていた生徒の殆どがザワついていた。
何故夢神百合が出場しているのか?
この疑問が出てこない人間は居ないだろう。
『……ザワつくのは分かりますが、どうかお静かに。夢神百合の出場理由は割愛しますが、彼女は正規の方法でこの場に立っています。確認したければ、私の所に直々に来るように』
平坦な口調でああ言われて、誰かが文句を言いに行ける訳もなく。
順調に準決勝の場が整っていった。
……後日、百合が謝罪の旅に出たのは言うまでもない。
それは兎も角、百合も対戦場所に入る。
二振りの御刀を腰に付けながら、悠然とした立ち振る舞いで会場を湧かせる。
まだ幼さが抜け切っていないが、その凛々しさは大人の女性のそれ。
特別遊撃隊の制服に身を包み、可奈美の前にて止まる。
「待ってましたよ。ずっとこの時を…」
「私も、百合ちゃんの本気の剣が見れるって思うとすっごいワクワクする!」
短い会話の後、審判を務める女性が始めるための合図を言っていく。
「礼。双方、構え。写シ。……」
緊張の瞬間。
会場の空気が変わり、二人の真剣な雰囲気に呑まれていく。
次の瞬間、勝負は始まった。
「始め!!」
先に動いたのは可奈美。
迅移ではなく八幡力で脚力を底上げし、百合に近付く。
百合は一瞬戸惑いの色を見せるも、すぐさま反応して迅移を使う。
二段階ではないものの、八幡力を使った可奈美よりも速く近付き御刀を交える。
二回か三回ほど打ち合うと少し離れて、相手の様子を見る。
百合はここでようやく龍眼を発動させた。
「ずるい、なんて言わないですよね?」
「うん。それが今の百合ちゃんの力だから!」
今度は龍眼の未来視で相手の動きを警戒しながら、可奈美に接近する。
上段から振り下ろしを狙うが簡単に受け流されて、カウンターが入れられる。
しかし、百合はギリギリの所で二本目の篭手切江を抜いて、カウンターを逸らす。
そこからは何時もの連撃を放つために懐に接近する。
不規則に持ち手を変えながら放たれる連撃は、可奈美でも受け流すのは容易ではなく、体を捻りながら回避を加えてなんとか耐え凌ぐ。
可奈美は迅移で距離を空け、百合はその場に留まる。
連撃は体力を持っていかれるのだ。
今の百合にとってさして問題点はないが、気力的なものがある。
少しの間、二人とも呼吸を整える。
お互いに呼吸が整ったのを確認すると、今度は可奈美が体制を低くして迅移で距離を詰めた。
低い体制から繰り出させる攻撃は逆風。
切り上げる攻撃を、百合は未来視によって見切っていた。
なので、その場でバク宙し避けて、体が地面に着くタイミングに合わせて御刀を振り下ろした。
二本の御刀を同時に振り下ろしたことで、反撃された時の防御は難しくなる。
現に龍眼の予測では、可奈美が攻撃を受け流せないことなんてない。
…龍眼の予測通り、可奈美は御刀の切っ先を右下に向かせて受け流して、お返しと言わんばかりに横方向に一閃する。
百合から見て左から来る御刀、彼女の二本の御刀は防御に使うことは出来ない。
避けようにも、御刀に力を入れ過ぎたせいで重心が前方に傾いている。
紙一重で避けられても、その後の攻撃でやられることなんて龍眼を使わないでも分かった。
だから……
「せやぁ!!」
可奈美の気迫が篭った御刀が刻一刻と迫る中、百合は限界ギリギリまで首を後ろに傾けた。
剣の通る道は百合の頭部付近。
…恐らくだが、可奈美は分かっていのだ。
夢神百合と言う少女なら、こんな攻撃屁でもないことを。
ニヤリと笑う可奈美に対し、百合も結芽の真似をして小悪魔のように微笑んだ。
コンマ一秒ほどのやり取りの後、百合は思いもよらない行動に出る。
御刀を受け止めたのだ……
「はァ!?」
流石の可奈美もここまでやるとは分からなかったらしい。
驚いた隙にもう一度距離をとり、間合いを測る。
距離にして三メートル、踏み込みで近付いて御刀を振るのに適している距離だ。
可奈美もようやく落ち着きを取り戻し、百合を見据える。
だが、百合の型破りな行動はまだ続く。
今度は……
篭手切江を八幡力を使って全力で。
弾丸を超えるスピードで放たれた御刀を、首を傾けることだけで回避した可奈美だったが……その時百合から目を離してしまった。
急いで百合が先程まで居た場所を加味して、周りに目を向けるが居ない。
焦りが出てくるのと同時に、体をなんとも言えない高揚感が支配する。
楽しい。
心が踊る、そんな言葉を実際に体験していた。
焦りと高揚感で高鳴る心臓の鼓動。
会場の殆どが着いていけないレベルの戦い。
目が肥えている者でも、油断すれば簡単に見失う。
次元の違う戦いが、そこで繰り広げられていた。
一瞬をが永遠に感じられるような感覚。
避けた御刀は未だに空中……もとい可奈美の後方にある。
(まさか!?)
