崩壊3rd Sinister's sin   作:アーヴァレスト

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主人公の意外な正体


急転

きっかり1時間後、後日改めて会合をするという事で話は纏まり、ダイアモンドドッグズが仲介として戦場を監視することになった

その報告の後に、緊急回線で連絡が来る、その内容は・・・

 

「キアナが連れ去られた・・・だと!?」

「はい、相手は天命戦乙女精鋭部隊"不朽なる刃"副隊長の・・・」

「リタ・・・ロスヴァイセ!!」

 

怒りがこみ上げる・・・その相手とは一度交戦したことがあるからだ

結果としては敗北に近い勝利・・・試合に勝って勝負に負けたとも言える状態だったが・・・

 

「目的はキアナ一本だったとはな!!」

 

俺を狙っている情報は囮だったという事か、実際に行動までしておいて実際はデコイだったとは恐れ入るほどの知力といえる・・・だが

 

「甘く見てもらっては困るな・・・これでも俺はその先を行く男だ!!」

 

最初からそうなると予測しておいたわけではない、だが対策程度は出来るようにキャパシティは確保済みなのだ

甘く見ないでもらおう・・・かつて世界を壊して作り替えた男の実力を

 

「機関最大、リミッター解除!!学園に帰還する!!」

「了解!!」

 

サヘラントロプスと連れ去られたキアナを除いた全員を収容、学園に向かう

キアナの現在地が不明な今、対策を取れるのは学園以外にないからだ

それに・・・

 

「サヘラントロプスの部品も用意しておいた方がいいな・・・」

 

サヘラントロプスの関節部に思った以上の負荷が感知された、現状数回の出撃には耐えられるものの、長期戦となれば怪しい

そのため予備部品も積み込むことにする

 

「接近する反応あり!!これは・・・!?」

「どうした?」

「あ・・・ありえない・・・!!相手は不朽なる刃です!!」

「単独という事は・・・副隊長が自ら威を示しに来たか!!」

 

艦前方の装甲甲板に降り立ち、こちらの様子を見ている

 

「俺が出る・・・進路と速度はこのまま出迎え!!」

「了解!!」

 

そして俺も、彼女の目の前に出る

 

「お久しぶりですね、藍澤カズマさん」

「俺としては二度と会いたくなかったがな・・・リタロスヴァイセ」

「あら、そうですか?」

「キアナをどこにやった?」

「それはお答えできませんね」

「そうか・・・ならば」

 

剣を抜き、構えながら俺は宣言する

 

「話したくなるまで切り刻んでやろう!!」

「出来ますか、貴方に?」

「やるまでだッ!!」

 

大鎌と剣が衝突する、そのたびに散る閃光と火花

だが互いに一撃は入らず拮抗している

 

「やはり、貴方はお強いですね」

「その強さも、全ては誰かを守るためだ、ただ一人の男に全てを捧げる人間にはわかるまい!!」

「それはあの方への侮辱と受け取ります・・・いいでしょう、なら・・・」

 

気配が変わる、その瞬間に感じた寒気に俺は一歩下がった

頬が浅く切れたのは、それとほぼ同時・・・

 

「本気で参ります・・・お覚悟を」

「上等だ・・・!!」

 

その瞬間、腕を深く切られる

 

「つっ・・・!!」

「生身で局部時間断裂の効果を受ける気分は如何ですか?誰にも秘密を告げない異世界の破壊者様?」

「・・・たしかに、これは驚きだ・・・それにその言葉から考えて、大主教から俺の秘密を聞いているようだな」

 

どのようにして知ったのかは俺でもわからない、これは誰にも言ってない秘密だからだ

 

「では、先の私の発言は事実であり、弁明はしないと?」

「確かに、弁明できんし、その資格もない」

 

鎌が抜き取られると同時に立ち上がり、俺は告げた

 

「だが、今は違う。誇るべき我が教え子たちが、新たな答えを示してくれた」

 

彼女たちに教える事で、俺自身が学んだことがある、それは・・・

 

「だからこそ己が矛盾を承知の上で言わせて貰おう・・・」

 

それこそが、芯のない俺の中に宿った新たな芯である

 

「人々の幸福を未来を輝きを、守り抜かんと願う限り俺は無敵だ。来るがいい、明日の光は奪わせん!!」

 

宣言と同時に開放する力・・・天霆の轟く地平に、闇はなく(G a m m a・r a y K e r a u n o s)、凄まじいまでの反動を無視して戦闘を続行する

掠めただけの残滓であっても、激痛の光は体内で泡のように弾け細胞の一つ一つを破壊する事を理解してか、リタロスヴァイセは回避に専念せざるを得ない・・・誰もがそう考えたが

