Twenty wish   作:眠気の小五郎

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ゲームスタート

……身体中が痛い。

 

筋肉痛とかではないが、全身に電気を流されたかのような痛みだ。…けれど、時間が経つにつれて少しずつ薄れていくような物だから、後遺症とかは残らなそう。

 

結構派手に車に轢かれたけど、案外生き残れるもんだね。

 

それに、目がまだ開かないから何かはハッキリとは分からないけど、体の下にクッションが敷かれていたし、相当運が良かったんだなぁ(安堵)

 

……お、痺れが切れてきた。

 

手足の感覚も戻ってきたみたい。

 

で、感覚が戻ったんでクッションになっているものを触ってみる。

 

「……これは…花、かな?」

 

だとしたら不可抗力とはいえ下敷きにしまったことに罪悪感を抱く。

 

(…身体も随分回復したし、さっさと退くことにしよう)

 

僕は少し勢いをつけて飛び起きた。

 

そして、固まった筋肉をほぐす体操を軽く行っている時、はたと気づいた。

 

————なんで、こんなに静かなんだ?

 

仮にも人が車に轢かれたのに喧騒の一つも聞こえてこないなんて有り得ない。

 

それに、僕の周りには偶然出くわした友達がいたし、結構仲が良かったから駆け寄って来てくれるのが自然だと思ったんだけど…。

 

更に言えば、僕が轢かれたのはデパート付近で、車通りが多くエンジン音が聞こえないのは不自然だ。

 

だけど、目がまだ開かない以上は文字通り手探りで状況を確認せねば。

 

「取り敢えず、四つん這いになって這っていこう」

 

幸い僕の格好は汚れても大丈夫な服装だったので、躊躇いもなく地面に手足をついた。

 

「んー地面はちょっと湿ってるなぁ。となると、花に水でもやった後か。誰かが管理でもしているのかね?」

 

思考を口に出しながら、所謂ハイハイでよたよた進んだ…が、以外にも終着点は近く、壁にこつん、と軽く頭をぶつけてしまう。

 

「痛っ…あれ?この壁、もしかして岩?」

 

仮にコンクリートにぶつかったとしても、こんな大きな凸凹は無いはず。

 

「冷んやりしてるー。気持ちぃー」

 

僕はペタペタと壁を触って、ついでに頬をスリスリしてみた。紛う事なき岩の感触で、とても冷たい。季節が夏ということもあって、冷んやりしているのは有り難い。

 

………けど、謎が解けた訳じゃない。

 

デパート付近にこんなスポットは無かったし、流石に車にぶつかったくらいの衝撃じゃあぶっ飛んでも数メートル程。

 

そんなんじゃ、こんな絶好の涼める穴場に入ることなんてできないだろう。

 

「てことはあれか。転生したら岩場だった件的な。……いや、岩場にいた件、か」

 

ライトノベルや2次創作に有りがちな設定を実際に目の当たりにして、流石に気分が高揚します。

 

……けど、死ぬ前にユニークスキルを習得したり、神様に会ったりした覚えはない。

 

「なら、特に転生特典が要らない平和な世界?…それとも特典はあるけどまだ使える状況にないとか?」

 

だとしたら、この開かない目に何か秘密があるんだろうか。今現在機能していないの視覚だけだし。

 

……うーん鉛のように瞼が重い。

 

何かしらのアクションが必要なんだろうか?

 

まぁ兎にも角にも、ここから動こう。移動すれば、ここを管理している人に会えるかもしれない。目が見えないから壁をつたっていくしかないけどね。

 

 

 

壁伝いに歩いていると、明らかに天然の岩ではない柱を見つけた。一定間隔で縦線が入っていることから柱と判断したけど、ここは人工的に造られた場所なのかな。

 

管理された花に人工的に造られた柱と思わしき物。

 

人が見つかる可能性がグン!と上がった!やったね優ちゃん!助けが来るよ!

