百合の少女は、燕が生きる未来を作る   作:しぃ君

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 完全なネタ回なのでお気になさらず。
 …私的にはビルドとオーズが大好きです!


After7「百合と燕と仮面ライダー」

「ゆり! これ使って!」

 

「ゆ、結芽!?」

 

 

 結芽は荒魂とは違う怪物のように変化した右腕から、赤い三枚のメダルを百合に投げ渡した。

 ……コアメダル、そう呼ばれる動物の力を模して作られた、欲望という進化エネルギーを内包したメダル。

 百合は投げ渡されたメダルをしっかりと掴む。

 タカメダル・クジャクメダル・コンドルメダルをオーズドライバーの三つの穴にセットし、右腰にあるオースキャナーで読み込む。

 

「変身!」

 

【タカ! クジャク! コンドル! タージャードールー】

 

 

 コンボと言われる、同じ系統のメダル三枚を使って変身するオーズの特化フォームと言った所だ。

 ……残念ながら、彼女たちが使っているのは玩具なので本当に変身することは出来ないのだが……

 

 

 一応、何故こんなことをしているのか補足をしよう。

 時間を数日ほど遡ることになるがしようがない。

 

 -----------

 

 夏休みも後半。

 荒魂の出現数も低下の一途を辿り、暇になり始めたこの頃。

 百合と結芽は二人して一週間の休みを貰うことになった。

 …因みに、薫や真希たちも少し日が違うが休みを貰っている。

 

 

「うぉおおおおおっしゃあああああああ!」

 

 

 感極まった薫の咆哮を、特別遊撃隊のメンバーが忘れることはないだろう。

 …そんなことはさておき、一週間の休み。

 最初は百合と結芽も喜んでいたが、よく考えればそんなに休みを貰ったところでやる事が無いことに気付いた。

 イチゴ大福ネコの冒険も、イベントは開催されていない隙間時期なので本当にやる事がない。

 

 

「…ひ~ま~。ゆり~なんかないの?」

 

「外には出たくないんでしょ?」

 

「だって暑いんだもん」

 

「だったら、私がDVDでも借りてこよっか?」

 

 

 百合の提案に頷きかけた瞬間。

 彼女の頭にビビヒと電流が走った。

 

 

(そう言えば…前。見たいドラマが有ってHuluに加入したんだっけ?)

 

 

 結芽はHuluと言う動画配信サービスに加入したのを思い出す。

 急いで百合にその事を伝えて、テレビを付けてHuluの番組表を見ていく。

 どれもこれも見た事あるものや、あまり面白くなさそうなものばかり。

 ため息を吐きながら諦めかけたその時、一つのジャンルが目に止まった。

 

 

 デカデカと主張の強いフォントで『仮面ライダーシリーズ!』と書かれている、番組一覧を見つけた。

 そこには一号から、最新のジオウまでの全てが視聴可能と書かれている。

 特撮ヒーローもの……そんなの見たこと無かった二人だが、何故か目に止まった。

 

 

 ヒーローものに詳しい人物。

 そんなの、百合と結芽が知ってる人間など一人しか居ない。

 

 

 結芽はアイコンタクトで百合に電話を促す。

 百合もそれをしっかり理解し、スマホを取り出して電話をかけ始めた。

 スマホに映る連絡先の表示には…『益子薫』と書かれていた。

 

 

『俺は休暇中だ。仕事の電話なら掛け直せ』

 

『違います薫先輩。実は……』

 

 

 薫にある程度のことを話すと、オススメのものを教えてくれた。

 

 

『お前らだったら、オーズかビルドだな。どっちもシリアスとギャグがいい塩梅で面白い!』

 

『なるほど、なるほど。分かりました! ありがとうございます。参考にさせていただきます!』

 

『おう。見終わったら感想でも聞かせてくれ』

 

 

 何時になく上機嫌だった薫との電話を終えて、二人は早速オーズから動画を見始めた。

 

 -----------

 

 三日後。

 オーズ最終話視聴後。

 

 

「アングゥゥゥゥウ!!」

 

「ゔぅぅ~あ゛ぁぁぁぁ~」

 

 

 大泣きである。

 感動のあまり、涙腺が完全に崩壊してしまった。

 十数分後、ようやく涙が枯れてきた頃。

 CSMオーズドライバーコンプリートセットをネットで即注文。

 

 

「ふっふっふ! 買っちゃったね!」

 

「そうだね。…何だかビルドも楽しみ!」

 

 

 二人でワクワク、ビルドの視聴準備を始める。

 …この翌日、CSMオーズドライバーコンプリートセットが届き現在に至った。

 

 -----------

 

 自室でのお遊び終了後。

 アンクの手を模した手袋を脱いだ結芽が、百合に詰め寄る。

 

 

「ゆり~! 私も変身したい! ベルト貸して!」

 

「はいはい。…そう言えばあの手袋どうしたの?」

 

「あ~。研究棟の職員さんに作っもらったの」

 

「へっ? もしかして、お金払って?」

 

「ううん、違うよ。無料(タダ)でやってくれたの。何時も元気を貰ってるからって」

 

 

 …百合の中で研究棟の職員にロリコン疑惑が浮上した。

 

 

(…あんまりあっちには行かせないようにしよう)

 

 

 そう、心の中で決意を固めていると……

 

 

『付近に荒魂の出現を確認! 刀使は至急現場に急行せよ! 繰り返す。付近に荒魂の出現を確認! 刀使は至急現場に急行せよ!』

 

「変身はお預けだね」

 

「うぅぅ!! 弱っちぃ荒魂の癖に!」

 

 

 謂れのない想いを結芽が荒魂にぶつける中、百合は一瞬だけ作られたアンクの手袋が動いた気がした。

 だが、すぐに気の所為だと片付けて現場に急行。

 

 

 現場に着いた頃には殆ど荒魂の討伐は終わっており、結芽が暴れ出したのは言うまでもない。

 帰り道々、いちご大福を買って機嫌を治すことに成功したが……

 

 

「あれ? ない! ない!? アンクの手袋がない!!」

 

「…ヒビ割れたタカコアも無くなってる……」

 

 

 二人は一時間に及ぶ家探しを決行。

 しかし、一向に見つからず百合と結芽は号泣。

 新たに手袋を発注したりヒビ割れたタカコアを注文して、事なきを得た。

 

 

 翌日、異形の腕が飛び回っていると言う噂を聞いた二人は…まさかねとだけ呟き、ビルドの視聴に入った。

 

 

 尚、ビルドでも号泣し、変身ベルトやらアイテムを即購入したとかしてないとか……真相は闇の中である。

 




 
 今回はみにゆりつばお休みです。不定期で申し訳ないです。
 今後は毎週土曜日更新になると思うのでお楽しみに。
 誤字報告や感想は何時でもお待ちしております!
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 新しく始めましたので、時間があれば読んでやってください。
 https://syosetu.org/novel/197129/

結芽の誕生日は……

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