 

「そうであったとしても、こちらには切り札があります」

「やってみろ」

 

その瞬間、姿が消える

局部時間断裂を再度使用したのだ、だがしかし

 

「二度は受けない」

 

亀裂に沿って自らの力を壁のように展開する、それはとある崩壊獣との戦闘で学んだ対策の一つだった

 

「つっ・・・!!」

「驚いたか?対抗戦術などいくらでも出来るんだよ」

 

振り返る事なく蹴り飛ばし、そして振り返った

 

「反動に自ら滅びようともですか?」

「あぁ、そうだ。だが・・・」

「・・・?」

 

俺は告げる、これでは終われないと

そう、終われない・・・

 

「いいや、まだだ。すべては勝利を掴むために、今こそ俺は創世の火を掲げよう!!」

 

新たな覚醒、新生の焔が身を包む

気合の大喝破と共に、彼に刻まれたはずの致命傷が()()()()()()()()()()

治癒でも再生でもない、傷という()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「気合と根性・・・ですか?それでここまでの行為に及ぶとは・・・」

「不完全だがな」

 

完全にとはいかない、出力の上限を突破しているわけではない

あくまでも、上限を超える速度の消費をしている状態だ

故に長くは持たない、恐らくもって10分程度が限界だろう

 

「一撃で終わらせてやろう」

「いいえ、これまでです・・・私の任務は終わりましたので」

 

威を示すという時点で終わっていると思うが、もう一つは俺の事だろう

 

「とある御仁から預かったものです、後はお好きなように」

 

渡されたのはカセットテープ、そこには・・・

 

TRUTH:Man Who Sold the World(世界を売った男の真実)・・・」

「では、失礼いたします」

 

去っていった彼女を俺は追わなかった、彼女よりもこちらの方が気になったからだ

 

「大丈夫ですか!?」

 

艦橋に帰ると心配して駆け寄ってきたのはフカだった、彼女は以前能力を解放した際の俺の惨状を知っている

 

「あぁ、何とかな」

 

今回は依然と異なり、ちゃんとバトルスーツを着ている

前回は着てなかったからこそ起きた反動だった

 

「俺はしばらく自室に籠る、君達は英気を養ってくれ・・・これから少々荒れるぞ」

 

俺はそう言って自室に入る

 

「・・・」

 

顔を洗うために鏡の前に立ち、俺は苦笑いを浮かべる

目の前には相変わらず、この世で最も殺したい人間・・・自分の顔がある

 

「あぁ、そうだとも」

 

そろそろ、彼女たちに偽り続けるのも嫌だ

だからこそ、自らを恥じている・・・自殺したいほどに

そして渡されたカセットテープを再生できる機械に入れた

 

「思い出したか?自分が何者で、役割が何か」

「・・・」

 

そう、俺は藍澤カズマではない・・・つい先ほど、俺はそれを思い出した

恐らくカギは、リタロスヴァイセという存在を直に見る事

 

「お前のおかげで、俺はもう一つの世界を生き延びた。そしてもう一つの歴史を残せた」

 

それは彼の作ろうとしたもの

実は藍澤カズマという人間は5年ほど前にも確認されている

その名前は公表されておらず、調べるのには様々な手段を行使せざるを得なかった

かなり深い闇の深層に封印されたその功績、それは天命を打倒しようとした伝説の男の生涯そのもの

 

「お前も、もう一つの世界を創り、歴史を残した」

 

そしてその名を受け継いだ俺は、その伝説をも継承した

 

「お前は俺の影武者(ドッペルゲンガー)などではない。お前はもう一人の俺・・・いいや、俺達は二人でBIGBOSS(ビッグボス)だ」

 

うつむいた俺を叱咤するように、激励するようにその声が響く

 

「俺達がこの現在(いま)を創った、この物語(サーガ)も伝説も、俺達で創ったんだ!!」

 

その声に、無上の喜びを感じる

このために生きてきたと実感する

 

「俺達こそが世界を、未来を変える・・・俺はお前であり、お前は俺だ。それを胸に刻め!!忘れるな!!ありがとう、友よ・・・これからがお前が、BIGBOSS(ビッグボス)だ」

 

その声に、俺は決意する

彼を歴史に埋もれさせないために、彼の伝説を継承しているからこそ・・・俺の取る選択は・・・




Pixivでも書いてるけど、ここから分岐するよ!!

これからのルートはどちらがいいですか?

  • 死ねよ貴様ら、塵屑だろうが!!
  • ごめんなさい、ごめんなさい
  • 勝利とはなんだ?
  • 勝つのは己だ
  • いいや、まだだ

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