“僕を止めないで”
中々のハスキーヴォイスで詩を紡いでいた。
「かっこよかったでしょ?あの人がママがパパの次に大好きな人だよ!」
劇場を出た後不意に声が聞こえてきた。
たしかに、かっこよかった……
「うん、あんな風になりたい。」
スクリーンの中はとても楽しそうだった。
彼女は、まず朝5時に起き、地下室に降りて相棒のストラトキャスター型のエレキギターを台座から下ろす。
そして、クロスと呼ばれる専用のタオルで自分の指紋や汚れをふき取る。それもさっとふき取る、のではなく念入りに15分はかけてふく。
彼女なりの道具に対する最大の敬意だ。
これを毎朝しないと、彼女の朝は始まらない。
彼女はかれこれ10年近くギターを弾いているが毎朝これを繰り返している。
それが終わると、防音加工がされている地下室部屋に行く。
地下室を完全に締め切るととりあえずアンプと呼ばれる、音量増幅器にギターを繋げ、一度弦を弾いて、ペグをと呼ばれる音をチューニングする部品を回す。
それから何度か弦に触ったりペグを何度も回転させて、完全に調整を完了させる。これはギターの音の上下を調節させる為の『チューニング』と呼ばれる行動だ。
それから、課題曲の練習を始める。
今日は『deep purple』のsmoke on the waterだ。
この曲はギタリストの登竜門のような曲で、シンプルなコード進行だがギターの必須と言っていいテクニックがほぼほぼ使われている曲だ。
プロのギタリストの小野瀬正雄も「smoke on the waterを笑うものはsmoke on the waterに泣く」といったほどの曲だ。
そんな曲を6時半くらいまで、練習に費やす。
彼女の演奏はプロ顔負けでほぼ完璧と言っても過言ではない、が本人は何かが気に入らない様子で、部分練習を幾度となく繰り返す。
そんな完璧を超えた何かを探すような練習が終わると、1階のキッチンに行き、二人暮らしの親と自分の朝食の支度をするために、ギターを足代に戻し1階のキッチンに行って二人前の朝食を作る。
その間、ワイヤレスのスピーカーで洋楽を流す。
今朝流すのは、『QUEEN』の3rdアルバムのシアーハートアタックだ。
このアルバムは登場人物が特徴的なポーズを取る某異能力バトル漫画に出てくるので、名前だけ知っている人も多い。
そんなQueenの曲に料理する音が混ざる
このアルバムがディーアフレンドが終わる頃には、目玉焼きと簡単なサラダやほんのり焦げ目付いたトーストが食卓に並ぶ。
もうすぐ、父親が起きる時間だ。
絵里は、父親の為にモカと書かれた袋から黒い粉をスプーンですくって、機械に投入した。
するとコーヒーがマグカップ一杯分出てくる。
それを食卓に出してから、洗面所に向かい、洗顔と歯磨きを済ませた。
どうも、皆さんはじめまして、
初投稿です。よろしくお願いしますw
文藝自体は中学1年生から続けて今年で約4年になりますが、こう言ったサイトに投稿するのは初めてなので何かと至らぬ点が多々あると思いますが、ご愛嬌ということでよろしくお願いします。