百合の少女は、燕が生きる未来を作る   作:しぃ君

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 長らく投稿が出来なくてすいません。
 Afterはもう少し続くのでお楽しみに。


After5「盗まれた物は」

 時が進むのは早く、御前試合からかれこれ三ヶ月。

 夏休みに突入している。

 そして、百合たちは……

 

 

「海だぁーー!」

 

「海だね」

 

「海…」

 

「あっちぃ。太陽も休暇届けだしてくれねぇかな」

 

 

 結芽・百合・沙耶香の言葉とは方向違いの言葉を吐き捨てる薫。

 煌めく太陽、広がる砂浜、澄み渡る海。

 彼女たちは海に来ていた。

 四人以外にも人はおり、薫の横には顔見知りの面子が居る。

 

 

 御刀マニア兼指揮官役の木寅ミルヤ。

 女の子大好きフリスキーな山城(やましろ)由依(ゆい)

 以上二名が、今回の任務の参加者。

 

 

 ……お察しの方も居るだろうが、彼女たちがタダで海に来れるわけが無い。

 この砂浜近くに荒魂が出たとの報せを受けて派遣された。

 しかも、荒魂の強さが相当なため、特別遊撃隊の四人を中心に選抜された二名が加えられて、任務が開始された。

 

 

「夢神百合、近くに荒魂の気配は?」

 

「…………。特には」

 

「はぁ〜。ねねも反応なしなところを見ると、いつもの足で捜査に切り替わるわけか。まぁ、早く終わらせてバカンスとしゃれこもう。三日も期間を貰ったんだ、速攻終わらせてギリギリまで遊んでやる」

 

「良いですね! ここなら合法的に可愛い女の子を拝み放題ですから! 許可さえ貰えれば写真もーー」

 

「はいはい、由依おねーさんは黙ってようね〜」

 

「任務は完遂させる。……遊ぶのはその後」

 

 

 それぞれがひとしきり喋った後、ミルヤの指示で三手に分かれて捜査が行われた。

 基本的には、聞き込みをしてそれを元に場所を絞っていくのだが、あまりにも情報があやふやで捜査が一向に進まない。

 荒魂は出て、付近の刀使が一度交戦したのにも関わらず…だ。

 

 

 何かあるのか? 

 百合が疑問を抱きながら結芽と一緒に捜査を進める。

 日差しが強い所為か、汗が出て服がベタつく。

 服を脱ぐわけにもいかないので、汗で服がビショビショのまま歩き続けた。

 

 

 捜査を開始して二時間、ようやくしっかりとした情報を知ることが出来た。

 それは……

 

 

「荒魂が水着を盗んだ?」

 

「そうなのよ。昨日来たお客さんがさぁ、急いで店に来たと持ったら服貸してくれって言うもんだから、ビックリしちゃったよ」

 

「へぇ〜。なんか、最近の荒魂って色々盗むよね」

 

「つぐみさんも理由があるかもしれないって、色々調べてるらしいけどこれと言ったナニカはないって」

 

 

 水着を盗む荒魂、最近は色々な物を盗みすぎて何が何だか分からないが、今までの情報よりはまだマシだ。

 

 

(荒魂が水着を盗むんだったら……。そうだ!)

 

「結芽…私いい事思い付いたかも」

 

「?」

 

「一回集合しよう」

 

 

 百合がそう言うと、二人揃って動き出した。

 

 -----------

 

 二十分後。

 集合し、全員に作戦を話した。

 由依は一も二もなく大賛成。

 ミルヤに薫も特に何も言わず賛成。

 沙耶香に至っては、その場で下に着ていた水着に着替えようとした。

 

 

 着替え終わったあとは、また三手に分かれて捜査開始。

 捜査を開始して十分、水着と言う餌に食いついたのは違うものだった

 

 

「お嬢ちゃんたちさぁ、俺らと遊ばない?」

 

「すんげぇ気持ちいこと教えてあげるからさぁ?」

 

「結構です」

 

「私もいいや」

 

 

 百合の水着は真っ白なビキニタイプ。

 歳不相応に実った果実は嫌でも男を吸い寄せる。

 

 

 二人の素っ気ない態度に苛立ったのか、片方の男が結芽の腕を掴んだ。

 

 

「調子に乗りやがって!」

 

「おにいさんさぁ、早く離してくんない? 痛いんですけど」

 

「おめぇが大人しくすればいいんだよ!」

 

 

 彼女の実力なら片手で御刀を抜いて峰打ちでも出来るだろうが、彼らは一般人。

 御刀を向けるべき相手ではない。

 しかし、百合は違った。

 幾ら一般人であろうと結芽を傷つけようとする輩に容赦などしない。

 

 

 半分荒魂になったことで強化された腕力で、力づくに男の腕を引き剥がした。

 そのまま腕を捻る。

 ミシミシと骨が軋む嫌な音がなり、男が叫び始めた。

 

 

「がァァァ! クソがッ! 離せ!」

 

「貴方が先に手を出したんですよ?」

 

「チッ! ふざけんな!」

 

 

 隣に居た男が殴りかかってくるが、百合に彼らの攻撃が届く訳もない。

 容易く受け止められて、片手で男を海に投げ捨てた。

 特に勢いを付けた筈はないのだが、簡単に飛ばされる。

 明らかに人間離れした行動に驚き、腕を掴まれていた男も泣いて謝ることで事なきを得た。

 

 

「…やり過ぎじゃない?」

 

「良いの。ああ言う人たちにはあれくらいしないと」

 

 

 百合が笑いながらそう言うと、砂浜の中からモグラにも似た荒魂が飛び出した。

 手先の爪部分で水着を引っ掛けられる所だったが、何とか躱し御刀を抜く。

 気配を全く感じなかったのは、地中深くに潜っていたからなのか? 

 理由は完全には分からないが、今は戦うしかない。

 

 

 写シを張って構える。

 結芽も御刀を抜いて写シを張っているが、仕掛けようとはしない。

 目配せをして、タイミングを図る。

 荒魂がずっとジッとしているはずはない、何時か飛びかかってくる。

 

 

 百合はその瞬間まで、感覚を研ぎ澄ます。

 十秒、二十秒、三十秒。

 ついに、荒魂が一手動いた。

 砂浜の砂を手先の爪を使って器用に飛ばし目潰しを仕掛けたのだ。

 だが、それに対応できない二人ではない。

 迅移で加速し、目潰しを交わすと左右に分かれて挟み込む。

 

 

 結芽が八幡力で脚力を強化、跳躍しながらの振り下ろし。

 百合は体制を低くして近付き、二本の御刀を同時に振り上げる。

 荒魂は目潰しに対応された事に驚いたのか、動きが一瞬止まった所為で回避できない。

 

 

 そして、呆気なく四等分に切り刻まれてしまった。

 

 

「目潰しは以外だったけど、案外弱っちかったね〜」

 

「うん。でも、目潰しは予想外だったかな。初見でこれに対応するのは難しいかも」

 

 

 二人がそうやって話している所に、他の面々も現れて報告を行った。

 薫は任務が早く片付いた事に喜び、沙耶香と微笑んだ。

 由依もようやくじっくりと可愛い女の子の水着を拝めると百合に抱きつこうとし、ミルヤがブツブツと戦闘時の考察をしながらそれを阻止する。

 バラバラに見えるが、結局この後は二日間バカンスを楽しんだ。




 みにゆりつばはお休みです。

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結芽の誕生日は……

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