Twenty wish 作:眠気の小五郎
ニンゲン同士の激しい戦いを、
トリエルは唖然として眺めていた。
家のあちこちはナイフで切り裂かれ、小さな子供が投げたナイフは全てHOMEの天井や床、壁に突き刺さっていた。
小さな子供の方は時折苦しそうな表情を見せるも、基本的には不気味に微笑んでいる。
まるで戦闘を、いや。
敵を追い詰めることを楽しんでいるようだ。
それに対峙する青年。
彼の顔には恐怖の感情が見て取れる。
明らかに目の前の殺人マシーンを恐れている。
それでも青年は立ち向かう。
迫り来るナイフをギリギリで避け、突破口がないかを『
必死にもがいている。狭くなった行動範囲を棒切れと包帯で補強し、壊されたらすぐに修繕し『
被弾して泣きそうになりながら飴を齧り、迫り来るナイフを【FIGHT】して叩き落とす。
小さな子供は黒く染まりかけている赤いソウル。
青年は少し薄い色をした赤いソウル。
二つの赤は決して交差しない。けれども強烈なぶつかり合いを見せていた。モンスターのソウルがひび割れてしまいそうな余波。
これがニンゲン同士の争い。
こっそり覗いていたフロギーなどのモンスターたちは恐怖の感情を抱き、その場から逃走している。
けれどもトリエルは別の思いを抱き始めていた。
それは、『子供達が争うなんてとんでもない!』というもの。
彼女は元女王であるが、その前に母親だったのだ。
故に、彼女は動き出す。
膠着していた戦いに、変化が訪れる。
★
*逃げた方がいいかもしれない
*今のあなたでは勝てない
【FIGHT】【ACT】【ITEM】【MERCY】
HP:12/20
……あ"ぁ…痛ったいなぁ…もう。
飴で体力は回復しても痛みは引かないのね…。
取り敢えずITEMから棒切れと包帯を取り出して戦闘画面は元に戻った。脆いから直ぐに壊れちゃうけど。
突破口がないかACTで調べたけれど、わかったのは次に攻撃してくるパターンのみ。
それはそれで有り難い。考える時間は稼げるのだし。それでもこのままじゃジリ貧だ。情けないことに僕はまだフリスクの攻撃を完全に避け切ることはできない。
だからこのまま続ければこっちの負け。
こっちのターンを継続しようにも制限時間があるみたいだし…放っておくとフリスクの攻撃が始まってGame Overだ…。
詰み。1人じゃ無理。諦め。死
それぞれの単語が頭の中を駆け抜ける。
……まだだ。
僕の体力は残ってるし、攻撃にも慣れてきた。
絶対に攻略してみせる…!
【ACT】
*調べる
❤️*フリスク? *トリエル
…へっ?
トリエルさん?
急に現れたトリエルさんの文字。
そういえば外に行こうと指示を出してから音沙汰もなかったな…戻ってきたってこと?
あ、画面に出てきた。
「*まったく。いけませんよ?
たたかいごっこも程々にしないと
大怪我をしますからね」
…いや、まあ、それはそぅ…ですけどね?
ごっこ遊びじゃないんですよこれ。
「*嘘はいけないわ。
…どうやら手を先に出したのはあなたね?おもちゃとは言っても振り回すのは危ないでしょう」
フリスクの方を見て言ってる…?
「*私はこの子とお話しをしていますから、あなたは地下に行ってきなさい。ジョーク好きのモンスターが怪我を診てくれますからね」
トリエルさんが僕にそう話しかけた瞬間、ACTの選択肢に変化が起きる。
「…!」
僕は迷わずそのコマンドをタップした。
【ACT】
*調べる *話す
*口説く *煽る
❤️*助けを呼ぶ
*あなたは一旦逃げ出した…。