 

…なーんてね。こんなんで助けが来るわけが

 

【!】

 

「えっ」

 

*フロギーがこちらに歩いてきた!

 

「えっ!」

 

【FIGHT】【ACT】【ITEM】【MERCY】

 

ふふふふふふフロギー!?って、目が見えるっ!それに戦闘画面!?どーなってんの!?

 

それに、このコマンド欄!

 

完っ全にUndertaleじゃないか!

 

もう一度言おう、どーなってんの?!

 

と、とにかく【ACT】だ!

 

 

*調べる *褒める *脅す

 

 

し、調べる!

 

*フロギー__ATK4 DEF5

 

*カエルもつらいよ。

 

……あれっ?

 

フロギーの調べるって確か、『この敵にとって人生とは難題そのもののようだ』的な文章じゃなかったっけ!?

 

なんで僕の知っているやつじゃ無いんだ?!

 

*ケロケロ(人間さんまた落ちてきたケロ?)

 

「え、またって?」

 

……ふぅ、少し落ち着こう。そしてフロギーの話をしっかりと聞こう。

 

*(うん。だってさっき、シマシマの服を着た無表情の人間さんがここを通ったケロからね)

 

「それって…」

 

Undertaleの主人公であり、地下世界のモンスターと友達になりまくったビックリ人間。

 

そして、ゲーム最後にてその名前が明かされる人。

 

「フリスク…」

 

Undertaleの主人公がここにいるのは全くもって問題ない。寧ろ、異分子は僕の方だ。

 

それに、僕はセーブ出来ないだろうし。

 

Undertaleのセーブファイルは1つしかなく、より決意(ケツイ)が高い方にセーブ権が移る。

 

僕のちっぽけな決意でフリスクのケツイを上回れる訳がないし…。

 

つまり、僕はやり直しができない。正に負けたらそこで人生終わり(試合終了)

 

…あれ?そういえばなんでフロギーは攻撃してこないんだろう?

 

あ、そういえば最初のテキストも『襲いかかって来た!』ではなく『こちらに歩いてきた』だったし。

 

その辺聞いてみよ…あーでもACTのコマンドに話すってあったっけ?

 

【ACT】

 

*調べる *褒める *脅す *話す

 

あった。いや、増えたのかな?

 

兎に角、実行してみよう。

 

*話す

 

「ええっと…あなたはなんで攻撃してこないんですか?」

 

*フロギーは少し悲しそうな顔で答えた。

 

*(人間さんは僕たちの魔法で傷つきやすいのを知らなくてね…。結構な傷を与えてしまったケロ。だから、ここのモンスターはみんな人間さんに魔法を使うのを禁止にしたんだケロ)

 

「そうなんだ……」

 

モンスター達が禁止するくらいに酷い傷を負ったのかな……。大丈夫かな、フリスク。

 

……あ、なら。

 

【ACT】

 

*交渉

 

「ねぇフロギーさん。僕をその人間のところに連れて行ってくれないかな?僕も、同じ人間としてその子の事が心配なんだ」

 

*フロギーは微笑みながら(?)返答した。

 

*(わかったケロ!同じ人間さんがいた方があの人間さんも心強いと思うケロし)

 

フロギーがそう言い終わると同時に、今まであったコマンドが消え、戦闘画面が終わった。

 

変わっている事があるとすれば、戦闘画面じゃなくなっても目が見えるようになったということかな。

 

*(それじゃあ案内するケロ!)

 

フロギーは一つジャンプすると僕の頭の上に飛び乗った。普通のカエルより体格がある分筋力も増しているから、これくらいは楽勝なんだろうね。

 

「うん、少しの間だけどよろしくね」

 

さて、少し変則的だけど、ここから僕の【Undertale】が幕を開ける。

 

(まだまだ先のことだけど、寿司ネキや、もふうさ王にどう対応するのか、悩みどころだなぁ)

 

僕はそんな事を考えながらRuinsの入り口の門をくぐるのだった……。

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