人間の限界値を突破するほどの反射速度で後方に振り返る。
絶対にここに居る、一瞬前まで居なかったが絶対にここに来る。
研ぎ澄まされた第六感に近い直感と、今までの経験から叩き出した答えは見事に的中した。
背後に居たのは、自分の投げた御刀をシフトなしの三段階迅移で回収し、✕の字に可奈美を切り裂こうとする百合。
回避は間に合わない、そう判断した可奈美は八幡力を自分の出せる最大まで引き出し、御刀を切り上げる。
両者の御刀がぶつかり合った時、甲高い音と共に
御刀を手放したことにより、百合の写シが剥がされる。
「止め! 夢神百合が写シを剥がされたため、勝者衛藤可奈美!!」
その言葉に、可奈美はようやく自分が勝ったことを自覚した。
観客からの歓声は、会場外に漏れるているのではないかと言うほど大きい。
悔しそうな百合だったが、笑顔で可奈美に握手を求めた。
「完敗ですね」
「ううん。百合ちゃんは本気だったけど全力じゃなかったし、また今度試合しようね?」
「はいっ!」
この後、御前試合は滞りなく行われ、優勝者は衛藤可奈美となった。
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「負けちゃったよ〜。結芽〜慰めて〜!」
「はいはい」
演技のような態度を取る百合に、結芽は適当にあしらうように頭を撫でる。
膝枕の要領で頭を太ももに乗せる百合は、体を仰向きにして結芽に対してブー垂れる。
「……もうちょっと、慰めてくれてもいいじゃん」
「浮気者を慰めているだけ感謝して欲しいな〜。可奈美おねーさんと試合したんでしょ? 態々手間暇かけて」
「…そ、それは…」
「あ〜あ〜。傷ついたなー……ゆりが私をほっぽってどっか行っちゃうから。私寂しかったのに…ゆりは可奈美おねーさんと浮気してたんだよね〜」
言い返せない百合はしょんぼりとした顔で瞳を潤ませた。
浮気をしたつもりはない、ただ可奈美と試合をしたかっただけなのだ。
結芽も相当怒っているのか、瞳を潤ませている百合に見向きもしない。
…だが、結局は結芽が折れた。
撫でていた手を離して、そっと百合の頭を抱きしめた。
制服越しに頬に伝わる柔らかい感触。
発展途上ではあるが、明らかに姫和以上にある胸。
心臓の鼓動が耳に届き、心が安らぐ。
「もう、そんなに怒ってないから泣かないでよ…こっちが悪いみたいじゃん」
「ホント?」
「ホントに本当。……だから、今度デート連れてってよ。遊園地とか動物園でもいいよ?」
「分かった! ……遊園地だったらねーーー」
先程まで泣きそうだった顔はどこえやら。
花咲く笑顔でデートの話をし始める百合に呆れつつも、なんだかんだ言って嬉しい結芽なのだった。
…その後、イチゴ大福ネコのテーマパークがあると聞いた結芽が大はしゃぎして、連れ回されることになったのは、また別のお話。
みにゆりつば「温泉!」
温泉、それは人々の疲れを癒す場所であり、裸の付き合いで人を知る社交の場でもある。
今宵、ここに来た二人は……どのような付き合いをするのか?
「結芽?ちゃんと体洗ったの〜?」
「洗ったよ!ゆりってママみたい」
「そんなことないよ。ただ心配なだけ」
軽口を言いながら、湯船に浸かる。
包み込む温かさは心地よく、このまま眠りに落ちてしまいそうになる。
だが、そんなことをする訳にもいかないので、結芽に話を振った。
「そう言えば。私が居なかった間ってどんなことしてたの?」
「う〜ん…。別に、特に何もしてないよ?いつも通り任務してただけ」
「ふ〜ん。そっかぁ……」
「どっかの誰かさんが四ヶ月も待たせるから、待ちくたびれちゃったけどね?」
「そ、それは何度も謝ったし、結芽も許してくれたじゃん!」
百合の反応が楽しくてついイジってしまう結芽だが、彼女の体の一部分に目を向けた。
歳不相応に熟成した体。
身長は結芽とそこまで変わらないのに、胸に実った果実の差は倍では足らない。
前々から思っていたのだが、どうやったらこうなるのだろうか?
湯船に浮かぶ双丘を見ながら結芽は熟考する。
そんな結芽を見かねた百合が肩を揺さぶった。
揺さぶられた結芽は我に返ったかのように百合を見つめる。
いや、正確にはまたしても百合の双丘を見ていた。
少し揺さぶっただけで揺れる胸。
決して大き過ぎる訳ではなく、手の平から少しはみ出す程度。
妬ましく思いながら、同時に今すぐにでも揉みしだきたいと思った。
「ゆり……少しだけ触っていい?」
「へっ?…そ、それは、その…少し恥ずかしい…かな」
「だよね…」
「……でも、結芽なら良いよ。…触ってもいい」
「ホント!?」
結芽の反応に驚きながらも、百合は首を縦に振った。
内心ガッツポーズを決めた結芽は、手を伸ばそうとするが百合に手を叩かれる。
「ぇ?」
驚くのも無理はない。
何せ、自分から触ってもいいと言っておいてこれなのだから、驚かない方が可笑しい。
結芽が驚いたことに百合は頬を朱色に染めて呟いた。
「……部屋に戻ってからにして。…ここだと誰かに見られるかもだし」
「別にーーー」
「良くない!もし、前みたいに変な声出ちゃったら嫌だもん」
百合の理由に納得した結芽は、夜の楽しみが増えたことにクスリと笑う。
翌日、旅館の女将から優しく注意されて、二人は顔を真っ赤にして帰ったという。
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こらそこ!
今ネタ被りとか思ったでしょ!
その通りですよ!
……まぁ、今後もゆるーくやっていくコーナーなのでご期待は程々に。
誤字報告や感想は何時でもお待ちしております!
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